広域品川圏
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2025年7月にJR東日本が長期経営戦略のビジョン「勇翔2034」を発表した。“鉄道中心のインフラ発想”から“ヒト起点のライフデザイン”へのシフトを標榜し、これをライフスタイル・トランスフォーメーション(LX)と位置づける。それは本業である交通機関としてのモビリティと、駅や駅周辺における生活ソリューションの二軸経営を展開するというもの(輸送収入と家賃収入の両輪化)。その中で「高輪ゲートウェイの都市OS」「Suica Renaissance(ルネサンス)」「地域みらいブレインリンク」を掲げ、駅は“都市のOS”へ、Suicaは“生活のデバイス”へ、地域は“共創のエコシステム”へ、を目指す。
JR東日本による交通系ICカードのSuicaを最大限に活用したキャッシュレス決済に、マイナンバーカードや生体認証などを紐付けすることでスムーズかつシームレスな移動や暮らしを実現する生活経済圏を構築することを目的とする。
その実証実験の場であり、実際のサービスを提供する場所が広域品川圏となる[2]。
基本構想
JR東日本はアトレやホテルメッツなど系列企業による駅ナカ商業施設から得られるテナント収益の有益性を確認しており、これに駅前・駅近に居住空間も提供することで(かつての駅前商店街を集約都市化再生するようなもの)、鉄道利用者の利便性を高めるとともに、さらなる収入源とすることを画策する。新宿駅や渋谷駅界隈でも進められている再開発は、東急電鉄や東京メトロなどの乗り入れ私鉄との協業事業だが、TAKANAWA GATEWAY CITYなどは携わる鉄道会社はJR東日本のみで、単独での新しい街づくりを実現することで利用者の囲い込みを図る。広域品川圏内でのJR東日本(系列企業含む)保有ビルの延べ床面積はおよそ150万m2で、これは東京ドーム約31個分に相当し、2030年代半ばまでに1000億円超の営業収益を見込んでいる[3]。
上掲、理念の節にある「Suica Renaissance(ルネサンス)」では、Suica定期券と顔認証システムを連動することでタッチする必要がないウォークスルー改札を広域品川圏で2028年度にも実施する計画で[4]、この他にもIoTとSuicaを連携することで改札を通過すると駅前マンションの自宅の電気が点いたり風呂が沸いたりするようなSuicaを生活デバイスとした近未来的な暮らしも提案[3]。2024年にJR東日本のビューカードがJRE BANKを立ち上げ銀行業(銀行代理業)に参入したこともあり、JRE BANKの口座預金とVIEW SuicaカードやモバイルSuicaとの互換性・汎用性向上によるキャッシュレス社会の「Suica生活」も広域品川圏で普及させ、私鉄の改札に広まりつつあるクレジットカードのタッチ決済やスマートフォンでのQRコード決済による乗車に対抗する意味もある(自社のVIEWカードやモバイルSuicaのバーコード決済システム側に取り込む)[5]。
