ポポサウルス上科
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ポポサウルスの復元図 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 地質時代 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 前期 - 後期三畳紀 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| Poposauroidea Nopsca, 1923 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
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| 下位分類群 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ポポサウルス上科[3](ポポサウルスじょうか、学名:Poposauroidea)は、ポポサウルス科、シュヴォサウルス科、クテノサウリスクス科などを下位分類群として内包する、派生的な偽鰐類の分岐群。ラウイスクス科やプレストスクス科といった四足歩行の大型捕食動物ラウイスクス類やワニ形類を含むロリカタ類との姉妹群の関係にある。Nesbitt (2011)による系統的な定義では、Postosuchus kirkpatricki、Crocodylus niloticus、Ornithosuchus woodwardiあるいはAetosaurus ferratusよりもPoposaurus gracilisに近縁な全ての分類群を含む[4]。
ポポサウルス上科は他の非ワニ形類型偽鰐類と共に三畳紀末で絶滅した。ワニ形類以外の偽鰐類の中では最も長く存続したグループであり、クテノサウリスクス科のXilousuchusは三畳紀の極めて初期に、シュヴォサウルス科のエフィギアは三畳紀末頃に生息した。ポポサウルス上科は高い多様性を持ち、グループ内の解剖学的な差異も大きいが、特に吻部や骨盤の形状において分岐群の特徴を特定可能である。これらの特徴の多くは恐竜との収斂進化の好例であり、ポポサウルスのような二足歩行性のポポサウルス類はかつて獣脚類の恐竜として誤同定されていた[4]。
頭骨と椎骨

ポポサウルス上科は派生的な偽鰐類の分類群であり、様々な生態的適応を遂げた属を含む。ポポサウルスやシュヴォサウルス科は前肢が短い二足歩行の動物であり、クテノサウリスクス科やロトサウルスはディメトロドンやスピノサウルスのように帆を構成する長く伸びた神経棘を持つ頑強な四足歩行の動物であった。ロトサウルスとシュヴォサウルス科は歯を持たず、おそらくは嘴を持つ植物食動物であったと考えられている。キアノスクスやポポサウルスおよびクテノサウリスクス科は鋭利な歯を持つ捕食動物であった。分岐群内の生態的差異が大きいため、祖先的なポポサウルス上科の属がどのような風貌であったか評価することは難しい。

ポポサウルス上科を他の偽鰐類から区別する特徴としては吻部先端の構造、特に鼻骨の前側に位置する前上顎骨が挙げられる。前上顎骨には骨質の突起が存在し、これが外鼻孔を取り巻いている。外鼻孔の最上部に重なって吻部最上部で鼻骨と接する前背側突起は通常の偽鰐類において極めて短いが、ポポサウルス上科において前上顎骨体よりも長く伸びる。外鼻孔の直下に重なって吻部側面で上顎骨と接する後背側突起は、ポポサウルス上科において他の偽鰐類のものと比較して極端に短く、外鼻孔の下端の一部のみに限られている。このため外鼻孔の下端から後端は上顎骨が形成に参加し、上顎骨の前縁も窪んでいる。これらの吻部の特徴は偽鰐類において珍しいものであるが、翼竜や竜盤類の恐竜といったアヴェメタターサリア類においてはより一般的である。上顎骨の後側枝は大半のポポサウルス上科の属において先細っており、キアノスクスがその例外である。ロリカタ類の枝は長方形をなし、ポポサウルス上科と対照的である[4]。
ポポサウルス上科は一般的な主竜類と比較して珍しい特徴を示す。例えば、大半の主竜類の神経頭蓋が内頸動脈の通る孔を左右側面に持つのに対し、初期のポポサウルス上科はこの孔が神経頭蓋の下側へ移動しており、ユーパルケリアやプロテロチャンプサ類(英語版)といった主竜形類の原始的形質状態に類似する。なお、この先祖返りはシュヴォサウルス科において元に戻っている。加えて、大半のポポサウルス上科は頸部が長く、その全てが長く薄い頚肋を持つ。他の偽鰐類や植竜類および翼竜は短く太い頚肋を持つため、この点で対照的である。胴椎の神経棘は薄く板状であり、帆を持たない属でもそのような形質状態を示す。対して他の多くの初期の偽鰐類やユーパルケリアおよび植竜類は神経棘が外側に拡大し、背側から見て長方形の平坦な概形をなす[4]。
骨盤
他の爬虫類と同様に、ポポサウルス上科の骨盤は腸骨・恥骨・坐骨という3枚の板状の骨から構成されており、その3枚の中心に寛骨臼が存在する。腸骨は大型かつ複雑な骨であり、前側に突出した前寛骨臼突起と後側に突出した後寛骨臼突起、寛骨臼の上端を形成する下部を持つ。大半の主竜類において腸骨の下部は楔形であり、閉鎖した寛骨臼の内側面を形成する。しかしポポサウルス上科において腸骨の下部は窪んでおり、部分的に、あるいは完全に開放した寛骨臼を形成している。このような開放した寛骨臼を持つ他の主竜類は恐竜と(より程度が低いものの)ワニ形上目のみである。寛骨臼の上端は腸骨上に存在する発達した稜により形成されており、この構造はsupraacetabular rimあるいはsupraacetabular crestとして知られる[4]。

全てのポポサウルス上科の属は寛骨臼が開放しているが、腸骨に見られる他の特殊化した形質状態が進化したのは、ポポサウルスとシュヴォサウルス科を含む分岐群においてである。例えば、この分岐群ではsupraacetabular crestが外側よりも下側に突出しており、同様の特徴を持つ他の主竜類はコエロフィシスやディロフォサウルスといった独立に進化した初期の獣脚類の恐竜のみである。もう一つの特徴はsupraacetabular rimから上側に分岐した標徴的なクレストの存在である。このようなクレストは異なる数多くの主竜類において独立に進化しているが、ポポサウルス上科の場合はクレストが垂直でなく前側に傾斜しており、寛骨臼の前側で長く伸びたブレード部分と合流する点で独特である[4]。
恥骨と坐骨もまたポポサウルス上科において特殊化している。これら2つの骨は他の全ての主竜類において寛骨臼の下端で互いに接するが、キアノスクスとロトサウルスを除くポポサウルス上科において接さず、寛骨臼が側面と直下で開放している。恥骨の幅は骨幹部の部位によって異なっており、寛骨臼に近い部位が厚く、先端部が薄い(キアノスクスを除く)。他の大半の主竜類において恥骨の幅は一定であり、獣脚類の恐竜や他のごく一部の主竜類のみ遠位部が近位部よりも薄い恥骨を持つ。シュヴォサウルス科とロトサウルスは体の正中線で互いに癒合した坐骨を持つ[4]。
仙椎
祖先的な主竜類は2個の仙椎しか持たなかったが、進化の過程を通じて主竜類は追加の仙椎を獲得してきた。Nesbitt (2011) は祖先的主竜類が持つ原始的な2つの椎骨の間に追加の仙椎が形成されると主張し、ポポサウルス上科に属するアリゾナサウルスの保存の良好な仙椎を証拠として提示した。ポポサウルス上科の属が持つ仙椎は3個から4個であり、最後位仙椎および最後から3番目の仙椎はユーパルケリアや植竜類の持つ原始的な仙椎と同様の様式で腸骨と関節する。最後から2番目の仙椎はこれらの主竜形類の椎骨と異なる形状を持ち、Nesbitt (2011)はこれが2個の原始的な仙椎の間に挿入されたと結論した。このような進化の過程はポポサウルス上科に特有のものでなく、バトラコトムス(英語版)やシレサウルス科および恐竜といった他の主竜類のいくつかの系統で知られている[4]。
アリゾナサウルスやキアノスクスといった基盤的ポポサウルス上科の属は仙椎が3個のみであり、第2仙椎が挿入されている。ポポサウルスやシュヴォサウルス科といったより派生的なポポサウルス上科の属は4個の仙椎を持ち、第3仙椎が挿入されたものとして認識できる。これは派生的グループにおける最前位椎骨が別の過程で獲得されたこと、すなわち最後位胴椎が最前位仙椎に変化したことを意味する。取り込まれたこの椎骨はdorsosacralと呼称され、このような変化は一部のオルニトスクス科や鷲竜類、そして様々な恐竜(特に鳥脚類と獣脚類)といった主竜類に不規則に見られる[4][5]。
ほぼ全ての主竜形類において前位の原始的仙椎の仙肋は恥骨との接触部付近で腸骨と接するが、ポポサウルス上科において前位の原始的仙椎の仙肋は前側への追加の分岐構造を持ち、腸骨の寛骨臼より前側のブレード部分の内縁に沿って位置する。キアノスクスよりも派生的なポポサウルス上科は仙椎が1個の骨(仙骨)として癒合している。この癒合過程は椎骨の部位ごとに段階的に進行した。例えば関節突起(zygapophyses)はクテノサウリスクス科の初期段階で癒合し、椎体もクテノサウリスクス科の段階で癒合した[4]。神経弓の基部はいくつかのクテノサウリスクス科の属において癒合しているが、Bromsgroveiaのようにそうでないものもいる。クテノサウリスクス科よりも派生的なポポサウルス上科の属ではいずれも神経弓の基部が癒合している[6]。
その他
大半の偽鰐類と異なり、ポポサウルス上科は皮骨板を持たない。唯一の例外はキアノスクスであり、同属は無数の細かい皮骨板が頸部と体に1列になって伸びている[7]。ポポサウルス上科はいずれも腓骨の先端が対称かつ直線状である。クテノサウリスクス科よりも派生的な属は後肢の末節骨が平坦な蹄状をなす。いくつかのポポサウルス上科の属は前肢が後肢と比較して非常に短いが、キアノスクスは骨が関節しておらず、またクテノサウリスクス科は四肢の要素を欠いているため、この特徴がグループ全体に共通する原始的な形質状態であるかは不明である。またクテノサウリスクス科の情報の欠落により、ポポサウルス上科内において尾椎や足首の特徴がいつ獲得あるいは喪失されたのかも不確かになっている[4]。
歴史
1923年にフランツ・ノプシャはPoposauridaeという語をポポサウルス上科を指すものとして使用した。この時点では当時獣脚類の恐竜と考えられていたポポサウルスのみを含む分類群であり、その後竜盤類や獣脚類やカルノサウルス類といった様々な分類群内に配置されてきた[8]。1970年代以降ポポサウルスが恐竜でなく偽鰐類であることを示唆する良好な標本が記載され、シロスクスやシュヴォサウルス(英語版)が設立された。ポポサウルスと同様に、シュヴォサウルスもかつては獣脚類の恐竜と考えられていた[9]。
サンカー・チャタジー(英語版)は1985年に新属ポストスクスを記載し、ポポサウルス上科を獣脚類の恐竜として分類した[10]。Chatterjee (1985)はまた、ポポサウルス上科がティラノサウルス類の祖先であると考えた。ポストスクスはその後10年にわたってポポサウルス上科に属するものと考えられてきた。Long and Murry (1995)はポストスクスに分類された標本が同属のホロタイプ標本と異なることを指摘し、新属LythrosuchusおよびChatterjeeaを設立した[9]。
Nesbitt (2005)はアリゾナサウルスやロトサウルスなどの"クテノサウリスクス科"がポポサウルスやシロスクスのような"ポポサウルス科"と数多くの類似性を持つことを指摘し、これらの属が他の偽鰐類を排除する分岐群(グループX)を形成すると提唱した[6]。グループXはWeinbaum and Hungerbühler (2007)により"Poposauroidea"と命名された。Weinbaum and Hungerbühler (2007)はポポサウルスの新たな2骨格を記載し、同属の新たな形質を系統解析に加えた。ポポサウルス上科は単系統群として樹形上に再現され、他のラウイスクス類(ラウイスクス科とプレストスクス科)は側ワニ形類と呼ばれる新たなグループの基盤的位置に置かれた[11]。

Brusatte et al. (2010)は主竜類の系統解析を実施し、ポポサウルス上科に当てはまる分類を導いた。直近の数多くの研究と異なり、Brusatte et al. (2010)の解析結果においてはラウイウスクス類が単系統群とされ、ラウイスクス上科とポポサウルス上科の2上科からなるとされた。ラウイスクス類の単系統性はこの解析において強く支持されておらず、系統樹の節約性をもう1ステップ緩めた場合ポポサウルス上科がラウイスクス類から除外されてオルニトスクス科との姉妹群になることが同論文中で指摘された。Brusatte et al. (2010)の系統樹においてポポサウルス上科には従来的にポポサウルス上科に分類されてきた属のほかに、従来分類されていなかったものも内包された。そうした属の1つであるキアノスクスは、半水棲の生態を持つ点でユニークな偽鰐類である[12]。
Nesbitt (2011)はシロスクスをアリゾナサウルスに最も近縁なポポサウルス上科の属とした。この解析ではラウイスクス類あるいはラウイスクス上科が単系統群として再現されなかった。ポポサウルス上科は単系統群とされ、かつ以前の解析よりも分類群内の樹形の解像度が向上した。キアノスクスはポポサウルス上科で最も基盤的な属として配置され、ロトサウルスはクテノサウリスクス科でなくシュヴォサウルス科として配置された。以下のクラドグラムはNesbitt (2011)に基づき、また分岐群の名称は先行研究に倣っている[4]。
| ポポサウルス上科 |
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出典
- ↑ Smith, N.D.; Klein, N.; Sander, M.P.; Schmitz, L. (2024). “A new pseudosuchian from the Favret Formation of Nevada reveals that archosauriforms occupied coastal regions globally during the Middle Triassic”. Biol. Lett. 20 (7). doi:10.1098/rsbl.2024.0136. PMC 11286145. PMID 38982977. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11286145/.
- ↑ Smith, Nathan D.; Klein, Nicole; Sander, P. Martin; Schmitz, Lars (July 2024). “A new pseudosuchian from the Favret Formation of Nevada reveals that archosauriforms occupied coastal regions globally during the Middle Triassic” (英語). Biology Letters 20 (7): 20240136. doi:10.1098/rsbl.2024.0136. ISSN 1744-957X. PMC 11286145. PMID 38982977. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11286145/.
- ↑ 小林快次『ワニと恐竜の共存 巨大ワニと恐竜の世界』北海道大学出版会、2013年7月25日、10頁。ISBN 978-4-8329-1398-1。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 Sterling J. Nesbitt (2011). “The Early Evolution of Archosaurs: Relationships and the Origin of Major Clades”. Bulletin of the American Museum of Natural History 352: 1–292. doi:10.1206/352.1. hdl:2246/6112.
- ↑ Max C. Langer; Martín D. Ezcurra; Oliver W. M. Rauhut; Michael J. Benton; Fabien Knoll; Blair W. McPhee; Fernando E. Novas; Diego Pol et al. (2017). “Untangling the dinosaur family tree”. Nature 551 (7678): E1–E3. Bibcode: 2017Natur.551E...1L. doi:10.1038/nature24011. hdl:1983/d088dae2-c7fa-4d41-9fa2-aeebbfcd2fa3. PMID 29094688. https://research-information.bris.ac.uk/ws/files/136903911/Langer_et_al._reply_to_Baron_et_al._mjb.pdf.
- 1 2 Nesbitt, S.J. (2005). “Osteology of the Middle Triassic pseudosuchian archosaur Arizonasaurus babbitti”. Historical Biology 8 (1): 19–47. Bibcode: 2005HBio...17...19N. doi:10.1080/08912960500476499.
- ↑ Li, Chun; Wu, Xiao-chun; Cheng, Yen-nien; Sato, Tamaki; Wang, Liting (2006-04-01). “An unusual archosaurian from the marine Triassic of China” (英語). Naturwissenschaften 93 (4): 200–206. Bibcode: 2006NW.....93..200L. doi:10.1007/s00114-006-0097-y. ISSN 0028-1042. PMID 16538373. https://www.researchgate.net/publication/7240992.
- ↑ Steel, R. (1970). “Part 14. Saurischia”. Handbuch der Paläoherpetologie. Stuttgart: Gustav Fischer Verlag. pp. 1–87
- 1 2 Long, R.A.; Murry, P.A. (1995). “Late Triassic (Carnian and Norian) tetrapods from the southwestern United States”. Bulletin of the New Mexico Museum of Natural History and Science 4: 1–245.
- ↑ Chaterjee, S. (1985). “Postosuchus, a new thecodontian reptile from the Triassic of Texas and the origin of tyrannosaurs”. Philosophical Transactions of the Royal Society of London. Series B, Biological Sciences 309 (1139): 395–460. Bibcode: 1985RSPTB.309..395C. doi:10.1098/rstb.1985.0092.
- ↑ Weinbaum, J.C.; Hungerbühler, A. (2007). “A revision of Poposaurus gracilis (Archosauria: Suchia) based on two new specimens from the Late Triassic of the southwestern U.S.A.”. Paläontologische Zeitschrift 81 (2): 131–145. Bibcode: 2007PalZ...81..131W. doi:10.1007/BF02988388.
- ↑ Brusatte, S.L.; Benton, M.J.; Desojo, J.B.; Langer, M.C. (2010). “The higher-level phylogeny of Archosauria (Tetrapoda: Diapsida)”. Journal of Systematic Palaeontology 8 (1): 3–47. Bibcode: 2010JSPal...8....3B. doi:10.1080/14772010903537732. hdl:20.500.11820/24322ff3-e80e-45f2-8d53-d35fd104195c. http://www.paleolab.com.br/assets/uploads/files/pdf/(017)%20Brusatte%20et%20al%202010.pdf.