ロンドンを発って香港に着いて5時間、100万ドルの夜景を堪能し、銅鑼湾を歩き、ヴィクトリア・パークに差しかかった時、右京の目には、真新しい日本車が止まる。車から下りてきた男女2人が気になった右京がそっと付いていくと、園内の公衆トイレに入った男が悲鳴を上げながら逃げ出してきて、サバイバルナイフを持った若い男が雄叫びを上げながら襲いかかっていた。女の方へ向かった若い男は、女に拳銃で撃たれて即死する。女は香港警察のビビアン・ウォン刑事で、居合わせた右京は不審に思われ、連行されてしまう。
警視庁の身元照会により右京の容疑は晴れたが、ウォン刑事の発砲が適切なものだったか目撃者として意見を求められる。射殺された男がふた月の間に4人の女性を殺害し、香港を恐怖に陥れていた「シリアルキラーY」だと聞かされ、右京は俄然興味を持つ。だが、しばらくして、九龍の埠頭でYの犯行と思われる女性の遺体が発見される。翌朝、Yが移動に使用していたと思われる香港MTRが電気系統のトラブルにより停止していたことが判明し、九龍の犯行がYによるものならば、ウォン刑事が射殺した男がYではなかったことになってしまうと右京から指摘されたウォン刑事は、仮病を使い奇妙な日本人刑事と捜査に乗り出す。
- 杉下 右京
- 警視庁特命係 警部。
- ビビアン・ウォン
- 香港警察刑事部 督察(警部補)。独断専行の行動が多く、しばしば上司に苦言を呈される。
- ディック・チャウ
- 香港警察刑事部長。
- レスリー・ラウ / 中国名:劉 英才(ラウ・インチョイ)
- 犯罪心理学者。香港中文大学特任教授。父親がアメリカで貿易商をしていたため、アメリカで生まれ育った。プロファイリングで次の犯行を予測し、ウォン刑事とパトロールしていた。
- シリアルキラーY
- 黒いロングヘアーの女性を被害者自身の髪で絞殺し、腹部をYの字に切り裂くという残虐な手口から、マスコミによって命名された。
- ケリー・リー / 中国名:李 美雨(リー・メイユイ)
- 香港大学の犯罪心理学の准教授。5人目の被害者。リー本人はショートヘアで、ロングヘアーのかつらが凶器になっていた。
- 呉 龍仁(ウー・ロンヤン)
- ウォン刑事が射殺した男。ラマ島出身。幼少期に受けた虐待が原因で重度の難聴を患っていた。
- アンディ・ワン
- ラマ島で釣り船や釣り具の販売をしている。呉を雇っていた。
- チャールズ・リョン
- 香港大学心理学科教授。リーの指導教官を務めていたが、専門は社会心理学のため、犯罪心理学の研究者を紹介するなどしていた。