デクチン1

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デクチン1(Dectin-1)もしくはCLEC7A(C-type lectin domain containing 7A)は、ヒトではCLEC7A遺伝子によってコードされているタンパク質である[1]。デクチン1は、CTL/CTLD(C-type lectin/C-type lectin-like domain)スーパーファミリーに属する糖タンパク質であり、C型レクチン英語版様の細胞外ドメイン、そして免疫受容体チロシン活性化モチーフ英語版(ITAM)様モチーフを有する細胞質ドメインを持つ、II型膜貫通タンパク質である。デクチン1は真菌植物由来のさまざまなβ-1,3-およびβ-1,6-結合型グルカンを認識するパターン認識受容体として機能し、自然免疫応答に関与している。CLEC7A遺伝子は12番染色体英語版12p13のNK gene complex領域に位置し、他のCTL/CTLDスーパーファミリーのメンバーの遺伝子と密接に連鎖している[1]

デクチン1は膜貫通タンパク質であり、細胞の活性化に関与するITAM様モチーフを細胞内テールに、そしてβ-グルカンT細胞上の未同定の内因性リガンドを認識するC型レクチン様ドメイン(CRD)を細胞外領域に有する。CRDはストーク領域によって膜から隔てられている。ストーク領域にはN-結合型グリコシル化が行われると推定される部位が存在している[2][3]

デクチン1を発現しているのは、主にマクロファージ好中球樹状細胞である[4]好酸球B細胞など、他の免疫細胞での発現に関する研究も行われている[5]

機能

C型レクチン受容体は、抗真菌免疫に関与しているパターン認識受容体の一分類であり、また細菌ウイルス線虫など他の病原体に対する免疫応答にも重要な役割を果たしている[2]。デクチン1はこの受容体ファミリーの一員として、真菌の細胞壁や、一部の細菌や植物にみられるβ-グルカンや炭水化物を認識するが、未同定の他の分子(T細胞上の内因性リガンドやマイコバクテリウム表面のリガンド)の認識にも関与している可能性がある[2]。デクチン1へのリガンドの結合は、ITAM様モチーフを介して細胞内のシグナル伝達、Syk英語版依存的経路と非依存的経路の双方を誘導する。より具体的には、リガンド結合に伴うデクチン1の二量体化によってSrcファミリーキナーゼ英語版によるチロシンリン酸化、そしてSykのリクルートが引き起こされる。Sykのリクルートに伴ってPKC-δ英語版が活性化され、PKC-δはその後CARD9英語版をリン酸化する。リン酸化されたCARD9はBCL10MALT1をリクルートし、CARD-CC英語版/BCL10/MALT1(CBM)シグナル伝達複合体の形成をもたらす[6]。このシグナル伝達複合体はTRAF6英語版のリクルート、そしてNF-κBの活性化を引き起こす。NF-κBは、TNFIL-23IL-6IL-2など多数のサイトカインケモカインの産生を担う転写因子である[5]。他にも、デクチン1へのβグルカンの結合によって、呼吸バースト英語版アラキドン酸代謝物の産生、樹状細胞の成熟、エンドサイトーシス食作用によるリガンドの取り込みといった応答が引き起こされる[7]

抗真菌免疫

デクチン1は、サッカロマイセス属Saccharomycesカンジダ属Candidaニューモシスチス属Pneumocystisコクシジオイデス属英語版Coccidioidesアオカビ属Penicilliumなど、いくつかの属の真菌を認識することが示されている。これらの生物の認識によって、食作用による真菌の取り込みや次亜塩素酸イオンの産生による殺菌など、多くの保護的経路が開始される。またデクチン-1の活性化は、保護的役割を果たす多くの抗真菌サイトカインやケモカイン(TNF、CXCL2IL-1βIL-1α英語版CCL3英語版GM-CSFG-CSF、IL-6)の発現や、Th17細胞の発生の引き金となる[7]

ヒストプラズマ・カプスラツム英語版Histoplasma capsulatumは、露出したβ-グルカンを除去する酵素の分泌、もしくはβ-グルカンをα-グルカン英語版で覆うことで、食細胞上のデクチン1によるβ-グルカンの認識を回避する[8]

共刺激分子

デクチン1はT細胞上の未同定の内因性リガンドを認識して細胞の活性化と増殖をもたらすため、共刺激分子として機能している可能性がある。デクチン1は、CD4+T細胞CD8+T細胞の双方に結合する[7]

出典

関連文献

外部リンク

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