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大日本地名辞書

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『大日本地名辞書』(だいにほんちめいじしょ[1])は、明治時代に冨山房より出版された地名辞典。日本初の全国的地誌として、歴史家・吉田東伍によって13年をかけて編纂された。

戦後により大部の類書『角川日本地名大辞典』(角川書店)、『日本歴史地名大系』(平凡社)の出版後も、冨山房により文語体、旧仮名遣のまま版を重ねている。

序言に「本書は地誌にして、其名辞の索引に便利なる体裁を取りたり、即、地名辞書といふ。」とある通り、地名についての語源や変遷だけでなく、地形や歴史などあらゆる風土的事象を扱う。寺社や河川、橋、旧跡等についても項目が立てられる。

従来の地誌と同様膨大な古典籍を引用しながらも、厳しく史料批判を加え、しばしば独自の新説を加える。

項目の末尾にはしばしばその土地を詠んだ和歌や漢詩が付される。

沿革

著者吉田東伍は越後国の地主の出で、10代より地元安田藩の地誌『安田志料』を著すなど歴史に関心を持ち、上京後は読売新聞の記者として活躍していた。

明治28年(1895年)、日清戦争の従軍記者から帰国した後、大叔父・・小川心斎による未完の『日本国邑志稿』を継ぐことを決意した。江戸時代には藩毎の地誌編纂は活発であったが、全国を対象としたものはなく、明治26年(1893年)には国による『皇国地誌』編纂事業も中止していた。

市島謙吉を介してその宗家市島徳次郎の資金援助を受け、根津藍染町に家を構えて写字生を置いたが、間もなく冨山房より月給を受けることとなった。本郷区千駄木町、神田区西小川町、牛込区五軒町と居宅を転々とする中、資料を帝国図書館や知人に借りるなどして独力で編纂を続けた。明治33年(1900年)刊行が開始し、明治40年(1907年)脱稿した。10月15日には上野精養軒に大隈重信、前島密等政治家や学者150余名を集めた大日本地名辞書完成披露祝賀会を催した。

明治42年(1909年)には蝦夷部分を藤本慶祐、琉球部分を東恩納寛惇、台湾部分を伊能嘉矩に委託して続編が出来た。

吉田は執筆中の明治32年(1889年)より東京専門学校講師を務め、完成後の明治43年(1910年)にはこの業績をもって文学博士に叙位された。

戦後、早稲田大学図書館に委託してあった吉田の遺稿『大日本地名辞書余材』が増補された。

構成

吉田は当時の行政区画改変に疑問を持っており、本書も歴史的な令制国郡に依拠するが、国郡自体は明治の改変を経たものを採用している。また配列も必ずしも五畿七道の順序には従わず、独自の分類法を採る。

目次

  1. 上方 - 山城国・大和国・河内国・和泉国・摂津国・近江国・伊賀国・伊勢国・志摩国・紀伊国・淡路国
  2. 中国 - 丹波国・丹後国・但馬国・播磨国・備前国・美作国・備中国・因幡国・伯耆国・出雲国・周防国
  3. 南海 - 阿波国・讃岐国・伊予国・土佐国
  4. 西海 - 豊後国・豊前国・筑前国・筑後国・肥前国・壱岐国・対馬国・肥後国・日向国・大隅国・薩摩国
  5. 北国 - 若狭国・越前国・加賀国・能登国・越中国・越後国・佐渡国
  6. 東国 - 美濃国・飛騨国・尾張国・三河国・信濃国・甲斐国・遠江国・駿河国・伊豆国
  7. 阪東 - 相模国・武蔵国・安房国・上総国・下総国・上野国・下野国・常陸国
  8. 奥羽 - 磐城国・岩代国・陸前国・陸中国・羽前国・羽後国・陸奥国
  9. 汎論 - 地名総説・政治沿革篇・国号篇
  10. 索引 - 国郡目次・五十音編・頭字画引
  11. 続編 - 北海道・樺太・琉球・台湾

序文

本書の完成は大いに世間の注目を集め、当時の有力政治家、学者等による長大な序文が付されていることで有名である。

汎論索引

続編

版歴

  • 明治33年(1900年) - 明治40年(1907年) 初版 - 上方・西国・北国東国・阪東・奥羽の全5冊各上下、汎論索引の計11冊
  • 明治40年(1907年) 第二版 - 上・中・下巻に合冊、明治42年(1909年)続編
  • 明治44年(1911年) 第二版増刷版 - 上方・中国四国西国・北国東国・阪東・奥羽・汎論索引附図・続編の全7巻
  • 大正2年(1913年) 第三版
  • 大正11年(1922年) - 大正12年(1923年) 第三版縮刷版 - 第三版を菊判に縮刷
  • 昭和12年(1937年) - 昭和15年(1940年) 再版 - 第二版増刷版を大型菊判に縮刷
  • 昭和44年(1969年) - 昭和46年(1971年) 増補版 - 『余材』を増補、新字体化、中国四国と西国が分かれて全8巻
  • 平成4年(1992年) 新装版
  • 平成15年(2003年) 新装版第二版

なお、自筆原稿は早稲田大学図書館が蔵する。

注釈

参考文献

関連項目

外部リンク

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