アーティフィサー (ダンジョンズ&ドラゴンズ)

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アーティフィサーは、ファンタジーロールプレイングゲームダンジョンズ&ドラゴンズ』(D&D)に登場するキャラクタークラスの一つ。

かつてはサブクラスであったが、第3.5版から正式なクラスとなった。2004年にD&Dの新たなキャンペーン設定エベロン」の一部として導入された。エベロンの核となる要素の多くを反映した、他に類を見ないクラスである。その他の版では、第4版の『エベロン・プレイヤーズ・ガイド 第4版(Eberron Player's Guide)』(2009)や、第5版の『エベロン冒険者ガイド:最終戦争を越えて(Eberron: Rising from the Last War)』(2019)といった、エベロンのソースブックにも登場している。

アーティフィサーは、1996年の『Player's Option: Spells & Magic』ではウィザードのスペシャリストとして[1]、2001年の『フェルイーンの魔法(Magic of Faerûn)』では、ノームの秘術魔法使い向け上級クラスとして登場したが[2]、独立したクラスとして初めて追加されたのは、2004年のエベロン・キャンペーン設定においてである[3]。2006年、スキップ・ウィリアムズはこのクラスについて「プレイヤーズ・ハンドブック(『PHB』)で提示された呪文発動とは少し異なる魔法へのアプローチを表している。アーティフィサーにとって魔法は秘術でも神聖でもなく、捕らえてアイテムに注入される力である」と説明した[4]。 彼はこのクラスの"核"を「ガジェットの達人」と位置付けつつも、アーティフィサーはプレイヤーにとって「冷静な問題解決者、禁欲的な哲学者、狡猾な探検家、魔法愛好家、戦闘魔術師」など、多様な表現の幅を持つと指摘した[4]

架空の設定において、アーティフィサーは「ドラゴンマーク氏族」の一つ「カニス氏族」の主な特徴であり、大都市シャーンを始めとする都市の一般市民は、魔法インフラの維持のため、アーティフィサーに大きく依存している。アーティフィサーは、キャンペーン設定としてのエベロンの、高度な魔法的要素の多くを象徴している[3][5]

出版物での歴史

Advanced Dungeons & Dragons第2版

「アーティフィサー」の初登場は、『AD&D[注 1]第2版』のサプリメント『Player's Option: Spells & Magic』(1996)で、ウィザードのスペシャリストとしてであり、アーティフィスはThaumaturgyスクール内に新たに追加された専門分野であった。このアーティフィサーは、非生物のアイテムに、あるいは非生物のアイテムを通して、自身の個人的な使用のために魔法を流す。そのため、生物に影響を与えるエンチャントメント/チャーム、およびネクロマンシー全体がアーティフィサーとは相容れず、AD&D第2版のアーティフィサーでは使用が制限される[1]

Dungeons & Dragons第3.5版

D&D第3.5版[注 2]』では、「アーティフィサー」は『エベロン・ワールドガイド(Eberron Campaign Setting)』(2004)で基本クラスとして導入された[3]

アーティフィサーの能力は主にアイテムや人造物に作用し、通常の魔法やサイオニックではなく、【知力】に基づく「Infusion」を使用する。Infusionは呪文と類似した効果を持つが、特定の物体に埋め込む必要があり、一時的な魔法効果を与える[3][4]。アーティフィサーは、前提となる呪文を修得していなくとも、魔法のアイテムを作成できる。アーティフィサーは、レベルごとにcraft reserveポイントを入手する。このポイントは、経験点の代わりに新たな魔法のアイテム作成に使用できる。これにより、他の呪文発動者が受ける経験点ペナルティ無しに、アイテム作成特技を活用できる[3][4]。人造物、機械獣、特に「ウォーフォージド(Warforged)」は、アーティフィサーの専門領域に属する。特定のInfusionsは、人造物の要素を持つあらゆるクリーチャーの修復や損傷に用いられる。4レベルで、アーティフィサーはホムンクルスを製作できる。ホムンクルスはウィザードの使い魔に似ているが、より知性が高く、一般的に単一の作業に向いている[3][4]

Dungeons & Dragons第4版

「アーティフィサー」のプレイテスト版は、『ドラゴン』第365号(2008年7月)に掲載された[6][7]。『Designers & Dragons』の著者シャノン・アペルクラインは、「D&D Insiderーの一部としてプレイテストされた初のキャラクタークラスである」としている[7]。その後、アーティフィサーは『エベロン・プレイヤーズ・ガイド 第4版』(2009年7月)で公式に基本クラスとして登場した。メカニクス上、アーティフィサーは「秘術」のパワー源[注 3]を持つ「指揮役」[注 4]である。ロッド、スタッフ、ワンドを道具として使用できる。アーティフィサーは「infusions」と呼ばれる秘術呪文を用いて物体に魔力を付与でき、味方の強化・治癒・保護に焦点を当てる。そのパワーの多くは武器や防具に関連している[5][6]

アペルクラインは、公式のアーティフィサーはプレイテスト版から大幅にアップデートされ、特にhealing infusionsが”他の指揮役クラスとの差別化を図るため”に”最大の変更”を受けたと述べた[7]。彼は『ドラゴン』第376号(2009年6月)に掲載された、アーティフィサーに焦点を当てた「design & development article」に触れ、アーティフィサーの特殊ルールが「より標準的な第4版メカニクスに置き換えられた」理由が、「新ルールでは"十分にメカニカルな利点をもたらさなかった"ため」であるといった、「興味深い洞察」が含まれていたと述べている[7]

Dungeons & Dragons第5版

D&D第5版』での「アーティフィサー」は、2015年のUnearthed Arcanaプレイテストにおいて、ウィザードのサブクラスとして初登場した[8][9]。その後、2017年のUnearthed Arcanaプレイテストで独立したクラスとして公開された[10][11][12]。その後、数回の公開プレイテストを経た[注 5][12][15]。最終版はキャンペーン・ブック『エベロン冒険者ガイド:最終戦争を越えて』(2019年11月)に収録された。これは『PHB』(2014年8月)以来、第5版向けに発表された初の基本クラスである[12][16][17]。これには、ポーションやエリクサー作成に特化した「アルケミスト」、魔導砲と防御に特化した「アーティラリスト」、スチール・ディフェンダーと戦闘に特化した「バトル・スミス」の、3つのサブクラスが含まれている[18]

『ターシャの万物釜(Tasha's Cauldron of Everything)』(2020)出版に先立ち、このクラスに関するエラッタが公開された。これによって「いくつかのクラス特徴を更新し、アーティフィサーをプレイしやすくするため、クラスが若干合理化された」[19]。『ターシャの万物釜』には、更新版クラスに加え、新たなサブクラス「アーマラー」が収録されている。このサブクラスは防具の改造、防具との一体化、そして防具の魔法能力の強化に焦点を当てている[20][21][22]。アーマラーは、2020年2月にプレイテストシリーズ『Unearthed Arcana』の一部として最初に発表された[23][24]

2024年9月、第5版ルールセットの2024年改訂版の一環として、第5.5版[注 6]『PHB』(2024)が発売された。この後方互換性のあるソースブックは、既存のプレイヤーオプションを更新しつつ、ゲームに新たなコンテンツを導入した[28][29]。ただし、アーティフィサーはこの更新に含まれていなかった[30][31]。その後2024年12月、『PHB』(2024)ルールセットを採用したアーティフィサーの改訂版がUnearthed Arcanaのプレイテストとして公開された[32][33]。これには4つの改訂サブクラス(アルケミスト、アーマラー、アーティラリスト、バトル・スミス)が含まれていた[33][34]。2025年2月には、クラスへのさらなるプレイテスト調整と新サブクラス「Cartographer」が公開された[35]。 今後発売予定のセッティング・ソースブック『Eberron: Forge of the Artificer』(2025)には、改訂版アーティフィサーが収録される予定である[36][37]

評価

Chris Przybyszewskiは、SF Siteにおける『エベロン・ワールドガイド』(2004年)のレビューで、同ソースブックで導入された新種族と比較して、アーティフィサーにはがっかりしたと述べた。彼はこのクラスが「あらゆる種類の魔法の道具を創造できる」と指摘しつつも、正式なルールが無かった事以外に「これまでプレイヤーがこういうことができなかったのはなぜか」と疑問を呈した[38]。 彼は「こうしたルールを歓迎するプレイヤーもいるだろうし、ルール自体は柔軟で実用的(アーティフィサーのレベルが上がるにつれ、物を作る能力も向上する)」としつつも、「新たな世界の重要性と比べると、この新クラスは弱い」との見解を示した[38]

第5版のプレイテスト中、Bleeding Coolのギャヴィン・シーハンはこう述べている。「もしあなたが、D&Dを第3.5版時代にプレイした記憶があるなら、「アーティフィサー」というクラスを覚えているかもしれない。[中略] 誰に聞くかによって、このキャラクタークラスは当時のエベロン・キャンペーンを強化するために作られたという説もあれば、単にスチームパンクファンをD&Dに引き込むために導入されたという説もある。真実はその中間にあるのだろう。アーティフィサーは第4版にも登場したが、2014年に第5版が発売された際に削除された」[39]

ジェレミー・トーマスは、411Maniaにおける『エベロン冒険者ガイド:最終戦争を越えて』のレビューで、アーティフィサーが第5版で正式採用されるまでに経た数々のプレイテストの反復を強調した。彼はこう述べている。「我々が手にしたヴァージョンは、それらの要素をすべて効果的に統合し、アーティフィサーの精神に忠実でありながら、実用性とバランスを備えたクラスに仕上がっている」 アーティフィサーは魔法のアイテムを創造し、道具を用いて魔法を操る。サブクラス(アルケミスト、アーティラリスト、バトル・スミス)はアーティフィサーにそれぞれ異なる役割を与える。彼らは魔法使いではあるが、ウィザードやソーサラーの純粋な破壊力を侵害することはない」[40]

ComicBook.comのクリスチャン・ホッファーも同様に、様々なプレイテストの反復を経て「最終版には注目すべき変更点が含まれている」と指摘した[41]。ホッファーは、アーティフィサーの"ハーフキャスター"としての核は維持しつつ、全てのサブクラスが「ホムンクルスを創造できるようになった」ことを挙げた。これは、プレイテストではアルケミストに限定されていた機能である[41]。彼はアルケミストが「最大の弱体化」を受け、新たなエリクサーのメカニクスを導入しても「かなり弱体化している」と評した[41]。しかしアルケミスト以外については、ホッファーは「アーティフィサーは、メカニクス上の特色と、豊富なロールプレイ選択肢の両方をもたらす、素晴らしい新クラスだ」と感じていた[41]

コーリー・プラントは、Inverseでこう語っている。「なぜこれほど素晴らしい新キャラクタークラスが、D&D第5版で正式採用されるまでにこれほど時間がかかったのか? その答えは、魔法の発明をいじくるには時間がかかるからだ。[中略] なぜ今がアーティフィサーのデビューに最適なタイミングなのか? その答えは、意外にもゲーム自体とはほとんど関係がない。むしろ、この最新ソースブックの舞台であるエベロンに全てが関わっている。[中略] 科学と魔法が等しく形作る世界において、アーティフィサーほどふさわしい使者はいない」[12]

チャーリー・ホールはPolygonの『エベロン冒険者ガイド:最終戦争を越えて』のレビューで、第5版初の新キャラクタークラスであるアーティフィサーの、ゲームバランス上の潜在的問題を指摘した。「D&Dが長年抱えてきた大きな問題の一つが、魔法のアイテムの乱用だ。[中略] 第4版では事態が悪化し、第5版では『同調(attunement)』と呼ばれるシステムが導入された。[中略] アーティフィサーは、プレイヤーが一度に3つを超える魔法のアイテムに同調できる初のクラスとなる。[中略] 長年DMを務めてきた者として言わせてもらうと、キャンペーンにアーティフィサーを参加させるのかはよく考えた方がいい。その価値に見合わない面倒を引き起こす可能性がある」[16]

2020年、C・ホッファーはComicBook.comにおいて、『ターシャの万物釜』(2020)での変更点について「これらの変更は主に、アーティフィサーを将来の版に対応させる「将来を見据えた設計」のために行われた。例えば、アーティフィサーが『ザナサーの百科全書(Xanathar's Guide to Everything)』に掲載されているコモンの魔法のアイテムだけでなく、あらゆるコモンの魔法のアイテムを複製できる能力に拡大するなどだ。[中略] これらの変更はどれも画期的なものではなく、アーティフィサーの能力を根本的に変えるものでもないが、プレイしやすさを向上させる重要なクオリティ・オブ・ライフの改善である」と評した[19]

ヘンリー・セント・レジャーは、2024年12月のGamesRadar+で「13番目の公式クラスはしばしば見過ごされがちだ。ガジェットや仕掛けを通じて魔法を操る秘術技師として、このクラスは『大きな剣を持つ男』や『孤児の盗賊』といった、よくあるファンタジー冒険者の類型からは少し外れている」と述べた[42]。セント・レジャーは、アーティフィサーというキャラクタークラスは「かなり広くプレイされているものの、D&D Beyondでは依然として他の12クラスに大きく離され最下位で、2023年の報告では、アーティフィサーの平均プレイヤー数はモンクの半分にすぎない」としている[42]

その他メディア

アーティフィサーは、『Dungeons & Dragons Online(DDO)』 のクラスとして登場する。DDOコミュニティ・マネージャーのアマンダ・グローヴは、「ゲーム内でこのクラスをプレイすることを楽しんでいる」としながら「片手ではなく両手を使って射撃するのは難しい」とも語っている[43]

DieHard GameFanでアッシュ・コリンズは、「この新しいクラス、特にエベロン・キャンペーン設定に固有の最初のクラスであるアーティフィサーを、私は全面的に支持する。エベロンでプレイしていた頃、このクラスについて初めて読んだときから、私はこのクラスが大好きだった。その主な理由は、魔法と技術を組み合わせることが大好きだからだ。Rifts RPG のTechno-Magesが、私がプレイしたり NPCとして登場させたりするのに好きなキャラクターの一つであるのも当然だろう。この設定では、アーティフィサーはウォーフォージ・クラスのバッファーとしての役割を果たしていたが、MMOではパーティー全体をカバーするかもしれない。さらに、ゲームにクラフトシステムが実装された今、このクラス自体にアイテム作成や装備への何らかのボーナスが与えられるのではないかと考えずにはいられない。アーティフィサーは興味深いサポートクラスだが、ソロプレイ向けのビルドも多く生まれると思う」と語っている[44]

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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