クラウゼン関数

From Wikipedia, the free encyclopedia

クラウゼン関数(クラウゼンかんすう、: Clausen function)は、トーマス・クラウゼンによって導入された超越的な単一変数関数である。定積分三角級数英語版などによって表現される。多重対数関数逆正接積分英語版ポリガンマ関数リーマンゼータ関数ディリクレベータ関数などと深い関わりがある。

クラウゼン関数Cl2(θ)のグラフ

オーダー2のクラウゼン関数:単にクラウゼン関数とも呼ばれる。次の式で与えられる。

0 < φ < 2π においては、式中の正弦関数の値を取るから絶対値を無視しても良い。フーリエ級数を用いて次のようにも表せる。

クラウゼン関数は現代の様々な分野で研究されている。特に、対数積分多重対数積分の評価に用いられる。また超幾何関数の和や中心二項係数逆数に関連する和、ポリガンマ関数の和、ディリクレのL関数にも応用される。

基本的な性質

k において sin kπ = 0 であるから、(オーダー2の)クラウゼン関数は π整数倍で0を取る。

θ = π/3 + 2mπ (m )最大値を取る。

θ = π/3 + 2mπ (m )最小値をとる。

次の式の成立は、関数の定義より直ちに示される。

詳細は Lu & Perez (1992) を参照のこと。

一般的な定義

一般クラウゼン関数
グレーシャー–クラウゼン関数

クラウゼン関数は2つの一般化がある。

ここで、定数 z実部が1より大きい複素数である。この定義は解析接続によって複素平面上に拡張できる。

z非負整数に置き換えて、フーリエ級数を用いて、standard Clausen functions は次のように定義される。

SLのクラウゼン関数は、グレーシャー–クラウゼン関数Glm(θ)Glaisher–Clausen functionsジェームズ・ウィットブレッドリー・グレーシャーの名を冠する)とも言われる。

ベルヌーイ多項式との関係

SL-type Clausen functionθ の多項式であり、ベルヌーイ多項式と関係する。ベルヌーイ多項式のフーリエ級数による表示より、

である。x = θ/2π を代入して、項を並べ替えると次の式が得られる。

ここでベルヌーイ多項式 Bn(x)ベルヌーイ数 Bn Bn(0) を用いて次のように定義される。

SLタイプのクラウゼン関数は具体的に次のように表される。

倍角の公式

0 < θ < π において、クラウゼン関数の倍角の公式は積分の結果から直接証明できる。Lu & Perez (1992) では証明なしに使われている。

カタランの定数 K = Cl2(π/2) を用いれば、次の式が成立する。

より高次のクラウゼン関数の倍角公式も、上記の式で変数 θ をダミーの変数 x に置き換えて、[0, θ] で積分して求めることができる。

より一般には m 1 において

である。一般の倍角公式を用いて、オーダー2の場合のカタランの定数に関わる式も一般化できる。m 1 において、

β(x)ディリクレベータ関数である。

倍角の公式の証明

定義より、

正弦関数の倍角の公式 sinx = 2sinx/2cosx/2 を用いて、

xx/2に置換して、

である。最後に x = π y と置換して余弦関数加法定理cos(x y) = cosx cosy + sinx siny を用いれば、

となる。

であるから、

派生

フーリエ級数表示されたクラウゼン関数の微分によって次の式が示される。

微分積分学の基本定理を使えば、次のようにも表現できる。

逆正接積分との関係

逆正接積分英語版は、0 < z < 1 において、次のように定義される。

クラウゼン関数との関係は次の通りである。

逆正接積分との関係の証明

逆正接積分英語版の定義より、

x = tany と置換して、

y = x/2 と置換して、

である。倍角公式の証明と同様に x = π y と置換すれば、

したがって、

バーンズのG関数との関係

実数z (0,1) において、オーダー2のクラウゼン関数は、バーンズのG関数ガンマ関数で書くことができる。

詳細は Adamchik (2003) を参照のこと。

多重対数関数との関係

クラウゼン関数は単位円上の多重対数関数の実部と虚部を表す。

これは、多重対数関数の級数による定義より簡単に示される。

オイラーの定理より、

である。さらにド・モアブルの定理より、

したがって、

ポリガンマ関数との関係

クラウゼン関数は正弦関数とポリガンマ関数線型結合によって表すことができる。

この系に、フルヴィッツのゼータ関数との関係式もある。

さらに見る 証明 ...
閉じる

一般化対数正弦積分との関係

一般化された対数正弦積分は次のように定義される。

クラウゼン関数は一般化対数正弦積分の一種である。

クンマーの関係

エルンスト・クンマーとロジャースは次の式を発見した。0 θ 2π において、

ロバチェフスキー関数との関係

ロバチェフスキー関数Λ(またはЛ)は、変数を変えただけで本質的にはクラウゼン関数と同じ関数である。

ただし、ロバチェフスキー関数の名はあまり正確でない。ロバチェフスキー双曲体積の公式において、わずかに異なる関数を用いていた。

ディリクレのL関数との関係

θ/π有理数となるとき、 sin(nθ)巡回群における元の周期軌道として捉えられる。ゆえにクラウゼン関数 Cls(θ)フルヴィッツのゼータ函数に関連する和として表現できる[要出典]。これは、ディリクレのL関数の特殊な値の計算を容易にする。

加速度

クラウゼン関数の加速度は次のように与えられる。|θ| < 2π において、

ここで、ζ(s)リーマンゼータ関数である。より早く収束する形では次のように表現される。

nが大きくなると ζ(n) 1 が急速に0に近づくことより収束を説明できる。有理ゼータ級数英語版を求める際の再和法を用いてこれらの式を得られる (Borwein et al. 2000)

特殊な値

バーンズのG関数Gカタランの定数Kギーゼキング定数V とする。クラウゼン関数の特殊な値には、次のようなものがある。

一般にはバーンズのG関数を用いて、

オイラーの相反公式英語版を使えば、

一般の関数における特殊な値

高次のクラウゼン関数の特殊な値には次のようなものがある。

ここで β(x)ディリクレベータ関数η(x)ディリクレのイータ関数英語版ζ(x)リーマンゼータ関数である。

積分

次の式は級数展開から容易に証明できる。

フーリエ解析の手法を用いれば、[0, π] の範囲で、クラウゼン関数 Cl2(x) の自乗の積分は次のように書ける[1]

ここでζ多重ゼータ値である。

積分評価

三角関数や、対数三角関数の積分の多くは、クラウゼン関数、カタランの定数Klog 2ゼータ関数の特殊値 ζ(2), ζ(3)を用いて表すことができる。

証明には、三角関数、部分積分、フーリエ級数表示におけるクラウゼン関数の積分が必要とされる。

出典

参考文献

Related Articles

Wikiwand AI