メタデータ
あるデータが付随して持つそのデータ自身についての付加的なデータ
From Wikipedia, the free encyclopedia
メタデータ(英語: Metadata)またはメタ情報(メタじょうほう)とは、データの特性を定義し、記述するデータである[1]。メタデータは対象のデータについて記述・説明・所在特定などを行い、データの検索・利用・管理を容易にする。例えば、書籍の題名・著者・出版年月日は、その書籍に関するメタデータである。



データ資産は有限であるが、そのメタデータは無限である。メタデータの定義・類型化・構造化はメタデータの利用文脈における具体例に見ることができる。「メタデータ」という語は1960年代から用いられ始め、計算機科学や大衆文化において用いられた。
定義
メタデータとは、「データに関するデータ」を意味する。メタデータは、データの一つ以上の側面について情報を提供するデータとして定義され、特定のデータの追跡や取り扱いを容易にするための基本情報を要約する目的で用いられる[2]。例として次のようなものが挙げられる。
- データの作成手段
- データの出典(ソース)
- 作成日時
- データの作成者(クリエイター/著者)
- データが作成されたコンピュータ・ネットワーク上の位置
- 使用された標準
- データ品質
例えば、デジタル画像には、画像サイズ、色深度、解像度、作成日時、シャッター速度その他のデータを記述するメタデータが含まれうる[3]。テキスト文書のメタデータには、テキストサイズ、著者、作成日時、短い要約などが含まれ得る。ウェブページ内のメタデータには、ページ内容の記述や、その内容に結び付けられたキーワード(「メタタグ」)が含まれ得る[4]。メタタグは1990年代後半まで、ウェブ検索の順位決定における主要因として用いられていたが、いわゆる「キーワード・スタッフィング」による不正使用(検索エンジンに実際以上の関連性があるかのように誤認させる手法)が横行したため、1990年代後半に依存度が低下した[4]。
メタデータは、しばしばメタデータレジストリまたはメタデータリポジトリと呼ばれるデータベースに格納・管理される[5]。しかし、文脈と基準がなければ、見ただけでそれがメタデータであると識別することは不可能な場合がある[6]。例えば、13桁の数字からなる値が多数入ったデータベースがあったとして、それだけでは計算結果なのか、方程式に代入すべき数値の一覧なのか判然としないため、数字自体が「データ」と受け取られる可能性がある。しかし、そのデータベースが蔵書ログであるという文脈が与えられれば、これらの13桁の数字はISBN、すなわち書籍の内容ではなく書籍を同定するための情報であると同定できる。
なお、「メタデータ」という語は1968年に フィリップ・バグレーが著書『プログラミング言語概念の延長』で造語したものであり、同書ではISO 11179の「伝統的」意味合い、すなわち「構造メタデータ」(データ容器に関するデータ)として用いられていることが明確である。これは、図書館目録に通常見られるような、個々のデータ内容に関する情報(メタコンテンツ。タイトル・著者・出版社など)とは異なる[7][8]。以来、情報管理、情報学、情報技術、図書館学、地理情報システム等の分野でこの語は広く採用されている。これらの分野では、メタデータは一般に「データに関するデータ」と定義される[9]。この定義は広く受け入れられているが、各学問領域はそれぞれ、より特定的な説明や用法を採用している。
2013年、スレート (雑誌)は、アメリカ合衆国政府による「メタデータ」の解釈は広範であり、電子メールの件名などメッセージ内容を含み得ると報じた[10]。
種類
メタデータには多くの異なる類型が存在し、次のようなものがある。
- 記述メタデータ:資源に関する記述的情報。検索や同定に用いられ、題名、要旨、著者、キーワードなどを含む。
- 構造メタデータ:複合的なデータがどのように構成されているかを示す情報。デジタル資料の種類、版、関係性などの特性を記述する[11]。
- 管理メタデータ[12]:資料の管理を助ける情報。資料の種類、権限、作成時期と方法などを含む[13]。
- 参照メタデータ:統計データの内容と品質に関する情報。(統計データのタイプも参照)
- 統計メタデータ[14]:プロセスデータとも呼ばれ、統計データを収集・処理・生成するプロセスを記述するデータ[15]。
- 法的メタデータ:クリエイター、著作権者またはパブリックライセンスに関する情報を提供する。
メタデータは、一つの分類に厳密に拘束されるものではない。データは常に多様な観点から記述し得るためである。
メタデータの分類のための専門的で広く受け入れられたモデルも存在する。フランシス・ブレザートンとシングレー(1994)は、「構造・制御メタデータ」と「ガイドメタデータ」の二つにメタデータを分類した[16]。
構造メタデータは、表・列・キー・インデックスといったデータベースオブジェクトの構造を記述する。ガイドメタデータは、人間が特定の項目を見つけるのを助けるもので、通常は自然言語のキーワード集合である。
ラルフ・キンボールは、メタデータを技術(内部)メタデータ、業務(外部)メタデータ、プロセスメタデータの三種に分類した。
米国情報標準化機構はメタデータを以下のように記述、構造、管理の三種に区別する[9]。
- 記述メタデータ:題名、著者、主題、キーワード、出版社など、対象の検索・所在特定に用いられる情報である。
- 構造メタデータ:対象の構成要素がどのように組織化されているかを記述する。例えば、書籍の章を形成するためにページがどのように順序づけられるかは構造メタデータの一例である。
- 管理メタデータ:資源の管理を助ける情報を与える。管理メタデータは、ファイル形式、ファイルの作成時期と方法などの技術的情報を指す。管理メタデータの下位類型として、権利管理メタデータと保存メタデータがある。権利管理メタデータは知的財産権に関する情報、保存メタデータは資源を保存・保全するための情報を含む[17]。
統計データリポジトリには固有のメタデータ要件があり、データの出所や品質のみならず[14]、その作成に用いられた統計的プロセスをも記述する必要がある。これは、統計データの生産過程を検証し改善するうえで統計コミュニティにとって特に重要である[15]。
近年発展しつつある追加的なメタデータの型として、アクセシビリティメタデータがある。アクセシビリティメタデータは図書館にとって新しい概念ではないが、ユニバーサルデザインの進展によってその重要性が高まっている [18]:213–214。
Cloud4AllやGPⅡといったプロジェクトは、ユーザーのニーズや嗜好、ならびにそれらに適合する情報を記述する共通の用語とモデルの欠如が、ユニバーサルアクセス解決策の提供における大きな欠落であることを指摘した[18]:210–211 。これらの種類の情報がアクセシビリティメタデータである[18]:214。Schema.orgは複数のアクセシビリティ特性を取り込んでいる[18]:214 。ウィキのウェブスキーマ/アクセシビリティのページは、いくつかの特性とその値を列挙している。
情報探索者の多様なアクセシビリティの要件を記述し標準化する取り組みは強化されつつあるが、確立されたメタデータスキーマへの採用は十分に進展していない。例えば、ダブリンコア(DC)の「オーディエンス」やMARC21の「リーディング・レベル」は、ディスレクシア(読字障害)のあるユーザーに適した資料を特定するために用い得るし、DCの「フォーマット」は、点字・音声・拡大文字といったフォーマットで利用可能な資料の識別に用い得るが、なお課題が残されている[18]:214。
歴史
メタデータには多様な目的がある。関連情報の発見や資料の探索を助け、電子資料の組織化、デジタル識別、資源の保存・アーカイブにも資する。メタデータは、「関連する基準によって資料を見つけ、資料を同定し、類似資料を集約し、非類似資料を区別し、所在情報を与える」ことで、利用者が資料にアクセスできるようにする[17]。インターネットトラフィックを含む通信活動のメタデータは、多くの国の政府機関によってきわめて広範に収集されている。このデータはトラフィック分析の目的で用いられ、監視社会に繋がる可能性もある[19]。
メタデータは、1980年代に図書館が目録データをデジタルデータベースへ移行するまでは、主として紙の図書目録で用いられてきた[20]。2000年代以降データと情報のデジタル保存が進むにつれ、こうしたデジタルデータはメタデータ標準を用いて記述されるようになった[21]。
コンピュータシステムに関するメタデータの最初の記述は、1967年にMIT国際研究センターの専門家デイヴィッド・グリフェルとスチュアート・マッキントッシュによって言及されたとされ、次のようなものである。「要するに、われわれはデータの主題とトークンコードに関する、対象言語での記述を持つ。同時に、データの関係および変換、規範とデータの間のought・is関係を記述する、メタ言語での記述も持つ」[22]。
分野ごとに固有のメタデータ標準が存在する(例:博物館コレクション、デジタル音声ファイル、ウェブサイトなど)。データの内容と文脈を記述することは、その有用性を高める。例えばウェブページは、ページがどの言語(例:HTML)で記述されているか、作成に用いられたツールは何か、ページの主題は何か、その主題に関する追加情報をどこで得られるか、といったメタデータを含む。この種のメタデータは、読者の体験を改善し、利用者がオンラインでウェブページを見つけやすくする[23]。CDには、ディスクに収録された演奏者、歌手、作詞・作曲者に関するメタデータが含まれる場合がある。
多くの国において、政府機関は電子メール、電話、ウェブページ、動画トラフィック、IP接続、携帯電話の位置情報に関するメタデータを日常的に保存している[24]。
構造
メタデータ・メタデータ記述を組み立てるために用いられる語彙は、通常は明確に定義されたメタデータスキーム(メタデータ標準およびメタデータモデルを含む)に基づいて、標準化されて構造化される。その際、統制語彙、分類体系、シソーラス、データ辞書、メタデータレジストリといったツールも重要になる。構造メタデータの共通性は、データモデルの開発やデータベース設計において最重要である。
構文
メタデータの構文とは、メタデータのフィールドまたは要素を構成するための規則を指す[25]。単一のメタデータスキームも、複数のマークアップ言語やプログラミング言語で表現される際は各言語で異なる構文を要する。例えば、ダブリン・コアはプレーンテキスト、HTML、XML、RDFで表現できる[26]。
ガイド系メタコンテンツの典型例としては、書誌分類、主題、デューイ十進分類法のクラス番号などが挙げられる。いかなる分類にも暗黙の主張が伴う。例えば、ある対象をデューイ分類514(トポロジー)として分類する場合、その暗黙の記述は “<book><subject heading><514>” となる。これは「主語-述語-目的語」のセット、より重要には「クラス-属性-値」のセットである。セットの最初の二要素(クラス、属性)は、定義済みの構造メタデータである。第三要素は値であり、統制語彙(マスターデータ)から選ばれるのが望ましい。メタデータ要素とマスターデータ要素の組合せから、メタコンテンツ記述が形成される。メタデータもマスターデータも、メタコンテンツ記述を構成し得る語彙である。
メタデータ・マスターデータ双方に対して多くの標準や語彙があり 、例としては統一モデリング言語、EDIFACT、XSD、デューイ十進分類法、国際十進分類法、アメリカ議会図書館分類法、SKOS、ISO 25964、パントン(パントン・マッチング・システム)(色)、リンネ式二名法(学名)などがある。索引付け・検索のいずれの場合でも、メタコンテンツ記述の構成要素に統制語彙を用いることがISO 25964によって推奨されている。「索引作成者と検索者の双方が同一の概念に対して同一の語を選択するよう(統制語彙によって)導かれるなら、関連文書は(より容易に)検索される(括弧内は訳者注)」からである[27]。これは、Googleのようなインターネット検索エンジンを考える際に特に重要である。検索エンジンはページをインデックス化し、複雑なアルゴリズムで文字列照合を行う。そこに知能や「推論」が生じているわけではなく、そのように見えるだけである。
階層型・線形・平面スキーマ
メタデータスキーマは階層的になることがある。この場合、メタデータ要素間に関係が存在し、要素が入れ子構造を取り、親子関係が形成される。階層型メタデータスキーマの例としてIEEE LOMが挙げられ、ここではメタデータ要素は上位のメタデータ要素に属し得る。
メタデータスキーマは一次元、すなわち線形のこともある。この場合、各要素は他の要素と完全に独立しており、一つの次元にのみ基づいて分類される。線形スキーマの例はダブリン・コアである。
また、メタデータ・スキーマは二次元、すなわち平面型である場合が多く、この場合各要素は互いに完全に独立・直交する二つの次元に基づいて分類される[28]。
粒度
データまたはメタデータがどの程度構造化されているかは粒度 (曖昧さ回避)と呼ばれる。粒度はデータの詳細さを指し、粒度が高いメタデータは、より深く詳細で高度に構造化された情報を与え、より高度な技術的操作を可能にする。一方、粒度が低ければ作成コストは大幅に低減するが、提供される詳細は限定的となる。
また、粒度は作成・取得コストだけでなく、保守コストにも影響する。メタデータ構造の最新化ができないと、それに紐づいているデータへのアクセスも困難になる。高い粒度のメタデータはその分最新化コストも高くなるため、粒度はメタデータの作成・維持双方にかかるコストを勘案して設定されなければならない。
ハイパーマッピング
メタデータスキーマが平面表現に収まらない場合、選択した観点に応じてメタデータを表示・閲覧するため、何らかのハイパーマッピングが必要となる。ハイパーマッピングは、地球情報学など、地理および地質情報のオーバーレイ層を重ねる用途で頻繁に適用される[29]。
用途

一般的な種類のコンピュータファイルは、多くがメタデータを埋め込み可能である。文書(例:Microsoft Office、OpenDocument、PDF)、画像(例:JPEG、PNG)、動画(例:AVI、MP4)、音声(例:WAV、MP3)などが該当する。
メタデータは利用者が追加できるが、オーサリングアプリケーションや機器が利用者の関与なしに自動的に付与するメタデータも存在する。
ファイル内のメタデータは検索に有用である一方、共有時にはプライバシー上のリスクとなり得る。共有前にメタデータ削除ツールを使うことはプライバシー保護のために有用である。
写真
デジタル写真ファイルには、所有者、著作権・連絡先情報、使用カメラのブランドや機種、露出情報(シャッター速度、絞り値など)、さらにはキーワード等の記述情報をメタデータとして書き込むことができる。これにより、ファイルや画像はコンピュータ上やインターネット上で検索可能となる。色空間、カラーチャンネル、露出時間、絞りなどの一部のメタデータはカメラ(EXIF)によって生成され、他方で写真家やソフトウェアがコンピュータに取り込んだ後に入力するメタデータもある[30]。ほとんどのデジタルカメラは、機種名やシャッター速度等のメタデータを書き込み、一部はその編集も可能である[31]。この機能は、ニコンではニコン D3以降の多数のデジタル一眼レフカメラ、キヤノンではEOS 7D以降の新機種の多く、ペンタックスではペンタックス K-3以降の多くのデジタル一眼レフカメラで利用可能である。キーワード付与により、ポストプロダクションでの整理が容易になる。フィルタを用いれば、評価や撮影時刻などの基準で写真を選択できる。GPS など測位機能を備えたデバイス(特にスマートフォン)では、撮影位置がメタデータに含まれる場合がある。
写真メタデータ標準は、次のような標準を策定する団体によって管理される(以下に限られない)。
動画
動画では、内容(会話や場面)がコンピュータに直接は理解されないため、効率的な内容検索を可能にするメタデータが特に有用である。これは自動車ナンバー自動読取装置や車両認識ソフトウェアなどにおいて、ナンバープレートデータを保存し、レポートやアラートを作成する上でも有用である[33]。
動画メタデータは主に二つの源泉から得られる。
- 運用上収集されるメタデータ:使用機器、ソフトウェア、日付、場所など、制作に関する情報。
- それ以外のメタデータ:検索エンジンでの可視性向上、発見可能性・視聴者エンゲージメントの改善、広告機会の提供などを目的とする情報[34]。
アビッド・テクノロジーのMetaSyncや Adobe Bridgeは、メタデータにアクセスできるプロ向け動画編集ソフトの例である[35]。
通信
電話、電子メール、インスタントメッセージ等の通信における通話・送受信の時刻、発信元、発信先に関する情報は、メッセージ内容とは別のメタデータの一形態である。エドワード・スノーデンによる暴露後、アメリカ国家安全保障局のような一部の情報機関が、対象者か否かにかかわらず、何百万人ものインターネット利用者のオンラインメタデータを最大1年間にわたり大量に収集していた(あるいは現在もしている)とされたことは、論争の的となった。
地理空間メタデータ
地理空間メタデータは、地理情報システムのファイル、地図、画像、その他の位置に基づくデータに関わる。地理情報システムでは、データベースファイルやシステム内で作成されたデータなど、地理データの特性・属性を記録するためにメタデータが用いられる。具体的には、データ作成者、収集時期、処理方法、利用可能な形式などの詳細を含み、データの効果的な利用に資する情報を提供する[36]。
作成
メタデータは自動または手作業のいずれでも作成され得る。初歩的なメタデータには、作成時刻、作成者、最終更新時刻、ファイルサイズ、拡張子などが含まれる。メタデータの対象には次のようなものがある。
メタデータエンジンは、所与のドメイン知識内で使用されるデータおよびメタデータに関する情報を収集・保存・分析する[37]。
データ仮想化
データ仮想化は2000年代に新たなソフトウェア技術として登場した。データ仮想化サーバでは、メタデータが永続的リポジトリとして保存され、企業内の各種システムアプリケーションにおけるビジネスオブジェクトを記録する。データ仮想化の支援においても、構造メタデータの共通性が重要である。
統計と国勢サービス
標準化と調和の取り組みは、統計コミュニティにおけるメタデータシステム構築の産業的努力に利点をもたらしている[38][39]。欧州統計実務規範[40]やISO 17369:2013(SDMX)[38]など、複数のメタデータ指針・標準が、企業・政府機関・その他組織による統計データとメタデータの管理原則を提供する。ユーロスタット[41]、欧州中央銀行制度[41]、米国環境保護庁[42]のような機関は、統計業務プロセスの管理効率化を目指し、これらの標準・指針を実装している[41]。
図書館情報学
メタデータは、図書館において、デジタル・アナログ双方の資料目録編成手段として多様に用いられてきた。これにより、特定の書籍、DVD、雑誌など、図書館所蔵の任意の対象を分類・集約・同定・所在特定できる[43]。主題別に図書館資料を分類するデューイ十進分類法は、メタデータ利用の初期例である。1980年代までは、多くの図書館目録が、3×5 インチのカードを引出しに収め、書名・著者・主題・請求記号(書架上の物理的所在を示す英数字列の略記)を表示していた[44]。1980~90年代以降、多くの図書館は紙カードをコンピュータデータベースに置き換え、キーワード検索が容易かつ迅速になった。
古いメタデータ収集の別例として、米国国勢調査局の「長文質問票」がある。これは人口分布を把握するための人口統計データを作成する質問票である[45]。図書館は、統合図書館システムにおける目録でメタデータを用いるのが通例であり、書籍・逐次刊行物・DVD・ウェブページ・デジタル画像などの資源を目録化してメタデータを取得する。このデータは機械可読目録のメタデータ標準を用いて統合図書館システムに格納され、所蔵品の物理・電子的所在への誘導や、当該資料の記述提供を目的とする。
より新しく特化した図書館メタデータの事例として、電子印刷物リポジトリやデジタル画像ライブラリの設立がある。これらではメタデータ提供において非司書による利用に焦点が置かれるため、伝統的・一般的な目録手法には従わない。収録資料が多様であることから、分類学的分類、位置情報、キーワード、著作権表示といったメタデータ項目が特別に設けられることが多い。ファイルサイズや形式など標準的なファイル情報は、多くの場合自動的に含まれる[46]。図書館運営は、数十年来、国際標準化の主要テーマである。電子図書館のメタデータ標準には、ダブリン・コア、METS (メタデータ標準)、MODS (メタデータ標準)、DDI (メタデータ標準)、デジタルオブジェクト識別子、URN、PREMIS スキーマ、EML (メタデータ標準)、OAI-PMHなどがある。世界の主要図書館のメタデータ標準戦略から学べることは多い[47][48]。
類似概念として、シンセットがある。これは同義語の集合であり、計算言語学・語彙意味論の基本概念であり、英語の語彙データベースであるWordNetのものが有名である[49]が、EuroWordNet[50]、BabelNet[51]、国際ワードネットイニシアティブ[52]など他言語・多言語プロジェクトにも拡張されている。シンセットは自然言語処理の一部領域で重要な役割を果たすことが示されており、語彙項目と概念的意味の橋渡しとなる[53]。
科学
学術論文のメタデータは、しばしば学術誌の出版社やPubMed、Web of Scienceといった引用データベースによって作成される。他方で、原稿中に含まれるデータや補足資料として付随するデータについては、メタデータが作成されることは比較的少ない[54][55]。ただし、出版後に生物医学系データベースなどへ投稿される場合があり、その際には原著者およびデータベースのキュレーターが、自動処理の支援を受けつつメタデータ作成の主体となる。あらゆる実験データに対する包括的なメタデータの作成は、研究データの「発見可能性」「アクセシビリティ」「相互運用性」「再利用性」に関するFAIRデータ指針の基盤である[56]。
この種のメタデータは、活用・補完され、有用な形で公開され得る。OpenAlexは 2 億点超の学術文献を統合する無償のオンライン目録であり、ソース、引用、著者情報、学術分野、研究トピックなどのメタデータを提供する。APIとオープンソースのウェブサイトは、メタサイエンスや科学計量学、およびセマンティックウェブ様の論文照会を提供するツールとして利用できる[57][58][59]。開発中の別プロジェクトであるスコリアは、学術出版物のメタデータを用いて各種の可視化や集約機能を提供し、たとえばウィキデータの「メインサブジェクト」特性を用いてSARS-CoV-2の特定機能に関する文献を要約する簡易ユーザーインターフェースを提供する[60]。
研究の現場においては、論文の作成における役割、貢献度、責任分担など、著者貢献に関する透明性に関するメタデータの導入が提案されている[61][62]。
さらに、学術成果物に関して多様なメタデータが作成・補完され得る。たとえば、論文引用を「支持」「言及」「対照」などに区分して追跡・リンク付けしようとする取り組みがある[63]。他の例として、オルトメトリクス[64]の展開が挙げられる。これは評価やファインダビリティを助けるのみならず、Redditなどのソーシャルメディア上の議論、ウィキペディアにおける引用、ニュースメディアの報道を集約する[65]。加えて、元の知見が確認・再現されたか否かの提示を求める動きもある[66][67]。
博物館
博物館におけるメタデータとは、アーキビスト、司書、レジストラ (文化財)、キュレーター、学芸員など、訓練を受けた文化資料記録の専門職が、美術作品・建築・文化財およびそれらの画像を索引化・構造化・記述・同定し、または仕様化するために作成する情報を指す[68][69][70]。博物館では、対象物の同定やリソース検索・回収の目的で、記述メタデータが最も一般的に用いられる[69]。
利用
博物館や収蔵機関においてメタデータは、次の目的で開発・適用される。
標準
多くの博物館・文化遺産機関は、作品や文化財の多様性を踏まえ、単一のモデルや標準では十分に記述・目録化できないことを認識している[68][69][70]。たとえば、彫刻された先住民の遺物は、美術作品、考古学的遺物、先住民文化遺産のいずれとしても分類され得る。博物館コミュニティにおけるアーカイブ、記述、目録化の標準化の初期段階は 1990 年代後半に始まり、CDWA、Spectrum、CIDOC CRM、Cataloging Cultural Objects(CCO)、CDWA Lite XML スキーマなどの標準が策定された[69]。これらの標準は、機械処理・公開・実装のためにHTMLおよびXMLのマークアップ言語を用いる[69]。本来は書籍の記述のために開発された英米目録規則(AACR)も、美術・建築・文化財に適用されている[70]。CCOのような標準は、博物館の収蔵品管理システムに統合され、収蔵品・受入・貸借・保存管理の基盤となる[70]。もっとも、「急速に進化する標準と技術の状況」は、文化資料記録の専門職、特に技術的訓練を受けていない職種に課題をもたらす[71]。大半の収蔵機関や博物館は関係データベースを用いて文化財とその画像を分類する[70]。関係データベースとメタデータは、文化財や多面的な美術作品相互の複雑な関係、さらには対象と場所・人物・美術運動の関係を記録・記述するのに適している[69][70]。また、文化財とその画像を明確に区別できる点でも、関係データベースは有用である。文化財と画像の区別が不明瞭だと検索が混乱し不正確になり得るためである[70]。
文化財
対象物の物質性・機能・目的、寸法(高さ・幅・重量など)、保管要件(例:恒温恒湿環境)、ならびに博物館やコレクションのトピック(昭和鎌倉コレクション・近代インド美術など)は、文化資料記録の専門職が当該対象に付与するデータの記述深度に影響する[70]。確立された機関の目録実務、目標、専門性、およびデータベース構造も、文化財に付与される情報や分類方法に影響を与える[68][70]。さらに、多くの博物館は商用の標準化された収蔵品管理システムを用いており、これが学芸員による記述の方法を規定・制約する[71]。収蔵機関や博物館は、収蔵する文化財や美術作品の記述に統制語彙を用いる[69][70] 。ゲティボキャブラリーズプログラム やアメリカ議会図書館統制語彙は博物館コミュニティで高い評価を得ており、CCO標準でも推奨されている[70]。各博物館には、自館のコレクションの文脈に適合し、収蔵品管理システムの機能性を高める統制語彙の利用が推奨される[69][70]。統制語彙はデータベースにおける一貫性を高め、検索の精度向上に有用である[69][70]。メタデータ構造(統制語彙を含む)は、それが作られたシステムのオントロジーを反映する。しばしば、博物館におけるメタデータを通じた文化財の記述・分類プロセスは、作り手コミュニティの視点を十分に反映しない[68][72]。
オンラインコンテンツ
メタデータは、博物館におけるデジタル情報システムやアーカイブの構築において中心的役割を果たし、オンラインでのデジタルコンテンツ公開を容易にしてきた。これにより、地理的・経済的制約のために文化財へのアクセスが困難だった閲覧者にもアクセス機会が拡がった[69]。2000年代に入り、より多くの博物館がアーカイブ標準を採用し精緻なデータベースを構築する中で、博物館・アーカイブ・図書館情報学コミュニティでは、博物館データベース間のリンクトデータに関する議論が生じている[71] 。収蔵品管理システムやデジタル資産管理ツールは、ローカル(LAN)にも共有型にもなり得る[70]。デジタルヒューマニティーズの研究者は、博物館データベースおよびコレクション間の相互運用性の利点を多数指摘する一方、その実現の困難さも認識している[71]。
立法
立法メタデータは、コーネル大学ロースクールの法律情報研究所が2010年3月22・23日に開催したワークショップなど、law.govフォーラムで議論の対象となってきた。これらのフォーラムの文書は“立法および規制に関して想定されるメタデータの活用”と題されている[73]。議論では次のような主要論点が述べられている。
- 一般的考慮事項
- 文書構造
- 文書内容
- メタデータ
- レイヤリング
- 時点情報と事後的処理の比較
医療
オーストラリアではヘルスケア領域におけるメタデータの応用に関する先駆的な研究が見られた。このアプローチは、世界保健機関の影響から独立して医学国際標準に準拠しようとする最初の試みであるが、これらの標準を支持する研究が存在するにもかかわらず、医学界はメタデータ標準に従う必要性を認めていない[74]。
生物医学研究
生物医学や分子生物学の研究は、ゲノム・メタゲノム配列決定、プロテオーム解析データ、研究過程で作成されるノートや計画など、大量のデータを生み出すことが多い[75]。各データ型には、そのメタデータの種類と作成プロセスが固有に伴う。ISA-Tab[76]のような一般的メタデータ標準は、研究者が実験メタデータを一貫した形式で作成・交換することを可能にする。特定の実験手法には、多くの場合、それぞれのメタデータ標準やシステムがある。たとえば質量分析法ではmzML[77]やSPLASH[78]が用いられ、XMLベースの標準としては、巨大分子構造と配列データのために、それぞれ蛋白質構造データバンクML[79]とSRA XML[80]が用いられる。
生物医学研究の成果は一般に査読済み論文として具現化され、これらの出版物自体もデータ源となる。
データウェアハウジング
データウェアハウスは、組織の電子的に保存されたデータのリポジトリであり、データの管理・保管を目的として設計される。ビジネスインテリジェンスシステムがデータを用いてレポートを作成し分析を行い、経営に戦略的示唆を与えるのに対し、データウェアハウスはデータの収容と管理を主とする点で異なる[81]。
メタデータはデータウェアハウスにおけるデータの格納方法に関して重要な役割を担う。データウェアハウスの目的は、組織内の各種業務システムから抽出したデータを標準化・構造化・一貫化・統合・正確化・クレンジングし、タイムリーに収容することである。抽出データは企業全体の視点を提供するようデータウェアハウス環境で統合され、報告・分析要件に資するよう構造化される。実体関連モデルなどのデータモデリング手法を用いて、構造メタデータの共通性を設計することは、あらゆるデータウェアハウス開発において重要である。データウェアハウスおよびビジネスインテリジェンスシステムの本質的構成要素は、メタデータ自体と、その管理・検索のためのツールである。ラルフ・キンボール[82]は、メタデータを「データウェアハウスのDNA」と表現し、メタデータがデータウェアハウスの要素とそれらの連関を定義することを指摘している。
キンボールら[83]は、メタデータを主に三つに区分する。すなわち、技術メタデータ、業務メタデータ、プロセスメタデータである。技術メタデータは主として定義的であり、業務・プロセス・メタデータは主として記述的である。これらの区分は相互に重なり得る。
- 技術メタデータ:データウェアハウスおよびビジネスインテリジェンスシステムにおけるオブジェクトとプロセスを技術的観点から定義する。リレーショナルエンジン内の表、項目、データ型、索引、パーティションなどのデータ構造に加え、データベース、ディメンション、測定、データマイニングモデルなどを規定するシステムメタデータを含む。ユーザに対するデータモデルおよび表示方法(レポート、スケジュール、配布先、ユーザ権限)も定義する。
- 業務メタデータ:データウェアハウス内の内容を、利用者にとって分かりやすい語で記述する。保有データの内容、出所、意味、他データとの関係を示し、データウェアハウスおよびビジネスインテリジェンスシステムのドキュメンテーションとしても機能し得る。データウェアハウスを閲覧する利用者は主に業務メタデータを参照する。
- プロセスメタデータ:データウェアハウス内の各種操作の結果を記述する。ETLプロセスではタスクの主要データ(開始時刻、終了時刻、CPU使用秒数、ディスク読み書き回数、処理行数など)が実行時に記録される。ETLやクエリのトラブルシューティングにおいて有用である。データウェアハウスおよびビジネスインテリジェンスシステムの構築・運用における事実測定であり、一部の組織はこの種のデータを収集・販売して収益化している。その場合、プロセスメタデータは、ファクト表・ディメンション表に対する業務メタデータとなる。プロセスメタデータの収集は、製品の利用者・利用製品・受けているサービス水準の把握を可能にするため、事業側の関心事となる。
インターネット
ウェブページを定義するHTML形式は、基本的な記述テキスト・日付・キーワードから、ダブリン・コア、e-GMS、AGLSのような高度なメタデータスキームまで[84]、多様なメタデータの包含を可能にする。ページやファイルは、地理座標系のフォークソノミーを含め、座標によるジオタグ付けや分類・タグ付けも可能である。
メディアに識別子が設定されている場合、あるいは生成可能な場合には、映画などに関する情報(ファイルタグや説明)をインターネットから取得・スクレイピングできる[85]。各種オンラインデータベースは集約され、多様なデータのメタデータを提供する。協働構築されたウィキデータは、メディアだけでなく抽象概念や各種の対象・実体にも識別子を付与し、人間・機械が有用な情報を検索し、他の知識ベースやデータベースの知識と連結できるようにしている[60]。
メタデータはページのヘッダ内、または別ファイルに含められることがある。マイクロフォーマットは、一般利用者には見えない形でページ上のデータにメタデータを付す手段を提供し、コンピュータ、ウェブクローラ、検索エンジンが容易にアクセスできるようにする。
多くの検索エンジンは、メタデータの悪用や検索エンジン最適化(SEO)による順位操作の実情を踏まえ、ランキングアルゴリズムでメタデータを扱うことに慎重である。ドクトロウによれば[86]、人々が自らのメタデータを作成する際に注意や配慮を欠くこと、またメタデータが作成者自身の目的推進のために利用される競争的環境の一部であることから、メタデータをランキングアルゴリズムで慎重に扱うことが正当化され得る。一方で、メタデータを実装したウェブページに検索エンジンが反応することを示す研究もあり[87]、Google は自社検索エンジンが解釈可能なメタタグを自社サイトで公表している[88]。エンタープライズ検索のスタートアップである Swiftypeは、サイト内検索における関連性シグナルとしてのメタデータの役割を認め、メタタグ2と呼ばれる独自拡張を公開している[89]。
放送産業
放送産業において、メタデータは音声・映像の放送メディアに結び付けられ、次の目的に用いられる。
- 媒体の識別:メディアクリップ名・プレイリスト名、尺、タイムコード等。
- 内容の記述:映像品質に関する注記、レイティング、説明(例:スポーツ中継では、ゴール、レッドカード等のキーワードを特定クリップに関連付ける)。
- 媒体の分類:メタデータにより、プロデューサーは媒体を並べ替えたり、映像コンテンツを迅速・容易に検索できる(例:ニュース番組が急ぎでアーカイブ映像を必要とする場合)。BBCには、一般用途のユニバーサル十進分類法をカスタマイズした大規模主題分類システムロンクラスがある。
この種のメタデータは、ビデオサーバーの仕組みにより映像メディアに結び付けられる。FIFAワールドカップやオリンピックのような主要スポーツ中継では、キーワードを通じて各国の放送局へ映像コンテンツを配信するため、このメタデータが広く利用される。多くの場合、開催国のホストブロードキャスターが[90]、国際放送センターおよびビデオサーバーを通じてメタデータの編成を担う。メタデータは映像とともに記録され、メタデータオペレーター(ロガー)が、マルチカム (LSM)やIPDirectorのようなソフトウェアを用いてメタデータグリッド上でライブに付与・関連付ける[91][92]。
生態学・環境
生態学・環境分野のメタデータは、特定研究におけるデータ収集の「誰が・何を・いつ・どこで・なぜ・どのように」を記録することを目的とする。通常、収集主体(組織・機関)、データの種類、収集日、収集の理由、収集手法等の詳細を含む。メタデータは、当該分野のコミュニティで一般に用いられる形式(ダーウィンコア、Ecological Metadata Language(EML)[93]、ダブリンコアなど)で作成されるべきである。メタデータ作成を支援する編集ツール(例:Metavist[94]、Mercury (ソフトウェア)、Morpho[95])が存在する。また、データの来歴(発生源、および実施された変換)と、データ成果物の引用方法(クレジット付与の方法)も記述されるべきである。
デジタル音楽
1982年の発売当初、CDには、トラック数と各トラックの長さのみを含む TOC(Table of Contents)が収録されていた[96][97]。その14年後の1996年、CDレッドブック規格の改訂で、追加メタデータを格納するCD-TEXTが導入された[98]が、広範には普及しなかった。まもなく、パーソナルコンピュータがTOCに基づき外部ソース(例:CDDB、Gracenote)からメタデータを取得することが一般的になった。
2000年代には、デジタル音声ファイル等の音声ファイルフォーマットがカセットテープやCDに取って代わった。デジタル音声ファイルには、ファイル名以上の情報を付与でき、これらの記述情報は一般にオーディオタグ・オーディオメタデータと呼ばれる。これを付加・編集する専用ソフトはタグエディタと称される。メタデータは、デジタル音声ファイルの命名、記述、目録化、所有権・著作権の表示に利用でき、検索エンジンがメタデータにアクセスすることで、グループ内から特定ファイルを容易に見つけられる。各種デジタル音声形式の発展に伴い、ファイル内部のどこに情報を格納するかの標準化が試みられた。
その結果、MP3、Broadcast Wave Format、AIFFを含むほぼすべてのデジタル音声形式は、類似の標準化されたメタデータ格納領域を備えるようになった。圧縮・非圧縮のデジタル音楽では、メタデータはしばしばID3タグとして符号化される。TagLibのような一般的エディタは、MP3、Ogg Vorbis、FLAC、MPC、Speex、WavPack、TrueAudio、WAV、AIFF、MP4、ASF 形式をサポートする。
クラウド・アプリケーション
コンテンツへのメタデータ付与を含むクラウドアプリケーションの普及により、メタデータはインターネット上で一層利用可能になっている。
管理と運用
保存
メタデータは、記述対象データと同一のファイル・構造内に内部保存[99](埋め込みメタデータ)することも、対象データとは別のファイルやフィールドに外部保存することもできる。データリポジトリは、典型的にはメタデータをデータから切り離して保存するが、埋め込み方式を支援するよう設計することも可能である。各方式には長短がある。
- 内部保存:メタデータは常に対象データとともに移動するため、データと一体で常に利用でき、ローカルで操作可能である。他方で、冗長性(正規化の阻害)を生み、システム全体のメタデータを一元管理できない。もっとも、データ変更時に容易に同期・更新できるため、一貫性の向上が主張されることもある。
- 外部保存:すべてのコンテンツのメタデータを(例えばデータベースに)集約配置でき、検索・管理が効率化される。組織を正規化することで冗長性を回避できる。この方式では、情報転送時にメタデータをコンテンツと結合して送る(例:ストリーミングメディア)か、転送コンテンツからメタデータを参照する(例:ウェブリンク)ことができる。短所として、メタデータとデータが分離されるため、とりわけ別所にあるメタデータを参照する単独ファイルでは、片方の変更が他方に反映されず、両者の不整合が生じやすい。
メタデータは、人間可読形式またはバイナリ形式で保存できる。XMLのような可読形式は、特別なツールなしに理解・編集できる利点がある[100]。しかしテキスト系形式は、容量・通信時間・処理速度が最適化されないことが多い。バイナリ形式はこれらの効率に優れる一方、可読化のための専用ソフトを要する。
データベース管理
各関係データベースには、メタデータ保存の独自機構がある。例として、次のようなメタデータが挙げられる。
- データベース内の全テーブルの一覧、名称、サイズ、各テーブルの行数。
- 各テーブルの列の一覧、それらが用いられるテーブル、および各列のデータ型。
データベース用語では、これらのメタデータ集合をデータベースカタログと呼ぶ。SQL標準は、このカタログにアクセスするための統一手段として情報スキーマを規定するが、他のSQL標準要素を実装していても、情報スキーマを実装しないデータベースもある。データベース固有のメタデータアクセス法の例としてはOracle metadataが挙げられる。JDBCやSchemaCrawlerのようなAPIを用いれば、プログラムからメタデータへアクセス可能である[101]。
標準
メタデータには国際標準が存在し、とりわけ米国国家規格協会および国際標準化機構の国内外コミュニティにおいて、メタデータおよびレジストリの標準化に関する合意形成が精力的に進められている。
ISO/IEC 11179
中核的なメタデータ・レジストリ標準は ISO/IEC 11179であり、その枠組みはISO/IEC 11179-1:2004に記述されている[102]。Part1の新エディションはConcept Systemsの登録をサポートする ISO/IEC 11179-3:2013(MDRの拡張)に整合するよう改訂された(ISO/IEC 11179参照)[103]。これはデータの意味と技術構造の双方を記録するスキーマを規定する。
ISO/IEC 11179標準では、メタデータはデータに関する情報オブジェクト、すなわち「データに関するデータ」として言及される。ISO/IEC 11179 Part3では、情報オブジェクトはデータ要素、値領域その他の、データ項目の意味と技術的詳細を記述する再利用可能な意味論的・表現論的情報オブジェクトに関するデータである。本標準はまた、メタデータレジストリの詳細、ならびにレジストリ内で情報オブジェクトを登録・管理するための詳細も規定する。Part3には、計算による派生、複数のデータ要素の集合、その他の形態の派生データなど、他のデータ要素から派生する複合構造の記述に関する規定も含まれる。本標準の目的は、特定アプリケーションに依存せずにメタデータ内容を記述し登録することを支援することであり、記述は人間やコンピュータによって新規アプリケーションやデータベースの開発、あるいは登録済みメタデータ内容に従って収集されたデータの分析に再利用され得る。本標準は、標準の登録・管理部分を再利用・拡張することで、他種のメタデータ・レジストリの一般的基盤ともなっている。
地理空間メタデータ
地理空間コミュニティには、地図・画像の図書館や目録の伝統に基づく専門的な地理空間メタデータ標準の蓄積がある。地理空間情報においては、通常のテキスト処理アプローチが適用できないため、形式的メタデータが不可欠となることが多い。
ダブリン・コア
ダブリン・コア・メタデータ語彙[104]は、資料の発見を目的に資料を記述するための語彙である。15の基本語からなる語彙集合[105]は、以下の標準文書で承認されている。
W3Cデータカタログ語彙(DCAT)[109]は、ダブリン・コアを補完するRDF語彙であり、データセット、データサービス(Webサービスを参照)、カタログ、カタログレコードのクラスを備える。データカタログ語彙はFOAF、PROV-O、OWL-Time の要素も利用する。データカタログ語彙は、レコードからなる典型的なカタログ構造(各レコードがデータセットまたはサービスを記述する)を支援するRDFモデルを提供する。
標準ではないが、マイクロフォーマットは、既存のHTML/XHTMLタグを再利用してメタデータを表現しようとするウェブベースのセマンティック・マークアップ手法である。コンピュータ科学者のタンテク・チェリクはマイクロフォーマットを指示して次のように述べている。「今ここに学んで欲しい新しい言語があり、さらにサーバ上に追加ファイルを出力してもらう必要がある。面倒だろう?(マイクロフォーマットは)参入障壁を下げる。[110]」
大衆文化
現代的意味でのメタデータ概念を風刺的に扱った初期例の一つとして、アメリカのSF作家ハル・ドレイパーによる短篇「MS Fnd in a Lbry」(1961年)がある。人類の全知識が机の引き出しほどの大きさの物体に凝縮されるが、メタデータ(目録の目録…、索引や沿革)の巨大さが、やがて人類に深刻かつ滑稽な帰結をもたらすという筋立てである。実データよりもメタデータが重要になってしまう事態の現代的帰結を先取りし、その内在するリスクへの警鐘として読まれてきた。