スティング (映画)

アメリカの映画作品 (1973) From Wikipedia, the free encyclopedia

スティング』(原題:The Sting)は、1973年に公開されたアメリカ犯罪コメディ映画。監督はジョージ・ロイ・ヒル、脚本はデヴィッド・S・ウォード。主演はアメリカン・ニューシネマの代表作『明日に向って撃て!』で共演したポール・ニューマンロバート・レッドフォード。また悪役をロバート・ショウが演じた。1936年のシカゴを舞台に詐欺で日銭を稼ぐ1人の若者が、親同然の師匠を殺害したギャングに復讐するために伝説的な詐欺師と協力し、イカサマで追い詰める活躍を描く。原題のStingは俗語で「騙す」「ぼったくる」の意。

本作は公開当時大ヒットし、第46回アカデミー賞作品賞を受賞した。また、マーヴィン・ハムリッシュが担当した音楽も大ヒットし、「エンターテイナー」はビルボードで3位まで上昇した。

2005年に、アメリカ議会図書館によって、アメリカ国立フィルム登録簿に「文化的、歴史的、芸術的に重要な映画」として保存されることが決定した。

プロット

1936年9月、シカゴ圏内にある街イリノイ州ジョリエット。ベテラン詐欺師のルーサーと、相棒である若手詐欺師のフッカーは、路上強盗の狂言を行なって通りかかった男から11,000ドルを盗むことに成功する。ところが男の正体はギャングの運び屋で、大金の正体は組織が経営する違法賭博場の売上金であった。さらにカジノのオーナーは、ニューヨークを拠点とする裏社会の大物ドイル・ロネガンであり、彼は即座に犯人の捜索と報復を命令する。この情報はすぐに出回り、当夜のうちにフッカーは旧知の悪徳刑事スナイダーに2,000ドルを強請られ、従う振りをして偽札を渡す。急いでルーサーの家に駆けつけるフッカーであったが、一足遅く、既に彼は殺されていた。

フッカーは生前のルーサーが話していた凄腕の詐欺師ヘンリー・ゴンドーフを頼り、彼のアジトがあるシカゴへ向かう。ゴンドーフは一見するとうだつのあがらない中年男であったが、かつての詐欺事件でFBIに追われる身だと話し、フッカーを見込んで旧友ルーサーの敵討ちを決心する。ゴンドーフが声を掛けると詐欺仲間たちがすぐに集まり、古典的な電信詐欺でロネガンから大金をせしめる計画を進めていく。一方、スナイダーは偽札を掴まされた怒りで管轄外のシカゴまで赴きフッカーの行方を追う。

ゴンドーフたちはシカゴ市内に急ぎで偽の私設競馬賭博場(ノミ屋)を作るのと同時に、ロネガンを誘い込むため、シカゴ行きの列車内で行われるポーカー勝負に潜り込む。実業家の「ショウ」と名乗るゴンドーフは巧みな演技とカードすり替えで連勝し、最後はロネガンのイカサマを逆用して15,000ドルをせしめる。予め彼の財布をスリ盗ることでその場での支払不可能に追い込み、彼のプライドも酷く痛めつける。そしてゴンドーフは自身が経営する賭場に来るように言う。一方、ショウの部下「ケリー」としてフッカーはロネガンに接触し、ショウの賭場を乗っ取る計画を支援して欲しいと頼む。さりげなくロネガンの出自と自分の出自を重ねることで彼の懐に入ることい成功する。他方、彼の正体を知らないままのロネガンは、フッカーを殺すために配下の腕の立つ謎の殺し屋サリーノの招集を決める。

翌日、フッカーはロネガンと再会し、自身の計画を打ち明ける。ショウのノミ屋は電信に依存していること、自身は電報局の中央局長を抱き込んでおり、競馬中継の情報を意図的に数分遅らせることで、勝ち馬を事前に知ることができると説明する。ひとまず、ロネガンはテストとして2,000ドルを掛け勝利する。しかし、猜疑心が強いロネガンは以降は小出しの勝負しか行わず、調子に乗って大金を掛けることを期待したフッカーの狙いを外す。ロネガンと別れた後、フッカーは再びスナイダーに狙われるが逃亡に成功する。フッカーはゴンドーフに事情を打ち明け、呆れつつ対応を考える。

未だフッカーを信じきれないロネガンは、電報局の内通者に会わせるよう要求する。突発的な事態であったが、ゴンドーフ達はカゴ抜けと呼ばれる詐欺手法で電報局内で仲間とロネガンを引き合わせ彼を騙すことに成功する。今度こそフッカーを信じたロネガンは、再度の詐欺を頼むが、内通者に扮する仲間はあえて渋ることで協力を約束し、ロネガンはショウを破滅させるために今度こそ大金を掛けることをフッカーに約束する。ゴンドーフの仕掛けとタイミングが合わず一度見送ることになるが、かえってロネガンはフッカーを信用することになり、部下に明日の勝負で使う50万ドルを用意させる。

その頃、スナイダーはゴンドーフを追っているというFBI捜査官ポークに呼び出され、彼の逮捕のため、フッカーを逮捕することを要請する。スナイダーはフッカーを捕まえると、ルーサーの未亡人アルバを逮捕すると脅し、ゴンドーフ逮捕に協力させる。また、フッカーは馴染みの食堂で自分を狙う「殺し屋」を見つけ、新人ウェイトレスのロレッタの機転で助かる。自宅に戻れないフッカーはロレッタの部屋に泊まり、肌を合わせる。その様子を別室から別の「殺し屋」が伺う。

作戦当日、賭場に向かうフッカーはロレッタに遭遇し、抱擁をしようとしたところを殺し屋と思われる男の銃撃で彼女は射殺される。実はロレッタこそがサリーノであり、殺し屋の正体はゴンドーフが雇ったボディガードであった。そして賭場では賭けるべき馬を聞いたロネガンが、単勝で50万ドルを賭ける。焦った振りをするゴンドーフにロネガンは勝利を確信し、煽って賭けを受けさせる。賭けが成立した後、心配で様子を見に来たという電報局の内通者が現れ、単勝ではなく複勝と指摘する。慌てたロネガンが取り消し要求しようとしたところ、ポーク率いるFBIとスナイダーが現れ、ゴンドーフの逮捕を告げる。フッカーに裏切られた事に気づいたゴンドーフは彼に発砲し、それを受けてポークもゴンドーフに発砲する。フッカーとゴンドーフは共に倒れて動かなくなり、ポークはスナイダーにロネガンを含む客たちを外に出すように命じる。ロネガンは金を取り戻そうと抗議するが、スナイダーに無視される。

ロネガンやスナイダーが外に出たことを確認するとポークは2人に声をかける。何事もなかったようにゴンドーフとフッカーは立ち上がり、労いの言葉を掛け合う。始めからポークは詐欺仲間であり、すべて計画通りの手筈であった。 偽の賭場が解体される中、ゴンドーフとフッカーは人混みへと消えて行く。

キャスト

ヘンリー・ゴンドーフ(Henry Gondorff)
演 - ポール・ニューマン
30年のキャリアを持つ伝説的詐欺師。株取引詐欺が成功寸前でばれたため連邦捜査局(FBI)に追われる身となり、シカゴに逃亡。
ビリーの遊園地の回転木馬の整備をしながら細々と生活していたが、親友ルーサーの弔い合戦に動き出す。
ジョニー・フッカー(Johnny Hooker)
演 - ロバート・レッドフォード
詐欺で生計を立てる若い詐欺師。青臭く、生意気な性格。違法賭博の売上金を詐欺でくすねたことで、ギャングの大ボスであるロネガンの怒りを買い、師匠であるルーサーを殺されてしまう。
ゴンドーフと共にルーサーの敵を討とうとする。
ドイル・ロネガン(Doyle Lonnegan)
演 - ロバート・ショウ
ニューヨークとシカゴの街を牛耳るギャングのボス。跛行のアイルランド系アメリカ人
賭博場、食肉工場、銀行を経営し、さらには大勢の政治家との繋がりがある。多数のライバルを消して成り上がり、手下から資金の一部を奪ったフッカーらを必ず殺害することを命じる残虐な性格の持ち主。
ウィリアム・スナイダー(William Snyder)
演 - チャールズ・ダーニング
フッカーが暮らすイリノイ州ジョリエットの警察署に勤務する警部補
ロネガンがフッカーの命を狙っていることをフッカーに忠告する。極めて暴力的で、すぐに金銭を要求する悪徳警官。
キッド・ツイスト(Kid Twist)
演 - ハロルド・グールド
ゴンドーフの旧友で詐欺仲間。
詐欺師のコミュニティに広く顔が聴き、エディら詐欺仲間の招集、サクラの調達、場所の確保、会計士の変装とルーサーの弔い合戦の準備を行う。
J.J. シングルトン(J.J. Singleton)
演 - レイ・ウォルストン
ゴンドーフの旧友で詐欺仲間。ロネガンの身辺を洗い出したり、イカサマの手助け、ラジオ中継の模写など幅広くルーサーの弔い合戦に尽力する。
エディ・ナイルズ(Eddie Niles)
演 - ジョン・ヘファナン
ゴンドーフの旧友で普段は銀行員として働いている詐欺仲間。ロネガンの趣味、財力を調べたり、イカサマの手助け、賭博場の受付など幅広くルーサーの弔い合戦に尽力する。
ビリー(Billie)
演 - アイリーン・ブレナン
ゴンドーフの友人であり娼館のあるじ。ゴンドーフから「女伯爵」と呼ばれ、経営する屋内遊園地兼酒場兼娼館に彼を住まわせている。詐欺師としての腕前も持ち、ロネガンに対してスリを働く。
エリー・キッド(Erie Kid)
演 - ジャック・キーホー英語版
フッカーの親友で詐欺仲間。ロネガンに命を狙われたフッカーを逃亡させる。スナイダーによる暴力に遭いながらもフッカーの居所を話さなかったため、それを目撃していたキッドにガッツを買われてルーサーの弔い合戦に参加する。
ヒッキー(Hickey)
演 - ダナ・エルカー
連邦捜査局(FBI)捜査官ポークに扮してスナイダー(と視聴者)を騙す。
ルーサー・コールマン(Luther Coleman)
演 - ロバート・アール・ジョーンズ
アフリカ系の大物詐欺師であり、フッカーとキッドの師匠。カジノの売上金を詐欺で手に入れたことで詐欺師稼業から足を洗おうとするが、ロネガンの怒りを買い、アジトの窓から突き落とされて殺害される。
ロレッタ(Loretta)
演 - ディミトラ・アーリス英語版
フッカーが使っている食堂で働く女性。殺し屋に命を狙われているフッカーの逃亡に力を貸す。
実はフッカーの命を狙うロネガンが雇った殺し屋 ロレッタ・サリーノ。

スタッフ

日本語版

さらに見る 日本テレビ版, テレビ朝日版 ...
日本テレビ テレビ朝日 ソフト版
演出佐藤敏夫福永莞爾圓井一夫
翻訳平田勝茂余語健
調整平野富夫蝦名恭範
効果遠藤堯雄
桜井俊哉
リレーション
選曲重秀彦
制作東北新社
閉じる

日本語吹替

さらに見る 役名, 俳優 ...
役名 俳優 日本語吹替
日本テレビ版テレビ朝日版ソフト版
ヘンリー・ゴンドーフポール・ニューマン川合伸旺津嘉山正種小川真司
ジョニー・フッカーロバート・レッドフォード柴田恭兵山寺宏一内田夕夜
ドイル・ロネガン[注 1]ロバート・ショウ木村幌有川博池田勝
スナイダーチャールズ・ダーニング宮川洋一石田太郎島香裕
J.J.レイ・ウォルストン永井一郎大木民夫牛山茂
ロレッタディミトラ・アーリス英語版新橋耐子一柳みる本田貴子
ビリーアイリーン・ブレナン清水良英来宮良子塩田朋子
キッド・ツイストハロルド・グールド西田昭市中村正小島敏彦
エディ・ナイルズジョン・ヘフマン 英語版上田敏也有本欽隆村松康雄
ポークダナ・エルカー山内雅人緒方賢一
エリー・キッドジャック・ケホー英語版角野卓造池水通洋田中一永
ルーサー・コールマンロバート・アール・ジョーンズ金井大阪脩緒方賢一
モットーラジェームズ・スローアン英語版徳丸完梁田清之
フロイドチャールズ・ディアコップ英語版青野武田中亮一
コームアーチ・ジョンソン英語版大宮悌二村松康雄乃村健次
グレンジャーエド・ベイキー 英語版千葉耕市千田光男
コメディアンレオナルド・バー英語版北村弘一増岡弘
アルバポーリーン・マイヤーズ英語版麻生美代子さとうあい
黒手袋の男ジョー・トルネーター飯塚昭三増岡弘
ディーラーウィリアム・ベネディクト英語版田村錦人
閉じる

※2018年10月11日発売の『ユニバーサル 思い出の復刻版 ブルーレイ』にはソフト版に加え、日本テレビ版とテレビ朝日版の吹き替えも収録。また、2021年7月21日発売の4K Ultra HD+Blu-rayにも思い出の復刻版と同仕様のブルーレイが収録された[6]

上記のものの他に、ポール・ニューマンを羽佐間道夫、ロバート・レッドフォードを広川太一郎が吹き替えたバージョンが存在する[7]。また、額田やえ子が翻訳を担当した機内上映版が存在する。

解説

プロデューサーはポール・ニューマンに50万ドルのギャラを提示し、ニューマンは契約書にサインした。ニューマンはスティングより前の5作品が興行的に不振だったため、スティングでは成功する必要があった[8]。女性ライターのジュリア・フィリップスは1991年の著書で、ロバート・ショウがアカデミー助演男優賞を逃した理由は、ショウがニューマンやレッドフォードとの名前の順番にこだわったからだと記している[9]

詐欺師の手法をフィールドワークで集めた言語学者デヴィッド・W・モラー英語版の著作『詐欺師入門―騙しの天才たち:その華麗なる手口』に基づいている。「ゴンドーフ」や「JJ」といった名前は20世紀初期に実在した詐欺師たちの名前に因んでいる。犯罪映画に分類されることもある。レッドフォード演じるフッカーは当初ジャック・ニコルソンに出演が打診されていたが、断られた。

評価

  • Rotten Tomatoesによれば、批評家の一致した見解は「ポール・ニューマンとロバート・レッドフォード、そしてジョージ・ロイ・ヒル監督が、魅力とユーモア、そして少しの巧妙なひねりがあれば素晴らしい映画になることを証明している。」であり、63件の評論のうち高評価は94%にあたる59件で、平均点は10点満点中8.3点となっている[10]
  • Metacriticによれば、17件の評論のうち、高評価は12件、賛否混在は5件、低評価はなく、平均点は100点満点中83点となっている[11]

受賞/ノミネート

第46回アカデミー賞

受賞 人物
作品賞 リチャード・D・ザナック
トニー・ビル
マイケル・フィリップス
ジュリア・フィリップス
監督賞 ジョージ・ロイ・ヒル
脚本賞 デヴィッド・S・ウォード
編集賞 ウィリアム・H・レイノルズ
美術賞 ヘンリー・バムステッド英語版
ジェームズ・ペイン英語版
衣裳デザイン賞 イーディス・ヘッド
編曲・歌曲賞 マーヴィン・ハムリッシュ
ノミネート
主演男優賞 ロバート・レッドフォード
撮影賞 ロバート・サーティース
録音賞 ロナルド・K・ピアース英語版
ロバート・バートランド英語版
第48回キネマ旬報ベスト・テン
委員選出外国語映画第4位/読者選出外国語映画第1位/読者選出外国語映画監督賞

この作品のDVDには長らく日本語音声が収録されていず、日本語字幕のみでしか鑑賞ができなかった。販売元がソニー・ピクチャーズ エンタテインメントからユニバーサルに代わってもその仕様は変わらなかった。しかし2005年に、特典映像としてオリジナルの予告編俳優スタッフが語る「スティングの見どころ」を収録したDVDスティング スペシャル・エディション』の発売に伴い、ようやく日本語吹替音声が収録された。その後も通常版では日本語音声なしだったが、blu-rayの通常版には日本語吹替音声が収録されるようになった。

書籍

作品内で用いられた詐欺の手法を詳細に記した『The Big Con』は1940年に初版され、1999年に再版された[12]。また、ロバート・ウィーバーカによる日本語訳ノベライズ『スティング』(村上博基 訳、ハヤカワ文庫、1974年、ISBN 978-4-1504-0063-7)がある。

脚注

関連項目

外部リンク

Related Articles

Wikiwand AI