秘密 (東野圭吾)
東野圭吾の小説
From Wikipedia, the free encyclopedia
概要
長らく大きなヒットに恵まれていなかった[注釈 1]東野圭吾がブレイクすることとなった出世作である。第120回直木賞、第20回吉川英治文学新人賞、第52回日本推理作家協会賞(長編部門)にそれぞれノミネートされ最終的には推協賞を受賞し[3]、「無冠の帝王」などと呼ばれることもあった東野にとって、乱歩賞以来、つまりはデビュー以来のタイトル獲得となった。
1999年(平成11年)、滝田洋二郎監督、広末涼子[注釈 2]・小林薫主演によって映画化されている。
また、リュック・ベッソン制作、ヴァンサン・ペレーズ監督、デイヴィッド・ドゥカヴニー主演によるリメイク作『秘密 THE SECRET』(原題:Si j'étais toi、The Secret)が2007年にアメリカ・フランスにて公開された。日本では劇場未公開だが、2010年12月17日にDVDが発売された。
2010年(平成22年)10月期には、志田未来主演によってテレビドラマ化もされた。
2017年に中国で、ウェブドラマ版が制作され放送された[5]。
キャッチコピーは『運命は、愛する人を二度奪っていく』。
あらすじ
杉田平介は自動車部品メーカーで働く39歳。妻・直子と11歳の娘・藻奈美との3人で暮らしていた。
1985年冬、直子の実家へ向かうため、直子と藻奈美の2人が乗ったスキーバスが崖から転落する。直子と藻奈美は病院に運ばれたが、直子は死亡。藻奈美は一時は回復不能と言われたものの、奇跡的に助かる。しかしそれは、仮死状態になった娘・藻奈美の身体に、死んだ妻・直子の魂が宿ったためだった。藻奈美の身体に宿った直子に、平介は戸惑いながらも周囲に決して悟られないよう生活する。
やがて月日が経ち、娘の身体に宿った妻との生活に、次第に心のずれが生じる。直子は医学部を目指して進学校とされる高校を受験し、見事合格する。しかし、奇妙な2人の生活が限界を迎えたある日、長らく消えていた藻奈美の意識が再び現れる。
平介は藻奈美にそれまでの経緯を説明するが、その途中で藻奈美の意識は直子に戻ってしまう。直子は、また藻奈美が戻ってきたときのため、手紙を書くことを提案する。それから直子と藻奈美は、交互に意識を入れ替えながら生活するようになり、次第に2人は明るさを取り戻す。しかし、藻奈美でいる時間が長くなるにつれて、直子でいる時間は徐々に短くなっていく。
そして藻奈美は、直子が平介と初めてデートをした山下公園に行きたいと言い、そこで直子の意識に入れ替わり、平介に別れを告げる。
25歳になった藻奈美は、事故を起こした運転手・梶川幸広の息子である根岸文也との結婚式を迎える。一方、平介は幸広の形見の懐中時計を修理してもらうため、時計店へ向かう。そこで店主から、直子が隠した結婚指輪を藻奈美が持ってきて、その指輪を材料に新しい結婚指輪を作るよう頼まれたと聞く。その話を聞いた平介は、直子がまだ藻奈美の中で生きていることを悟り、その永遠の秘密を守ろうとする直子の意思を認める。そして、新郎となる文也と2人きりになった平介は、娘と「もう1人」を奪われた分として文也を殴ろうとするが、涙があふれ、その場で泣き出してしまうのだった。
登場人物
- 杉田平介
- 自動車部品メーカーの生産工場に勤務するエンジニア。物語の設定当時、バブル景気に向かう社会情勢の中、多忙な日々を送っていた。直子との奇妙な生活に徐々に慣れていく一方、肉体が藻奈美であることから、これまで直子として許容できたことが困難になる。また、彼女の新たな恋に苦悩する。
- 杉田直子
- 平介の妻。転落事故により死亡するが、魂が娘の藻奈美に移り、藻奈美として転生する。作中では直子の魂が宿った藻奈美を「直子」と表現する。藻奈美として生きる機会を得たこと、そして自身の新たな人生の始まりを機に勉学に励み、医学部へ進学する。新たな青春の日々を送るが、そのことが夫である平介の嫉妬を招き、夫婦関係はぎくしゃくする。
- 杉田藻奈美
- 平介と直子の娘。直子が身を挺して守ったことで、外傷はほとんどなく肉体は奇跡的に救われる。しかし、植物状態となった身体に直子の魂が宿る。
- 橋本多恵子
- 藻奈美の小学校時代の担任教師。藻奈美の魂が直子に入れ替わった事実を知る由もない。
- 藤崎和郎
- スキーバス事故の被害者の会メンバーとして平介と知り合う。二人の娘を事故で亡くしている。
- 梶川幸広
- スキーバス事故を起こし死亡したバスの運転手。仕事熱心な性格であった。超過勤務が常態化していたことが、事故の一因となる。
- 根岸文也
- 幸広の息子。事故当時大学生。幸広に対し、自身を捨てたとして強い憎しみを抱いている。
- 相馬春樹
- 藻奈美(彼女に宿った直子)の高校時代の先輩。テニス部に所属し、彼女に積極的にアプローチを試みる。彼の行動が、平介を神経質にし、直子との間に不和が生じるきっかけとなる。
この作品ができるまで
書籍情報
- 単行本:1998年9月10日[1]、文藝春秋、ISBN 978-4-16-317920-9
- 文庫本:2001年5月10日[8]、文春文庫、ISBN 978-4-16-711006-2
映画
1999年版
1999年9月25日に公開[9][10]。製作はTBS、配給は東宝[10]。監督は滝田洋二郎[10]。主演は広末涼子[10]。上映時間は119分[10]。
原作とやや設定が異なり、藻奈美が高校生の時から物語が始まる。
原作者の東野も大学教員役で1シーン出演している。
製作費3億円、宣伝費1.5億円、配給収入は6億円[11][12]。
キャスト(映画)
- 杉田藻奈美・直子
- 演 - 広末涼子
- 入れ替わり後
- 杉田平介
- 演 - 小林薫
- 直子の夫
- 杉田直子
- 演 - 岸本加世子
- 入れ替わり前まで
- 梶川幸広
- 演 - 大杉漣
- バスの運転手
- 梶川文也
- 演 - 金子賢
- 幸広の子
- 相馬春樹
- 演 - 伊藤英明
- 藻奈美の大学の先輩
- 吉本和子
- 演 - 柴田理恵
- 木島
- 演 - 徳井優
- 亀田
- 演 - 広岡由里子
- 弁護士
- 演 - 斉藤暁
- 医師
- 演 - 並樹史朗
- 寿司屋の主人
- 演 - 螢雪次朗
- 富雄
- 演 - 冷泉公裕
- 三郎
- 演 - 山谷初男
- 直子の父
- 容子
- 演 - 橘雪子
- 直子の姉
- TV局報道記者
- 演 - 柴田秀一
- 友紀
- 演 - 浅見れいな
- 大学教員
- 演 - 東野圭吾
- 藤崎
- 演 - 國村隼
- バス事故での被害者の父
- 木村邦子
- 演 - 篠原ともえ
- 藻奈美の高校時代の級友
- 小田島
- 演 - 内山信二
- 藻奈美の高校時代の級友
- 橋本多恵子
- 演 - 石田ゆり子
- 藻奈美が通う高校の担任教諭
スタッフ(映画)
主題歌(映画)
- 竹内まりや「天使のため息」(MOON RECORDS/ワーナーミュージック・ジャパン)
- 作詞・作曲:竹内まりや、編曲:山下達郎
受賞
個人賞
- 第23回日本アカデミー賞[13]
- 第33回 シッチェス・カタロニア国際映画祭
- 最優秀女優賞(広末涼子)
- 最優秀脚本賞(斉藤ひろし)
- 第4回 ニフティ映画大賞[14]
- 監督賞(滝田洋二郎)
- 主演女優賞(広末涼子)
- 主演男優賞(小林薫)
作品賞
- 第7回 スイス・ジュネーブ国際テレビ映画祭 グランプリ
- 第2回 イタリア・ウーディネ極東映画祭 最優秀作品賞
映像ソフト
2007年版
テレビドラマ
2010年10月15日より、テレビ朝日系列『金曜ナイトドラマ』枠で放送された。同枠で東野の作品がドラマ化されるのは『名探偵の掟』以来2作目である。主演の志田未来は、『ハンマーセッション!』(TBS系)に続き、2期連続の連続ドラマ主演で、テレビ朝日のドラマ初主演作品となる。キャッチコピーは「秘密が、愛を、濃密にする。」。
舞台は原作・映画とも異なり、2007年夏・藻奈美が16歳の時から始まる。
キャスト(テレビドラマ)
- 杉田藻奈美/直子 - 志田未来
- 杉田平介 - 佐々木蔵之介
- 橋本多恵子 - 本仮屋ユイカ
- 小坂洋太郎 - 橋本さとし
- 吉本和子 - 池津祥子
- 藤崎和郎 - 升毅
- 川辺由梨絵 - 林丹丹
- 相馬春樹 - 竜星涼
- 梶川征子 - 堀内敬子
- 梶川幸広 - 吹越満
- 梶川逸美 - 日向ななみ
- 土谷正彦 - 小松和重
- 根岸文也 - 田中圭
- 沢田美香子 - 朝加真由美
- 杉田直子(入れ替わり前まで) - 石田ひかり
- バス事故・被害者家族 - 大森暁美、渡辺憲吉
- 三郎(直子の父) - 河原さぶ
- 直子の姉 - 村岡希美
- 平介の同窓生 - 中田有紀、矢柴俊博、芋洗坂登郎、鈴木美恵
- 産婦人科医師 - 一色采子
- 向井(弁護士) ‐ 長谷川公彦
- 平介の上司 - 大河内浩
- 風俗嬢(ソープ) - みひろ
- 時計屋店主 - ミッキー・カーチス
スタッフ(テレビドラマ)
主題歌(テレビドラマ)
サブタイトル
| 各話 | 放送日 | サブタイトル | 演出 | 視聴率 |
|---|---|---|---|---|
| 第1話 | 2010年10月15日 | 東野圭吾!! 伝説のベストセラー 心は38歳、体は16歳の妻 | 唐木希浩 | 10.1% |
| 第2話 | 2010年10月22日 | 東野圭吾原作〜今夜16才の妻を抱く!! | 8.8% | |
| 第3話 | 2010年10月29日 | 東野圭吾原作〜16才の妻、同窓会へ!! | 高橋伸之 | 8.8% |
| 第4話 | 2010年11月5日 | 東野圭吾原作〜私の記憶が消える日!! | 8.8% | |
| 第5話 | 2010年11月12日 | 東野圭吾原作〜妊娠!! | 唐木希浩 | 9.7% |
| 第6話 | 2010年11月19日 | 東野圭吾原作〜許されない恋の始まり | 日暮謙 | 7.9% |
| 第7話 | 2010年11月26日 | 東野圭吾原作〜妻の恋人 | 唐木希浩 | 7.7% |
| 第8話 | 2010年12月3日 | 最終章〜妻との永遠の別れ… | 高橋伸之 | 9.5% |
| 最終話 | 2010年12月10日 | 運命は妻を二度奪う…そして驚愕最終回!! | 唐木希浩 | 11.2% |
| 平均視聴率 9.1% (視聴率は関東地区・ビデオリサーチ社調べ) | ||||