休暇を利用してスコットランドへやって来た杉下右京は、50年物の長期熟成シングル・モルトの蔵開きが行われると聞き、スペイサイド地区の小さなウイスキー蒸溜所、グレンジール蒸溜所を訪ねる。
その地方には〈スコッチの神〉という巨人の伝説があり、その巨人が現れた年はウイスキーの出来栄えが良いが、蒸溜所に不幸が起こると言われており、30年前には当主の祖父が、そして10年前には当主の父親が亡くなっていた。
そして蔵開き当日、鍵を開け蔵に入ると、空の樽が一つ転がり落ちており、従業員たちが持ち上げると、中から虫の息の状態の職人頭、ゴードン・ミルズが転がり出てきた。ミルズは病院へ搬送中に亡くなり、状況から殺人と判断され、地元警察が捜査を開始する。
- 杉下 右京(すぎした うきょう)
- 元警視庁特命係の刑事。
- 特命係時代に数々の事件を解決に導いたことが上の不興を買い、警察学校の教官に異動させられるが、「人手は足りている」と判断し、休暇を取り、慣れ親しんだ地であるイギリスにフラットを借り、スコットランドを訪れる。
- グレンジール蒸溜所〈マクミラン家〉
- アンディ・マクミラン
- グレンジール蒸溜所の八代目当主。28歳。気弱な喋り方をする。
- ケイト・マクミラン
- アンディの妻。
- ウォルター・マクミラン
- アンディの息子。フィリップという猫を飼っている。
- ポール・マクミラン
- アンディの祖父、故人。グレンジールの経営を立て直した。30年物のシングル・モルトが収められていた蔵で事故死した。
- イアン・マクミラン
- アンディの父、故人。10年前、40年物のシングル・モルトの蔵開き後に、空になった蔵で巨人に踏みつけられたように、腹部を押し潰された内臓破裂の状態で亡くなっていた。
- スーザン・マクミラン
- アンディの母。
- サイモン・カーク
- マクミラン家の使用人。小柄な老人。
- ルース・カーライル
- グレンジール蒸溜所の経理担当者。古株の女性従業員。霧の中に巨人を目撃する。
- ゴードン・ミルズ
- グレンジール蒸溜所のスチルマン(蒸溜釜で製造されるスピリッツの品質を管理する技師)。全体の工程管理を任されており、アンディが全幅の信頼を寄せる職人。
- ロッホアラン蒸溜所〈バックマスター家〉
- ピート・バックマスター
- グレンジールとは犬猿の仲の、ロッホアラン蒸溜所の当主。
- ジャック・ブリッグス
- ロッホアラン蒸溜所のクーパー(樽職人)。
- スペイサイド警察署
- ロバート・スウィニー
- スペイサイド警察署の警部。捜査責任者。
- フレッド・レイノルズ / アラン・コフ
- スペイサイド警察署の刑事。
- ルドルフ・マッケンジー
- スペイサイド警察署の警察官。鑑識の責任者。
- リチャード・スコット
- マッケンジーの部下。鑑識一の若手。
- その他
- ベン・コープランド
- 右京がスコットランドで投宿していたB&Bの主人。マクミラン一族とは親戚。
- 〈スコッチの神〉
- スコットランドの地方に伝わる伝説の巨人。蒸溜所に出来の良いウイスキーと不幸をもたらす。