MALT1

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MALT1(mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma translocation protein 1)は、ヒトではMALT1遺伝子にコードされるタンパク質であり[5][6][7]、ヒトのパラカスパーゼ英語版である。

PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
記号MALT1, IMD12, MLT, MLT1, PCASP1, MALT1 paracaspase
染色体18番染色体 (ヒト)[1]
概要 PDBに登録されている構造, PDB ...
MALT1
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

2G7R, 3BFO, 3K0W, 3UO8, 3UOA, 3V4O, 3V55, 4I1P, 4I1R

識別子
記号MALT1, IMD12, MLT, MLT1, PCASP1, MALT1 paracaspase
外部IDOMIM: 604860 MGI: 2445027 HomoloGene: 4938 GeneCards: MALT1
遺伝子の位置 (ヒト)
18番染色体 (ヒト)
染色体18番染色体 (ヒト)[1]
18番染色体 (ヒト)
MALT1遺伝子の位置
MALT1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点58,671,465 bp[1]
終点58,754,477 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
18番染色体 (マウス)
染色体18番染色体 (マウス)[2]
18番染色体 (マウス)
MALT1遺伝子の位置
MALT1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点65,564,009 bp[2]
終点65,612,138 bp[2]
RNA発現パターン




さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 シグナルトランスデューサー活性
ubiquitin-protein transferase activity
protease binding
protein self-association
ペプチダーゼ活性
血漿タンパク結合
kinase activator activity
cysteine-type endopeptidase activity
加水分解酵素活性
identical protein binding
細胞の構成要素 細胞質
細胞膜
核小体
perinuclear region of cytoplasm
細胞核
fibrillar center
細胞質基質
CBM complex
生物学的プロセス regulation of apoptotic process
防衛反応
regulation of T cell receptor signaling pathway
negative regulation of apoptotic process
stimulatory C-type lectin receptor signaling pathway
activation of NF-kappaB-inducing kinase activity
タンパク質分解
Fc-epsilon receptor signaling pathway
T cell proliferation
B cell activation
response to fungus
positive regulation of T cell activation
positive regulation of interleukin-2 production
protein complex oligomerization
positive regulation of T cell cytokine production
positive regulation of I-kappaB kinase/NF-kappaB signaling
nuclear export
B-1 B cell differentiation
細菌起源の分子への反応
positive regulation of protein ubiquitination
T cell receptor signaling pathway
protein ubiquitination
自然免疫
positive regulation of NF-kappaB transcription factor activity
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_006785
NM_173844

NM_172833
NM_001365019

RefSeq
(タンパク質)

NP_006776
NP_776216

NP_766421
NP_001351948

場所
(UCSC)
Chr 18: 58.67 – 58.75 MbChr 18: 65.56 – 65.61 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス
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機能

マウスにおけるパラカスパーゼ遺伝子の遺伝的除去や生化学的研究では、パラカスパーゼがT細胞B細胞の活性化に重要なタンパク質であることが示されている。また、転写因子NF-κBの活性化やインターロイキン-2(IL-2)の産生に重要な役割を果たす[8][9]。さらに、パラカスパーゼはマクロファージ樹状細胞におけるザイモサン英語版受容体であるDectin-1によって媒介される自然免疫応答や、特定のGタンパク質共役受容体刺激に対する応答に関与していることが示されている[10]

この遺伝子には、選択的スプライシングによる、異なるアイソフォームをコードする2種類の転写産物が発見されている[11]

配列解析からは、パラカスパーゼはN末端デスドメイン英語版、2つの免疫グロブリン様ドメイン、カスパーゼ様ドメインを持つことが提唱されている[12]。デスドメインと免疫グロブリン様ドメインはBCL10への結合に関与している。下流のNF-κBシグナル伝達の活性化とプロテアーゼ活性は、BCL10/MALT1が活性化されたCARD-CCファミリー英語版タンパク質(CARD9英語版CARD10英語版CARD11英語版CARD14英語版)へリクルートされ、CBM(CARD-CC/BCL10/MALT1)シグナル伝達複合体を形成した際に行われる。

パラカスパーゼはT細胞において、カスパーゼ様ドメインがプロテアーゼ活性を持つことが示されている。この活性にはCys464とHis414が重要である。メタカスパーゼ英語版と同様に、パラカスパーゼは基質をアルギニン残基の後で切断する。これまでにいくつかの基質が記載されている(下を参照)。BCL10はArg228の後で切断される。その結果C末端の5アミノ酸が除去されるが、この切断はT細胞のフィブロネクチンへの接着に重要である一方で、NF-κBの活性化やIL-2の産生には重要ではない。しかし、パラカスパーゼのタンパク質切断活性に対するペプチドベースの阻害剤(z-VRPR-fmk)を用いた実験では、プロテアーゼ活性はNF-κBの活性化とIL-2の産生の維持に必要であることが示されており、T細胞でのNF-κBの活性化にはパラカスパーゼの他の基質が関与していることが示唆される[13]脱ユビキチン化酵素A20は、パラカスパーゼによって切断されることがヒトとマウスで示されている。切断を受けないA20変異体を発現する細胞もNF-κBを活性化することはできるが、A20のC末端またはN末端切断産物を発現する細胞は野生型のA20を発現する細胞よりも強力にNF-κBを活性化する。A20はNF-κBの阻害因子として記載されているため、このことはT細胞でのパラカスパーゼによるA20の切断が適切なNF-κBの活性化に必要であることを示唆している[14]

プロテアーゼの基質

MALT1はパラカスパーゼファミリーに属し、プロテアーゼ活性を示す。MALT1の基質の多くが炎症応答の調節に関与しているため、MALT1のプロテアーゼ活性は治療標的としての関心が高まっている。現在知られている基質としては次のようなものがある。

発がん性IAP2英語版-MALT1融合タンパク質特異的な相互作用:

プロテアーゼ阻害剤

MALT1のプロテアーゼ活性は有望な治療標的であるため、さまざまなスクリーニングによってさまざまなタイプのプロテアーゼ阻害剤が発見されている[28]。MALT1のプロテアーゼ活性に対する薬剤の開発は、複数の製薬会社や独立した研究グループの間で活発な競争が行われている[29]。ペプチドベースの阻害剤としては、当初メタカスパーゼ阻害剤として発見されたVRPR-fmkのほか[13]、最適なペプチド配列(LVSR)に基づいたものやさらなる化学修飾が行われたペプチド阻害剤が開発されており、ヤンセンは現在このタイプの阻害剤の臨床試験を行っている[30]。また、メパジン英語版クロルプロマジンなどのフェノチアジン系化合物(神経・精神疾患に対して臨床利用されている)が、MALT1のプロテアーゼ活性のアロステリック阻害剤となることが発見されている[31][32]ビペリデンはフェノチアジン系化合物と同様にMALT1プロテアーゼ阻害剤として作用し、膵臓がんに対して有望な結果を示している[33]分子モデリングによるアプローチからは、活性部位に対する低分子阻害剤MI-2が開発されている[34]。さらに、β-ラパコン(β-lapachone)のアナログがMALT1プロテアーゼ阻害剤として同定されている[35]キノリン・チアゾロピリジン系のアロステリック阻害剤はマウスの疾患モデルで機能することが示されている[36]Dictyosporium属の菌類の二次代謝産物(oxepinochromenones)は、MALT1プロテアーゼ阻害活性を示す[37]ノバルティスピラゾロピリミジン英語版誘導体のMALT1プロテアーゼ阻害剤の開発を行っている[38][39]。また、VIB(Vlaams Instituut voor Biotechnologie)とそのスピンオフのCD3(Centre for Drug Design and Discovery)[40][41]アストラゼネカ[40][42]、Lupinとアッヴィ[43]もMALT1プロテアーゼ阻害剤の開発を行っている。コーディア・セラピューティクス(Chordia therapeutics)は2020年にMALT1プロテアーゼ阻害剤の臨床試験を開始する[44]

出典

関連文献

関連項目

外部リンク

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