砲丸投
陸上競技の一種
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砲丸投(ほうがんなげ)は、陸上競技のうち、フィールド競技に属し、投てき競技の種目で、砲丸を遠くに投げる能力を競う競技である。

陸上競技における正しい表記は砲丸投であるが、学校教育や新聞記事など陸上競技関係者以外が多く関わる場面では砲丸投げと表記されることもある。
規定
投てき方法
砲丸が両肩を結ぶ線より後方になってはならないため、砲丸をあご若しくは首の付近で固定し、片手で押し出すように投げる。いわゆる野球のピッチャー投げ、または投てきの手を伸ばし円盤投げの手法で投てきするのは、ファウルとなる。
また、滑りにくくするために炭酸マグネシウム(陸上用語では炭マグ(タンマグ))を砲丸や首につける選手もいる[注 1]。
グライド投法(オブライエン投法)
パリー・オブライエン(アメリカ)によって1950年代に考案された投法で、投てき方向に背を向ける形で構え、後ろ向きに助走(グライド)し、投てき方向に半回転しながら砲丸を突き出す。上体の起こしと捻りから生まれる力をより長い時間砲丸に加えることで、それまでの投法よりも飛距離を稼げることから1980年代までは世界的に最も用いられた投てき方法だった。
グライド投法は(回転投法に比べ)習得しやすく、助走なしの場合より1m~2.5mの飛距離アップが見込めることから、現在でも混成競技やサブ種目として砲丸投に取り組む選手に人気の投法である。
グライド投法の最高記録は1988年のウルフ・ティンマーマン(旧東ドイツ)による23m06cmである。
回転投法
1970年代にブライアン・オールドフィールド(アメリカ)、アレクサンドル・バリシニコフ(ソ連)などが用いて好記録を樹立したことで注目され、現在では砲丸投の主流な投法である。2017年の世界陸上では決勝に進出した全選手が回転投法を用いた。
円盤投と同じく、片足から片足へ体重を移動させながら投てき方向に向かって1回転半し、ターンによる体の加速を砲丸に加えながら突き出す。
グライド投法と比較すると、回転投法は要求される動きが難しいテクニックのため、自分に合う最適な動きに調整するために多くの時間が必要とされている。
国内での運用
日本の陸上競技の円盤投及び砲丸投は、実力が世界レベルに遠い。世界では、1980年代の時点で、男女共にジュニア記録でも20メートルを超えているのに対し、日本ではまだ20メートルの壁を破った選手が居ない。
現在、日本は高校生まではグライド投法が主流であるが、大学で回転投法に移行する選手が多くなっている。(2023年日本インカレでは出場選手19人中17人が回転投法である。)
しかし、安定した記録を出せるまでに習熟するには時間のかかる投法であることから、敬遠する選手がいることも事実である。
起源
砲丸
世界歴代10傑
| 記録 | 名前 | 所属 | 場所 | 日付 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 23m56 | ライアン・クルーザー | ロサンゼルス | 2023年5月27日 | |
| 2 | 23m23 | ジョー・コヴァクス | チューリッヒ | 2022年9月7日 | |
| 3 | 23m12 | ランディー・バーンズ | ロサンゼルス | 1990年5月20日 | |
| 4 | 23m06 | ウルフ・ティンマーマン | ハニア | 1988年5月22日 | |
| 5 | 22m98 | レオナルド・ファブリ | ブリュッセル | 2024年9月15日 | |
| 6 | 22m91 | アレッサンドロ・アンドレイ | ヴィアレッジョ | 1987年8月12日 | |
| 7 | 22m90 | トマス・ウォルシュ | ドーハ | 2019年10月5日 | |
| 8 | 22m86 | ブライアン・オールドフィールド | エルパソ | 1975年5月10日 | |
| 9 | 22m75 | ウェルナー・ギュンター | ケルン | 1988年8月23日 | |
| 10 | 22m67 | ケビン・トス | ローレンス | 2003年4月19日 |
| 記録 | 名前 | 所属 | 場所 | 日付 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 22m63 | ナタリア・リソフスカヤ | モスクワ | 1987年6月7日 | |
| 2 | 22m45 | イローナ・スルピアネク | ポツダム | 1980年5月11日 | |
| 3 | 22m32 | ヘレナ・フィビンゲロバ | ニトラ | 1977年8月20日 | |
| 4 | 22m19 | クラウディア・ロッシュ | ハインフェルト | 1987年8月23日 | |
| 5 | 21m89 | イワンカ・フリストワ | ベルメケン | 1976年7月4日 | |
| 6 | 21m86 | マリアンヌ・アダム | ライプツィヒ | 1979年6月23日 | |
| 7 | 21m76 | 李梅素 | 石家荘 | 1988年4月23日 | |
| 8 | 21m73 | ナタリア・アフリメンコ | Leselidze | 1988年5月21日 | |
| 9 | 21m69 | ヴィタ・パブリシュ | ブダペスト | 1998年8月20日 | |
| 10 | 21m66 | 隋新梅 | 北京 | 1990年6月9日 |
エリア記録
U20世界記録
| 距離 | 名前 | 所属 | 場所 | 日付 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 20m54 | アストリッド・クンバーヌス | Orimattila | 1989年7月1日 |
日本歴代10傑
高校歴代10傑
| 距離 | 名前 | 所属 | 日付 | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 19m28 | アツオビン・ジェイソン | 大阪桐蔭高等学校 | 2020年11月3日 |
| 2 | 18m74 | 山田暉斗 | 法政大学第二高等学校 | 2022年8月5日 |
| 3 | 18m21 | 幸長慎一 | 生光学園高等学校 | 2015年7月31日 |
| 4 | 18m14 | 稲福颯 | 岐阜市立岐阜商業高等学校 | 2018年8月6日 |
| 5 | 18m08 | 大垣尊良 | 北海道厚真高等学校 | 2025年6月12日 |
| 6 | 18m02 | 井本幸喜 | 大阪府立都島工業高等学校 | 2003年6月28日 |
| 7 | 17m80 | 石山歩 | 花園中学校・高等学校 | 2014年6月20日 |
| 8 | 17m70 | 仲松美勇士クリシュナ | 沖縄県立中部商業高等学校 | 2009年8月29日 |
| 9 | 17m66 | 菅原和紀 | 宮城県飯野川高等学校 | 2007年10月19日 |
| 10 | 17m63 | 赤澤瑠依 | 岡山県立玉野光南高等学校 | 2025年9月28日 |
日本人各種最高記録
出典・参考文献
- Top Lists Men All Time - IAAF
- Top Lists Women All Time - IAAF
- Area Outdoor Records - Men - IAAF
- Area Outdoor Records - Women - IAAF
- ロベルト・L・ケルチェターニ著 『近代陸上競技の歴史 1860-1991 誕生から現代まで<男女別>』 ベースボール・マガジン社 1992年 ISBN 4-583-02945-4