アナアオサ
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| アナアオサ | ||||||||||||||||||||||||
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1. 標本 | ||||||||||||||||||||||||
| 分類 | ||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||||||||
| Ulva australis Areschoug, 1854[1] | ||||||||||||||||||||||||
| シノニム | ||||||||||||||||||||||||
| 英名 | ||||||||||||||||||||||||
| Lacy Sea Lettuce[1] |
アナアオサ(穴石蓴[2][3]、学名: Ulva australis)は、アオサ目アオサ科アオサ属に分類される緑藻の1種である。21世紀初頭までは Ulva pertusa の学名が充てられていた。種小名である australis はラテン語で「南方の」を意味する[1]。藻体は2層の細胞層からなる膜状体であり、比較的厚く硬くぬめりはなく、成長すると不規則な裂片や穴ができる(図1)。世界各地の沿岸域に分布しているが、人間活動によって東アジアから世界中に広がったと考えられている。日本では基質から離れて浮遊して増殖し、緑潮を形成することがある。食用とされることがある。
藻体は緑色、膜質で不規則な円形や楕円形、卵形などであり、成長すると不規則な裂片や穴が生じ、大きさは 20–100 cm、手触りは硬く、ふつうやや厚く、ぬめりはない[4][2][3](図1, 2)。ふつう仮根糸からなる付着器で岩などに付着しているが[4]、海中に浮遊して増殖し緑潮(グリーンタイド)を形成することもある[5][6]。藻体は2細胞層からなり、厚さは縁辺部で 88–104 µm、中央部で 125–135 µm、縁辺に顕微鏡で確認できる鋸歯はない[4][7](図2b)。細胞は表面観で多角形から四角形、2細胞層のうち一方の層の細胞の方が大きい傾向がある[7](図2b)。各細胞に板状の葉緑体が1個あり、細胞中をよく移動し、1–3個のピレノイドを含む[7]。
基本的に、同形同大で単相(染色体を1セットのみもつ)の配偶体と複相(染色体を2セットもつ)の胞子体の間で同形世代交代を行う[8]。配偶体から放出される配偶子は2本鞭毛性であり、やや異形で雌性配偶子は長さ 6–10 µm、雄性配偶子は長さ 5–9 µm、いずれも正の走光性を示す[8]。動接合子(接合直後で鞭毛を残した接合子)は負の走光性を示し、基質に着生して胞子体へ発生する[8]。胞子体から放出される遊走子は4本鞭毛性、長さ 9.5–12 µm、着生して配偶体へ発生する[8]。また、配偶子が単為生殖によってふたたび配偶体を形成することもある[8]。染色体数は n = 9[8]。
分布・生態

北米から南米(太平洋岸、大西洋岸)ヨーロッパ(大西洋岸、地中海など)、アフリカ(インド洋岸)、中東(ペルシャ湾など)、スリランカ、東アジア(ロシア、中国、韓国、日本など)、東南アジア(シンガポール、インドネシア、フィリピンなど)、オーストラリア、ニュージーランドから報告されている[1]。タイプ産地はオーストラリア、南オーストラリア州のアデレード[1]。ただし、北米から南米、ヨーロッパ、オセアニアなどのものは、日本を含む東アジアから人間活動によって侵入した外来種であると考えられている[9]。
沿岸域の潮間帯中部から潮下帯に生育し、岩などに付着している[1][2][3](図1)。ただし基質から離れて浮遊して増殖することもあり、日本における緑潮(グリーンタイド)は、春から夏にはアナアオサ、秋から冬にかけてはミナミアオサ(Ulva ohnoi)が優占することが多い[5][6]
人間との関わり
アオサ(アオサ属のうち膜状の藻体をもつ種)は、アオノリの代用品として利用され、焼きそば、お好み焼き、たこ焼き、煎餅などに使う青のり粉の原料とされる[10][11]。『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』には「あおさ<石蓴>の素干し」(09001)が掲載されており、アナアオサが主とすると記述されている[12]。アオサの中では、普遍種であるアナアオサが使われるともされるが[13][14]、アナアオサは藻体が厚く苦味が強く、ミナミアオサ(Ulva ohnoi)が主に利用されているともされる[11]。アオノリやヒトエグサ(アオサノリ)とは異なり養殖はされておらず、天然品が採集されており、日本では愛知県三河湾が主な産地となっている[11][14]。
アナアオサを用いた応用的利用の研究として、重金属のバイオレメディエーション[15]、薬用成分[16][17][18]、クロアワビの飼料[19]などがある。
日本では、アナアオサはしばしば緑潮(グリーンタイド)を形成する(上記参照)。また、アナアオサは日本を含む東アジアから人間活動によって北米から南米、ヨーロッパ、オセアニアに侵入した外来種であると考えられている[9]。