アルバム『セルフ・ポートレイト』の制作が事実上完了すると、ボブ・ディランは1970年5月1日にニューヨークのコロムビア・レコーディング・スタジオに入り、ジョージ・ハリスン、チャーリー・ダニエルズ、ラス・カンケルらとセッションを行った。一部の曲ではプロデューサーのボブ・ジョンストンも参加し、ピアノを弾いた[1]。この日に録音された音源はレコードには収録されなかったが、6月1日から本格的に次のアルバムのレコーディングが同じスタジオで開始された[1]。
「俺の中にいる男はほとんどどんなことだってするだろう/対価だとかそんなものはついぞ求めたことがない/でもその男を引きずり出すためには/君のような女が必要だ」という歌詞から始まる「ザ・マン・イン・ミー」は同月5日に録音された。アル・クーパーがオルガンを弾き、ディランはピアノを弾いた[1]。
1970年10月21日発売のアルバム『新しい夜明け』に収録された。
1978年2月20日から3月4日にかけて、ディランは初の日本公演を行った。初日から本作を演奏するが、ライブで演奏したのはこのときが初めてだった。同年8月21日に日本限定で発売された2枚組のアルバム『武道館』には収録されなかった[2]。その後時を経て日本公演のアナログ・マルチ・テープ20本がソニーの静岡工場で発見され、これらの音源を元に新たにCDを発売することが決まった[3]。2023年9月21日にソニーミュージックは3月1日録音の本作を先行で配信した[4]。2023年11月15日に4枚組の『コンプリート武道館』が発売された。
1998年公開のコーエン兄弟監督の映画『ビッグ・リボウスキ』のオープニングシーンと、ジェフ・ブリッジス扮する主人公が殴られたあとに見る幻覚シーンで使われた。
2021年、米軍のグアンタナモ基地に14年間収容され続けたモハメドゥ・ウルド・スラヒ(英語版)の手記を元にした実録映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』が公開される。映画のエンドロールでスラヒ自身が現れ、「ボブ・ディランの曲だ」と言って「ザ・マン・イン・ミー」を流す。スラヒは笑みをこぼし、いっしょに口ずさむ。「まさに俺のことみたいだ」[5]。