移動水素化
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有機合成においてはルテニウムやロジウムなどを中心金属とし、ジアミンやホスフィンを配位子とするなど様々な水素移動触媒が開発されている[3]。この代表的なものがジクロロ(シメン)ルテニウムダイマーとトシル化されたジフェニルエチレンジアミンである。これらの触媒は主にケトンやイミンをアルコールやアミンに還元する有機酸化還元反応に用いられる。これらの水素源は典型的にはイソプロパノールが用いられる。イソプロパノールは反応後はアセトンに変化する。移動水素化は出発物質がプロキラルな場合高いエナンチオ選択性で進行する。
- RR'C=O + Me2CHOH → RR'C*H-OH + Me2C=O (RR'C*H-OHはキラルな化合物)
よく用いられる触媒は(シメン)R,R-HNCHPhCHPhNTs(Ts=SO2C6H4Me、R,Rは不斉中心の炭素に対する絶対配置を示す。不斉水素化は2001年の野依良治のノーベル化学賞受賞の対象となった。[4]。
そのほかの移動水素化試薬としてメールワイン・ポンドルフ・バーレー還元に用いられるアルミニウムアルコキシド類(アルミニウムイソプロポキシド)がある。しかし遷移金属触媒に比べて活性は落ちる。

金属触媒を用いない反応
触媒的水素化が開発されるよりも前に、不飽和化合物の水素化が広く研究されてきた。これらの手法の多くは歴史的あるいは教育的にのみ研究されている。よく使われる水素移動試薬としてジアゼン((NH)2)がある。この化合物は酸化され非常に安定なN2へと変化する。

ジイミドはヒドラジンより合成される。水素源となる2つの炭化水素はシクロヘキセンあるいは1,3-シクロヘキサジエンである。このときベンゼンとアルカンが生成する。芳香族になることにより安定化されるためこの反応は進行する。この反応はPdが触媒となり、100°Cで行われる。他にも以下のような反応が報告されている。

多くの反応ではプロトン源としてアルコールやアミンが、電子源としてアルカリ金属が利用される。この中には金属ナトリウムでアレーン(芳香族炭化水素の別名)を還元するバーチ還元も含まれる。またエステルのブーボー・ブラン還元もこれに該当する。マグネシウムとメタノールを組み合わせることでアルケンを還元することができる。この反応はアセナピンの合成に利用される[5]。
