メトリックシグネチャ(−+++)を含むMTW符号規約を使用して 時空の幾何学を記述しているアインシュタイン方程式 (EFE)は、

ここで、
は リッチテンソル、
はスカラー曲率、
はエネルギー・運動量テンソル、
はアインシュタイン重力定数、そして
は方程式の解を表す時空の計量テンソルである。
アインシュタインの縮約記法を用いれば簡潔に書けるが、リッチテンソルとリッチスカラーには計量テンソルに対して非線形な依存関係が隠れており、ほとんどのシステムでは正確な解を導くことは不可能になる。しかし、 時空の曲率が小さい系を記述する場合(つまりEFEの
の二次項は運動方程式に大きく寄与しないことを意味する。)、場の運動方程式は一時的にミンコフスキーメトリック[note 1]
に摂動項
を加えたものにモデル化できる。言い換えると、

この領域では、 摂動近似結果を一般相対論のメトリック
に置き換えると、 リッチテンソルの簡略化された表現が得られる:

ここで
は摂動のトレース、
は時空の座標
に関する偏微分を表し、
はダランベール演算子である。
ともにリッチスカラーは、

場の方程式の左辺を簡約化すると、

したがってEFEは
の条件内で線形2階偏微分方程式に簡約化される。
一般時空を
ミンコフスキー計量と摂動項に分解する過程は一意的では無い。これは座標の選択が異なるため
の違う形式が与えられるからである。この現象を捉えるため、 ゲージ対称性の概念が導入されている。
ゲージ対称性は 基礎となる座標系が微小量だけ「変換」された時に変化しないシステムを説明する数学的装置である。なので、摂動メトリック
は異なる座標系間で一貫して定義されいないにも関わらず、それが全体を説明するシステムである。
これを正式に捉えるには、摂動
の非一意性は
を十分に小さく残す時空上の微分同相写像の多様な集合の結果として表現される。したがって、
は微分同相写像の一般集合として定義し、次に弱場近似に必要な小さなスケールを維持するこれらの部分集合を選択する。したがって、
は平坦なミンコフスキー空間より計量
で表されるよりもっと一般的な時空に写像する任意の微分同相写像を表すものと定義できる。これで、摂動計メトリックは
の引き戻し とミンコフスキーメトリックの差として定義できる。

微分同相写像
は
のように選択できる。
平坦な背景時空上で定義されたベクトル場
が与えられた時、微分同相写像
の別の族は
によって生成され
でパラメータ化されたものと定義できる。これらの新しい微分同相写像は上記で述べた「微小なずれ」 の座標変換を表現するために用いられる。
と共に、摂動の族はこれにより与えられる。
![{\displaystyle {\begin{aligned}h_{\mu \nu }^{(\epsilon )}&=[(\phi \circ \psi _{\epsilon })^{*}g]_{\mu \nu }-\eta _{\mu \nu }\\&=[\psi _{\epsilon }^{*}(\phi ^{*}g)]_{\mu \nu }-\eta _{\mu \nu }\\&=\psi _{\epsilon }^{*}(h+\eta )_{\mu \nu }-\eta _{\mu \nu }\\&=(\psi _{\epsilon }^{*}h)_{\mu \nu }+\epsilon \left[{\frac {(\psi _{\epsilon }^{*}\eta )_{\mu \nu }-\eta _{\mu \nu }}{\epsilon }}\right].\end{aligned}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/a05873bdab89d32bee0adeb30afde6baad0a2bbb)
したがって極限
をとると、

ここで
はベクトル場
に沿ったリー微分である。
リー微分は摂動メトリック
の最終的なゲージ変換が得られる。

それは同一の物理的システムを記述する摂動メトリックの集合を定義する。言い換えれば、線形場の運動方程式のゲージ対称性を特徴づけている。
ゲージ不変性を利用することにより、摂動メトリックの特定の特性は適切なベクトル場
により保証されている。
摂動
が長さの測定値をどう歪めるのかを調べるために、次の空間テンソルを定義すれば便利である:

(添字は空間成分
のみを対象としていることに注意する)。 このように、
を使うことにより、摂動の空間成分は下記のように分解される。

ここで、
。
テンソル
は定義上、対角成分の和が0 であり、空間の測定値がどれだけ伸張、収縮 するかを表すので、歪みと呼ばれる。 重力波研究の文脈では、歪みはトランスバースゲージを併用する時に特に有用である。 このゲージは次の関係式を満たすように
の空間成分を選択することによって定義されている。

そして時間成分
が次式を満たすように選択する。

前節の公式を用いゲージ変換を行った後、歪みは空間的に横方向になる。

追加の特性が、

同期ゲージはメトリックが時間の測定値を歪めないように要求することによって摂動メトリクスを簡素化する。より正確に言えば、同期ゲージは
の非空間成分が0になるように選択される。すなわち、
これは
の時間成分が次式を満たすということを要求することで達成することができる。

そして空間成分が次式を満たすように要求する。

調和ゲージ (ローレンツゲージ[note 2]とも呼ばれる)は線形場の運動方程式をできるだけ縮約する必要がある場合に選択される。これは以下の条件が真である時可能である。

これを実現するために、
は以下の関係を満たさなければならない。

その結果、調和ゲージを使うことにより、アインシュタインテンソル
は

と縮約される。したがって、逆トレースメトリックで記述することにより、
、線形場の運動方程式は以下のように縮約される。

これは正確に解くことができ、重力放射を定義する 波動方程式を生成する。