イワオウギ

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イワオウギ
南アルプスの高山帯、長野県にて、2025年8月21日撮影
イワオウギ、2025年8月
南アルプス高山帯長野県にて
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : マメ類 fabids
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
亜科 : マメ亜科 Faboideae
: イワオウギ属 Hedysarum
: イワオウギ(広義)
H. vicioides[1]
亜種 : イワオウギ
H. vicioide-s subsp. japonicum var. japonicum
学名
Hedysarum vicioides Turcz. subsp. japonicum (B.Fedtsch.) B.H.Choi et H.Ohashi var. japonicum (B.Fedtsch.) B.H.Choi et H.Ohashi[2]
シノニム
  • Hedysarum ussuriense Schischk. et Kom.[3]
  • Hedysarum komarovii B.Fedtsch.[4]
  • Hedysarum iwawogi H.Hara[5]
  • Hedysarum alpinum L. var. japonicum B.Fedtsch.[6]
  • Hedysarum esculentum Ledeb.[7]
和名
イワオウギ

イワオウギ(岩黄耆、学名Hedysarum vicioides Turcz. subsp. japonicum (B.Fedtsch.) B.H.Choi et H.Ohashi var. japonicum (B.Fedtsch.) B.H.Choi et H.Ohashi[2])は、マメ科イワオウギ属分類される多年草の1[7][8][9][10][11][12][13][14]。別名がタテヤマオウギ(立山黄耆[14][7][8][9][10]

和名場に生育し、薬用黄耆の代わりに強壮薬、利尿薬に用いられることに由来する[13]シノニムであるHedysarum ussuriense[3]種小名ussuriense)は、シベリアウスリー産を意味する[14]。シノニムであるHedysarum esculentumの種小名(esculentum)は、食用を意味する[7]

特徴

質化した太いがあり、乾燥に強い。を叢生して分枝し、白いがある[8]。高さ10-80 cm[8][9][11]奇数羽状複葉[8]。小葉は5-12対[注釈 1][15]、長さ0.9-2 cm、幅0.4-1 cmの狭卵形[8]、全縁[14]、先は円形で主脈がつきでる[9]。表面は無毛で[9]、細かい腺点がある[8]。裏面には伏毛があり、特に主脈と縁に多い[8]托葉は膜質、披針形、帯褐色、長さ12-20 mm[12]、2裂し茎を抱く[10]

花柄は長さ5-15 cmで白い伏毛が密生し、上部に10-30個の[10]総状[10]に下向きにびっしりとつける[16]。花序の中軸に上向きの白い短毛がある[9]。小花柄は3-7 mm、竜骨弁は旗弁、翼弁より2 mm以上長い[12]花冠は黄白色、長さ1.4-2 cm[9]雄蕊は10本、雌蕊は1本[14]は5中裂し、長さ4-6 mm、側裂片は長さ約1 mm、最下の萼片裂は長さ2-3 mm、萼筒と同長またはやや短い[12]。花期は6月-8月[8][12][13]

果実豆果で1-4個の小節果からなり、短い果柄があり、ふちには狭い翼がある[8]串団子のような面白い形をしている[17]。節果は広線形(ときに1個の節果のみが成熟して楕円形、長さ1-4 cm、幅4-6 mm[12]。短い果柄があり、縫合腺に幅狭い翼があり、翼の縁に不規則な鋸歯がある[12]。側面に隆起する粗い綱紋があり[9][11]、くびれがある[18]。節果は裂開せず[9]、熟すと1個の種子を包む小節果ごとにちぎれて落ちる[18]染色体数は2n=14(2倍体)[9]

分布と生育環境

白馬岳の高山帯でテガタチドリとともに生育するイワオウギの群落
富士山の高山帯の溶岩の砂礫地に生育するイワオウギ

東アジア日本朝鮮半島北部、中国東北部、シベリア東部)に分布する[10][12]。日本では北海道本州中部地方以北(東北地方関東地方北部、富士山以北の中部地方)[14]に分布する[8][9][12]

北海道岩内郡岩内町山形県西置賜郡小国町西村山郡西川町長野県北安曇郡小谷村白馬村諏訪郡原村上伊那郡伊那里村[注釈 2]山梨県中巨摩郡芦安村[注釈 3]石川県石川郡白峰村[注釈 4]岐阜県吉城郡上宝村[注釈 5]静岡県富士宮市などで標本が採集されている[19]基準標本は日本のもの[9]

亜高山帯から高山帯にかけての日当たりの良い[10]砂礫地、岩壁などに生育する[注釈 6][8]石灰岩地にも多い[10][20]。高山の草地で大群落となることが多い[11]。高緯度地方では山地の草原で見られる[12]繁殖力が旺盛で、白馬岳では、草地から礫地、岩場にまで生育し、大群生があちこちで見られる[9]富士山では高山帯の砂礫地や岩の間で見られる[13]

分類

ムラサキイワオウギ
Hedysarum alpinum

基準亜種のssp. vicioidesは小葉が線状楕円形、花冠は長さ1-1.2 cmで短い[9]。シベリアに分布する[9]。基準標本はシベリア東部のもの[21]

ケイワオウギ

豆果に短毛がある品種は、ケイワオウギ(毛岩黄耆、学名:Hedysarum vicioides Turcz. subsp. japonicum (B.Fedtsch.) B.H.Choi et H.Ohashi var. japonicum (B.Fedtsch.) B.H.Choi et H.Ohashi f. pilosum (Ohwi) Kitag.[22])とよばれている[21][9][11]。別名が、サヤゲイワオウギ(莢毛岩黄耆)[22]

ムラサキイワオウギ

本種はヨーロッパからシベリアにかけて分布する花が藤紫色のムラサキイワオウギ(紫岩黄耆、学名:Hedysarum alpinum L.[23])に近縁で、この変種(シノニムのHedysarum alpinum L. var. japonicum B.Fedtsch.[6])とされたこともある[21]

種の保全状況評価

環境省による第5次レッドリストで指定を受けていないが[24]都道府県レベルでは以下の指定を受けている[25]秩父多摩甲斐国立公園で特別地域指定植物のひとつに指定されている[20]登山者の踏圧[26]、自生地である岩礫地の自然崩壊、シカによる食害[27]などが生育を脅かす要因。

利用

中国の黄耆(キバナオウギ)の代用として薬用にすることがある[7]

類似種との識別ポイント

日本の高山帯で見られるこの仲間(シロウマオウギリシリオウギタイツリオウギ)は分布域も重なり、同定が難しいが、豆果と萼の形などが決め手となる[32]。イワオウギのみがイワオウギ属で、花は他のゲンゲ属の種と一見似ているが、果実の形は全く異なる[33]。イワオウギは他の種と比べて花が穂状に長いこと、また果実のなる季節であれば、節果(さやに節がある)であることから他種と識別できる[15]

脚注

参考文献

外部リンク

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