エンジェル ウォーズ
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『エンジェル ウォーズ』(原題: Sucker Punch, 「不意打ち」の意)は、2011年のアメリカのアクション・ファンタジー映画。監督・製作・脚本はザック・スナイダーであり、エミリー・ブラウニング、アビー・コーニッシュ、ジェナ・マローン、ヴァネッサ・ハジェンズ、ジェイミー・チャン、カーラ・グギノら女性キャストによるアンサンブル映画である[4]。
| エンジェル ウォーズ | |
|---|---|
| Sucker Punch | |
|
| |
| 監督 | ザック・スナイダー |
| 脚本 |
ザック・スナイダー スティーヴ・シブヤ |
| 原案 | ザック・スナイダー |
| 製作 |
ザック・スナイダー デボラ・スナイダー |
| 製作総指揮 |
ウェスリー・カラー クリストファー・デファリア ジョン・ジャシュニ トーマス・タル |
| 出演者 |
エミリー・ブラウニング アビー・コーニッシュ ジェナ・マローン ヴァネッサ・ハジェンズ ジェイミー・チャン カーラ・グギノ |
| 音楽 |
タイラー・ベイツ マリウス・デ・ヴリース |
| 撮影 | ラリー・フォン |
| 編集 | ウィリアム・ホイ |
| 製作会社 |
ワーナー・ブラザース レジェンダリー・ピクチャーズ クルエル・アンド・アンユージュアル・フィルムズ |
| 配給 | ワーナー・ブラザース |
| 公開 |
|
| 上映時間 |
109分 (劇場公開版)[1] 127分 (エクステンデッド版) |
| 製作国 |
|
| 言語 | 英語 |
| 製作費 | $82,000,000[2] |
| 興行収入 |
$89,792,502[2] 2億9400万円[3] |
内容
物語は、母を亡くした少女ベイビードールが、義父によって精神病院へ送られるところから始まる。義父は彼女の財産を狙っており、さらに妹を死なせた責任まで押し付けようとしていた。病院へ連れてこられたベイビードールは、五日後にロボトミー手術を受けることを知り絶望する。しかし彼女は耐え難い現実から逃避するように、自分が高級娼館のダンサーとして監禁されているという幻想世界を作り出す。この世界では病院の医師や看守たちが別の役割で描かれ、ベイビードールは他の少女たちと共に脱出計画を立てる。
彼女たちは自由を得るため、「地図」「火」「ナイフ」「鍵」など脱出に必要な道具を集め始める。その過程でベイビードールは踊りを披露するが、映画ではその踊り自体は映されず、代わりに巨大な侍、ドラゴン、ナチス兵、機械兵器などと戦う派手な戦闘幻想へ切り替わる。これらの戦闘は彼女たちの精神的抵抗や現実逃避を象徴しており、実際には病院や娼館で行われている危険な行動を、ベイビードールの脳内で英雄的冒険として変換したものである。
しかし計画は次第に破綻していく。仲間たちは脱出の途中で次々と命を落とし、理想だった自由は遠ざかっていく。そして最後にベイビードールは、自分自身が“脱出するための主役”ではなかったことを悟る。彼女は仲間のスイートピーを逃がすため、自ら犠牲になる道を選ぶのである。
終盤、ベイビードールはロボトミー手術を受け、感情を失った空虚な存在となる。一方でスイートピーだけは病院からの脱出に成功し、外の世界へたどり着く。映画は、ベイビードールの犠牲によって他者が自由を得たという形で幕を閉じる。
キャスト
| 役名 | 俳優 | 日本語吹替[7] |
|---|---|---|
| ベイビードール | エミリー・ブラウニング[8] | 寿美菜子 |
| スイートピー | アビー・コーニッシュ[9] | 甲斐田裕子 |
| ロケット | ジェナ・マローン[10] | 戸松遥 |
| ブロンディ | ヴァネッサ・ハジェンズ[11][12][13][14] | 豊崎愛生 |
| アンバー | ジェイミー・チャン[15] | 高垣彩陽 |
| ヴェラ・ゴルスキー博士 | カーラ・グギノ[16] | 深見梨加 |
| ブルー・ジョーンズ | オスカー・アイザック[17] | 志村知幸 |
| 賢者/バスの運転手 | スコット・グレン[18][19] | 山路和弘 |
| 医師 | ジョン・ハム[20][21] | 吉開清人 |
| コック | マルコム・スコット | 間宮康弘 |
| 継父 | ジェラルド・プランケット | 後藤哲夫 |
| ドイツ軍指揮官 | 廣田行生 | |
| ベイビードールの妹 | フレデリク・ド・ラコート | 一杉佳澄 |
| 暴れる患者1 | 行成とあ | |
| 暴れる患者2 | 志田有彩 | |
| CJ | リチャード・セトロン | 居谷四郎 |
| ダンフォース | ロン・セルモア | 田久保修平 |
| 伝書使 | 星野健一 | |
| 翻訳 | アンゼたかし | |
| 演出 | 久保宗一郎 | |
| 日本語版制作 | 東北新社 | |
製作
企画
スナイダーによると本作は「マシンガンを持った『不思議の国のアリス』」であり、ドラゴン、B-52爆撃機、売春宿も登場するという[22]。
まず、2007年3月に本作の話が出たが、スナイダーが『ウォッチメン』を優先したために後回しになった[23][24]。これまでは原作のある映画のみを監督してきたスナイダーにとっては初めてとなるオリジナル作品であり、スティーヴ・シブヤと共に脚本を書いた[25][26]。スナイダーは他にプロデューサーも務め、また、自身が所有する製作会社であるクルエル・アンド・アンユージュアル・フィルムズを通して妻のデボラ・スナイダーも参加する[27]。
2009年前半、ワーナー・ブラザースはスナイダー監督の『ウォッチメン』の成功により、引き続いて本作を配給することを発表する[25][28][29]。当初、スナイダーはインタビューで本作をR指定として製作すると述べたが、後にPG-13を目指していると語った[30]。
2009年のコミコンで、アレックス・パーディがデザインする本作のイラストが公開された[31]。プリプロダクションは2009年6月にカナダで始まった[32]。写真家のクレイ・イーノスがスチール写真を撮るために雇われた[33]。
キャスティング

本格的なキャスティングが2009年3月に始まる[34]前に、スナイダーは自身が考える本作の理想的なキャスト陣を明らかにした[35]。スナイダーは「『300 〈スリーハンドレッド〉』で既にオール男性キャストをやったので逆をやる」と語った[36][37][38]。
スナイダーはまず、主人公のベイビードール役にアマンダ・サイフリッドを希望し[34]、また、アビー・コーニッシュ、エヴァン・レイチェル・ウッド、エマ・ストーン、ヴァネッサ・ハジェンズにオファーをした[39]。しかしながら、アマンダ・サイフリッドの出演はテレビシリーズのBig Loveのスケジュールが多忙な為に実現せず[40]、エミリー・ブラウニングがベイビードールを演じることになった[8]。また、エヴァン・レイチェル・ウッドとエマ・ストーンもスケジュールの都合の為に降板した[41][42]。
トレーニング
2009年6月から12週間にわたるキャスト陣のトレーニングがロサンゼルスで始まった。主要な女性キャストたちはデッドリフトで210ポンド(95kg)を要求された。指導者には『300』、『ウォッチメン』のスタントコーディネーターを務めたダモン・ケアロが雇われた[43][44]。ヴァネッサ・ハジェンズが『ビーストリー』の撮影をしている間も他のキャストのトレーニングは続行された[45]。
エミリー・ブラウニングによると、色んな格闘技を練習してパンチ、キック、剣さばき、身体の動きの型を覚え、休憩時にはプロテイン・シェイクを飲み、更に筋トレに加え、ワイヤーワークの訓練もし、銃の使い方も学んだという[46]。
撮影とデザイン
元々、2009年6月にプロダクション開始を予定していたが延期された[47]。8200万ドルの製作費をかけ[2]、2009年9月からバンクーバーとトロントでプロダクションが開始され[4][48]、2010年1月22日に完了した[49]。
プロダクションデザイナーはリック・カーターが担当し[50]、アニマル・ロジックの75名の特殊効果スタッフと行った。[51] なお、日本のデザイナー寺田克也は監督に直々に依頼されて、コンセプトデザインを数点提供している。[52]
ワーナー・ブラザースは当初、本作を3Dで公開すると発表していた[53]が、ザック・スナイダー及びデボラ・スナイダーの判断もあって2Dで公開されることとなった[54]。
なお、本作の舞台は1950年代ながら、ファンタジー世界が劇中における戦闘の主要舞台ということもあって、ガンアクションシーンの撮影にはH&K MP7やM4A1といった、現実の1950年代には存在しない銃器が、M1911A1のような当時存在した銃器と共に使用されている。
音楽
本作において音楽は重要な役割を果たし、スナイダーは「ストーリー上、音楽によってファンジー世界が始まる」と説明する[36]。映画の重要な部分を音楽が占めるのは『ムーラン・ルージュ』的であるとスナイダーは語っている[25]。時間的制約のため、スナイダーは劇場公開時にダンス・シーンの大部分をやむを得ずカットしたが、そのうち1つだけがエンド・クレジットで使われた。スナイダーはホームメディアでの「ディレクターズ・カット版」にて、ダンス場面を追加すると言及した[55]。
2009年9月、映画のためのレコーディングを始まったと報じられた[56]。また2010年5月、オスカー・アイザックは、映画で使用される歌はオリジナルではなく、既存のものの新アレンジであることを明らかにした[57]。
スコアは、スナイダーの全作品を手掛けているタイラー・ベイツと『ムーラン・ルージュ』のマリウス・デ・ヴリースが書いている。公式予告編では、Immediate Musicの「Prologue」、Lords of Acidの「Crablouse」、レッド・ツェッペリンの「レヴィー・ブレイク」、ビートルズの「トゥモロー・ネバー・ノウズ」、クリフ・リンの「And Your World Will Burn」、シルバーサン・ピックアップスの「Panic Switch」が使われた。
サウンドトラック盤は2011年3月22日に北米で発売された[58]。
トラックリスト
| # | タイトル | アーティスト | 時間 |
|---|---|---|---|
| 1. | 「Sweet Dreams (Are Made of This)」 | エミリー・ブラウニング | |
| 2. | 「Army of Me (Sucker Punch Remix)」 | ビョーク featuring スカンク・アナンシー | |
| 3. | 「White Rabbit」 | エミリアナ・トリーニ | |
| 4. | 「I Want It All / We Will Rock You Mash-Up」 | クイーン featuring Armageddon aka Geddy | |
| 5. | 「Search and Destroy」 | スカンク・アナンシー | |
| 6. | 「Tomorrow Never Knows」 | カーラ・アザール and アリソン・モスハート | |
| 7. | 「Where Is My Mind?」 | ヨアブ and エミリー・ブラウニング | |
| 8. | 「Asleep」 | エミリー・ブラウニング | |
| 9. | 「Love Is the Drug」 | カーラ・グギノ & オスカー・アイザック |
チャート入り
| チャート(2010-2011年) | 最高 順位 |
|---|---|
| Australian Albums Chart[59] | 18 |
| German Albums Chart[60] | 42 |
| New Zealand Album Charts[61] | 36 |
| US Billboard 200[62] | 22 |
| US Top Soundtrack Albums | 1 |
| US Digital Albums | 8 |
マーケティング
2010年のコミコンでLords of Acidの歌「Crablouse」を使った予告編が初公開された。7月27日にはインターネット上でも公開された[63]。
日本での展開
邦題は配給のワーナー・ブラザースにより『エンジェル・ウォーズ』へと変更された。
日本語吹替では声優ユニットの「スフィア」のメンバーが起用された。メンバー全員でハリウッド映画の吹き替えで共演するのは初めてである[64]。
日本におけるソフト化
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントよりブルーレイ、DVDが2011年8月12日に発売。
- エンジェル ウォーズ ブルーレイ&DVDセット(2枚組)
- ディスク1:本編Blu-ray
- ディスク2:本編DVD
- 本編(本編Blu-ray / 本編DVD共通):劇場公開版本編を収録
- 映像特典(本編Blu-ray / 本編DVD共通)
- 『エンジェル ウォーズ』短編アニメ集
- 修羅に堕ちた侍
- 塹壕にて
- ドラゴンの城
- 遥かな惑星
- 空想世界を彩る音楽
- ワーナー・ブラザースBD-LIVE(Blu-rayのみ)
- 『エンジェル ウォーズ』短編アニメ集
- 【初回限定生産】エンジェル ウォーズ ブルーレイ&DVDセット コレクターズBOX(3枚組)
- ディスク1:本編Blu-ray1(ブルーレイ&DVDセットと同内容)
- ディスク2:本編DVD(ブルーレイ&DVDセットと同内容)
- ディスク3:本編Blu-ray2
- 本編:未公開シーンを追加した「本編エクステンデッド・バージョン」を収録
- 映像特典
- WBムービーツアー
- 封入特典
- ブックレット
- トレーディングカード1枚(全5種類のうち1枚をランダムに封入)
- 特製アウターケース付き
評価
レビュー
本作は評論家からは概ね否定的なレビューを受けた。Rotten Tomatoesでは202件のレビューがあり23%となった。[65]。またMetacriticでは肯定的なレビューが4件、中間が10件、否定的なものが15件で、平均点は100点満点で29点となった[66]。スナイダー自身は「クールなストーリーで、テレビゲームのようではない」と主張した[67]が、一部の批評家は本作をテレビゲームと比較した。リチャード・ローパーは本作を"D"評定とし、「派手で、アクションが多く、若い美女たちで溢れているが、それでもまだ退屈である」と評した[68]。『オーランド・センチネル』誌は、4つ星満点で1つ星とし、「テレビゲーム型のアンエロティックでアンスリリングなエロティック・スリラーである『エンジェル ウォーズ』は、ビスチェ付きの『エアベンダー』だった」と評した[69]。『A.V.クラブ』のネイサン・ラビンは、「不思議なトーテムを探すクエスト、明確に画定されたレベル、ノンストップのアクションの数々は、冗長なテレビゲームや精巧なトレーラーよりも非映画的である」と述べた[70]。