ブルキナファソ文学

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ブルキナファソ文学(ブルキナファソぶんがく、フランス語:Littérature burkinabè) は、ブルキナファソの作家による文芸作品およびその研究を指す。主にフランス語で創作されており、モシ語ジュラ語フルベ語の作品もある。

ブルキナファソには約60言語の話者がおり、公用語はフランス語で、その他の言語が国語として大まかに位置づけられている[1]。言語の大半はマンデ語派グル語派英語版に属しており、西部と東部で言語分布が異なっている。東部はモシ語グルマンチェ語英語版が多く、西部は細かい言語集団が入り組んでいる[2]。モシ語、ジュラ語フルベ語の話者が7割を占め、正書法が定められている[3]

歴史

ナジ・ボニの像

植民地統治以前の社会の史料は口頭伝承によっている。モシ人の諸王国では、専門の語り部によって王国の起源が伝えられてきた[4]

ブルキナファソはフランスの植民地時代にオートヴォルタと呼ばれており、1960年にオートボルタ共和国として独立した。1962年にはナジ・ボニフランス語版による最初の小説『古き時代の黄昏』が出版された[注釈 1][6]。劇作家の活動も1960年代に始まった[7]。しかし1966年に起きたクーデターの影響で政治動乱が続いた[注釈 2][6]。1980年代までに出版された文芸作品は詩や小説など20作品にとどまった。この原因について、文学研究者のサラカ・サヌー(Salaka Sanou)は、知識人の登場が遅れた点と、独立後の政治が不安定だった点を挙げている[注釈 3][10]

1983年にトマ・サンカラが指揮するクーデターによって国名がブルキナファソとなって以降は文化政策が重視された。この政策によって国民芸術文学大賞(Grand prix national des arts et lettres, GPNAL)が設立されて、若い世代の作家の創作を支援した。2000年までにGPNALに応募した作品はフランス語の詩、小説など897作にのぼり、モシ語、ジュラ語、フルベ語の作品も受賞した[11]

作品形式とテーマ

ブルキナファソのモシ人には口承文学の伝統がある。昔話や謎々はソレムデ(solemde)と呼ばれ、夜の食後などにくつろいで話すソアスガ(soasga)という場で行われる。ソアスガは農閑期や乾季の涼しい時期に多く行われ、長短のソレムデに混じって、掛け合いの連鎖や早口言葉などの言葉遊びもある[12]。昔話に多いテーマとして王にまつわる話があり、サバンナの物語におけるトリックスターでもある野ウサギが登場する[13]。昔話に対して、ことわざはイェルブンディ(yelbundi)と呼ばれ、曲げられたものを意味する[14]。太鼓の音と人間の声で語られる王統譜はカブスゴ(kabsgo)やナロート(narooto)と呼ばれる[15]。カブスゴはベンドレ英語版というヒョウタンで作ったトーキングドラムの演奏が正本にあたり、通常はベンドレによって語られる。祭儀においては、楽師が太鼓の音を音声に翻訳して朗誦する[16]

アンソムウィン・イニャス・イエン(Ansomwin Ignace Hien)はGPNALを複数回受賞した児童文学のパイオニアである[17] 。イエンの絵本『平和のハト』(2006年)は、子供たちが協力をして大人の暴力を止める物語で、コートジボワールで起きたブルキナファソ移民排斥をきっかけに書かれた。イエンは子供に平和のメッセージを伝えることで、アフリカにおける暴力の現状を変える力があると考えている[18]

ジャーナリストのノベル・ゾンゴフランス語版は、1993年に独立メディア『アンデパンダンフランス語版』を創設し、ブルキナファソのメディアに影響を与えた。当時はブレーズ・コンパオレ政権に対して中立を保つメディアが多かった中で、ゾンゴはコンパオレの親族の優遇や反政府勢力の不審死を指摘し、政権批判をした[19]。小説『パラシュート降下』(1988年)で独裁政治を風刺するなどの文芸活動も行なったが、コンパオレ政権下の人権侵害を調査中だった1998年に焼死体で発見された[20]。ゾンゴの死をきっかけに市民団体のストライキやデモが起き、コンパオレ政権は2014年の市民革命で倒れた[21]。ゾンゴはブルキナファソだけでなく、アフリカ各地の市民運動のシンボル的存在となっている[注釈 4][19]

ベルナデッド・ダオフランス語版は詩集を発表した最初の女性詩人で、1980年代から活動し、文化大臣を務めたほか短編集『悪魔の妻』(2003年)も発表した。ブルキナファソにおけるジェンダー平等をテーマとし、女性に厳しい慣習を批判している[23]

モニク・イルブドフランス語版は初の女性小説家で、『肌の苦悩』(1992年)で国立印刷所の最優秀小説大賞を受賞した。本作は植民地の性暴力で生まれた女性を主人公とし、アフリカ社会での女性の地位、ヨーロッパにおける人種差別を描いている。『ムレカテテ』(2000年)はルワンダ虐殺の記憶、『人生からこれほど隔たって』(2018年)は同性愛者が自分らしく生きる自由、『寡婦たちの交差点』(2020年)では反政府勢力に家族を殺害された女性たちの闘いをテーマとしている[24]

出版

ブルキナファソの作家にとって、作品の出版が課題となっている。国立図書館長のブカレ・ジャロによれば、1983年までは国内に出版社がなかったため、作家は原稿を国外の出版社に送っていた[6]。1990年には、出版を支援する組織として作家統一連帯協同組合(MUSE)が設立された[17]。出版物は増加傾向にあり、伝記や自叙伝も発表されている[25]

主な著作家

脚注

参考文献

関連文献

関連項目

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