口に関するアンケート

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著者 背筋
発行日 2024年9月4日
発行元 ポプラ社
口に関するアンケート
著者 背筋
発行日 2024年9月4日
発行元 ポプラ社
ジャンル モキュメンタリーホラー小説
日本
言語 日本語
形態 A6変型判(変形単行本)
ページ数 63
コード ISBN 978-4-591-18225-3
ウィキポータル 文学
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口に関するアンケート』(くちにかんするアンケート)は、ホラー作家・背筋によるホラー小説[1]。2024年9月4日にポプラ社より刊行された[2][3]

小さなサイズ感と63ページという短編[3]ながら恐怖を味わえる作品として話題となった[4]。作中には「アンケート」が付されており、物語の謎解きと恐怖感を同時に演出する工夫が施されている[5]。2026年に実写映画版が公開予定[6][7]

背筋のデビュー作『近畿地方のある場所について』(KADOKAWA)に続く作品で、手のひらサイズの装丁と全63ページというコンパクトな作りとなっている[2][3][8]宝島社『このホラーがすごい!2025年版』のホラー小説ベスト20(国内編)で第4位にランクインした[1]

本作は、心霊スポットを訪れた大学生グループが体験した出来事についての証言「回答音声」を書き起こす形式で物語が進行する、モキュメンタリー(実録を装ったフィクション)風の構成を特徴とする[2][9]

あらすじ

日常的に行動を共にする大学生4人が、心霊スポットとして知られる山奥の墓地で肝試しを行う。しかし、そのうちの1人が翌日失踪した。その後、この事件に関わる大学生2人が新たに現れ、失踪者を除く計5人の錯綜する奇妙な証言によって物語は展開される。

登場人物

杏(あん)
肝試しに参加した大学生グループの1人。失踪者。
村井 翔太(むらい しょうた)
肝試しに参加した大学生グループの1人。最初の証言者。
原 美玲(はら みれい)
肝試しに参加した大学生グループの1人。霊感のような能力を持つ。
伊藤 竜也(いとう たつや)
肝試しに参加した大学生グループの1人。
川瀬 健(かわせ けん)
オカルト研究部の部員。
堀田 颯斗(ほった はやと)
オカルト研究部の部員。

制作背景

本作はポプラ社のウェブ媒体から依頼を受けて執筆された作品であり、その後、急遽書籍化されることになった[9]。著者の背筋によれば分量は約1万6000字ほどの短編である[9]

創作経緯について、背筋は『近畿地方のある場所について』の後に多くの仕事を受け、執筆が続く中で「無我夢中で書いているなかで生まれた」作品であると述べ、プロットは担当編集者に送った段階でほぼ完成形に近く、やりとりを重ねながら作り上げたというより「急に降って湧いた」ように成立したと語っている[5]

リアルサウンドのインタビューで、ポプラ社の編集担当者は、WEB媒体向けに依頼した短編が社内で反響を得たことが書籍化につながったと述べており、営業担当者も、紙の書籍として刊行することで「意外性のある怖さ」が読者により伝わるのではないかと判断したと説明している[3][8]。また短編であることから、手軽に手に取れ、読後に貸し借りもしやすいコンパクトさが企画に合うとして小型サイズが採用されたと説明している[3]

ポプラ社の編集部では、原稿が完成した段階で社内の複数の編集者や営業担当者が即座に読み、読後には作品の解釈をめぐって考察が行われるなど、社内で大きな反響があった[10]。この反響を受け、当時ポプラ社内で議論されていた「出版不況の中で従来の本の形に囚われない新しい形の出版物」という企画と結びつき、短編をミニ本として刊行する案が生まれた[10]

本作の企画立案にあたっては、ポプラ社が過去に手がけたヨシタケシンスケ『あるかしら書店』や又吉直樹×ヨシタケシンスケ『その本は』といった、従来の小説や絵本の型にとらわれない作品の成功経験が影響を与えた[11]

仕掛け・装丁

判型はA6変型判で縦115ミリ×横85ミリの小型サイズである[3][8]。文庫より小さい判型で、カバーや帯を持たないシンプルなブックデザインであると述べられている[9]。本文は「3色まで使用可能」で、色を用いた仕掛けが施されている[9]。また、紙ならではの装幀の工夫や本文内の仕掛けがあるとされる[3][8]。表紙のデザインは口をモチーフにしており、見る者に強烈な印象を与えると評されている[8]

著者の背筋は、作中の「アンケート」について、物語の「種明かしを担う」機能を持たせつつ、説明によって怖さが薄れないよう「恐怖と種明かしを両立」させるための方法として用いたと述べている[5]。また、アンケート形式の特性(問に順に答える形式)を利用し、最後の問いに至ったときに恐怖を味わわせる狙いが語られている[5]。さらに、書名・小型サイズ・装丁の不気味さなどを含めて話題にしやすい要素があるとして、口コミで広まることを期待する意図も述べている[5]

装丁デザインについては、当初「the 怖いホラー」「エンタメホラー」の方向性で黒や赤を基調としたデザインが検討されていたが、著者の背筋が「ホラーというより、奇妙とか違和感、気持ち悪さのようなキーワードを大事にしたい」と述べたことで方向性が転換された[10]。最終的に採用された口の写真を用いたデザインは、書店での目立ちやすさと「手に取れるギリギリの不快感」のバランスが追求された[10]。また、表紙裏には、注意深く見なければ気づかないレベルでセミの大群が印刷されており、細部まで仕掛けが施されている[10]

販売戦略としては、あらすじや内容紹介を一切出さず、「前情報なしに体験として楽しんでもらう」ことが重視された[11]。また、文庫売り場ではなく単行本売り場での展開が選択され、小型サイズを最大限に活かす方針が取られた[11]。広告宣伝においては、作中のアンケートという設定に沿って「10万部突破」ではなく「10万人にご協力いただきました」という表現が用いられた[11]

売上・評価

本作は初版3万部で刊行された[11]。これは小説の初版としては大きな規模であり、背筋の前作『近畿地方のある場所について』のヒットと、KADOKAWAから第2弾が刊行されるタイミングを踏まえた戦略的判断によるものであった[11]

発売から1か月未満で累計発行部数10万部を突破[3]、発売約1か月後には15万部に到達した[8][12]。2025年6月13日には累計22万部を突破[1]、同年11月25日時点で累計32万部(電子書籍含む)を突破した[4]

宝島社『このホラーがすごい!2025年版』のホラー小説ベスト20(国内編)で第4位にランクインした[1]。また日本出版販売が発表した「2025年 上半期ベストセラー」(単行本フィクション)で第7位[13]、トーハンが発表した「2025年 上半期ベストセラー」(単行本 文芸書)で第8位を記録した[1]。日本出版販売は、モキュメンタリーの手法を用いた本作を、雨穴の「変な家」シリーズで話題となったモキュメンタリーホラーの流れを汲む没入感の高いフィクション作品として紹介した[13]

読者層は20~30代男女が6割を占めた[1][12]

SNS上では読者が自発的にネタバレを避けるマナーが形成され、「お疲れさまでした」「ではさようなら」といった抽象的な感想が共有されるなど、作品の性質を尊重する読書文化が生まれた[11]

書誌情報

映画

脚注

外部リンク

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