クリプトクロム

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CRY1


クリプトクロム(Cryptochrome、 Cry)は青色受容体タンパク質である。

ギリシャ語で「隠れた色素」(κρυπτοσ χρομοσ) という意味であり、元来は植物にあると想定された青色光受容体を指した。現在では特定の一群のタンパク質の名称であり、植物にはもう一種の青色光受容体であるフォトトロピンも見つかっている。クリプトクロムは緑藻から高等植物までにあり、さらに動物などにもよく似たタンパク質があることが明らかになっている。

クリプトクロムはフラビンタンパク質で、植物では光に基づく花芽形成、伸長、概日リズムなどの調節に関与している。青色光は光屈性にも関わっているが、これはクリプトクロムでなくフォトトロピンによることがわかっている。植物にはこのほかに赤色・近赤外光受容体フィトクロムがある。多くの植物ではクリプトクロムには2種類あり、CRY1およびCRY2と呼ばれている[1]


クリプトクロムは、光をエネルギー源としてDNA修復を行う細菌酵素であるフォトリアーゼに構造が似ており(酵素活性は失っている)、進化的にはこれに由来すると考えられている。色素団としてプテリンとフラビンの2つを含んでいる。プテリンが光子を吸収し、これにより電子が放出され、この電子はフラビンに吸収される。これによりクリプトクロム分子はリン酸化を受け、さらにシグナル伝達の引き金を引くものと考えられているが、詳細は不明である。

クリプトクロムは動物(脊椎動物昆虫サンゴなど)やシアノバクテリア(藍藻)にも見つかっているが、これらは植物のものとは別系統とされる(Zhu,etal。2005 CurrBiol)。

動物では概日リズムに働く2タイプのCryがある。ほ乳類のCryは光受容能力はなく、CLOCK/BMALの抑制に働く。キイロショウジョウバエのCRYは青いを受容して概日リズムをリセットするが、抑制能力はない。ただしミツバチハマダラカなど他の昆虫ではほ乳類型とショウジョウバエ型の両方のCryを持っている[2]

1880年代にチャールズ・ダーウィンが植物の青色光に対する反応を初めて記録したが、原因となる色素を特定する研究が始まったのは1980年代になってからである[3]。 1980年、研究者たちは植物シロイヌナズナのHY4遺伝子が植物の青色光感受性に必要であることを発見し、1993年にその遺伝子の塩基配列が決定されると、青色光によって活性化されるDNA修復タンパク質であるフォトリアーゼと高い配列相同性を示すことがわかった。 1995年には、HY4遺伝子とその2つのヒトホモログの産物はフォトリアーゼ活性を示さず、代わりに概日光色素と推定される新しいクラスの青色光光受容体であることが明らかになった[4]。 1996年と1998年には、Cryホモログがそれぞれショウジョウバエマウスで同定された[5][6]

進化の歴史と構造

クリプトクロム (CRY1、 CRY2) は、進化的に古く、高度に保存されたタンパク質であり、生命のあらゆる王国に存在するフラボタンパク質スーパーファミリーに属している[7]。 このスーパーファミリーのメンバーはすべて、N末端にフォトリアーゼホモロジー (PHR) ドメインを持つという特徴を持っている。PHRドメインは、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)補因子や光捕集性発色団と結合できる。クリプトクロムは、光によって活性化され、紫外線によって誘発されたDNA損傷の修復に関与する細菌の酵素であるフォトリアーゼに由来し、近縁の存在である。真核生物では、クリプトクロムはもはやこの元々の酵素活性を保持していない[7]。クリプトクロムの構造はフォトリアーゼと非常によく似た折り畳み方をしており、1分子のFADがタンパク質に非共有結合している[7]。ラマチャンドランプロットによると、CRY1タンパク質の二次構造は主に右巻きのαヘリックスであり、立体的な重なりはほとんどない[7]。分子は直交する束のように配置されている[7]

機能

脚注

外部リンク

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