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志布志湾

九州南部の湾 From Wikipedia, the free encyclopedia

志布志湾(しぶしわん)は、九州南部大隅半島東岸に面した円弧状の湾。古くは有明浦(ありあけのうら)と呼ばれ、別称として有明湾が存在する。

自然環境と地理

志布志湾の位置(写真右部)、左上は桜島。
志布志湾の眺望。
内之浦湾 
枇榔島 

鹿児島県肝属郡肝付町火崎から宮崎県串間市の都井岬までの範囲を含む。隣接する自治体は志布志市、串間市、大崎町、曽於市、都城市など。円弧状の湾岸総延長は約80kmあるが、それらを結ぶ湾口は約20kmほどである。南西部・肝付町の側(肝属平野)の湾口の火崎のすぐ内側(西側)には支湾の内之浦湾がある。水深は100m以下[1][2]。

湾の奥にあたる北東から西側の海岸線は砂浜だが、湾口両側の南岸と都井岬周辺では海岸まで山地が迫っている。代表的な流入河川として菱田川、安楽川、前川、田原川、菱田川などが挙げられる[2][3]。

また、湾のほぼ北側中央にある志布志港の沖約5kmほどには、湾内唯一の島(無人島)で、ビロウなどの亜熱帯性植物が国の特別天然記念物に指定された枇榔島(びろうじま)がある[2][4]。小さな島だが、夏期には海水浴場やキャンプ場として利用できる砂浜や簡素な施設があり、志布志港からの定期船があったが、平成15年頃より休業中。

海岸部は日南海岸国定公園に指定されているが[2]、近年は侵食や堆積によって影響を受けている部分も存在する[5]。

天然記念物の御崎馬で知られる都井岬の周辺、田原川や菱田川の河口部、柏原海岸など、湾の沿岸部には各種生物にとって重要な森林、湿地、干潟、サンゴ礁などが残されており、南九州に現存する貴重なガラモ場であるなどの点から、環境省による「生物多様性の観点から重要度の高い湿地・海域・里地里山」にも指定されている[1][3][6][7]。

これらの生息環境にはホンドキツネ[8]、ホンドタヌキ[9]、ムササビ[7]などの哺乳類、ニホンイシガメなどの爬虫類、アマツバメ、クロツラヘラサギ、コアジサシなどの渡り鳥や留鳥、ヤマトバッタやイカリモンハンミョウなどの昆虫類、ハクセンシオマネキ、タケノコカワニナ、ハザクラガイ、フトヘナタリ、ハマグリなどの底生動物、オキナグサ、ヒメノボタン、ムラサキセンブリ、ビロウ、ソテツ(都井岬ソテツ自生地は特別天然記念物に指定)、クロマツなどの植物が確認されている[1][3][6]。

また、周辺には縄文時代や弥生時代の遺跡も確認されており、イノシシ、ニホンジカ(キュウシュウジカ)、(現在では同地域に生息していない)ニホンカモシカ、九州では絶滅したツキノワグマ、ニホンザル(串間市・幸島はサルの生息で有名である)などの多様な生物の痕跡が発見されている[10][11]。

黒潮が流れる一帯の海域も海洋生物の回遊経路として機能しており、アカメ[1]、シラスウナギ[9]、ウミガメ(アカウミガメなど)といった絶滅危惧種にも利用されている[12][13]。また、2020年代からはミナミハンドウイルカの定住海域の一つになっている[14]。

同県の海岸線は日本最長のウミガメの産卵地であり[7]、志布志湾にもウミガメが産卵に利用する海岸も存在するが、プラスチックごみの投棄などの環境汚染による生息環境の悪化が問題視されており、美化活動として「ゴミ輪ピック」が毎年夏季に開催されている [12][13]。

産業と社会問題

志布志国家石油備蓄基地

志布志港は九州で唯一の国際バルク戦略港湾であり、南九州の物流事業の要所である[2]。また、肝付町側の湾口には、1970年に国内初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げた宇宙航空研究開発機構の施設内之浦宇宙空間観測所がある。

1968年、新大隅開発計画として、沿岸の一部を埋め立てる計画があった。計画は自治省出身の金丸三郎知事によって唱えられた[15]。通産省の志布志湾を共同原油輸入基地候補の1つとして選定したこともあり、農業を中心とした食糧生産基地としての開発計画から、志布志湾臨海工業地帯へと大きく様相が変わった[15]。

計画の概要は『20年後のかごしま』として1968年10月に公表されたが、その内容は総面積3600ヘクタールの埋め立てによる石油化学コンビナート、鉄鋼業、軽金属業の誘致と3万1000人の雇用創出というものであった[15]。埋め立ては志布志湾全域の沖合2km(水深12メートル)までを予定していた[15]。

1971年に総面積を2463ヘクタールに縮小した1次試案が発表されたが、それでも設備投資額は9980億円とされていた[15]。1次試案は反対運動により廃案になった。

1976年、県は周辺19市町村と調整を重ねて2次試案をまとめた。2次試案は総面積1160ヘクタールとされた[15]。用地は3区分され、1号用地として「食品加工、木材および住宅、機械金属、流通加工関連」が180ヘクタール、2号用地として「造船、機械金属」として250ヘクタール、3号用地として石油精製300ヘクタール、石油備蓄1000万キロリットル430ヘクタールとされた(2次試案)が、最終計画では1号用地が70ヘクタールに縮小された[15]。計画では志布志港の南西側、現在の「しおかぜ公園」と鹿児島海陸運送の志布志営業所がある場所が1号用地であった[15]。

安楽川を挟んでその南西側に菱田川まで2号用地が続き(2018年現在は砂浜のまま)、菱田川より南側(大崎町の海岸側、大崎海岸)は海浜リクレーション地区とされていた[15]。その更に南側、東串良町の海岸側の肝付川までの全長6kmあまりが3号用地とされた。反対派の住民は、100人ほどの団体で議会に乱入して暴力事件を起こし、逮捕者がでるなどの騒動も起こった(東串良町議会占拠事件)[15]。

その後も反対運動は続続いたために、埋め立て面積は1/10以下に縮小され、志布志港周辺に漁業用物流用地、東串良町沖合に志布志国家石油備蓄基地が建設されるに留まった[15]。

太平洋戦争

太平洋戦争末期にはアメリカ軍の上陸予定地と想定され(オリンピック作戦)、内之浦砲台や高崎砲台が整備された。豊予要塞から榴弾砲が移設されるなどして、合計7門の砲台が設置された。志布志湾に浮かぶ枇榔島と鬢垂島にも10センチと12センチの合計4門のカノン砲が洞窟陣地に設置された[16]。内之浦地区には海軍のトーチカが4つ築かれ、2016年現在3つが現存している。

また、特攻艇「震洋」の基地も火出ヶ岬、内之浦浜、小白木浜に設けられた。

周辺施設

志布志大黒リゾートホテル

脚注

外部リンク

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