狩りの休息
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| フランス語: Rendez-vous de chasse 英語: The Halt During the Chase | |
| 作者 | アントワーヌ・ヴァトー |
|---|---|
| 製作年 | 1717-1718年ごろ |
| 素材 | キャンバス上に油彩 |
| 寸法 | 124.5 cm × 189 cm (49.0 in × 74 in) |
| 所蔵 | ウォレス・コレクション、ロンドン |
『狩りの休息』(かりのきゅうそく、仏: Rendez-vous de chasse、英: The Halt During the Chase)は、18世紀フランス・ロココ期の巨匠アントワーヌ・ヴァトーが1717-1719年ごろ、キャンバス上に油彩で制作した絵画である。1865年に第4代ハートフォード侯爵リチャード・シーモア=コンウェイによりパリで購入され[1]、現在、ロンドンのウォレス・コレクションに所蔵されている[1][2]。
この絵画は本来、雅宴画として構想された[1][2]。雅宴画とは、公園に設定された場にいる着飾った人物を描く絵画のジャンルである。現在、絵画を狩りの一行の場面に変えている狩猟者と彼らに付随する要素は、後になって描き加えられた。そして、それら描き加えられた事物は、ヴァトーが以前の美術作品から借用してきたものである[1]。

女性が馬から降りるのを手助けしている紳士たちは、ジャック・カロが1620年に制作した、有名なエングレービング『インプルネータの祭り (The Fair at Impruneta)』 (クリーブランド美術館、米国オハイオ州) に登場する。ちなみに、ヴァトーの本作で省略されている馬の前脚は、カロのエングレービングではほとんど見えない[1]。また、左側で銃を持ち、4匹の犬を従えている若い男性は、ピエトロ・テスタのエングレービングから写し取られている[1]。

結果として、本作の構図は統一性を欠いたものとなっている[1]。17世紀の衣服を身に着けた人物もいる一方、18世紀当時の衣服を纏った人物もいる。また、衣服においても行動においても、狩りを示す画面とはなっていない。とはいえ、ヴァトーは、フランスの収集家たちの間で非常に流行していた、フィリップス・ワウウェルマンなど17世紀オランダ絵画黄金時代の画家たちの狩猟場面を手本にしている [1]。なお、本作には、ヴァトーの作品として新機軸が見られる。まず、馬が描かれているのに加え、量感を増した森の表現がなされ、さらに以前のヴァとーの作品にはなかった大画面ともなっている。馬の描写は、ヴァトーがイギリス絵画を研究した成果であろうと推測されている[2]。本作は、18世紀を通じてフランスの画家たちに描かれる「狩りの朝食」を表す一連の絵画の先駆けとなったものである[1]。
ヴァトーが1720年にジャン・ド・ジュリエンヌに書いたとされる手紙にもとづき[1]、この絵画はかつてヴァトーがド・ジュリエンヌの妻へ贈った結婚祝いであると考えられていた[1][2]が、それは正しくない。絵画を所有していた最初の確かな人物は、税徴収管理官ジャン=バティスト・ド・ジョンクワ (Jean-Baptiste Racine de Jonquoy) で、1731年に彼のコレクションにあったことが記録されている。18-19世紀の競売を通じて、本作はやはりウォレス・コレクションにある『森の風景の中の雅宴 (Fête galante in a Wooded Landscape)』 の対作品であるとされてきたが、ヴァトーは両作品を対として意図したわけではない。本作の左側は、1731年以降の特定されていない時期に『森の風景の中の雅宴』とよりよく合わせるために拡大されただけである[1]。