動物園 (落語)
From Wikipedia, the free encyclopedia
朝が弱く、力仕事が苦手で、口下手なため、仕事勤めが続かない男。ある日、ぴったりの仕事を世話してもらうことになった。午前10時出勤でよく、何も持たないでよく、しゃべる必要もなく、昼食・昼寝付き1日1万円だという。好条件に飛びついて紹介状を受け取った男が着いた現場は、なんと移動動物園。
移動動物園の園長は男に、虎の皮を渡した。目玉展示の動物である虎が死んでしまったため、残った毛皮をかぶって虎になりすませ、という。早速毛皮をかぶった男は虎の檻に入れられ、園長に虎の歩き方を教わった。園長は、前足の方向と逆に頭を向けると虎らしく見えるといい、男の前でやってみせる。
開園時間になり、多くの観客が虎の檻にやって来た。空腹だった男は、子供客の持っているパンほしさに思わず「パンくれ」とつぶやいてしまう。それを聞いた子供にパンを投げ込んでもらうが、四つんばいの姿勢なのでうまく食べることができない。仕方なく手でつかむが、とうとう子供に不審がられた。男はうなり声をあげて子供を泣かせ、なんとかごまかした。
空腹が極まり、タバコも吸えず、難渋する男。そんな中、動物園のアナウンスが「虎とライオンの猛獣ショー」の開催を告げた。男は事前に説明を受けなかったので、慌てふためいた。虎の檻の中にライオンが放たれて、男はパニックに陥った。ライオンはうなり声を上げながら男の耳元に近づいて、「心配するな、わしも1万円で雇われたんや」。
バリエーション
園長の名前には主に「池田」「長谷川」「前田」がある。それぞれ桂文蝶、5代目桂文枝、2代目桂枝雀の本名である。他に「木村」など。[要出典]
男がライオンになりすまし、虎がやってくる、という演じ方もある(2代目桂三木助など)[要出典]。
最後にライオンが、「心配するな、園長の○○や」と言うサゲもある。この場合は、男が虎の歩き方を教わる際「あんた、うまいな。あんたが虎をやりいな」と園長をほめるシーンが伏線になっている。[要出典]
桂春若によると、桂春輔(のちの祝々亭舶伝)は、ダイエー京橋店が会場だった時代の島之内寄席(1975年 - 1984年)で「虎」を「象」と間違えてしまい、「もう云うてしもたから、今日は象でいくわ」と苦労しながらそのままサゲまで演じ、かえって大受けしたことがあった(次の出番だった2代目桂枝雀は「あのあとは出来ません」と演じずに高座を降りた)[5]。