トヨタ・ジャパンタクシー
トヨタ自動車のトールワゴン型商用車
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ジャパンタクシー(JPN TAXI)は、トヨタ自動車が販売するユニバーサルデザインタクシー用トールワゴン型ハイブリッド(スプリット方式)商用車、およびトールワゴン型ハイブリッド(スプリット方式)2シーターライトバンである。世界初のLPGハイブリッド車でもある[1]。
(車いす乗車時:3名)
2名
(2シーターバン)
| トヨタ・ジャパンタクシー NTP10型[注 1] | |
|---|---|
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「匠(たくみ)」グレード フロント | |
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「匠(たくみ)」グレード オプションアルミホイール装着 | |
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運転席 | |
| 概要 | |
| 製造国 |
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| 販売期間 | 2017年10月23日 - |
| ボディ | |
| 乗車定員 |
5名 (車いす乗車時:3名) 2名 (2シーターバン) |
| ボディタイプ |
5ドア トールワゴン (タクシー向け) 5ドア ライトバン (法人向け) |
| 駆動方式 | 前輪駆動 |
| プラットフォーム | Bプラットフォーム |
| パワートレイン | |
| エンジン |
1NZ-FXP型: 1,496cc 直列4気筒DOHC |
| モーター | 2LM型:交流同期電動機 |
| 最高出力 |
エンジン: 54kW (74PS)/4,800rpm モーター: 45kW (61PS) システム最高出力:73kW (100PS) |
| 最大トルク |
エンジン: 111N・m (11.3kgf・m)/ 2,800-4,400rpm モーター: 169N・m(17.2kgf・m) |
| 変速機 | 電気式無段変速機 |
| サスペンション | |
| 前 | マクファーソンストラット式 |
| 後 | トレーリングリンク車軸式(3リンク) |
| 車両寸法 | |
| ホイールベース | 2,750mm |
| 全長 | 4,400mm |
| 全幅 | 1,695mm |
| 全高 |
1,750mm 1,765mm(車高アップパッケージ装着時) |
| 車両重量 | 1,390-1,410kg |
| 最大積載量 |
200kg (2シーターバン) |
| その他 | |
| ブレーキ |
前:ベンチレーテッドディスク 後:リーディングトレーリング(ドラム) |
| 別名 |
トヨタ・コンフォートハイブリッド ↓ トヨタ・タクシー (香港・マカオ専売) |
| 系譜 | |
| 先代 |
トヨタ・クラウンセダン トヨタ・クラウンコンフォート |
概要
2013年、第43回東京モーターショーの参考出品車の「JPN TAXI Concept」をベースに市販化されたもので[2]、1995年から主にタクシー向けのノッチバックセダン型商用車として販売されていたXS10系クラウンセダン及びコンフォート・クラウンコンフォート(いずれも2017年に販売終了、以下「クラウンGパケ系」)の後継車として、新たに発売された。
- JPN TAXIコンセプト(フロント)
- JPN TAXIコンセプト(リア)
トヨタ車で初めて、国土交通省が定める「ユニバーサルデザインタクシー」の設定要件を満たした車種に認定されている[3]
車名は「JPN TAXI」とアルファベットで表記し、読みとカタカナ表記は「ジャパンタクシー」である。プレスリリースでも「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」と表記しているが[4]、公式ウェブサイトのタイトルは、カタカナ表記とするなど表記が混在している。報道機関では「JPNタクシー」などの表記もある[5]。通称として「ジャパン」や「ジャパタク」[6]とも呼ばれる。
生産はクラウンGパケ系に引き続きトヨタ自動車東日本東富士工場が担当していた[注 2]が、2020年12月25日に閉鎖された後は宮城大衡工場に移管されることとなった[7][8][注 3]。
タクシー専用車種として設計・開発された車種ではあるが、一般ユーザーが購入して自家用車登録することも可能となっている。
年表
- 2013年11月5日
- 「JPN TAXI Concept」を第43回東京モーターショー2013に参考出品[9]。
- 2015年10月26日
- 次世代タクシーの概要を公表。発売時期を2017年度内、全国のトヨタ店・トヨペット店を通じて販売予定と発表[10]。
- 2017年10月23日
- JPN TAXI(ジャパンタクシー)を発売。キャッチコピーは「次の日本に、いらっしゃいませ。」[11]。
- 2018年4月1日
- 衝突回避支援パッケージの名称を「Toyota Safety Sense C」から「Toyota Safety Sense」に変更。
- 2018年5月
- 香港市場向けを「Comfort Hybrid」として発表。
- 2018年12月8日
- 「コイアイ×クロコハク」カラーリングがオートカラーアウォード2018審査委員特別賞を受賞[12]。
- 2019年2月4日
- 車いす乗降改善対応を発表。既販車も対象にスロープや収納ポケットを改良[13]。
- 2019年3月15日
- 一部改良。
- 車いす用スロープの構造を変更(3枚折り→2枚折り)、スロープ長を延長。プリクラッシュセーフティに昼間歩行者検知機能を追加。パワースライドドア閉作動時間を5秒に短縮、料金トレイ位置を約10cm低く変更、リアワイパーを間欠機能付とした[14]。
- 2021年5月10日
- 一部改良。
- 運転席・助手席に「ナノイーX」搭載、抗菌「V-CAT(可視光応答型光触媒)」ハーフシートカバーを設定。停電時給電可能なAC100V/1500Wアクセサリーコンセントをメーカーオプション化し、照度センサー付コンライトを標準化[15]。
- 2022年5月13日
- 一部改良。
- 抗菌仕様シートおよび後席シートベルトを採用、車いす乗客の助手席移乗用アシストグリップを設定[16]。
- 2024年2月
- 一部仕様変更。原材料高騰等に伴う価格改定を実施[17]。
- 2025年6月2日
- 一部改良。
- LPGタンク容量を従来の52Lから58Lに変更し、航続距離を延伸。メーターデザインを7インチTFTカラーディスプレイに変更、天井サーキュレーター吹き出し口を可動式に変更。外部給電アタッチメントを全グレードに設定。「Toyota Safety Sense」を強化(交差点右折時対向直進車・横断歩行者検知、二輪車検知、緊急時操舵支援、低速加速抑制機能など)[注 4][18]。
- 2026年5月12日
- 一部改良。
- メーター内に制動灯表示灯を標準装備。減速時のブレーキ操作に加えて運転支援システムによる制動時でも制動灯表示灯が点灯し、ドライバーに対して自車がシステムによる制動状態であることを確認できるようになった[19]。
年次改良の一覧
下記、中期、後期等の便宜的暫定呼称は今後の改良仕様変更等の理由により都度変更したほうが整合性が取れる可能性が高い。これらの年次改良は同一型式内での仕様変更に該当する[注 5]。
| 年月 | 型式 | シャシ番号例(和) | シャシ番号例(匠) | 取説品番 | 主要装備一覧表等 | 暫定呼称 | 主な変更点 | 出典 | リコール等 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2017年10月 | DAA-NTP10 | 00026XX~00064XX | サ-91 | 2017-10 | (前期1) | 発売時仕様、Toyota Safety Sense C搭載 | トヨタ自動車(2017年10月23日) | 2018年7月4日 2019年12月11日 2023年2月16日 | 緑色(200㎏)UD TAXIシール | |
| DAA-NTP10 | 00129XX~00181XX | サ-92 | (前期2) | 2023年2月16日 | ||||||
| 2019年3月 | DAA-NTP10 | カJ-1 | (中期1) | Toyota Safety Senseに歩行者検知機能追加、車いす用スロープの構造を2枚折り変更、フロントドアバイザー形状変更 | トヨタ自動車(2019年3月15日) | 2023年2月16日 | 初のマイチェン | |||
| 6AA[注 6] -NTP10 | ||||||||||
| 2020年1月 | 6AA-NTP10 | 00231XX~00244XX | 〇サJ-1 | (中期2) | 車いす乗降用スロープの許容重量(耐荷重)を200kgから300kgに変更・リヤシートベルトリマインダー音変更 | 2023年2月16日 | 2度目のマイチェン 以降ピンク色(300㎏)UD TAXIシール | |||
| 6AA-NTP10 | 20029XX~20054XX | サJ-2 | (中期3) | 運転席シートのみニット切り替えに変更 | 2023年11月22日2023年11月23日 | 2021年4月1日以降の生産車両より、リアウィンドウの「低燃費車達成車(★マーク)」「排出ガス基準適合車」のステッカーが順次廃止、以降前ドア「HYBRID」バッジ省略[20] | ||||
| 2021年5月 | 6AA-NTP10 | サJ-3 | 2021-05 | (中期4) | ナノイーXを運転席と助手席に標準装備・コンライト(自動点灯・消灯システム)を標準装備(法規対応)・V-CAT抗菌素材、AC100V給電追加。 | タクシーメディア(2021年5月) | 3度目のマイチェン 快適・防災機能強化 | |||
| 2022年5月 | 6AA-NTP10 | 20108XX~20152XX | サJ-3 | (中期5) | 細菌繁殖抑制効果がある抗菌シートと抗菌シートベルト(後席)を採用・、左Aピラー裏アシストグリップ追加。 | Car Watch(2022年5月13日) | 2024年10月31日 | 感染症対策強化 | ||
| 2024年2月 | 6AA-NTP10 | 20230XX | サJ-4 | 2024-02 | (中期6) | パーキングサポートブレーキ(前後方静止物)を全車標準装備(法規対応) | 無し | ブルーグラデーションエンブレム最終仕様 HEVバッジに変更された車両も存在 | ||
| 2025年6月 | 6AA-NTP10 | 20251XX~20252XX | サJ-5 | (後期) | LPGタンク58L化、7インチTFTメーター、Toyota Safety Sense安全装備追加(プロアクティブドライビングアシストなど)機能拡充、エアサーキュレーター可動化。フロント間欠ワイパー車速感応式 | トヨタ自動車(2025年6月2日) | 2025年10月16日 | 大幅なマイチェン。最新仕様(2025年現在) |
- JPN TAXI(量産車)
和 フロント - JPN TAXI(量産車)
匠 フロント - JPN TAXI(量産車)
匠 リヤ - 初期型スロープ板展開・車椅子乗車状態
グレード
グレードはJPN TAXIコンセプトの樹脂バンパーのデザインが反映された標準グレードの「和(なごみ)」と同じくヘッドライトのデザインが反映された上級グレードの「匠(たくみ)」の2種類が用意されており[注 7]、後述の「深藍限定車(こいあいげんていしゃ)」の場合はそれぞれの車両型式の末尾に「K」が追加される(例:DAA-NTP10-AHXDN-K(和)、DAA-NTP10-AHXGN-K(匠))。
「和」は、バンパー・バックドアガーニッシュ・アウトサイドドアハンドル・電動リモコンフェンダーミラー・Cピラーがスミクロ色の樹脂パーツの無塗装素地、フロントグリルも素地にシルバーのアクセント。タイヤ・ホイールは185/65R15タイヤ[注 8] に15インチスチールホイール[注 9]にシルバーメタリック塗装の樹脂フルキャップ[注 10]、内装は一部の装備にイエローのアクセントが配され、ピラーアッパーガーニッシュやリアドアトリムロアは素地。ヘッドランプはクリアランスランプを備えたハロゲンタイプ(マニュアルレベリング機構付)となる。東京23区・武蔵野市・三鷹市の区域(特別区・武三交通圏)内では東京無線やチェッカーキャブ、信和事業(大和自動車交通提携)のそれぞれ一部など採用会社は少ない。
「匠」は、前後バンパーがボディ同色塗装(フロントグリル、フロントバンパー中央部は艶有ブラック塗装)、フロントグリルはメッキ+ブラック塗装に、バックドアガーニッシュ・アウトサイドドアハンドル・電動リモコンフェンダーミラーがメッキとなり、タイヤ・ホイールは185/65R15タイヤ[注 8]に15インチスチールホイール[注 9]にスーパークロムメタリック塗装の樹脂フルキャップとなる。内装はウレタン3本ステアリングホイール・シフトレバー&ノブ・インサイドドアハンドルなどにサテンメッキ加飾を、サイドレジスターニクロムメッキ加飾がそれぞれ施され、ピラーアッパーガーニッシュは植毛、リアドアトリムロアはカーペット材となる。ヘッドランプはクリアランスランプとデイライト(2021年5月10日改良以降)を備えたLEDタイプ(Bi-Beam LEDヘッドランプ、オートレベリング機構付)となり、Cピラーはテールランプ付。また、専用装備として、リア左側サイドプロテクションモール(ボディ色+メッキ)、コンライト(ライト自動点灯・消灯システム)、リアシートヒーター、天井サーキュレーター(サテンメッキ加飾)が装備され、15インチアルミホイール[注 9](切削光輝+グレーメタリック塗装)+センターオーナメントのオプション設定が追加される。
UD TAXIのシール(15cm平方)は初期は緑色、300kg対応スロープ車両より2020年度ロゴ入りのピンク色が左前バンパー、左リアフェンダー、後部ハッチ右側の3箇所(会社により位置や寸法に若干相違がある)に貼り付けされる[注 11]。又、UD TAXIのシールを貼り付けていない営業車も稀に存在する。
東京地域に関しては前述の東京2020大会開催までは各社外観が画一的で似通っていたが、同大会終了後は公式ロゴが剥がされ、独自のスポンサーやタクシー配車アプリの巨大ステッカーをドアに貼り付けするケースや、他企業の広告を貼り付け、又、ハイヤーの様に広告等一切無い車両[注 12]も増え、徐々にバリエーションに富んだものに代わりつつある。
法人向け限定販売特装車扱いではあるが、商用車の「JPN TAXI バン仕様車」もラインナップされる。これは「和」グレードをベースにフロア補強を施し後席を省いたことで積載性を高めたモデルであり、乗車定員は2名、最大積載量は200kgの積載バン(4ナンバー登録)仕様となる[23]。当然LPガス仕様で、日本瓦斯で5ナンバー車との併用で採用実績がある[注 13]。
また型式指定車ではない、構造変更検査(持ち込み登録)での改造車になるが、JPNタクシー和グレードを使用した自動車教習所の普通自動車第二種運転免許の8ナンバー教習車としての導入例もあり、上記の初期型スロープ板展開の写真は教習車である[24][25]。
ボディカラー
純正のボディカラーは深い藍色をベースとした新規開発色「深藍(こいあい)」、黒色の「ブラック」、白色の「スーパーホワイトII」の3色が設定され[26][27]、顧客の要求に応じた塗装には対応しなくなった。また、前述の通り「深藍」のみ「深藍限定車」の設定があった。製造当初~2025年現在まで深藍色の車両が圧倒的に多く、次いで白色、黒色は極少数。
初期に設定された「深藍限定車(こいあいげんていしゃ)」は、「匠」「和」の両グレードに設定され、後席側両ドアには東京2020大会[注 14])。なお、東京都等一部の自治体では「深藍限定車」に対して補助金を出しており、東京都の例では国のユニバーサルデザイン車に対する補助金と合わせ100万円近い補助金が購入する事業者に助成される[28]。シールは太陽光などの影響により、ボディカラーの褪色などで剥がした部分とそれ以外の部分で褪色が目立つ場合がある。褪色対策で経年次第では剥がす代わりに目隠し用にオーバーラッピングも用意されている[注 15]。
各事業所等手配の塗装
愛知県他の名鉄系タクシー各社や岡山県の両備タクシーセンター系列(岡山交通・岡山両備タクシー)など東京以外の地域を中心に、タクシー架装業者や板金塗装工場の手により、独自に従来通りのデザインに全塗装して使用している事業者もある[29]。
東京都内においては個人タクシーのうち東個協(東京都個人タクシー協同組合:でんでん虫グループ)加盟の車両はスーパーホワイトIIに赤で縁取られた青い帯を貼り付けている[注 16]他、グリーンキャブでは車体下半分をコーポレートカラーのペパーミントグリーンに塗り替えている車両が[30][注 17]、日の丸交通に従来色の車両が1台塗装される[31]など、都内でも僅かではあるが従来通りのデザインに塗装している事業者が散見される。
また、ラッピングではあるものの、信和事業所属の政和自動車が提携先である大和自動車交通の従来色である東京四社の車体色を再現している他、神奈川県の平和交通も従来色の車両を使用している[注 18]。
2025年2月には東京無線協同組合に加盟の国産自動車が匠グレードを2台、東京無線カラー(クラウンコンフォートによく施工されていた緑×黄の配色)を再現した車両を稼働させている[32][注 19]。
2025年8月、明治記念館では婚礼用としてボディカラーとエンブレムの変更、後部座席を本革シートにした車両を導入した[33]。
その他、近鉄タクシーグループでは近鉄80000系電車及び近鉄16200系電車と同じ色に塗り替えた車両がある。
香港(コンフォートハイブリッド)でも全塗装して使用する事業者がある。
- 独自色の例:長崎市のタクシー事業協同組合「シティキャブ長崎」カラー(丸寿タクシー)
- 独自色の例:東京都のタクシー会社グリーンキャブ。下半分は従来のペパーミントグリーン、ピラーより上部は純正の深藍。
- 独自色の例:東京都のタクシー会社日の丸交通の復刻限定カラー。
白ナンバー登録車
白ナンバー登録車も極僅かに存在する。タクシー事業所での教習専用車両。上記4ナンバー、5ナンバーの商用車、自動車学校の教習車、タクシー会社がライドシェア事業のために、白ナンバーで登録・管理している車両、東京タクシーセンターの車椅子研修用車両、自家用登録、上記明治記念館の送迎用車両等。
メカニズム



同社の小型ミニバン・シエンタのチーフエンジニアでもある粥川宏(かゆかわ ひろし)が当車チーフエンジニアを担当した[34]。
ボディ・外装
XP17#G型シエンタのシャシーをベースに開発されたため、ミニバンに近い低床・高天井スタイルを採用している。
助手席側のリアドアは開口幅720mm、開口高1,300mmの開口幅を持つ電動スライド式で、車椅子に乗ったままの乗降が可能である他、室内各所に補助グリップを設置したことで車椅子からシートへの乗り移る際にもセダン系の車両より楽に動けるという[35]。前身であるクラウンGパケ系と異なり前輪駆動になったことで後席床面がフラット化されていることも車内の移動を容易にしている。運転席側のリアドアは開閉状態を前後方から容易に識別でき、かつ、人(特に子供)の前方への飛び出しを防ぐヒンジドアとしている。それに伴いボディのモノコックは右側リアクオーターは通常のスチール製一体構造だが、左に関しては給油口の下部(スライドレール上部)とルーフ部に別の部品を更に付ける部品構成になっている。
なお、車体の全高の高さから、導入する事業者の車庫や狭隘路等の高さ制限に対応するために、行灯(防犯灯)を専用設計し直し、位置をルーフ前端や後端部に分けて設置する事業者もある。
室内側の電動スライドドア操作スイッチは運転席ドアのパワーウインドウ付近に設置されるが、安全上、スイッチを操作し続けないとドア開閉は途中で止まる[注 20]。スライドドアの取手を直接操作する場合は、アウター(車外)側は他車同様にノブを一度引くだけの電動開閉を可能としている[注 21]が、インナー(車内)側は安全上、手動での操作のみとなり、電動による操作はできない。また、運転席側のリアドアのみ安全上、窓の昇降はできないようになっている。後述するが、開閉速度については2019年3月の一部改良で見直され高速化されている[5][注 22]。
フロントは、横基調の格子をモチーフとしたラジエーターグリルを採用。リアはバックドアをノッチ形状としている。またバンパーは、フロント・リア共にサイド部分だけの交換が可能なように3分割に、ランプ類はアウターレンズのみ交換可能な構造とし、メンテナンス性に配慮されている[36]。
灯火類はハイマウントストップランプ、テール・ブレーキランプはLED。ウインカー、バックランプ、ライセンスランプは電球。ポジションランプおよびヘッドランプは前述の通りグレードにより異なる。
国際自動車は、フロントフェンダーミラーを独自に大型に改良し[37]提携会社含め、全車に標準交換採用、「ミラクルミラー」と称してkmGオートアシストより外販(その場合はツヤ有黒塗装)も行っており、狭隘道路での自車と接触のリスクを低減でき、純正に対してトレードオフされる欠点も無いため、大和自動車交通、日の丸交通、東京無線協同組合の其々一部等、採用事業者も多く、[38]2025年現在、都内の車両の半数近くがミラクルミラー仕様になっている。
内装
シートはグレードを問わず、全車の全席に合成皮革を採用していた(2021年5月10日の改良において運転席のみ合成皮革+中央をニットファブリック素材の切り替えに変更された)。これは、傷や汚れに強く、清掃も容易に行えるようにとの配慮からである。後部座席を本革シートに交換した事業者もある[33]。助手席側はグローブボックスを廃することで乗車スペースの拡大とシートアレンジ(特に車椅子による乗降時)の多様性に貢献している。
タクシーメーターや領収書、無線機器、釣銭箱、小物等を収納出来るよう、グローブボックスが無い分細かくポケットやスペースを設置し、場所によっては防犯に配慮した形状としている。上記後期(サJ-5)型は、センターコンソールの通常釣銭鞄を置くボックスの長さが前後に大幅に短くなった。タクシーメーター、カーナビゲーションは後席から見えやすいセンターパネルに配置し、空調スイッチは運転席右側パネルにコンパクトに配置されている。なお、空調の吹き出し口にはクラウンGパケ系のシャープ製のプラズマクラスターに代わり、パナソニック製のナノイー[注 23]が設置される。
シフトレバーは、前述の収納スペースの関係もありインパネシフトとなっているが、ベースとなったシエンタのゲート式シフトレバーではなく、従来のクラウンGパケ系に合わせたストレート式シフトレバーとなっている[注 24]。これは純粋なトヨタのハイブリッド専用車で唯一となる[注 25]。また、本車種においてはキーレスエントリーおよびイモビライザーは設定されているが、スマートエントリーは設定されてないため、ハイブリッドシステムの始動は従来通りキーを回転させるタイプである[注 26]。
純正オプション
外装オプションとして、メッキ仕上げの「フロントグリルガーニッシュ」や、細かなスポークが特徴の「15インチ アルミホイールセット(フィンタイプ)」、「リヤフォグランプ」他が設定されている。また、ベースグレードの「和(なごみ)」においても、上位グレード「匠(たくみ)」に標準装備される「LEDフォグランプ」を販売店装着オプションとして追加することが可能であり、これらを組み合わせることで、より高級感のあるエクステリアを構築できる[39][40]。
パワートレイン
パワートレインは、トヨタのハイブリッドカーに採用されているハイブリッドシステム「リダクション機構付THS II」をベースに、タクシーで用いられているLPG燃料に対応した「LPGハイブリッドシステム」が採用された。
タクシーは、燃料に価格の安いLPガスを使用するLPG車が現在も一般的である。さらに、大都市ではタクシー会社がLPGスタンドを自ら経営しているケースも多い[41]。
前述のとおり、LPGエンジンを使用したハイブリッド車(ストロングHV)は世界初となる。2013年にコンセプトカー「JPN TAXI Concept」として登場した時点からLPGハイブリッドシステムを採用する方針が決まっていた[42]。トヨタは当初LPGハイブリッド車の開発に積極的ではなかったが、タクシー業界からの強い要望があり、ジャパンタクシーはLPGハイブリッド車として設計されることになった[43]。トヨタでは、LPGハイブリッドを採用した理由を公式には「CO2排出量を飛躍的に減らすため」としている[44]。
エンジンは1.5Lの「1NZ-FXP」型を搭載。ブロックこそ「1NZ-FXE」型と共通であるものの、ヘッドとバルブは専用品に差し替えられ、バルブスプリングも強化され、それに補機ベルトのメンテナンスが不要の電動ウォーターポンプが組み合わせられた。
ブレーキはシエンタの総輪ディスク(前ベンチレーテッドディスク・後ディスク)と異なり、クラウンGパケ系同様に後輪はドラムブレーキ(リーディング・トレーリング式)になり、ホイールハブは同じ5穴ながらも、シエンタのPCD100.0からクラウンGパケ系と同じPCD114.3に変更されている。
バッテリーは、駆動用はニッケル水素が用いられており、低床・フラットフロアを実現するため、薄型化してフロアカーペット下に配置。補機用はEN規格のもの(LN1 45Ah)をトランク内左側に配置。燃料クーラーはクラウンGパケ系の1⁄3サイズに小型化された。
LPG車に必要なLPGガスボンベの容量は、クラウンGパケ系の94L(保安基準上85%まで:実効容量約72L)に対し52(後期改良型では58)L(保安基準上80%まで:実効容量約42L)と約半分強に減少しているが、ハイブリッドシステムにより航続距離はほぼ据え置かれている。これらによりJC08モード燃費は19.4 km/L、WLTCモード燃費は16.8 km/L[注 27]となっており、タクシー用車両では初となる「平成32年度燃費基準+30%[注 28]」と「平成17年排ガス基準75%低減[注 29]」を同時に達成。
本車に搭載されるLPG燃料タンク(内容積52L 後期型58L)への充填については、高圧ガス保安法 容器保安規則 第22条第5号の規定により、液膨張による容器破裂を防止するための安全空間を確保するため、内容積の80%を超えて充填してはならないと定められている。そのため、車両側には燃料満タン時に自動的に充填を停止する過充填防止弁が備わっている[45]。
サスペンションは、フロントにマクファーソンストラット式コイルスプリング、リアにトレーリングリンク車軸式コイルスプリング(3リンク式)がそれぞれ採用されており、耐久性を高めるため、タクシー用に専用設計された。
安全性能
安全性能においては、衝突回避支援パッケージの「Toyota Safety Sense C」を標準装備しており、インテリジェントクリアランスソナー(パーキングサポートブレーキ)をオプション設定している。2019年3月の一部改良で、コンパクトカーのアクアなどへ適用されている、昼間の歩行者検知機能を追加した改良型へ更新された[4][5][46][注 30]。
ユニバーサルデザイン
車椅子用のスロープを標準で搭載しているが、トヨタの想定よりも設置作業に時間がかかることが、障害者やタクシー事業者から指摘された。そのため、2019年3月以降に販売される車両に、作業時間を短縮する改良の実施を行い、既に販売した車両にも、無料で部品交換など改良措置を適用すると発表した[4][5][35]。その後2020年1月には、同年3月31日の標準仕様ユニバーサルデザインタクシー認定要領の改正に伴い、スロープの耐荷重を200kgから300kgに変更する改良がなされた。詳細は「#車椅子利用者からの改善要求」の項目を参照。
前モデル(クラウンセダン(Gパッケージ)系)との比較
- CO2排出量が大幅に削減されており、クラウンGパケでは「1km走行におけるCO2排出量」が171g(CO2/km 10・15モード)だが、ジャパンタクシーでは80g(CO2/km 10・15モード)と半分近くまで削減されている。[48][49]
- カタログ上での燃費がかなり改善されており、クラウンGパケでは9.8km/L(10・15モード)だが、ジャパンタクシーでは21km/L(10・15モード)と、2倍以上の改善がされている。[48][49]
- 衝突被害軽減ブレーキがないクラウンGパケ系と比較し、ジャパンタクシーでは標準搭載のため、事故などの危険性が減少した。車体自体にも衝撃吸収構造が採用されているため、衝突相手へ与える衝撃がクラウンGパケ系より緩和されやすくなっているが、そのために車体等は変形しやすくなっている。
- 上位グレードである「匠」のみではあるがリアシートにシートヒーターおよびサーキュレーター(扇風機)[注 31]の設定がされており、サーキュレーター(扇風機)[注 31]は風量の設定も天井のスイッチにて変更が可能なため搭乗者が利用しやすいようになった。一方でシートヒーターはオンオフのみの切替となっており調節が利かないため、特に長時間の乗車の場合、低温熱傷やアイロンの原理で搭乗者の衣服の折り目を毀損したり余計なしわをつけるリスクがある。
- 運転席シートバックに純正でUSB充電ポート(Type-Aコネクタ、最大電流2.1A)が2口搭載され、乗客の使い勝手が向上。ただしケーブルは装備されていないため、乗客が自身で用意する必要がある。また、1口あたり2.1Aではなく2口で2.1Aであるため、2口使用する場合に片方だけでも電流要求量の多い機器を接続するとうまく充電できない場合がある。
- 上位グレードである「匠」においてはヘッドライトがLEDになり視認性の向上と長寿命・省電力化がなされた。ただし、破損や故障等した場合はASSYでの交換が必要となる。
- 助手席側後ドアがクラウンGパケ系のヒンジドアからスライドドアに変更されたことで、接触、乗車後に車高が下がりドア下端が縁石に引っ掛かるなどの危険性が低下した。ただし、寄せすぎてしまった場合は横に広範囲に擦ってしまう可能性が高まる。
- クラウンGパケ系と比較して燃料搭載量は少ないため、理論上ではクラウンGパケと同等の航続距離ではあるが、エアコンを多用する夏場や冬場での隔勤1出番(最長21時間の拘束)では2回充填をしないと燃料がもたず、営業上効率が悪くなる場合がある。クラウンGパケ系ではオプションであったボンベのガス冷却機能[注 32]は標準装備されているが、これを利用すると燃費が悪化してしまう欠点も存在する。[注 33]。また、駆動用バッテリーの劣化も航続距離の低下につながる。満タンで8月では中期型で330キロ程走行可とインパネには表示される。
- 出力毎重量[注 34]および重量毎出力値[注 35]が最終型のクラウンGパケ系と比較して悪化している。例としてクラウンGパケの場合は11.98kg/PS(83.45PS/t)、本車種は14.10kg/PS(70.92PS/t)である[注 36]。
- エンジンの小型化で燃料消費やエンジンオイル量自体は減ったが、指定ブレーキフルードが一般的なBF-3(JIS3種・DOT 3)ではなくBF-5(JIS5種・DOT 5.1)であること[注 37]、タイヤの小径化[注 38]およびスペアタイヤがローテーションに使えないこと[注 39]やハイブリッドの駆動用バッテリーがあることでランニングコストが増える。
- クラウンGパケ系ではスペアタイヤは標準タイヤと同一サイズなので四輪いずれのパンク時もそのまま交換可能だが、本車種ではスペアタイヤレス(パンク修理キット)ないしは応急用(テンパー)タイヤとなっており、前者はパンクの箇所や程度によっては使用できないこと、後者も前述のローテーションに使えない他に前輪のパンク時でも後輪に装着しなければならないという問題がある[注 39]。
- 前輪駆動になったことで後席部のフロアがフラット化し、左右の移動が容易になり、中央席に座る乗客の快適性も向上したほか、スーツケースを後席スペースに積むこともできるようになったが、床面と座面の地上高は増している。また、タイヤの小径化とホイールベースの短縮をもってしても最小回転半径は5.0mから5.3mに広がり小回り性能は悪化した。
- ハザードスイッチがクラウンGパケ系はウインカーレバーの先端にスイッチを設けていたが、ジャパンタクシーではハンドルに内蔵されており、操舵した状態でハザード操作をする際、ハザードスイッチの位置が動いており目視をしないとスイッチ操作ができない[注 40]。
- クラウンGパケ系と比べると絶対的な室内容積が大きいため、各機器の設置スペースや収納スペースが増え、大型の貨物も室内に置けるようになった。
- トランクがクラウンGパケ系のノッチバック型のトランクリッドからハッチバックに変更され、かつガスステー付きのため、容量以上の荷物を積んだ際にハッチバックをゴムバンド等で固定できない。車椅子や背の高い荷物を立てて積むことは可能になったが、トノカバーと干渉するため脱着が必要。
- エンジンフードの支持がダンパーから支持棒に変更されたうえ、支持棒が車体側ではなくフード側にある。
- クラウンGパケ系においては左後のドアの自動ドアはその方式にかかわらずドアロック施錠状態でも開閉できたが[注 41]、本車種では運転席スイッチからの操作でもドアロック施錠状態では開閉できず、防犯面から施錠したい場合は乗客の乗降のたびに施解錠する必要がある。
改善要求
車椅子利用者からの改善要求
ジャパンタクシーの車椅子用のスロープについて、利用者・乗務員・事業者からの評判は以前から良くなかったが、特に車椅子利用者から「ジャパンタクシーは乗り降りに時間がかかって不便」とされ、オンライン署名サイトChange.orgに車体改善を求める約12,000人分の署名が集まり、2018年(平成30年)11月29日、トヨタ自動車名古屋オフィスに提出される事態に至った[50]。
ジャパンタクシーに車椅子のまま乗車するには、
- 助手席を前に倒して、後部座席を跳ね上げて折りたたむ。
- 収納袋にある2分割式のスロープを組み立てて、乗降口にピンで留めて設置する。
- 車椅子を乗せたら固縛ベルトで固定し、乗客用にシートベルトを組み替え装着する。
といった作業が必要で、トヨタ自動車は一連の作業にかかる時間を約10分間とみていたが、実際の乗車現場では15分以上かかるケースもあった[51]。
加えて、トヨタ自動車は「車両側面から乗車できるため、(車いす利用者が)乗車時に車道に出る必要がなく安心[52]」と謳っているが、いっぽう乗務員は座面の操作や固縛ベルト及びシートベルトの脱着のために右側ドアを開けて作業する必要があり、交通の状況によっては危険を伴う。
作業時間がかかり過ぎる、あるいは作業の煩雑さから、従来のタクシーと同じく車椅子は畳んでトランクに積むケースが殆どで、ドライバーの習熟にも全く繋がらない悪循環がある。利用者自身は運転手に座席まで抱えて持ち上げてもらったり、最悪の場合は車椅子利用者が乗車拒否に遭うケースも多発した[53]。これについて、チーフエンジニアの粥川宏は「作業が複雑で、マニュアルをみる時間もかかっていた。考えが甘かった」と述べた[51]。
改良発表前の2018年(平成30年)7月には神奈川トヨタ自動車が、工夫により5分で効率よく乗車できる方法をYouTubeにて紹介しており[54]、トヨタ自動車でも2019年(平成31年)のマイナーチェンジ以降、乗降方法の動画をYouTubeにて公開している[55]。
ジャパンタクシーの車椅子乗降に時間がかかる理由は、車椅子用のスロープが車両に据え付けられていないことが最大の原因である。
ジャパンタクシーのベースとなったシエンタのウェルキャブ(福祉車両)は、車椅子は後部ハッチバックドアから乗降する仕様になっている[56][注 42]。また、車椅子用のスロープは車両に据え付けてあり、約10秒でスロープを車外に引き出すことができる(スロープ格納時も同様)。その後、電動ウインチで車椅子を引き上げて、車椅子の乗客のシートベルトを固定するまでが約3分、乗降にかかる時間は5分以内であり[57]、運転手はリヤハッチドア周辺で車椅子の乗降操作を行うだけで、体力的負担も少ない。
改善後のモデルでもスロープが2分割になっており、なおかつ収納場所が客室内とトランクの2ヶ所に分かれている。そのため、運転手はスロープの取り外し・取り付け、ならびに取り出し・収納のために車両周辺の頻繁な移動を余儀なくされ、無駄な時間がかかるとともに、2分割されたスロープを組み立て・分解するため、体力的な負担も大きい[55]。
トヨタが公開している動画からは、ジャパンタクシーのスロープの据え付けに習熟した人間でも、据え付けに40秒以上、収納に50秒以上かかっていることが確認できる[55]。
トヨタが車椅子用のスロープをジャパンタクシーのフロアに内蔵せず、別体にした理由は公表されていない[注 43]。
タクシー業界団体からの耐久性改善要望
ジャパンタクシーはハイブリッドシステム、電動スライドドアなど、これまでタクシー専用車種に本格的に導入されていなかった多くの新機軸が盛り込まれたが、走行距離20万kmを超えたあたりから、これらの不具合が多発していることが判明している。
ジャパンタクシーの発売から5年以上経過した2023年3月29日、全国ハイヤー・タクシー連合会がトヨタ自動車のお客様関連部に、ジャパンタクシーの耐久性改善に関する要望書を提出した[58]。
全国ハイヤー・タクシー連合会の下部団体である東京ハイヤー・タクシー協会の会員各社から「ジャパンタクシーは走行距離20万キロを超えたあたりから不具合が多発する」という苦情が相次ぐようになり、東京ハイヤー・タクシー協会が調査を実施した。その結果、ジャパンタクシーの95%以上の車両でハイブリッドシステムのインバーターの故障や、スライドドアが開かない、雨が降るとワイパーの間欠機能が作動しなくなるなどのトラブルが発生していることが明らかになった[59]。
ジャパンタクシーの不具合問題については、国土交通大臣の記者会見でも質疑応答が行われており、2023年4月18日の国土交通大臣の記者会見にて、記者からの質問がなされた[60]。
それに対して、国土交通大臣の斉藤鉄夫は、
ある意味でハイブリッド車、これまで一般乗用で使われてきた訳ですが、普通の場合20万km程度までということで、タクシーで30万km、40万km使ったときに、ある意味で全く新しいこれまでの内燃機関タクシーとは違うハイブリッドということで、色々なこれまでの経験していない領域に入ってきて不具合が出てくるということは、当然これは技術の開発の中であり得ることだと思いまして、これをそういう不具合を見ながらまた改善していく。(中略)ある意味ではこれから改善していこうと、こういう趣旨の前向きな今回動きではないのかなと。
と回答している[60]。
ガソリンハイブリッド車との競合による売上の伸び悩み

ジャパンタクシーは当初月販1,000台を見込んでいたが、実際の登録台数は2021年が年間4,081台、2022年が年間3,998台と、当初予想の1/3程度にとどまっている[58]。
大きな理由は、本来はタクシー専用のLPGハイブリッドとして開発されたジャパンタクシーを購入するはずのユーザーが、同じトヨタのガソリンハイブリッド車のシエンタに乗り換えているためである[61][62]。すなわち、トヨタ内でタクシー車種の共食いが起きているのである。
事業者がシエンタを選ぶ理由として、JPN TAXIがシエンタに対し「値段が高すぎる」「福祉車両として使いにくい」「純正LPG車であることがアドバンテージでなくなった」(LPGスタンドの減少やバイフューエル改造のタクシー業界内における普及など)点が指摘されている。
ジャパンタクシーは先代のクラウンコンフォートやコンフォートなどのXS10系と比べて価格が1台あたり100万円以上も高価になった[43]。さらに、近年は地方を中心にLPGスタンドの廃業が増えている[63][64]。
その結果、一部タクシー会社では、燃費の良いガソリンハイブリッドであればLPG燃料とガソリン燃料の価格差を吸収できるとの考えから、ジャパンタクシーのベース車であり、価格も廉価なトヨタ・シエンタに乗り換えるケースが増えている[43][63]。
なお2023年6月27日現在のトヨタ公式サイト情報(ただし1万円未満切り上げ)によると、シエンタHV(FF・5シーター)は標準車で238〜287万円(税込)、Welcab「車いす仕様車 タイプI(助手席側セカンドシート付)」で252〜297万円(非課税)となっており、HV・車いす仕様同士の競合でもJPN TAXIのベースグレード「和」(334万円、税込み)と比べて82〜37万円もの価格差が発生する。さらにはシエンタ標準車の場合、JPN TAXIにはないAWDや7シーターも選択可能である、ピュアガソリン車であればWelcabタイプIも213万円から選択可能であるなど選択肢が豊富に用意されている。
全国LPガス協会のデータによると、LPGハイブリッド車のジャパンタクシーの登録台数は2018年から2020年にかけて1万台増加している一方で、全国のLPG車のタクシーの登録台数は同じ時期の2018年から2020年にかけて2万台以上減少している[65]。
同じ期間で、法人タクシーの全体の台数は6,800台程度の減少に過ぎないため[66]、全国のタクシー会社が、13,000台以上の老朽化したLPGタクシーを、ジャパンタクシーではなくシエンタなどのガソリンハイブリッド車や電気自動車など、LPG車以外の車両に買い替えていることになる[注 44]。
皮肉にもタクシー事業者の要望に応じてLPGハイブリッド車として開発したことが仇となり、同じトヨタ内で、ベースとなったガソリンハイブリッド車のシエンタと競合する現状になっている。
ユニバーサルデザインの観点から見ると、使用燃料がガソリンで構わなければ、シエンタのウェルキャブをタクシー化したほうが、車椅子乗客にとって乗降がジャパンタクシーよりも容易になり、運転手の負担も少なくなるうえに値段もHVのベースグレード同士で80万円以上、純ガソリン車を選んだ場合は120万円以上も安くなるメリットがある。
さらに、シエンタのガソリンハイブリッド仕様車を、ガソリンとLPGの2種類の燃料が使用できるバイフューエル仕様車に改造するケースも出現している[61]。なお、シエンタをLPGバイフューエル化するにあたってLPGボンベを後席と荷室の間に設置した場合[67]、後部ハッチバックドアから車椅子の乗降を行うことは物理的に不可能になる。そのため、シエンタのウェルキャブを、乗車定員を保ったままLPGハイブリッド化することは技術的に困難である。
日本国外における販売
先代に当たるクラウンコンフォートと同様、左側通行右ハンドルである香港でも販売されている。又、当車両に左ハンドル車の設定は無い。輸出仕様の車名は当初「ジャパンタクシー」ではなく「コンフォート」であったが2024年3月現在では「TAXI」に変更されている。
2023年3月に、タイ王国で開催されたバンコク国際モーターショーに、現地タクシーの塗装を施したジャパンタクシーが「LPG HEV TAXI CONCEPT」という名前で参考出品された[68]。
現在のタイのタクシーの主流は、セダンタイプのカローラアルティス(タイ現地生産車)であるが、今後タイにおいてジャパンタクシーの販売を行うための布石ではないかと見られている[68]。ただし、タイの輸入車に対する関税は高額なため、将来的にタイでジャパンタクシーの現地生産を行う可能性も指摘されている[68]。
- トヨタ・コンフォート(香港仕様)
- LPG HEV TAXI CONCEPT(2023年 タイ・バンコクモーターショー参考出品車)