シュウ酸
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シュウ酸(シュウさん、蓚酸、英: oxalic acid)は、構造式 HOOC–COOH で表される、もっとも単純なジカルボン酸。二つのカルボキシ基を背中合わせに結合した分子である。IUPAC命名法ではエタン二酸(「二」はカタカナの「ニ」ではなく漢数字の「二」) (ethanedioic acid)。1776年、カール・ヴィルヘルム・シェーレがカタバミ(oxalis)から初めて単離したことから命名された。
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Oxalic acid dihydrate | |||
| 物質名 | |||
|---|---|---|---|
別名
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| 識別情報 | |||
| JGlobalID |
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3D model (JSmol) |
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| バイルシュタイン | 385686 | ||
| ChEBI | |||
| ChEMBL | |||
| ChemSpider | |||
| DrugBank | |||
| ECHA InfoCard | 100.005.123 | ||
| EC番号 |
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| Gmelin参照 | 2208 | ||
| KEGG | |||
| MeSH | Oxalic+acid | ||
PubChem CID |
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| RTECS number |
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日化辞番号 |
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| UNII |
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| 国連/北米番号 | 3261 | ||
CompTox Dashboard (EPA) |
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| 性質 | |||
| C2H2O4 | |||
| モル質量 |
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| 外観 | 白色の結晶 | ||
| 匂い | 無臭 | ||
| 密度 |
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| 融点 |
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| エタノールへの溶解度 | 237 g/L @ 15 °C (59 °F)[4] | ||
| ジエチルエーテルへの溶解度 | 14 g/L @ 15 °C (59 °F)[4] | ||
| 蒸気圧 |
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| 酸解離定数 pKa | 1.25 and 4.28[6] | ||
| 磁化率 | −60.05×10−6 cm3/mol | ||
| 熱化学[7] | |||
| 標準定圧モル比熱, Cp⦵ | 91.0 J/(mol·K) | ||
| 標準モルエントロピー S⦵ | 109.8 J/(mol·K) | ||
標準生成熱 (ΔfH⦵298) |
−829.9 kJ/mol | ||
| 薬理学 | |||
| QP53AG03 (WHO) | |||
| 危険性 | |||
| 労働安全衛生 (OHS/OSH): | |||
主な危険性 |
腐食性 | ||
| GHS表示: | |||
| Danger | |||
| H302+H312, H318, H402 | |||
| P264, P270, P273, P280, P301+P312+P330, P302+P352+P312, P305+P351+P338+P310, P362+P364, P501 | |||
| NFPA 704(ファイア・ダイアモンド) | |||
| 引火点 | 166 °C (331 °F; 439 K) | ||
| 致死量または濃度 (LD, LC) | |||
LDLo (最小致死量) |
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| NIOSH(米国の健康曝露限度):NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0474 | |||
PEL |
TWA 1 mg/m3 | ||
REL |
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IDLH |
500 mg/m3 | ||
| 安全データシート (SDS) | External MSDS | ||
| 関連する物質 | |||
| 関連するカルボン酸 | ギ酸; マロン酸 | ||
| 関連物質 | グリオキサール; グリオキシル酸; グリコール酸; グリコールアルデヒド; エチレングリコール | ||
植物に多く含まれ、和名の由来になっている。漢字の「蓚」はタデ科のスイバを意味し、また中国語でも植物由来の「草酸」と呼ぶ。
カルシウムイオンと強く結合する性質(劇性)があり、体内に入るとアシドーシスに傾いた血液中でカルシウムと結合して結石などを生じる。このため、日本においては毒物及び劇物取締法によって劇物(毒物ではない)に指定されている。
製法
化学的性質
無水物は常温常圧で無色の固体で、189.5 ℃ で分解し、ギ酸、二酸化炭素[9][10][11]を生じる。
硫酸を混合するなど条件を工夫すると先程の二酸化炭素に加え、生じたギ酸が分解され水及び一酸化炭素[10][12]を放出する。
吸湿性を持ち、湿気を含んだ空気中に放置すると二水和物となる。水溶液からも二水和物が析出し、二水和物を五酸化二リンを入れたデシケーター中に入れるか、100 ℃ に加熱することにより結晶水を失い無水物となる[8]。
酸としての性質
カルボキシ基を持つため水溶液中では電離して2価の酸として作用を示す。日本の高等学校の教科書では弱酸として分類されているが、実際にはカルボン酸としてはかなり強い酸であり、酸強度はリン酸などよりも強く酸解離定数はスクアリン酸に近い。第一段階の電離度は 0.1 mol dm-3 の水溶液では 0.6 程度とかなり大きい。
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純粋なものが得やすく秤量しやすい固体であるため、分析化学においてシュウ酸は中和滴定の一次標準物質として用いられる。
水溶液中における酸解離に対する熱力学的諸量は以下の通りである[13]。
| 第一解離 | -4.27 kJ mol-1 | 7.24 kJ mol-1 | -38.5 J mol-1K-1 | - |
|---|---|---|---|---|
| 第二解離 | -6.57 kJ-1mol-1 | 24.35 kJ mol-1 | -103.8 J mol-1K-1 | -238 J mol-1K-1 |
還元剤としての性質
シュウ酸は還元剤としてはたらき、分析化学において酸化還元滴定における一次標準物質としても用いられる。その標準酸化還元電位は以下の通りである。
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酸性水溶液中における過マンガン酸カリウムとの反応は以下のようになる。
シュウ酸イオン
シュウ酸塩
シュウ酸エステル
オキサラト錯体
植物中のシュウ酸
摂取
シュウ酸は一部の野菜に含まれている。100g中の含有量は、ホウレンソウで1,339mg、ショウガ239mg、パセリ177mg、水煮タケノコ174mgであった[15]。ゴマ種子(多くは種皮部分にシュウ酸カルシウムとして固定)やココアなどは比較的シュウ酸が多い(洗いゴマ種子全C2O41,750mg・遊離C2O4350mg、ココア約700mg)[16][17]。また、茶にもシュウ酸が含まれており、乾燥茶葉100g中の含有量は、玉露(上級)1,290mg、煎茶(上級)820mg、番茶740mg、ほうじ茶770mgであった[18]。一方、コーヒーのシュウ酸含有量はコーヒー豆100g中10-15mg程度である[19]。
過剰なシュウ酸摂取は一部の結石の原因になるとも考えられている。水溶性のシュウ酸の除去には調理で茹でることで減少させることが可能。また、カルシウムを同時に摂取するとシュウ酸がカルシウムと腸内で結合しシュウ酸塩となり体内に吸収されにくくなる。
血液中ではシュウ酸はカルシウムとシュウ酸塩を形成して生体が利用可能なカルシウムの量を減らすことから、クエン酸と同じくカルシウムがないと反応が進まない血液の凝集凝固作用を阻害する。
2015年にはフィリピンのマニラでミルクティーにシュウ酸が盛られ、店主と客一人が死亡する事件が発生した。
シュウ酸は少量ではあるが気化、エアロゾル化をする性質があるので、知らないうちに呼吸経由や肌経由で体内にシュウ酸を取り込んでいる場合がある事には注意を要する。
分解
枯草菌、エノキタケ、コウジカビ(アスペルギルス属)、シュードモナス属、ペニシリウム属、ストレプトコッカス・ミュータンス、などはシュウ酸デカルボキシラーゼを持ち、シュウ酸を分解して二酸化炭素とギ酸にする事が出来る[20]。





