諸王の王
特に高い地位を示す王号・皇帝号
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各言語の同義語
- アッカド語: šar šarrāni シャル・シャッラーニ
- アラム語: מֶלֶךְ מַלְכַיָּא meleḵ malḵayyā メレフ・マルハイヤー
- ヘブライ語: מֶלֶךְ מְלָכִים meleḵ məlāḵīm メレフ・メラーヒーム/(メレフ・メラヒム)
- 古代ペルシア語: xšāyaθiya xšāyaθiyānām フシャーヤシヤ・フシャーヤシヤーナーム
- パルティア語; 中期ペルシア語: šāhān šāh シャーハーン・シャーフ
- ペルシア語: شاهنشاه šāhanšāh シャーハンシャーフ(シャーハンシャー)
- バクトリア語: ϸαονανο ϸαο šaonano šao シャーウナーン・シャーウ
- ギリシア語: βασιλεὺς βασιλέων basileùs basiléōn バシレウス・バシレオーン/(ヴァシレフス・ヴァシレオン)
- ジョージア語: მეფეთ მეფე mepet mepe メペト・メペ
- サンスクリット: राजाधिराज rājādhirāja ラージャーディラージャ 「王の上の王」、またはमहाराजाधिराज mahārājādhirāja マハーラージャーディラージャ 「王の上の大王」
- ゲエズ語: ንጉሠ ነገሥት nəguśä nägäśt ネグサ・ナガスト
- アラビア語: مَلِكَ الأَمْلاَكِ malik al-ʾamlāk マリク・アル=アムラーク/マリクルアムラーク
- 英語: king of kings キング・オヴ・キングズ(キング・オブ・キングス)
女性がこの称号を名乗るときは、諸王の王、諸王の女王(ギリシア語: βασιλίδα βασιλέων basilída basiléōn バシリダ・バシレオーン/(ヴァシリザ・ヴァシレオン)、ゲエズ語: ንግሥተ ነገሥታት nəgəśtä nägäśtat ネゲスタ・ナガスタト)、王妃たちの王妃(中期ペルシア語: bānbišnān bānbišn バーンビシュナーン・バーンビシュン、ジョージア語: დედოფალთ დედოფალი dedopalt dedopali デドパルト・デドパリ、アラビア語: مَلِكَة الْمَلِكَات malikat al-malikāt マリカト・アル=マリカート/マリカトゥルマリカート)のいずれかを名乗った。
歴史
確認されている限り、この称号はアッシリア王トゥクルティ・ニヌルタ1世によって初めて用いられ、その後はウラルトゥ王サルドゥリ1世、アッシリア王であるエサルハドンやアッシュルバニパルなどによって用いられた。タナハ/旧約聖書では新バビロニア帝国の王ネブカドネザル2世が「諸王の王」と呼ばれている(エゼキエル書26:7(ヘブライ語)、ダニエル書2:37(アラム語))。
アケメネス朝ペルシア帝国の王ダレイオス1世は「諸王の王」の称号を用いた。この称号はこれ以降碑文を残した全ての王が名乗っている。タナハ/旧約聖書ではペルシア王アルタクセルクセスが「諸王の王」を名乗っている(エズラ記7:12(アラム語))。ペルシア帝国を滅ぼしたアレクサンドロス大王の死後のディアドコイ王朝が乱立した時代以降、この称号は一部のギリシア人王朝の王やアルメニア王ティグラネス2世、パルティア王ミトラダテス1世とミトラダテス2世以降のパルティア王、一部のアクスム王、パルミラ王によって用いられた。パルティア帝国を滅ぼしたサーサーン朝でも引き続き「諸王の王」という称号が用いられ続けた。インド周辺のグプタ朝、クシャーナ朝、プラティーハーラ朝などでもこの称号が用いられた。インド文明の影響があったチャンパ王やインドネシア諸島の一部の王もこの称号を用いた。
イスラーム共同体によってサーサーン朝が滅ぼされると、ハディースで批判されていたこともあり、「諸王の王」という称号は中東において用いられなくなった。しかし、後にバグラトゥニ朝アルメニア王、ブワイフ朝、セルジューク朝の君主などが「諸王の王(シャーハンシャー)」を名乗った。また、ジョージア王も「諸王の王」という称号を用いた。
サファヴィー朝以降のイラン、エチオピア、ネパールの君主も「諸王の王」を名乗っていた。しかし、これらの国では君主制が廃止されたため、現在では「諸王の王」を名乗る君主はいない。
宗教的な用法
メソポタミアでは有力な神々を王の王(アッカド語: šar šarrāni シャル・シャッラーニ)、主の主(アッカド語: bēl bēlī ベール・ベーリー)などと呼ぶことがあった。
タナハ/旧約聖書では神ヤハウェを神の神(ヘブライ語: אֱלֹהֵ֣י הָֽאֱלֹהִ֔ים ʾĕlōhē hā-ʾĕlōhīm エーロヘー・ハー=エローヒーム/(エロヘイ・ハ=エロヒム) (申命記10:17、詩篇136:2)、アラム語: אֱלָ֧הּ אֱלָהִ֛ין ʾĕlāh ʾĕlāhīn エラーフ・エラーヒーン (ダニエル書2:47))、主の主(ヘブライ語: אֲדֹנֵ֖י הָאֲדֹנִ֑ים ʾăḏōnē hā-ʾăḏōnīm アゾーネー・ハー=アゾーニーム/(アドネイ・ハ=アドニム) (申命記10:17、詩篇136:3))、王の主(アラム語: מָרֵ֥א מַלְכִ֖ין mārē malḵīn マーレー・マルヒーン (ダニエル書2:47))と呼んでいるところがあるほか、ユダヤ教では神を諸王の王の王(ヘブライ語: מֶלֶךְ מַלְכֵי הַמְּלָכִים meleḵ malḵē ham-məlāḵīm メレフ・マルヘー・ハン=メラーヒーム/(メレフ・マルヘイ・ハ=メラヒム))と呼ぶことがある。
キリスト教ではイエス・キリストを王の王(ギリシア語: βασιλεὺς βασιλέων basileùs basiléōn バシレウス・バシレオーン/(ヴァシレフス・ヴァシレオン)、ギリシア語: βασιλεὺς τῶν βασιλευόντων basileùs tôn basileuóntōn バシレウス・トーン・バシレウオントーン/(ヴァシレフス・トン・ヴァシレヴォンドン) 「統治する者の王」、英語: king of kings キング・オヴ・キングズ(キング・オブ・キングス))、主の主(ギリシア語: κύριος κυρίων kýrios kyríōn キューリオス・キューリオーン/(キリオス・キリオン)、ギリシア語: κύριος τῶν κυριευόντων kýrios tôn kyrieuóntōn キューリオス・トーン・キューリエウオントーン/(キリオス・トン・キリエヴォンドン) 「支配する者の主」、英語: lord of lords ロード・オヴ・ローズ(ロード・オブ・ローズ))と呼ぶことがある(ヨハネの黙示録17:14, 19:16(前のギリシア語)、テモテへの手紙一6:15(後ろのギリシア語))。東ローマ帝国最後の王朝であるパレオロゴス王朝の標語は「統治する者を統治する王の王(ギリシア語: Βασιλεὺς Βασιλέων Βασιλεύων Βασιλευόντων Basileùs Basiléōn, Basileúōn Basileuóntōn ヴァシレフス・ヴァシレオン・ヴァシレヴォン・ヴァシレヴォンドン)」であった。
イスラームにも似た概念があり、神の名の一つに「王(アル=マリク)」がある。