Wikiwand AI

領事館

在外公館の一種 From Wikipedia, the free encyclopedia

領事館(りょうじかん、英語: Consulate)とは、領事の活動の拠点として設置される在外公館である。大使館が通常接受国の首都におかれるのに対し、在外自国民の保護や外交事務、情報収集や国際交流・広報などの拠点として、また戦争・災害などといった不測の事態にはリスクを分散しつつ大使館の機能をスムーズに移転できるよう、主な総領事館は首都とは別の主要都市(例えば日本なら大阪など)に設置されることが多い。領事および領事館は主として地勢的な便益のために設置されるものであり、その設置は派遣国の任意である。たとえばアメリカ合衆国には現在14の日本総領事館が設置されている[1]。

種類

館長の階級による区分

国際法上、総領事が館長である在外公館を総領事館(そうりょうじかん)、領事が館長であるものを領事館(りょうじかん)、副領事が館長であるものを副領事館(ふくりょうじかん)、代理領事が館長であるものを代理領事事務所(だいりりょうじじむしょ)と呼ぶ[注釈 1]。総領事、領事、副領事、代理領事は領事官の階級であり、その設定方法や設置の有無、定員の決定などは派遣国の任意である。

日本語およびウィーン領事関係条約の正文となっている諸言語における公式表記

さらに見る 日本語, 英語 ...
日本語 英語 中国語(簡体字) 中国語(繁体字) スペイン語 フランス語 ロシア語 出典
総領事館 Consulate-General[注釈 1] 总领事馆 總領事館 Consulado General Consulat Général Генеральное консульство [2][3][4][5][6][7]
領事館 Consulate 领事馆 領事館 Consulado Consulat Консульство [2][3][4][5][6][7]
副領事館 Vice-Consulate[注釈 1] 副领事馆 副領事館 Vice-Consulado / Viceconsulado[注釈 2] Vice-Consulat Вице-консульство [2][3][4][5][6][7]
代理領事事務所 Consular Agency 领事代理处 領事代理處 Agencia Consular Agence Consulaire Консульское агентство [2][3][4][5][6][7]
閉じる

本務領事と名誉領事

本務領事(派遣国国籍を持つ正式の公務員である者)を館長とする通常の領事館の他に、名誉領事(接受国国籍を持ち、派遣国より領事としての権限を委託された者)がある。名誉領事は文字通り名誉的な地位であり、現地でのネットワーク形成等の役割のみを持つ。

業務

領事サービス上は大使館とほぼ同様のもので、領事が接受国において職務を行うが、派遣国を政治的に代表して接受国政府と交渉する権限は無い。自国民の保護、査証の発行、証明書の発行、他国の情報収集、友好親善、国際会議の準備等を行う。かつては領事裁判権を設定したことによる裁判所や警察署が併設されていたこともあったが、現在では歴史的な領事裁判権の撤廃に伴ってなくなっている。

名称

領事館には通常、派遣先の都市名がつけられる。例えば、シアトルの場合は「在シアトル日本国総領事館」となる。

原則首都の区域内に置く大使館(全てイタリアローマ市にある在バチカンを除く)とは異なり、設置すべき都市の区域外(空港の近接地など)に設置したり、移転前の都市名を残していたり、実際の所在地と領事館の名称が一致しないケースがある。

さらに見る 名称, 実際の所在地 ...
名称実際の所在地
アメリカ合衆国の旗 駐大阪・神戸米国総領事館日本の旗 大阪市(1987年に神戸市より移転)
インドの旗 在大阪・神戸インド総領事館日本の旗 大阪市(1993年に神戸市より移転)
ドイツの旗 在大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館日本の旗 大阪市(1995年に神戸市より移転)
ベトナムの旗 在大阪ベトナム社会主義共和国総領事館日本の旗 堺市(2009年に大阪市より移転)
ロシアの旗 在大阪ロシア連邦総領事館日本の旗 豊中市(大阪国際空港に近接)
アメリカ合衆国の旗 駐那覇アメリカ合衆国総領事館日本の旗 浦添市(1987年に那覇市より移転)
日本の旗 在ハガッニャ日本国総領事館アメリカ合衆国の旗 タムニン(グアム国際空港に近接)
トンガの旗 在サンフランシスコトンガ総領事館アメリカ合衆国の旗 バーリンゲーム(サンフランシスコ国際空港に近接)
フィリピンの旗 在ハガッニャフィリピン総領事館アメリカ合衆国の旗 タムニン(グアム国際空港に近接)
ミクロネシア連邦の旗 在ハガッニャミクロネシア連邦総領事館アメリカ合衆国の旗 タムニン(グアム国際空港に近接)
閉じる

特権免除

大使館同様、領事官および領事館は領事関係に関するウィーン条約に基づき一定の範囲で特権免除を享受する(領事特権)が、領事特権は大使館や外交官の享有する外交特権よりも相当程度制限されている。個別の外交関係における領事の地位については領事協定が締結されることがある。日中間では日中領事協定を2010年1月17日に締結しており、領事機関の公館の不可侵や領事通報の義務化、派遣国国民が逮捕などされた際の通信および接触等の領事に関する事項をとくに確認している[8]。

駐日外国総領事館・領事館

在日総領事館・領事館は以下の通りである[9]。(領事館)としたもの以外は総領事館である(ただし、名誉総領事館・名誉領事館は除く)。かつて日本が江戸と京都の事実上の複都制を採用していた時代から国交のあったアジアや欧州およびアメリカ合衆国などは、総領事館を大阪または大阪・神戸などといった京阪神地域に置いている場合が多く、その場合、管轄地域は主に近畿地方~西日本全域となる。一方で中南米では東京におく場合が多いほか、日系人の出稼ぎ労働者が多い中京工業地帯に位置する名古屋市や浜松市といった東海地方に総領事館を設置するケースが散見される。都心のオフィスビルに入っているところが多く、アメリカ合衆国、中華人民共和国、大韓民国、ロシア連邦、ベトナムの在大阪総領事館は、ビル1つを占有している。

アジア

インドの旗 インド
大阪・神戸(所在地は大阪市)
インドネシアの旗インドネシア
大阪
タイ王国の旗 タイ
大阪、福岡
大韓民国の旗 大韓民国
大阪、名古屋、横浜、札幌、仙台、福岡、新潟、広島、神戸
中華人民共和国の旗 中華人民共和国
大阪、名古屋、新潟、札幌、福岡、長崎
トルコの旗 トルコ
名古屋
フィリピンの旗 フィリピン
大阪、名古屋
 ベトナム
大阪(所在地は堺市)、福岡
モンゴルの旗 モンゴル
大阪

北米

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
大阪・神戸(所在地は大阪市)、名古屋(領事館)、那覇(所在地は浦添市)、札幌、福岡(領事館)
American Consulate at Nagasaki (長崎米国領事館、長崎手彩色絵葉書、明治)
カナダの旗 カナダ
名古屋(領事館)

中南米

 チリ
東京
ドミニカ共和国の旗 ドミニカ共和国
東京
ニカラグアの旗 ニカラグア
東京
パナマの旗 パナマ
東京、神戸
ブラジルの旗 ブラジル
東京、名古屋、浜松
ペルーの旗 ペルー
東京、名古屋

欧州

イタリアの旗 イタリア
大阪
イギリスの旗 英国
大阪
オランダの旗 オランダ
大阪
スイスの旗 スイス
大阪(領事館)
ドイツの旗 ドイツ
大阪・神戸(所在地は大阪市)
フランスの旗 フランス
京都
ロシアの旗 ロシア
大阪(所在地は豊中市)、札幌(函館の領事事務所も管轄)、新潟

大洋州

オーストラリアの旗 オーストラリア
大阪

在外日本国総領事館

日本は、法令上は外務省の所管する在外公館として総領事館又は領事館を置くものとしている。領事館は全て総領事館に格上げされたため未設置であるが、ブラジルのベレン領事事務所が、実質の領事館として設置されている。そのほか、在外公館の支部として領事事務所(旧称:出張駐在官事務所)を開設している。

在外日本国総領事館の所在都市は以下の通りである[10](大使館、領事事務所は除く。なお、アフリカには総領事館は設置されていない)。

アジア

インドの旗 インド
コルカタ、チェンナイ、ベンガルール、ムンバイ
インドネシアの旗 インドネシア
スラバヤ、デンパサール、メダン
タイ王国の旗 タイ
チェンマイ
大韓民国の旗 大韓民国
済州、釜山
中華人民共和国の旗 中華人民共和国
広州、上海、重慶、瀋陽、青島、香港
パキスタンの旗 パキスタン
カラチ
 ベトナム
ダナン、ホーチミン
マレーシアの旗 マレーシア
ペナン

北米

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
アトランタ、サンフランシスコ、シアトル、シカゴ、デトロイト、デンバー、ナッシュビル(2008年1月にニューオリンズより移転)、ニューヨーク、ハガッニャ(グアム)、ヒューストン、ボストン、ホノルル (ハワイ)、マイアミ、ロサンゼルス(全14館)
カナダの旗 カナダ
バンクーバー、カルガリー(2005年1月1日にエドモントンより移転)、トロント、モントリオール

中南米

ブラジルの旗 ブラジル
クリチバ、サンパウロ、マナウス、リオデジャネイロ、レシフェ
メキシコの旗 メキシコ
レオン

欧州

在サンクトペテルブルク日本国総領事館
イタリアの旗 イタリア
ミラノ
イギリスの旗 英国
エディンバラ
スペインの旗 スペイン
バルセロナ
ドイツの旗 ドイツ
デュッセルドルフ、ハンブルク、フランクフルト、ミュンヘン
フランスの旗 フランス
ストラスブール、マルセイユ
ロシアの旗 ロシア
ウラジオストク、サンクトペテルブルク、ハバロフスク、ユジノサハリンスク

大洋州

オーストラリアの旗 オーストラリア
シドニー、パース、ブリスベン、メルボルン
ニュージーランドの旗 ニュージーランド
オークランド

中東

アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦
ドバイ
サウジアラビアの旗 サウジアラビア
ジッダ
トルコの旗 トルコ
イスタンブール

脚注

参考文献

関連項目

Related Articles

Timelines

Top Qs

Fact Checks