デーヴァナーガリー文字拡張

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範囲 U+A8E0..U+A8FF
(32 個の符号位置)
主な言語・文字体系
デーヴァナーガリー文字拡張
Devanagari Extended
範囲 U+A8E0..U+A8FF
(32 個の符号位置)
基本多言語面
用字 デーヴァナーガリー
主な言語・文字体系
割当済 32 個の符号位置
未使用 0 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
5.2 28 (+28)
8.0 30 (+2)
11.0 32 (+2)
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デーヴァナーガリー文字拡張(デーヴァナーガリーもじかくちょう、英語: Devanagari Extended)は、Unicodeの134個目のブロック

デーヴァナーガリーのうち、現代では使用されていないもの、あるいはデーヴァナーガリーへの音訳のみに使用される特殊な文字が収録されている。

なお、現代も使用されているものについてはデーヴァナーガリーブロックに、デーヴァナーガリー文字以外の一つ以上の文字体系でも使用が確認できるヴェーダ記述用の記号はヴェーダ用拡張ブロックに収録されている[1]

Unicodeのバージョン5.2において初めて追加された。

収録文字

コード 文字 文字名(英語) 用例・説明 ラテン文字転写
サーマ・ヴェーダ用の朗唱記号(スヴァラ)
U+A8E0 COMBINING DEVANAGARI DIGIT ZERO サーマ・ガーナ英語版(Sāma Gāna)のラーナーヤニーヤ(Rāṇāyanīya)伝統において、長母音がさらに伸長しないことを示す[2]
U+A8E1 COMBINING DEVANAGARI DIGIT ONE サーマ・ヴェーダ・サンヒター(Sāmaveda-Saṃhitā)において ウダーッタ(udātta; 高声調)を示す[2]

サーマ・ガーナでは 第一音(prathama)または 第七音(kruṣṭa) を示す[2]

テキスト内の数値の上付き記号として使用される場合は、その音が1モーラ分保持されることを示す[2]

U+A8E2 COMBINING DEVANAGARI DIGIT TWO 独立したスヴァリタ(svarita; 下降声調)を示す、または 最初の 2 つのウダッタ母音の上に記され、後続のアヌダーッタ(anudātta; 低声調)を示す[2]

サーマ・ヴェーダ・サンヒターでは2つのウダーッタ母音のうち最初の母音の上にU+0909 उ DEVANAGARI LETTER Uが続き、その後にアヌダーッタが続く[2]

サーマ・ガーナでは第二音(dvitīya)を示す[2]

U+A8E3 COMBINING DEVANAGARI DIGIT THREE サーマ・ヴェーダ・サンヒターにおいてアヌダッタ(低声調)を示し、サーマ・ガーナでは第三音(tṛtīya)を示す。

上付きのU+0915 क DEVANAGARI LETTER KA(U+A8EC ꣬ COMBINING DEVANAGARI LETTER KA)が後続することがある[2]

U+A8E4 COMBINING DEVANAGARI DIGIT FOUR サーマ・ガーナにおいて第四音(caturtha)を示す[2]
U+A8E5 COMBINING DEVANAGARI DIGIT FIVE サーマ・ガーナにおいて第五音(mandra或いはpañcama)を示す[2]
U+A8E6 COMBINING DEVANAGARI DIGIT SIX サーマ・ガーナにおいてアティスヴァリャー音(atisvaryā)を示す[2]
U+A8E7 COMBINING DEVANAGARI DIGIT SEVEN サーマ・ガーナにおいて短い朗誦(abhigīta)を示す[2]
U+A8E8 COMBINING DEVANAGARI DIGIT EIGHT サーマ・ガーナでは見つかっていないが、論理的な体系を完成させるためにUnicodeに提案された[2]
U+A8E9 COMBINING DEVANAGARI DIGIT NINE サーマ・ガーナにおいて屈曲声調或いは沈み込む声調(namana)を示す[2]
U+A8EA COMBINING DEVANAGARI LETTER A サーマ・ガーナにおいて短い朗誦(abhigīta)を示す[2]
U+A8EB COMBINING DEVANAGARI LETTER U Böhtlingk及びRothの「サンクリット・英語辞典(St. Petersburg Sanskrit-English lexicon)」においてウダーッタ(高声調)を示す[2]

また、上付きのU+0968 २ DEVANAGARI DIGIT TWO (U+A8E2 ꣢ COMBINING DEVANAGARI DIGIT TWO)に続いて サーマ・ヴェーダ・サンヒターにおいて、2 つの連続するウダーッタのうち最初のものを示す[2]

U+A8EC COMBINING DEVANAGARI LETTER KA 上付きのU+0969 ३ DEVANAGARI DIGIT THREE (U+A8E3 ꣣ COMBINING DEVANAGARI DIGIT THREE)に続き、サーマ・ヴェーダ・サンヒターにおいて独立したスヴァリタ(下降声調)の前のアヌダーッタ(低声調)を示す[2]
U+A8ED COMBINING DEVANAGARI LETTER NA 南インドの写本において、サーマ・ガーナにおける屈曲声調或いは沈み込む声調(namana)を示す[2]
U+A8EE COMBINING DEVANAGARI LETTER PA サーマ・ガーナでは、上付きのप्रे/prē/の代わりに使用される[2]

テキスト内の数値の上付き記号として記され、振動(prenkha)を示す[2]

U+A8EF COMBINING DEVANAGARI LETTER RA サーマ・ヴェーダ・サンヒターにおいて上付きの2(U+A8E2 ꣢ COMBINING DEVANAGARI DIGIT TWO)に続き、独立したスヴァリタ(下降声調)を示す[2]

また、サーマ・ガーナでは単独、または上付き数値 1-5 に続いて記され、長母音がさらに伸長しないことを示す[2]

U+A8F0 COMBINING DEVANAGARI LETTER VI サーマ・ガーナにおいて、ヴィナタ(vinata)と呼ばれる音楽的モチーフを示す[2]
U+A8F1 COMBINING DEVANAGARI SIGN AVAGRAHA サーマ・ガーナにおいて、下降音階において特定の部分を飛ばして読むことを意味するアティクラマ(atikrama)を表す[2]

また、ヴィナタ(vinata)と呼ばれる音楽的モチーフ、或いは屈曲声調或いは沈み込む声調(namana)を示す[2]

鼻音化記号
U+A8F2 DEVANAGARI SIGN SPACING CANDRABINDU アヌスヴァーラを表すための文字幅を持った記号であり、U+0901 ँ DEVANAGARI SIGN CANDRABINDUよりも低い位置に書かれるもの[2]
U+A8F3 DEVANAGARI SIGN CANDRABINDU VIRAMA アヌスヴァーラを表す[2]
U+A8F4 DEVANAGARI SIGN DOUBLE CANDRABINDU VIRAMA 子音クラスタに含まれる摩擦音の前に現れるアヌスヴァーラを表す[2]
U+A8F5 DEVANAGARI SIGN CANDRABINDU TWO 2モーラ分の長さを持つ鼻母音を表す[2]
U+A8F6 DEVANAGARI SIGN CANDRABINDU THREE 3モーラ分の長さを持つ鼻母音を表す[2]
U+A8F7 DEVANAGARI SIGN CANDRABINDU AVAGRAHA アヌスヴァーラを表す[2]
編集記号
U+A8F8 DEVANAGARI SIGN PUSHPIKA プレースホルダーまたは「フィラー」として使用される[3]

多くの場合、二重ダンダ(U+0965 ॥ DEVANAGARI DOUBLE DANDA)が両側に並んでいる[3]

U+A8F9 DEVANAGARI GAP FILLER 原稿やテキスト内の空白が欠落ではないことを示すために使用される[3][4]
U+A8FA DEVANAGARI CARET 文字の挿入を表す[3]

欧文などにおけるキャレット(U+2038 ‸ CARET)に相当する。 二つの正書法音節の間の点を中心とする文字幅を持たない記号[3]

U+A8FB DEVANAGARI HEADSTROKE シローレーカー。デーヴァナーガリー文字の上部に書かれる、一単語をつなぐ線。

不確かな写本の読みを示すために使用され[3]、元の文書の消失や摩耗によって判読不能になった箇所を表す。そのため、通常の文字に含まれるシローレーカーとは異なり、この文字が連続しても欠落した文字数が分かるようにするため線は繋がらない[4][5]

記号
U+A8FC DEVANAGARI SIGN SIDDHAM テキストの冒頭で祈りの言葉(invocation)として用いられる[3]

サンスクリットの सिद्धम् (siddham) 「成就した」という単語や、सिद्धिरस्तु (siddhirastu) 「成功がありますように」という言葉を表しており、स्वस्ति (svasti) 「吉祥あれ」という単語の前に置かれることが多い[6]

テルグ文字のU+0C77 ౷、カンナダ文字のU+-C84 ಄、チベット文字の U+0F04 ༄、モンゴル文字のU+0800 ᠀、シャーラダー文字のU+111DB 𑇛も参照。

U+A8FD DEVANAGARI JAIN OM ジャイナ教において聖音のオームを表す記号。

ヒンドゥー教などではU+0950 ॐ DEVANAGARI OMが用いられる。

追加の母音字及び母音記号
U+A8FE DEVANAGARI LETTER AY 短母音[ɛ]を表す[7]

ヒンディー語の東部方言の音韻を表記するために言語学者の間で用いられた[7]

[7]
U+A8FF DEVANAGARI VOWEL SIGN AY

小分類

このブロックの小分類は「サーマ・ヴェーダ用の朗唱記号(スヴァラ)」(Cantillation marks (svara) for the Samaveda)、「鼻音化記号」(Marks of nasalization)、「編集記号」(Editorial marks)、「記号」(Signs)、「追加の母音字及び母音記号」(Additional vowel and vowel sign)の5つとなっている[3]

サーマ・ヴェーダ用の朗唱記号(スヴァラ)(Cantillation marks (svara) for the Samaveda)

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、スヴァラ(svara;サンスクリット: स्वर)と呼ばれる、バラモン教などの宗教の経典の一つであるサーマ・ヴェーダを朗唱する(歌うように読む)際の音調やメロディを表す際に用いられる、別の文字の上に書かれる小さな文字が収録されている。すべて別の文字に結合する、文字幅を持たない結合文字(ダイアクリティカルマーク)である。

これらの文字は元になった文字の意味を持たず、例えばU+A8E2 ꣢ COMBINING DEVANAGARI DIGIT TWOには 「2という数値の概念」 は本質的に含まれていない。また、サーマ・ヴェーダのテキストが、適切なダイアクリティカルマーク(発音補助記号)を含んだ状態で、音声合成ソフトウェアによって正しく読み上げられる必要があるため、これらの文字を単なる註釈を表すルビとして用いるのは不適切であるとして、個別に符号位置を割り当てられることとなった[8]

サーマ・ヴェーダのために符号化された、U+11366-11374の範囲にあるグランタ文字のスヴァラ記号の類似セットを参照すること[3]

鼻音化記号(Marks of nasalization)

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、鼻音化を表す記号が収録されている。

編集記号(Editorial marks)

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、校正で用いられる編集記号(校正記号)が収録されている。

記号(Signs)

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、さまざまな記号類が収録されている。

追加の母音字及び母音記号(Additional vowel and vowel sign)

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、ヒンディー語の東部方言の音韻を表記するために言語学者の間で用いられた、短母音[ɛ]を表す[7]追加の母音字及び母音記号が収録されている。

文字コード

デーヴァナーガリー文字拡張(Devanagari Extended)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
 0123456789ABCDEF
U+A8Ex
U+A8Fx
注釈
1.^バージョン16.0時点

履歴

出典

関連項目

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