今野晴貴

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今野 晴貴(こんの はるき、1983年 - )は、日本の労働運動家社会学者。専門は、労働社会学・労使関係論。NPO法人POSSE」元代表理事。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。学位は、博士(社会学)[1]

宮城県仙台市出身。仙台第二高等学校を経て、中央大学法学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了、博士(社会学)[1]

2006年にNPO法人「POSSE」を設立。若者が直面している労働の実態を知るために、労働相談や聞き取り調査を始めた。2008年にPOSSE創立メンバーらと総合情報誌『POSSE』を創刊し、働く若者の実態と社会への問題意識を発信している。

2011年3月11日の東日本大震災のあと、被災地支援のために仙台でも「POSSE」の活動を開始。被災者の送迎支援などに尽力したほか[2]、東北学院大学経済学部の佐藤滋ゼミや反貧困みやぎネットワークと協力して聞き取り調査も実施するなど[3]、現地の市民運動と連携した活動を展開した。最近でも、2019年に宮城の市民運動団体と「大人食堂」を立ち上げ[4][5]、同様の活動が一般に広まるきっかけをつくった。

2009年頃から、非正規雇用者だけでなく、IT企業や外食産業などで働く若い正社員からの労働相談が増え始めた[6]。その実態を分析したのが2012年に出版された『ブラック企業―日本を食いつぶす妖怪』(文春新書)であり、「ブラック企業」という言葉とともに大きな反響を呼んだ。同書の記述に関し、ユニクロを運営するファーストリテイリングから今野に対して、法的措置を窺わせる「警告状」が出された[7][8]。このことをきっかけに、企業からのスラップ訴訟に対抗して被害者を支援する全国的な組織として、弁護士の新里宏二、佐々木亮らがブラック企業被害対策弁護団を結成することになった[9][10]。2013年9月には今野自らが藤田孝典らと発足させた市民団体「ブラック企業対策プロジェクト」の共同代表に就任し、大学教授やソーシャルワーカーなどとの連携も強めている[11]

こうした一連の活動について、過労死問題に取り組んできた経済学者の故・森岡孝二氏は、「ブラック企業」が「過労死」や「ワーキングプア」と並ぶ社会問題として認識されていくうえでの「火付け役をした」と評価している[12]

2013年12月、『ブラック企業』が第13回大佛次郎論壇賞を受賞[13]。同年同月、「ブラック企業」で「ユーキャン新語・流行語大賞トップテン」受賞[14]

2014年から『Yahoo!ニュース個人オーサー』として労働・貧困問題に関して言論している[15]

2025年にNPO法人POSSEの代表理事を退任した[16]

人物

中学・高校時代からNHKドキュメンタリーを愛好しており、早くから社会問題に関心を持っていた[17]。高校の同級生に教育学者の田口康大、ジャズミュージシャンの座小田諒一がいる。

中央大学では労働法を専攻。同大学での経験は、角田邦重中央大学名誉教授の労働法ゼミ卒業生らと出版した『リアル労働法』(法律文化社)に結実している[18]

中央大学在学中にNPO法人「POSSE」を立ち上げたきっかけは、若年労働者の非正規雇用や早期退職の問題を若者の自己責任にする風潮に対して怒りを抱いたことだった[19]。労働問題の研究の傍ら、若者からの労働相談に関わり続けている[20][21]

労働相談の経験と労働政策研究の知見から、2008年から雑誌『POSSE』を発行しているほか、多数の著書を世に出している。また、経済雑誌、労務・人事雑誌等に多数論考を寄稿しているほか、行政、大学、弁護士会、労働組合などで頻繁に講演活動を行っている。

2013年には、公明党の国会議員団への講演、民主党の幹事長との対談等を通して、各政党関係者に対しブラック企業問題について告知し、また厚生労働事務次官から勉強会の依頼を受けるなど、日本国政府のブラック企業対策の実現に貢献した[22][23][24][25][26]

NPOを組織基盤としている点や、弁護士、人事コンサルタント、福祉関係者など幅広い分野の人物と共同して取り組む姿勢が、実践家の特徴として挙げられる[27][28]

職歴

  • 2006年 - 「POSSE」設立、代表理事就任[29]
  • 2007年2月27日 - 同団体が東京都からNPO法人認証。
  • 2007年3月16日 - NPO法人として設立(会社法人等番号0109-05-001727)、代表理事就任。
  • 2010年4月 - 日本学術振興会特別研究員(DC1:社会科学)[30]
  • 2013年3月 - 同満期[31]
  • 2013年9月11日‐ブラック企業対策プロジェクト設立。共同代表就任

名誉棄損事件

2015年7月、今野と東京大学大学院教授の本田由紀らが記者会見を開き、「事実に反し、彼らの名誉を傷つける内容の誹謗中傷メールが関係者に送られていた」旨の発表をした。2014年10月、今野らが名誉毀損罪で警視庁に告訴した。警視庁尾久警察署は同年6月、名誉毀損の疑いで神奈川県横浜市の人物を書類送検した。

その人物は、2013年5月、実在するコンサルタントを名乗り「今野晴貴 新左翼カルト POSSEに注意!」「特定非営利活動法人POSSE及び同法人代表理事である今野晴貴は、特定の政治団体・セクトと関係しているが、その事実を秘して活動を行っている」「カルトの広告塔・本田由紀教授」などと記した電子メールを、今野の所属する大学院の研究科、今野らの講演を主催した団体やテレビ番組の共演者、今野の著書を出版しようとした出版社など、100件以上に渡り送っていた。

またその人物は、「POSSEは新左翼」「今野氏は過激派」などの主張をまとめたウェブサイトを複数作成し、そのURLを今野の所属する大学の研究者や、POSSEと接点を持った団体・研究者・著名人などに送っていた[32]

上記の電子メールやウェブサイトの内容に関して、今野は「記載事項は事実無根であり、今野・本田・POSSEは特定の政治団体・セクトとの間には何らの関係のない」旨の主張をしている[33]

今野は日本科学者会議への加入を拒否されたこともあったが、その原因が、その人物の主張により今野が不信感を抱かれたことにあると、今野は推測している[34][35]

著書

単著

  • 『マジで使える労働法 : 賢く働くためのサバイバル術』イーストプレス、2009年5月。ISBN 978-4781601786 
  • 『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』文藝春秋〈文春新書878〉、2012年11月。ISBN 978-4166608874 
  • 『日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?』星海社〈星海社新書32〉、2013年4月。ISBN 978-4061385320 
  • 『ヤバい会社の餌食にならないための労働法』幻冬舎、2013年5月。ISBN 978-4344420267 
  • 『生活保護:知られざる恐怖の現場』筑摩書房〈ちくま新書1020〉、2013年7月。ISBN 978-4480067289 
  • 『ブラック企業ビジネス』朝日新聞出版〈朝日新書451〉、2013年11月。ISBN 978-4022735317 
  • 『ブラック企業2 「虐待型管理」の真相』文藝春秋、2015年3月。ISBN 978-4166610037 
  • 『求人詐欺 内定後の落とし穴』幻冬舎、2016年3月。ISBN 978-4344029149 
  • 『君たちはどう働くか』皓星社、2016年3月。ISBN 978-4774406107 
  • 『ブラックバイト―学生が危ない』岩波書店岩波新書1602〉、2016年4月。ISBN 978-4004316022 
  • 『ブラック奨学金』文藝春秋文春新書1112〉、2017年6月。ISBN 978-4166611126 
  • 『ブラック企業から身を守る! 会社員のための「使える」労働法』イースト・プレス、2018年8月。ISBN 978-4781616957 
  • 『ストライキ2.0―ブラック企業と闘う武器』集英社、2020年3月。ISBN 978-4087211153 
  • 『賃労働の系譜学 : フォーディズムからデジタル封建制へ』青土社、2021年11月。ISBN 9784791773947 
  • 『会社は社員を二度殺す 過労死問題の闇に迫る』文芸春秋〈文春新書1498〉、2025年6月。ISBN 978-4166614981
  • 『会社で働くとなぜ幸せになれないのか』SB新書、2026年4月。ISBN 978-4-8156-3055-3

共編著

メディア出演・講演など

脚注

外部リンク

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