クロロデンドロン藻綱

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クロロデンドロン藻綱
Tetraselmis subcordiformis
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 植物界 Plantae (アーケプラスチダ Archaeplastida)
亜界 : 緑色植物亜界 Viridiplantae
: 緑藻植物門 Chlorophyta
: クロロデンドロン藻綱 Chlorodendrophyceae
学名
Chlorodendrophyceae Massjuk, 2006
下位分類

クロロデンドロン藻綱(クロロデンドロンそうこう、学名: Chlorodendrophyceae) は、緑藻植物門に属する緑藻の一群である。基本的に単細胞であり、4本の等鞭毛をもつが(図1)、不動性の特徴的な樹状群体を形成する種もいる。3属50種ほどが知られ、沿岸域に多いが、湖沼でときに大増殖する種もいる。以前はプラシノ藻綱に分類されていたが、他のプラシノ藻よりもトレボウクシア藻綱アオサ藻綱緑藻綱と共通する特徴が多く、系統的にもこれらに近縁であることが示されている。

クロロデンドロン藻の多くは単細胞鞭毛性であるが[1][2][3][4](図1)、鞭毛を失って不動性となることもある[5]。プラシノクラドゥス属 (Prasinocladus) は基物に付着し、細胞外被が積み重なった特徴的な樹状群体を形成する[4][6][7](下図2)。

2. プラシノクラドゥス属(Prasinocladus)は樹状群体を形成する

鞭毛細胞は前後軸に回転対称でやや扁平[2][8][9][10][11][12]細胞頂端の窪みから4本の鞭毛が生じている(図1, 3)。鞭毛は等鞭毛性(長さや運動様式が等しい)であり、繊毛打(有効打と回復打からなる運動)によって鞭毛が生じている方向へ遊泳する[13]鞭毛装置は回転対称、4個の基底小体(鞭毛基部)はほぼ平行に前方に向いており、中央の2個は反時計回り方向にずれている[14][15]。発達した繊維構造(リゾプラスト)が、鞭毛基部から細胞左右側面へ伸びている[14][15](下図3)。眼点はふつう比較的大きく、細胞側面に位置する[16](図1, 3)。

細胞本体は有機質鱗片(方形鱗片と小さな星状鱗片)が融合してできた薄い細胞壁(テカ theca)で囲まれている[2][17][18][19](下図3)。また鞭毛は、方形鱗片(ダイヤモンド形鱗片)と棒状鱗片(rod-shaped scale)で覆われ、また毛状鱗片(hair scale)が付随する[20][21][22](下図3)。

3. テトラセルミス属(Tetraselmis)の細胞構造: 上から鞭毛 (flagellum)、毛状鱗片 (flagellar hairs)、鞭毛鱗片 (flagellar scale)、陥入部 (pit)、収縮胞 (contractile vacuole; 淡水種のみ)、液胞 (vacuole)、基底小体 (basal body)、リゾプラスト (rhizoplast)、ゴルジ体 (Golgi body)、小胞体 (endoplasmic reticulum)、エンドソーム (endosome)、核小体 (nucleolus)、 (nucleus)、眼点 (eyespot)、色素体膜 (plastid membrane)、ピレノイド (pyrenoid)、デンプン粒 (starch granule)、細胞質の貫入 (cytoplasmic channel)、チラコイド (thylakoid)、糖タンパク質のテカ (glycoprotein theca)、ミトコンドリア (mitochondria)

葉緑体はカップ状、ふつう1細胞に1個だが、2個に分かれていることもある。葉緑体はふつうピレノイドを有し、デンプン粒で囲まれたピレノイド基質には細胞質基質が管状に貫入する(上図3)、[8][23][24][25]。スケルフェリア属(Scherffelia)はピレノイドを欠く。緑色植物に一般的な光合成色素組成を示すが、一部はジビニルプロトクロロフィリド(MgDVP)やシフォナキサンチン(の派生色素)をもつ[26][27][28][29]

は1個。核分裂細胞質分裂様式は、緑藻綱トレボウクシア藻綱に似ている[30]核分裂は閉鎖型(核膜は維持される)であり、中間紡錘体は比較的早い段階で崩壊する(そのため娘核が接近する)。細胞質分裂において分裂面にファイコプラスト(分裂面に平行な微小管群)が生じる。またライゾプラストが核分裂における極となり、基底小体は分裂面近くに位置する。

細胞分裂時に鞭毛細胞は鞭毛を失って不動化し、母細胞壁(テカ)内で分裂して2個(ときに4, 8, 16個)の細胞(遊走子)になり、これが放出されて無性生殖を行う[3][5] (上図1)。また厚い細胞壁をもつシスト(耐久細胞)を形成する例がある[5][12]有性生殖は未知。アイソザイム解析からは、栄養細胞が複相であることが示唆されている[31]

生態

クロロデンドロン藻は海、特に沿岸域で比較的普遍的である[1]。淡水種もおり(例: Tetraselmis cordiformis)、ときに多い[32][33][34][35]。多くはプランクトン性であるが、タイドプールなどの岩上に付着している種もいる(Prasinocladus)。

海産の渦虫様動物である無腸類の中には、クロロデンドロン藻が共生している例がいくつか知られており、Symsagittifera roscoffensis にはテトラセルミス属の一種(Tetraselmis convolutae)が共生している(下図4a)[36][37][38][39]T. convolutae は宿主になどの有機物を供給し、宿主から窒素源(尿酸)を得る。S. roscoffensis の卵には共生藻は含まれていないが、孵化後に T. convolutae を取り込み、共生関係が成立する。S. roscoffensis はヨーロッパ大西洋岸に分布しており、干潮時に砂浜の表面に這い出て砂浜を緑色に染めることがある。

4a. テトラセルミス属が共生した Symsagittifera roscoffensis無腸動物
4b. テトラセルミス属を捕食して盗葉緑体とする Strombidium rassoulzadegani繊毛虫
4c. テトラセルミス属を捕食している(盗葉緑体とする) Rapaza viridisユーグレナ藻綱

放散虫Spongodrymus(スプメラリア目)にテトラセルミス属藻類が細胞内共生している例も知られている[40]。海産プランクトン性繊毛虫である Strombidium rassoulzadegani は、テトラセルミス属藻類を取り込み、これを盗葉緑体(一時的な葉緑体)とすることが報告されている[41](上図4b)。また、ユーグレナ藻の Rapaza viridis も、テトラセルミス属藻類を取り込んで盗葉緑体とする[42](上図4c)。

テトラセルミス属に感染するウイルスが報告されている[43][44]

人間との関わり

養殖魚介類の初期餌料(稚魚の餌となるシオミズツボワムシの餌料)として用いられることがある[45][46]。また、バイオ燃料の研究材料に用いられることもある[47][48]

系統と分類

脚注

外部リンク

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