チェンジャンゴカリス

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チェンジャンゴカリス
生息年代: 518–516 Ma[1][2]
チェンジャンゴカリスの復元図
地質時代
古生代カンブリア紀第三期
(約5億1,800万 - 5億1,600万年前)[1][2]
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: フーシェンフイア目 Fuxianhuiida
: チェンジャンゴカリス科 Chengjiangocarididae [3]
: チェンジャンゴカリス属 Chengjiangocaris
学名
Chengjiangocaris
Hou & Bergström, 1991 [4]
タイプ種
Chengjiangocaris longiformis
Hou & Bergström, 1991 [4]
  • Chengjiangocaris longiformis
    Hou & Bergström, 1991 [4]
  • Chengjiangocaris kunmingensis
    Yang et al., 2013 [5]

チェンジャンゴカリスChengjiangocaris[4])は、約5億年前のカンブリア紀に生息した化石節足動物フーシェンフイア類の一[6]。同規的な長い体をもち[3]中国雲南省から2が発見される[5][2]

学名Chengjiangocaris」は模式種タイプ種Chengjiangocaris longiformis の発見地澄江ピンイン:Chéngjiāng、チェンジャン)と、古代ギリシア語の「καρίς」(carisカニもしくはエビの意、水生節足動物の学名に常用される接尾辞)の合成語である[4]中国語は「澄江蝦」(簡体字:澄江虾、ピンイン:Chéngjiāng xiā、チェンジャンシャ)と呼ぶ[7]。模式種 C. longiformis(中国語名:長形澄江蝦/长形澄江虾[8])の種小名longiformis」は「長い形」を意味する[4]。2つ目の C. kunmingensis(中国語名:昆明澄江蝦/昆明澄江虾[7])の種小名kunmingensis」は発見地の昆明市(Kunming)による[5]

化石と発見

チェンジャンゴカリスの化石標本は、中国雲南省カンブリア紀第三期に該当する堆積累層 Maotianshan Shale澄江動物群澄江市[4]Xiaoshiba LagerstätteXiaoshiba biota, Hongjingshao Formation昆明市[5]のみから発見される[6][2]。ほとんどの化石標本は頭部の背甲が解離した状態に保存され、これは腐敗が進んだ遺骸もしくは脱皮殻を表したと考えられる[5][9]。2つ目の種 Chengjiangocaris kunmingensis は発見が最も完全で、腹神経索神経節から他の節足動物に類が見られない神経根まで見つかり、フーシェンフイア類神経解剖学と節足動物の神経系の進化に貴重な情報を与えたとされる[6][10](詳細はフーシェンフイア類の項目を参照)。

形態

チェンジャンゴカリスの前半身の外部構造
A:背面、B:腹面、C:側面、D:脚、Ant:触角、As:先頭の甲皮、En:内肢、Ex:外肢/外葉、Ey:複眼、Fg:餌を運ぶ用の溝、Gn:顎基、Hs:背甲、Hy:ハイポストーマ、Ot:後胸部の背板、Pr:原節、Pt:前胸部の背板、SPA:触角直後の特化した付属肢、Wl:脚
背甲(右上)が解離した前半身
腹面構造(ant:触角、asc:先頭の甲皮、ey:複眼、exp:脚の外肢、fg:餌を運ぶ用の溝、gn:顎基、hs:背甲、m:、hy:ハイポストーマ、SPA:触角直後の特化した付属肢、wl:脚の内肢)

体長最大6.3cmから10cmで[2]、長い胴部の二十数枚の同規的な背板が特徴的なフーシェンフイア類である[3][5]

本属に限らず、フーシェンフイア類全般に共通とされる腹神経索の特徴[10]についてはフーシェンフイア類#神経系を参照のこと。

頭部

頭部(cephalon)他のフーシェンフイア類と同様、先頭には1枚の小さな甲皮(anterior sclerite)と眼柄に突出した1対の複眼をもつ[5][11]。甲皮直後のハート形の背甲(carapace[12], head shield)は横幅と縦幅がほぼ同じ長さで[11]、頭部の付属肢と直後の前胸部を上から被る[5][11]

腹面のチョウの形に似た1枚のハイポストーマ(hypostome、もしくは頭楯 clypeus と上唇 labrum の複合体[13])に覆われ、その直前には触角、左右には「specialized post-antennal appendage」(通称「SPA」)という3節に分れた付属肢をそれぞれ1対もつ[5][11]。SPAの基部は鋭い鋸歯が並んで[11][13]、先端はフーシェンフイアに似た鉤爪[5]

胴部

胴部(trunk)は細長く、二十数枚の背板(tergite)に覆われている[3][5]。前5枚の退化的な背板に現れる部分は前胸部(prothorax)で、背板1枚につき1対の脚に対応する[5][10][11]。それ以降の長方形の背板はほぼ同じ構造の繰り返しで、後方ほど幅狭くなる[3][5]Chengjiangocaris kunmingensis の場合、(脚に対応するとされる)神経節は第23背板まで備わったことにより、脚は第23背板まで生えたと考えられる[10](これによると、本種の第6-23背板は後胸部 opisthothorax、第24-26背板は腹部 abdomen を表したとされる[12])。これらの背板と脚は不揃いで、1枚につき3-4対の脚を被る[5][10]。最終背板の直後は中央に丸みを帯びた尾節(telson)、左右に尾扇に似た楕円形の突起物(lateral telson process[12], tail fluke[5])をもつ。

数十対の同規的な脚は外肢(exopod)と内肢(endopod)でできた二叉型付属肢で、前胸部後方の数対が背板の両縁を超えるほど発達し、そこから前後に向けて次第脚が徐々に短くなる[5][10][11]。外肢は単調な楕円形で前方数対が内肢より短く、内肢は丈夫な円錐状で十数節以上の短い肢節に分かれ、先端は鉤爪状に尖る[11]。少なくとも前胸部の脚は、原節(protopod、外肢と内肢につながる基部の肢節)の内側に鋸歯状の顎基(gnathobase)があり、口の直後で餌を運ぶ用の溝(food groove)を構成する[11][13]

生態

他のフーシェンフイア類に似て、チェンジャンゴカリスは遊泳底生性(nektobenthic、底生性に近い遊泳性)で、海底の近くに生息し、脚の外肢で呼吸していたと考えられる[6]。かつては単調な口器のみ知られたため、堆積物しか摂れないという単純な食性をもつとされてきた[5]が、SPAの鋸歯と脚の顎基が後に判明し、捕食者腐肉食者であったことが示唆される[11]。これにより、チェンジャンゴカリスは似た口器をもつ近縁アラカリスと同様、顎基で堆積物上の腐肉や小動物を捕獲しては、顎基に形成される溝でそれを後ろ向きの口に運んで、強大なSPAとハイポストーマで餌を更に細かく咀嚼したと考えられる[11][6]

分類

脚注

関連項目

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