タイツリオウギ
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| タイツリオウギ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 分類(APG III) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| Astragalus shinanensis Ohwi[1][2] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| タイツリオウギ |
タイツリオウギ(鯛釣黄耆、学名:Astragalus shinanensis Ohwi[1][2])は、マメ科ゲンゲ属に分類される多年草の1種[7][8][9][10][11][12][13]。和名は、果実の形とつき方から、魚の鯛を釣り上げた様子を連想することに由来する。
根は木質で太くて長く[7]、根の頂から茎を叢生する[9]。茎は直立かやや斜上し[9]、高さ10-70 cm[9]、まばらに白い軟毛がある[7]。葉は長さ3-8 cmの奇数羽状複葉[7]。小葉は6-11対[注釈 1][14]、長さ0.6-2.2 cm、幅0.3-1 cmの狭長楕円形で、表面に薄く、裏面には厚く白い軟毛を敷く[8]。托葉は皮針形または線形で長さ5-10 mm、離れてつく[13]。
- 葉は奇数羽状複葉、狭長楕円形で6-11対
上部の葉腋から長さ4-10 cmの花柄をのばし、5-10個の花を一方側に並べて[9]総状につける[7]。花柄には白い毛と黒い毛がある[7]。花は帯黄白色で長さ1.5-2 cm[7]。花冠は細長い蝶形[13]。旗弁の先はわずかにそり、雄蕊は10本、うち9本はゆ合し、雌蕊は1本[13]。萼には黒褐色の毛があり[7]、長さ8-10 mm[11]。萼裂片は三角形-狭三角形で長さ0.5-2 mm[11]。果実は豆果で楕円形[11]、莢(さや)は薄く、袋状にまるくふくらみ[8]1室、両端は鋭くとがり、長さ3-4 cm、幅1.2-1.5 cm[11]、ほとんど無毛またはまばらに短毛がある[7]。基部には長さ約1 cmの果柄があり、豆果は釣りあげられた鯛のようにぶら下がる[7]。花期は7月-8月[7][8][9][13]。種子が5-7個入る[11]。晴天が続いて乾燥すると豆果は裂開する[7]。種子は扁平なほぼ楕円形で、一方はふくらみ長さ3 mm、幅4 mm[11]。染色体数は2n=16(2倍体)[8]。
- 5-10個の花を総状につける
分布と生育環境

日本の固有種[8]。北海道(大雪山系、大平山)、本州(北アルプス、八ヶ岳、南アルプス、富士山[注釈 3][12])に分布する[8]。かなり狭い範囲に分布する[13]。岩手県下閉伊郡岩泉町、長野県北安曇郡小谷村、北城村、南安曇郡安曇村、諏訪郡原村、玉川村、富士見村、上伊那郡美和村、下伊那郡大鹿村、静岡県富士宮市などで標本が採集されている[15]。基準標本は白馬岳と富士山のもの[7][8]。
亜高山帯-高山帯の開けた適潤な[9]草地や砂礫地に生育する[7][8][13]。岩手県や北海道の大平山では石灰岩地にも生育する[8]。ときに亜高山帯の河原にも生育する[9]。南アルプス上河内岳の北東斜面では、35-40度の急斜面に本種やタカネビランジなどの高茎草本群落が形成されている[16]、千枚岳北西斜面では、本種、イワオウギ、キタダケヨモギ、ホソバトリカブトが優占する高山高茎草本群落が成立している[17]。
種の保全状況評価
類似種と分類
キバナオウギ
キバナオウギ(黄花黄耆、学名:Astragalus membranaceus (Fisch. ex Link) Bunge[22])は、中央アジアから東アジアにかけて分布する[8]。基準標本はアムールのもの[7]。花は小さめで、萼歯は低く、子房の毛は短い[8]。この基準変種(A. membranaceus var. membranaceus)に対し、本種がその1変種(A. membranaceus var. obtusus[注釈 5][3])として扱われる場合がある[8][10][9][13]。本種がキバナオウギと同一の種(A. membranaceus)[11][12]で、この別名がキバナオウギとして扱われる場合もある[7]。ここでは、タイツリオウギを日本の固有種[8]の独立種(A. shinanensis)とした[1]。
トカチオウギ
1986年(昭和53年)に本種と近縁な新種のトカチオウギ(十勝黄耆、学名:Astragalus tokachiensis T.Yamaz. et Kadota[23])が、山崎敬と門田裕一により報告された[7]。基準標本は西クマネシリ岳のもので、ニペソツ山でも確認されている[7]。小葉が8-10対と多く、萼はほとんど無毛、萼片は広三角形でごく短い[7]。豆果は無毛[7]。
識別ポイント
日本の高山帯で見られるこの仲間(シロウマオウギ、リシリオウギ、イワオウギ)は同定が難しいが、豆果と萼の形などが決め手となる[24]。イワオウギのみがイワオウギ属で、花はゲンゲ属の種と一見似ているが、果実の形は全く異なる[25]。