オーク (ダンジョンズ&ドラゴンズ)
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| オーク Orc | |
|---|---|
| 特徴 | |
| 属性 | 一般に“混沌にして悪” |
| 種類 | 人型クリーチャー |
| 統計 | Open Game License stats |
| 掲載史 | |
| 初登場 | The Dungeons & Dragons "white box" set (1974) |
オーク(Orc)は、ファンタジー・ロールプレイングゲーム(RPG)『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(D&D)に登場する人型種族の一つ。プレイヤー・キャラクターとして選択可能な種族でもある。
ゲーム中では、野蛮で獣のような原始的種族として描かれることが多い。
出版物での歴史
Original Dungeons & Dragons
オークは、『Dungeons & Dragons[注 1]』の"white box”[注 2]」版(1974)という、ゲームの初期版で最初に登場したモンスターの一つであり、洞窟や村に住む部族的なクリーチャーとして描写されていた[5]。
Dungeons & Dragons Basic set
『D&D Basic Set[注 3]』(1977、1981、1983)には、独自のオークが収録された[6][7][8]。オークは『The Orcs of Thar』(1989)において、プレイヤー・キャラクター種族として登場した[9]。その後、オークは『Dungeons & Dragons Game』セット(1991)、『Dungeons & Dragons Rules Cyclopedia』(1991)[10]、『Classic Dungeons & Dragons Game』セット(1994)、『Dungeons & Dragons Adventure Game』セット(1999)にも登場した[11]。
Krugel orcsは、『Hollow World Campaign Set』(1990)の『Player's Guide』において、ミスタラのホロウ・ワールドキャンペーン設定でのプレイヤー・キャラクター種族として紹介されている[12]。
Advanced Dungeons & Dragons第1版
オークは、『AD&D[注 4]第1版』の『モンスター・マニュアル(『MM』)』(1977)に登場し、競争心が強く嗜虐的で、多くは地下に棲む部族的なクリーチャーと描写されている[13]。
オークの神話とその姿については、『ドラゴン』#62(1982年6月)に掲載されたロジャー・E・ムーアの記事「The Half-Orc Point of View」で詳述されている[14]。
ジョセフ・クレイによる『ドラゴン』#141(1989年1月号)掲載の記事「Hey, Wanna Be a Kobold?」では、コボルド、ズヴァート、ゴブリン、オークが、新クラスの「Shaman」と「Witch Doctor」と共に、プレイヤー・キャラクター種族として紹介された[15]。
Advanced Dungeons & Dragons第2版
オークは、『Monstrous Compendium Volume One』(1989)に初登場し[16]、同書にはオークの近縁種であるオログも掲載されている。オークとオログは『Monstrous Manual』(1993)にも再録された[17]。
オークは、『The Complete Book of Humanoids』(1993)で最初にプレイアブル種族として詳述された[18][19]。その後、オークは『Player's Option: Skills & Powers』(1995)において、再びプレイアブル種族として登場した[20]。
Spelljammer設定におけるscroは、オークの宇宙航行種族であり、『Monstrous Compendium Spelljammer Appendix II』(1991)に初登場し[21]、その後、モジュール『Goblin's Return』(1991)と『Heart of the Enemy』(1992)に登場する。その後、スクロは『The Complete Spacefarer's Handbook』(1992)で、同設定のプレイヤー・キャラクター種族として紹介され[22]、後に『Dragon Annual』#1(1996)の特集「Campaign Classics」で更に詳しく語られた[23]。
ondontiは、フォーゴトン・レルム設定において女神エルダスによって生み出されたオークの一種であり、1995年の『Ruins of Zhentil Keep』ボックスセット(『Monstrous Compendium』ブックレット内)に初登場した。blackとredのneo-orogは、1995年の『Spellbound』ボックスセットに登場する。これらのオーク亜種族は全て、1996年の『Monstrous Compendium Annual Volume Three』に収録されている[24]。
バースライト・キャンペーン設定のオログは、『Birthright Campaign Setting』セット(1995)に掲載された。
Dungeons & Dragons第3版
オークは、『D&D第3版[注 5]』(2000年)の『MM』に掲載されている[25]。
gray orcは、『Races of Faerûn』(2003)[26]および『Unapproachable East』(2003)において、フォーゴトン・レルム設定のプレイヤー・キャラクター種族として登場する。mountain orcとオログ(deep orc)もまた、『Races of Faerûn』においてプレイヤー・キャラクター種族として登場する。
Dungeons & Dragons第3.5版
オークは、『第3.5版[注 6]』(2003)の改訂版『MM』に登場する。
aquatic orc、arctic orc、desert orc、jungle orc、orc paragon、water orcは全て、『Unearthed Arcana』(2004)で導入された[27]。orc snow shamanは、『Frostburn: Mastering the Perils of Ice and Snow』(2004)に登場した[28]。orc battle priest、orc berserker、war howler orcは、『Monster Manual IV』(2006)で導入された[29]。frostblood orcsは、『Dragon Magic』(2006)に登場する。
sharakimは、ヒューマンから変容したオークのような種族であり、『Races of Destiny』(2004)でプレイヤー・キャラクター種族として登場した。
Spelljammer設定におけるscroは、『ドラゴン』#339(2006年1月)で再登場した[30]。
Dungeons & Dragons第4版
オークは、『D&D第4版』(2008)の『MM』に登場し、オプションのプレイヤー・キャラクター種族としても紹介されている[31]。
Dungeons & Dragons第5版
オークは、『D&D第5版』(2014)の『MM』に登場する[32]。オークはサプリメント『ヴォーロのモンスター見聞録(Volo's Guide to Monsters)』でさらに詳述され、プレイヤー・キャラクター種族として利用可能となっている[33]。
2024改定版
第5版ルールの2024年改訂版では、オークは『プレイヤーズ・ハンドブック』においてプレイアブル種族として登場し、従来版で登場していたハーフオークに取って代わった。また、この版では日本版でいう「種族」の呼称が、英語版では「race」から「species」に置き換えられている[34]。
解説
オークは肉食性の人型生物で、身長は約5ft11in~6ft2in(約180cm~188cm)、体重は180~280lbs(82~127kg)である。緑から灰色の肌、狼のような耳、猪の牙を思わせる下顎の犬歯、そして筋肉質な体格から容易に識別できる。オークは前かがみの姿勢で立つため、類人猿のようにも見える。
獣のように野蛮なオークは部族単位の集団を作り、狩猟と略奪で生計を立てる。生存のためには領土拡大しかないと信じているため、エルフやドワーフだけでなく、ヒューマン、ノーム、ハーフリング、ゴブリン、ホブゴブリン、さらには他のオーク部族とも敵対関係にある。平和時には他の邪悪な人型生物とは良好な関係を築くこともあるが、その混沌とした性質ゆえ、強力な指導者に強制されない限り協力することはできない。オークは家父長制社会で生活し、所有する女性や男子の数を誇りとする。傷跡を好み、勝敗に関わらずそれを誇示することを尊ぶ。彼らの主神グルームシュは、オークが食物連鎖の頂点に立つ存在であり、あらゆる富は他者から奪われたオークの所有物であると主張する。
グルームシュ以外に、オークの神々にはバーグトルゥ(力と戦闘の神)、イルネヴォール(戦争と指導力の神)、ルシック(豊穣・医療・女性・奉仕の女神)、シャーガス(闇・夜・隠密・盗賊・アンデッドの神)、ヤートラス(死と疫病の神)がいる。
サブタイプ
D&Dの初期版では、オークはゴブリンのサブタイプに分類されていた。第3版では、オークは独立したサブタイプとなった。
初期の版
オークは他の種族との頻繁な交雑の結果、外見が大きく異なる。概して、灰緑色の肌に粗い毛が生えた原始的なヒューマンに似ている。オークは少し猫背で、低い突き出た額を持ち、鼻の代わりに頬骨が張り出している。肉食に適した鋭い犬歯を持ち、狼に似た短く尖った耳を持つ。鼻先と耳には淡いピンク色が混じる。目はヒューマンに似ているが赤みを帯びており、薄暗い環境で微弱な光源を反射すると赤く光って見えることがある。これは実際、赤外線視覚を可能にする色素による光学システムの一端である。男オークの平均身長は約5.5~6ft(約167~183cm)で、女は男より平均6in(約15cm)低い。オークは血の赤、錆の赤、マスタードの黄、黄緑、苔色、緑がかった紫、黒みがかった茶色など、ヒューマンが不快と感じる色を好んで着用する。彼らの鎧も同様で、汚れており、しばしば錆びついている。オークはオーク語を話す。これは古いヒューマン語やエルフ語に由来する言語である。オーク語に共通の標準語は存在せず、部族ごとに異なる多くの方言が存在する。オークは現地の共通語も習得しているが、不慣れなため流暢には話せない。ゴブリン語、ホブゴブリン語、オーガ語の方言を限定的に理解する者もいる。
初期版の『D&D』ではオークの描写が若干異なっていた。彼らは“秩序にして悪”に分類され、完全に豚のような鼻を持っていた。1977年版『MM』に掲載されたデイヴィッド・C・サザーランド3世のイラストでは、明らかに豚のような顔をしたオークが描かれており、この描写は数年間続いた。例えば、1984年6月の『Imagine』誌第15号に掲載されたDungeons & Dragons tournament用アドベンチャー『Round the Bend』に付属する挿絵でも、彼らは豚人間のように描かれていた。
『Monstrous Manual』の洞察に富む一節にはこう記されている。「オークは残酷と悪名高いが、その評価は当然だ。しかし、ヒューマンも同じほど邪悪な行為を行うことができる。」
AD&D第1版におけるハーフオークは標準的なプレイヤー・キャラクター種族であり、一般的には「アサシン」クラスを選択した。ハーフオークはAD&D第2版で削除されたが、1995年の改訂書『Player's Option: Skills & Powers』(第2版向け)で、変更はありつつも復活した。ハーフオークは第3版でもコア・プレイアブル種族として登場する。
オークの混血種族
繁殖力の高い種族であるオークは、しばしば他の人型種族と交配する。既知の混血種族には以下のようなものがある。
- ハーフオーク:このオークとヒューマンの混血種は、ヒューマンとオークの文化圏が接する辺境地帯での襲撃の不幸な副産物として生まれることが最も多い。自らの血筋の両側から拒絶されながらも、多くのハーフオークは名声を勝ち取っている。
- Losels:Loselsは、通常のオークよりも繁殖速度が速いため、アイウーズとScarlet Brotherhoodによって交配された、オークとヒヒの混血種である。[要出典]
- Ogrillions:このクリーチャーは、女オークと男オーガの間に生まれた子であり、野蛮で鎧のような皮膚を持つ。
- オログ:オログとは、男のオークと女のオーガの間に生まれた子である。オログは通常オークの中に住み、一般的なオークよりも強く、知性が高く、規律正しい。
- Tanarukka:元々はヘルゲート砦のオークと、そのダンジョンに棲むタナーリ(デーモン)との間に生まれたティーフリングとオークの混血種で、数世紀にわたり純血種として繁殖を続けてきた。Tanarukkaは典型的なオークに似ているが、背が低くがっしりとしており、姿勢はより猫背で、低く傾斜した額には鱗状の隆起がある。彼らはオークの祖先よりわずかに知性が高いが、それでも力と権力のみを重んじる[35]。
特定の世界設定において
出版されているほぼ全てのD&Dキャンペーン設定にオークは登場している。
ドラゴンランス
ドラゴンランスにおけるオークについては議論がある。AD&D第1版『Dragonlance Adventures』ハードカバー版ルールブックでは、オークはクリン[注 7]に存在せず、その典型的な役割は主にオーガやミノタウロスが担っているとされる。AD&D第2版および第3版のドラゴンランス用サプリメントでも、クリンの世界からオークを排除している。この件における主な混乱は、いくつかのドラゴンランス小説やアドベンチャーに、作者が誤ってオークを登場させた事に起因している。特にメアリー・カーチョフの小説『Kendermore』では、主要キャラクターの一人がハーフオークである。これは、ドラゴンランス設定に本来存在しないドラウなど、他のD&Dの象徴的な種族でも同様の事例が発生している。一部では、クリンがPlanescapeやSpelljammer設定を通じて他のD&D世界(オークが存在する世界)と繋がっているため、次元間移動[注 8]や宇宙旅行[注 9]によってオークの存在が説明できるとする意見もある。
エベロン
エベロン設定において、オークはより好意的に描かれている。精神性と自然崇拝を重んじる彼らは、約1万6000年前にゴブリン族が強大な帝国を築く中、ブラック・ドラゴンのヴヴァラークからドルイドの秘術を学び、繁栄した社会を築き上げた。
しかし9000年前のデルキール侵攻でオーク社会は壊滅的な打撃を受けた。とはいえ、侵攻を阻止したのは今日「門を護る者」として知られるオーク達であった。彼らはデルキールをエベロンの地下に封印し、デルキールの故郷である“狂気の領域”ゾリアットとエベロンとの繋がりを断ち切ったのである。門を護る者のドルイド教団は今もエベロンに存在しているが、その活動は政治よりも、異形やその他外部の敵から、世界を守ることに主眼を置いている。
フォーゴトン・レルム
フォーゴトン・レルム設定において、オークは北のオーク(Mountain Orcs)と東のオーク(Gray Orcs)に分けられる。Gray Orcsは、アイマスカー人魔道士がムルホランドに開いたポータルを通じて、フェイルーンに侵入した。このオークの侵攻がOrcgate Warsを引き起こし、敬虔なGray Orcsは神々の化身を呼び下ろして支援を求め、ムルホランド人とアンサー人も同様に神々を呼び出した。ラーの指導のもと、これらの神々とその兵達は最終的にGray Orcs軍を打ち破った。
北の地では、オークは過剰繁殖を繰り返した後、シルヴァー・マーチ、アイスウィンド・デイル、そしてかつてはコーマンシア周辺に存在した古代エルフ帝国を含む周辺諸国へ大群となって溢れ出すことで知られる。この地域のオークの中でも特に有力なのは、グルームシュの加護を受けるObould・メニーアローズ王が率いる「メニーアローズ族」である。
グレイホーク
グレイホークにおいて、フラネスのほぼ全域に生息するオーク(フラン語で「euroz」と呼ばれる)は、Pomarj、アイウーズ帝国、ボーン・マーチ、North Kingdomに特に密集している。Griff MountainsにはGarel Enkdalと呼ばれる巨大なオークの都市が存在することも知られている。Baklunish国家Zeifのオークは、ほぼヒューマン社会に同化しており、依然下層階級とみなされているものの、他のオークとは大きく異なる。
ミスタラ
オークはノウン・ワールド(既知世界)、サヴェジ・コースト、そしてホロウ・ワールドのいずれにも広く生息している。彼らはGAZ 10『The Orcs of Thar』で特集されており、同書ではオークの文化や、Glantri南東に位置するオーク支配下のBroken Landsに関する詳細が記されている。
Spelljammer
spelljammer設定には、オークの一種で「scro(orcsの逆読み)」と呼ばれる種族がいた。D&Dに登場する典型的なオークとは異なり、scroは洗練され規律正しく、強固で組織的な武術文化を有していた。
d20システム
初期の『D&D』作品で確立された先例に倣い、多くのd20システム出版社は、自社作品においてオークを登場させ続けている。これらの出版社の多くは、従来の作品よりもオークを深く掘り下げたものの、この種族そのものを再定義した例はほとんどなく、依然として粗暴さと残忍さの象徴として扱われる傾向にある。こうした製品には、Badaxe Gamesの『Heroes of High Favor: Half Orcs』、Skirmisher Publishingのミニチュアシリーズ『Orcs of the Triple Death』[36]、そしてPaizo Publishingの『パスファインダーRPG』などがある。
評価
『Dungeons & Dragons For Dummies』の著者らは、オークを低レベルモンスターベスト10にランクインさせた。彼らはオークを「象徴的な人獣の野蛮人…低レベルヒーローにとってまさに古典的な敵対者」と評している[37]。Bleeding Coolのレビュアー、ダン・ウィックラインは、オークをD&Dの古典的存在であり「D&D多元宇宙において最も特徴的な種族選択肢の一つ」と評した[33]。
オークは、J・R・R・トールキンの作品に登場するオークを直接翻案したものである[38][39]。ポール・カルツァグとローレンス・シックによれば、オークはAD&Dにおける「5つの主要な人型種族」の一つとされ[40]、またゲーム史家ウィトワーらによって「象徴的なD&Dモンスター」の一つに数えられている[41]。ゲーム内では、オークは「邪悪」で「野蛮な略奪者」として描かれている[42]。
The A.V. Clubのレビュアー、ニック・ワンセルスキーは『ヴォーロのモンスター見聞録』におけるオークの描写を「思慮深い」と称賛した。彼は「オーク、ゴブリン、コボルドといった定番モンスターは[中略]しばしば単純にまとめられがちだが、本書の細部へのこだわりが、さもなくば簡単に忘れ去られるモンスターに、豊かな個性を与えている」と評している[43]。
論争
一部の作家は、J・R・R・トールキンの『指輪物語』におけるオークの描写を、モンゴル民族のステレオタイプの「狂気じみたおぞましいヴァージョン」であり、「本質的に邪悪な人型クリーチャー」と評している[44]。『OD&D』(1974)および『AD&D』(1977)におけるオークの描写は、トールキンの作品以外で初めて大きく描かれたオークであった[3]。オーストラリアの学者ヘレン・ヤングは、オークの身体描写が「黒人差別的ステレオタイプと共鳴する」点と、「動物、特に豚との比較が現在のほぼ全てのD&D版で共通している。[中略]オークが暴力的で好戦的であるという点は、D&Dルールの新版が発行されるたびに繰り返し強調されている」と指摘している[3]。クリス・シムズは第4版書籍『Wizards Presents: Races and Classes』(2007)において「ドワーフが集い建造する場所では、オークは略奪し破壊する。ドワーフが忠実で勤勉であるのに対し、オークは裏切り者で怠惰である」と記している[45]。
一部の人々はオークを「異質さゆえに劣っている、あるいは邪悪であると描くために用いられる哲学的概念」である「他者」の象徴と見なしている[44]。ガブリエル・リサウアーは『The Tropes of Fantasy Fiction』において、エベロン・キャンペーン設定がオークを野蛮人とする古典的な種族的描写を覆していると指摘した。代わりにリサウアーは「これらのオークは平和と世界の安全維持に関心を持っている。[中略] 彼らはただ自然と調和して生きたいだけだ」としている[46]。別の批評家は、架空の種族や「知性を持つ集団を本質的に邪悪と描く表現は、有害な固定観念を助長する」と指摘する。[中略] さらに、オークを他の種族より本質的に知性が低いと決めつけることは、優生学や「遺伝的要因のみで知性が劣るとする信念」といった有害な話題にも触れることになる[44]。
しかし、オークを人種差別的な比喩として捉える考え方には議論の余地もある。ドイツ学々者のサンドラ・バリフ・ストラウバーは、トールキンの『中つ国』における人種差別に関する「繰り返される非難」に異議を唱え、「多文化、多言語の世界は『指輪物語』の中つ国の設定において絶対に中心的な存在である」と述べ、読者や映画観客はそれを容易に理解できると主張している[47]。2022年、学者クリストファー・ファーガソンは、308人の成人(38.2%が非白人、17%がD&Dプレイヤー)を対象にした調査では「モンスターとしてのオークを、本質的に邪悪なものとして描写していることを不快だと感じた人は、わずか10.2%だった」と報告している[48]。
2020年3月、クリスチャン・ホッファーはComicBookにおいて、第5版『Explorer's Guide to Wildemount』(2020)が、オークの種族データを『ヴォーロのモンスター見聞録』(2016)で初出されたデータでなく、『エベロン冒険者ガイド:最終戦争を越えて(Eberron: Rising From the Last War )』(2019)から流用している点を指摘した。主な相違点として、【知力】ペナルティの廃止と特徴「強面」の追加が挙げられる。ホッファーは本書について「知性を持つ種族が本質的に邪悪であるとか、他の種族より本質的に知性が低いといった設定を明確に排除する重要な一歩を踏み出した。D&Dにおける『種族(race)』という概念に問題があるとする者は依然多いが、『Explorer's Guide to Wildemount』は、少なくともD&Dのその部分で最も問題視されていた側面の一つを取り除いた」と述べた[49]。
2020年6月の公式声明で、D&Dチームは次のように述べている「D&Dの50年にわたる歴史において、ゲーム内の種族の一部——オークやドラウが代表例——は怪物的で邪悪な存在として描かれ、現実世界の民族集団が過去から現在に至るまで貶められてきた手法を、痛烈に思い起こさせる表現が用いられてきた。これは明らかに誤りであり、我々が信じるべきものではない。意図的に是正しようとしてきたにもかかわらず、こうした古い描写の一部がゲーム内に再登場する事態を許してしまった」[50][51]
大衆文化において
- AD&D第1版で描かれた豚のような姿のオークは、様々なポップカルチャーでも描かれている。
- 『Endless Quest』#11「Spell of the Winter Wizard」、出版・TSR (画・ジェフリー・R・ブッシュ)
- 『エストポリス伝記シリーズ』
- 『モンスター娘のいる日常』
- 『Re:Monster』
- 『JKとオーク兵団〜悪豚鬼に凌虐された聖女学園〜』
その他出版社
オークについては、Paizo Publishingの『Classic Monsters Revisited』(2008)52~57ページに詳しく記載されている[52]。