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シンバクブワ

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シンバクブワまたはシムバクブワ(学名:Simbakubwa)は、ヒアエノドン科に属する絶滅したヒエノドン目(英語版)の属。肉歯目の中では大型と推測され、推定方法によって体サイズの推定値も異なるが、最大では現生のホッキョクグマよりも大型[1]、最小ではバーバリライオンの最大個体と同程度と推定されている[2]。約2200万年前当時におけるアフリカの頂点捕食者であった[1]。属名は「大きなライオン」を意味するが、食肉目に属するライオンとは近縁でない[2][1]。

概要 シンバクブワ, 地質時代 ...
シンバクブワ
頭骨の骨格図
地質時代
新生代新第三紀中新世アキタニアン(約2200万年前)
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
界 : 動物界 Animalia
門 : 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱 : 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Theria
下綱 : 真獣下綱 Eutheria
階級なし : 北方真獣類 Boreoeutheria
上目 : ローラシア獣上目 Laurasiatheria
目 : ヒエノドン目(英語版) Hyaenodonta
科 : ヒアイナイロウロス科 Hyainailouridae
亜科 : ヒアイナイロウロス亜科 Hyainailourinae
属 : シンバクブワ属 Simbakubwa
学名
Simbakubwa
Borths and Stevens, 2019
下位分類(種)
  • Simbakubwa kutokaafrika Borths and Stevens, 2019
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発見と命名

シンバクブワの最初の化石は歯骨・右上顎骨上部・1個の踵骨・2個の末節骨からなり、ケニア西部の Meswa Bridgeで初期の類人猿の化石を探していた古生物学者により発見された[3]。発見された時期は1978年から1981年の間であった[4][5]。化石はケニアのナイロビ国立博物館に所蔵され、当初はハイエナのものとされた。2013年にヒエノドン類を研究対象として学位論文に取り組んでいたマシュー・ボース(Matthew Borths)が当該の標本に気付き[5]、ヒエノドン類の分岐群に属するとただちに同定した[6]。2019年にボースとナンシー・スティーブンス(Nancy Stevens)が記載論文を発表し、新属新種シンバクブワ・クトカアフリカ(Simbakubwa kutokaafrika)として命名した[7]。属名は「大きなライオン」、種小名は「アフリカから」を意味し、共にアフリカ東岸部の言語であるスワヒリ語に由来する[2]。

2020年には、ケニアのNakwai産地から産出した第三大臼歯からなる追加標本がシンバクブワに分類された[8]。

特徴

大きさ

S. kutokaafrikaとヒトの大きさ比較

シンバクブワの推定体重は回帰モデルによって異なる。全てのモデルは歯骨の第3大臼歯の長さを使用しているものの、対応する体サイズの算出に異なる式を使用している。最も低い見積もりでは最大のライオンに匹敵する体重280キログラムと推定されており、これは様々な中型 - 大型肉食動物の下顎の第3小臼歯の長さから導き出された方程式に基づいている。ヒエノドン目とネコ科の第3大臼歯の長さとの比較に基づいたより高い見積もりでは、推定体重が1308 - 1554キログラムに達しており、これは現生のホッキョクグマを上回るものである[9]。Hyaenodontidae科は体に対して大型の頭部を持ち、同程度の大きさであるヒアイナイロウロスの体骨格がトラと同程度、より大型のメギストテリウムが最大500キログラムに達したと推定されている[10]。しかしシンバクブワの研究では、メギストテリウムの推定体重が最小で317キログラム、最大で1794 - 3002キログラムとされた。いずれの推定値が採用されたとしてもS. kutokaafricaは全ての古第三紀のヒエノドン目を超過する[7]。ヒエノドン目は進化の過程で大型化しており、シンバクブワのような後の時代の分類群がその程度を最大限に引き上げている[11]。

頭骨と歯列

シンバクブワの頭部骨格は部分的な上顎骨と不完全な左歯骨とが知られている。歯骨は修復されていることもあって下顎結合がどの程度の長さであったか不明である。筋突起は第3大臼歯の前側で始まり、丸み帯びていてかつ低く、後縁に沿って僅かに反るように見える。ただし、化石が修復されているため、この形状が実際の形質状態を反映しているか判断することは難しい。咬筋が付着したと思われる下顎の窩は前側が厚いcoronoid ridgeに区切られている。翼突筋の挿入位置は明瞭である[7]。

シンバクブワの左歯骨は3本の歯を保存しており、その内訳は1本の犬歯、第4小臼歯、第3大臼歯である。下顎の犬歯は強く側扁しており、HemipsalodonやKerberos langebadreae、Orienspterodon、Pterodon よりも顕著である。下顎の第4小臼歯は比較的短く、ヒアイナイロウロスのものよりも側扁しており、タロニッド領域には1個の側扁した咬頭(英語版)を伴う。シンバクブワの全ての大臼歯は近心よりも舌側に突出したプロトコーンを持つ。上顎の第1および第2大臼歯のメタスタイルは遥かに華奢である。上顎の第2大臼歯はパラスタイルに複数の咬頭を持つ。メギストテリウムと異なり、下顎の第4小臼歯と第3大臼歯のトリゴニッドは近遠心方向の長さに対して強く側扁する。他の大型のヒアイナイロウロス科の属と同様に、シンバクブワの大臼歯はいわゆる裂肉歯の切り込みを伴う。裂肉歯は刃は舌側に回転しており、顎を閉じる際に研がれ、恒久的な剪断縁を確保していた[7]。

体骨格

シンバクブワの体骨格は、1個の踵骨と、生前に爪を支持していたと思われる2個の末節骨しか発見されていないため、大部分が未知である。シンバクブワは半趾行性の姿勢で歩行しており、主に指で体重を支えていたものの完全にそうではなかったと推測されている。移動に要するエネルギーを節約する趾行性は開けた環境と相関することが多く、近縁なKerberos langebadreaeに見られる蹠行性よりも高効率であったと推測される[7]。

分類

シンバクブワは肉歯目のヒアイナイロウロス科ヒアイナイロウロス亜科に属しており、その中でも派生的な位置を占める。Borths and Stevens (2019)による系統解析では、シンバクブワはHyainailouros、Isohyaenodon、Sivapterodon、および未命名の分類群を含む分岐群との姉妹群として配置された[7]。以下のクラドグラムはBorths and Stevens (2019)の結果に基づく[7]。

ヒアイナイロウロス亜科(英語版)

Falcatodon schlosseri

Simbakubwa kutokaafrika

Hyainailouros sulzeri

Arrisdrift hyainailourine

Hyainailouros napakensis

Isohyaenodon andrewsi

Sivapterodon lahirii

Hyainailouros bugtiensis

Megistotherium osteothlastes

Leakitherium hiwegi

Mlanyama sugu

Megapterodon kaiseri

Isohyaenodon zadoki

Exiguodon pilgrimi

古生態

Borths and Stevens (2019)は、ヒアイナイロウロス亜科の巨体が獲物の体サイズの増大と相関することを示唆した。中新世の初期では、生息域の変化により大型植物食動物の分類群の数が増大した。体重が25キログラムを超過する肉食哺乳類は自身と同程度かそれ以上の体重を持つ獲物を頻繁に狩っていたが、シンバクブワのような巨大なヒアイナイロウロス亜科の動物は共存していたアントラコテリウム類やサイ上科や長鼻目の一部と近い体サイズを有していた。このように、ヒアイナイロウロス亜科における大型化(シンバクブワやメギストテリウムの最も近縁な属種が遥かに小型であるため、独立して大型化したようである[11])は大型植物食動物の捕食や死肉漁りという生態的地位に相関する可能性がある[7]。例としてメギストテリウムは現生の長鼻目の四肢を消費できる程度に大きく開く顎を有していたことが判明している[7][12]。

しかし、大型哺乳類に獲物を依存している点は、特にそれらの動物が世代交代に長い時間を要する傾向があるという点で問題を抱えている。そのため、個体数がわずかに減少しただけであっても、より小型かつ社会性を持つ肉食哺乳類との種間競争に関してヒアイナイロウロス亜科はより不利であったと推測されている。彼らは骨噛み(英語版)を含む腐肉食者としての行動も取れたものの[7][13]、群れで狩りを行う肉食動物が労働寄生も可能であったため、これらに影響を受け、絶滅に繋がった可能性がある[7]。

出典

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