唐物語
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『唐物語』(からものがたり、からもののかたり)は、中国の故事を翻案し歌物語の形式にした説話集。作者は藤原成範である蓋然性が高く、成立は12世紀後半と推定される[1]。
それぞれに異なる人物を主人公とする27の短い物語を集成したものである。『蒙求』『白氏文集』などを主要な出典とし、多くは有名な故事を題材としている。「唐」(から)は中国を意味し、唐代以前の故事が多い。文章は『源氏物語』や和歌の影響の強い優雅な和文体で、また内容的にも原拠と目される作品とはかなりの違いが見られる。
各作品の原拠についての研究は、江戸時代文化6年(1809年)の清水浜臣の『唐物語提要[2]』を初めとして現代までいくつもの研究が報告されている。しかし、張文成(「遊仙窟」の作者、張鷟(中国語版))が則天皇后の愛人であったという第9話と、結婚を拒否して山中に逃れた娘が犬と交わるという第27話は、中国の原拠が不明のため、古来大きな研究課題となっている。
( )は清水浜臣『唐物語提要』[3]に挙げられた標題、『 』は有吉恵美子[4]考証による原拠文献題名[5]。
- (王子猷(中国語版)) 『蒙求子猷尋戴』[6]
- (白楽天) 『白氏文集巻十二琵琶引』
- (賈氏) 『左伝昭公二十八年』
- (梁鴻) 『蒙求孟光荊釵』[7]
- (司馬相如卓文君) 『史記巻百十七本伝』/(題柱故事) 『蒙求相如題柱』[8]
- (石季倫緑珠) 『蒙求緑珠墜楼』[9]
- (宋玉) 『文選登徒子奸色賦』
- (関盼盼) 『白氏文集巻十五燕子楼(中国語版)』
- (張文成則天武后) 出所不詳
- (徳言陳氏) 『本事詩(中国語版)』[10]
- (簫史弄玉) 『列仙伝』[11]
- (望夫石) 『幽明録』[12]
- (娥皇女英) 『博物志』[13]
- (陵園妾) 『白氏文集新楽府陵園妾』
- (武帝李夫人) 『前漢書巻九十七外戚伝』『白氏文集新楽府李夫人』
- (武帝西王母) 『西王母漢武内伝』『博物志』[14]
- (商山四皓(中国語版)呂后) 『史記巻五十五留侯世家』『史記呂后本紀』『前漢書外戚伝』『西京雑記』/(許由巣父) 『高士伝』『蒙求許由一瓢』
- (玄宗楊貴妃) 『白氏文集巻十二長恨歌并伝』
- (朱買臣) 『前漢書巻六十四朱買臣伝』[15]
- (程嬰杵臼[16]) 『史記巻四十三趙世家』
- (平原君) 『史記巻七十六平原君列伝』[17]
- (楚荘王) 『説苑』[18]
- (荀爽女) 『後漢書巻八十四列女伝』
- (上陽人) 『白氏文集巻三新楽府』
- (王昭君) 『西京雑記』。また『文選』にも同様の話が見える。
- (潘安仁) 『晋書巻五十五潘安仁伝』[19]
- (雪々) 出所不詳