貞本義行

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別名義 Y.S・イレブン[注 1]
生誕 (1962-01-29) 1962年1月29日(64歳)
日本山口県徳山市(現:周南市
活動期間 1981年 -
さだもと よしゆき
貞本 義行
別名義 Y.S・イレブン[注 1]
生誕 (1962-01-29) 1962年1月29日(64歳)
日本山口県徳山市(現:周南市
職業 漫画家
アニメーター
イラストレーター
デザイナー
活動期間 1981年 -
ジャンル 少年漫画
受賞 #受賞歴を参照
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貞本 義行(さだもと よしゆき、1962年1月29日 - )は、日本漫画家アニメーターキャラクターデザイナーイラストレーター[1][2]山口県徳山市(現・周南市)出身[1][3]は漫画家のたかはまこ[3]ゲーム会社カプコンプロデューサーで『ストリートファイターIII』などを手がけた貞本友思従兄弟[4]。妻の生まれ故郷である愛知県高浜市に在住[5][6][注 2]株式会社カラー相談役

徳山市立住吉中学校山口県立徳山高等学校卒業。東京造形大学造形学部美術学科絵画領域専攻(絵画専攻前はデザイン学科産業デザイン専攻)[3]

1981年、大学在学時に応募した漫画が「第16回週刊少年チャンピオン新人まんが賞」に入選[3]。受賞作の自動車レース漫画『FINAL STRETCH 最後の疾走』が『週刊少年チャンピオン』に掲載されて漫画家デビューを果たす[1]

1982年、大学の漫画研究会の後輩の前田真宏の誘いでアルバイトとして参加した『超時空要塞マクロス』の原画でアニメーターとしてデビュー[2]。その制作現場で庵野秀明山賀博之らと出会い、彼らの映像制作サークルDAICON FILM」に所属することになる[3]。そしてアマチュアながらSF大会のオープニング・アニメーションの自主制作などに携わる[7]

1984年、大学を卒業すると「テレコム・アニメーションフィルム」に入社[3]大塚康生に師事し、アニメ制作のノウハウを学ぶ[3][8]。テレコムで動画として3か月勤めた後、1987年公開の映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼』制作のために設立された「ガイナックス」(DAICON FILMの後身)の設立に参加[1]。同作のキャラクターデザイン作画監督を担当した[3]。以後、『トップをねらえ!』、『ふしぎの海のナディア』、『新世紀エヴァンゲリオン』など、ガイナックスの中核メンバーとして活動。『エヴァンゲリオン』ではキャラクターデザインのみならず、企画段階から参加して設定やストーリーに様々なアイデアを提供している[9]

1991年から1992年にかけてアニメ雑誌月刊ニュータイプ』で連載された漫画『R20 歯車のある街』で9年ぶりに漫画家としての活動を再開。さらに1995年からは『月刊少年エース』にて同名アニメのコミカライズとなる『新世紀エヴァンゲリオン[注 3]』の連載を開始[2][3]。以降、アニメから漫画やイラストへと仕事の比重が移る。

2000年代には『エヴァンゲリオン』のリメイクリブート映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズが公開される。同シリーズでは、第1作『』(2007年)で主キャラクターデザイン・作画監督を務めたが、以降は関与が段階的に縮小し、『』(2009年)では作画監督補佐、『Q』(2012年)ではイメージボードの担当となり、最終作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021年)ではキャラクターデザイン原案としてクレジットされ、メインのキャラクターデザインは松原秀典が担当した。一方、あらたに細田守監督の映画作品のキャラクターデザインを3作連続で手掛けた[11]

貞本の出身地であることにちなんで、山口県周南市で地域活性化のためのアニメや漫画などをテーマにしたサブカルチャーの祭典「萌えサミット」が2011年から2023年まで13年連続で開催された[12]

2024年にサウジアラビアのマンガプロダクションズによる配給で公開予定の『グレンダイザーU』(1970年代のアニメ『UFOロボ グレンダイザー』のリメイク)でキャラクターデザインを担当[13]

人物

数多くの人気アニメ作品のキャラクターデザインを手がけている[2]。代表作は『オネアミスの翼 王立宇宙軍』『ふしぎの海のナディア』『新世紀エヴァンゲリオン』『フリクリ』『トップをねらえ2!』(以上、ガイナックス作品)、『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』(以上、細田守作品)、『.hackシリーズ』など[1][2]。特に『新世紀エヴァンゲリオン』では、アニメのキャラクターデザインとともにそのコミカライズである同名の漫画[注 3]も執筆している[14]

中学から高校時代にかけてはアニメのファンではあったものの、あくまでも「遠い東京の文化」であった[2]インターネットもなかった当時、情報源はアニメ誌やテレビしかなく、しかも地方局では東京の数分の一の数しかアニメ番組が放送されていなかったからである[2]高校時代は美大を目指し、画家の藤永俊雄に師事。東京の大学に進学したのはアニメや漫画などの仕事がしやすいからという理由である。ただし、もともとはプロになるつもりはなく、卒業後には故郷で美術教師になることを志望していたという。漫画賞に応募したのはオートバイ(バイク)の購入資金目当てだった。大学時代はDAICON FILMに参加していたため授業にはあまり出ておらず、課題でも短時間で完成度が高く見せられるように、前に描いた絵を上塗りして提出したりもしている。東京から大阪へ移動するのにバイクを使っていた。[要出典]

テレコム・アニメーションフィルム時代の上司である大塚康生にはアニメの技術的な事だけでなく、考え方や趣味など色々な影響を受けたという[15]。テレコムの同期には田中達之滝口禎一横堀久雄がいた。貞本は素人時代にアニメ制作を経験したことを隠していたため、彼の新人離れした技量に自信喪失した同期生まで出たという。大塚康生も自分より上手いと脱帽し、新人時点の上手さでは宮崎駿月岡貞夫と並ぶ存在だったという評価をしている[16]ただ、絵コンテを切るのは苦手だという。[要出典]

ガイナックスのデビュー作『王立宇宙軍 オネアミスの翼』でキャラクターデザイナー及び作画監督を務めたが、新人無名のアニメーターを起用するのは異例であり、現在に至るまで他に例がない。[要出典]

窪岡俊之の作画監督としての仕事を間近で見た時、「目の描き方はこうすれば、キャラクターの画が崩れないんだ」と今後のキャラクターデザインの際のお手本になった[17]。そこからテレコム・アニメーションフィルム東映まんがまつりの系譜を受け継いだ画と美樹本晴彦のタッチを如何に融合するかを考えていくようになった[18]

影響を受けた漫画家は松本零士永井豪福山庸治の3人で、好きな映画にテリー・ギリアム監督の全作品[要出典]と答えている。漫画家としてキャリア初期に影響を受けたのは大友克洋坂口尚メビウス[19]天野喜孝の大ファンであり、1985年のOVA天使のたまご』の頃の描き方を特に気に入っていて、カラーインクの使い方を含めて大きな影響を受けている」とのこと[19]少年向けで好きな作品は楳図かずおの『漂流教室』、斎藤惇夫原作の『ガンバの冒険』・松本零士の『銀河鉄道999』であるという。貞本は「自分の居場所を求めて旅をして物事を果たしてからも元には戻らずまた旅を続けるところがかっこいいんですよ」と言った。事実、漫画版『エヴァ』にも上記の作品へのオマージュがあるという。[要出典]

イラストレーターとしての人気も高く、画集も出版されている。1998年にはギタリストエリック・クラプトン本人のオファーで彼のアルバムピルグリム』のジャケットを描いている[20]。クラプトンは偶然書店で見かけた貞本の画集『ALPHA』(1993年)に感動したという。クラプトンは2014年にも貞本にアルバム『ザ・ブリーズ〜J.J.ケイルに捧ぐ』のジャケットをオファーしている[21]

ロックバンドのムーンライダーズのファンで、作中でもその影響が見られ、その縁でベストアルバム『ANTHOLOGY 1976-1996』のジャケットを手がけた。なお、ムーンライダーズの弟バンドとも言われたカーネーション直枝政広とは大学の同期であり、交友がある。[要出典]

趣味は映画鑑賞、車、バイク、アイドルなど。

作風

デザインの際に大切にしていることは「先人たちが作ってウケたものには刃向かい、あらがうこと」[22]。結果的に真似することもあるが、新しいことをするならまずあらがってみないとオリジナルデザインは出来ないからだという[22]

貞本のキャラクターデザインは漫画的なところと実在感のバランスが絶妙で、デザインは作品によってアニメテイストを強調したり実写風にしたりと調整している[22]

『王立宇宙軍 オネアミスの翼』『ふしぎの海のナディア』『新世紀エヴァンゲリオン』と、作品を経るごとにデザインは変化している[22]。『オネアミスの翼』のリアルなキャラクターの後、美樹本晴彦がキャラクター原案を手掛けた『トップをねらえ!』に参加したことで目が大きくても可愛くできることがわかり、それまで描けなかったキャラクターが描けるようになった[22]。それが『ナディア』『エヴァンゲリオン』のデザインへとつながったという[22]

『ふしぎの海のナディア』の当時、3段影まで付いた線の多いキャラクターデザインが主流だったが、動かしやすいシンプルなデザインを好む大塚康生や宮崎駿が所属していたテレコム出身の貞本はそれを嫌がり、極力線を減らした異端のデザインを行なっていた[22]。続く『エヴァンゲリオン』では、清潔感を出そうと主人公のシンジを女性的に描いた[23]。最初はもう少し髪が長かったが、演出によってはワイルドな感じが出てしまい、触れたら壊れてしまいそうな繊細さが薄れてしまうのがわかったので、髪の毛を短くしておでこを出してボーイッシュな女の子という感じにしようとデザインし直した[23][注 4]。単に自分の好みでデザインしたのではなく、典型的な熱血物のロボットアニメに対するアンチテーゼという意味が大きかった[23]。一方、貞本のキャラクターは顔の描き分けが乏しく、髪型や服装を変えることでしか違いを表現できていないという意見がある。これは本人も自認しており、間宮千昭も、油断すると渚カヲルになってしまうと語っている[24]。もともとエヴァのキャラクターデザインの際はシンジやミサトといったプレーンな顔を描く際は苦労したといい、特にシンジはこれという要素がないため日によってまちまちになってしまったという。プラグスーツのデザインに悩んだ時は自らフィギュアを作成して参考にした[25][要ページ番号]

その後、細田守作品に参加した時には、本人曰く「宮崎駿みたいに」デザインが先祖返りした[22]。それまで長年の間、一般向けのアニメ作品ではいわゆる"ジブリっぽい絵柄"がお手本にされていたが、細田作品以降、貞本のデザインこそがオタクと一般層の両方に受け入れられる唯一のものという時代が『君の名は。』の田中将賀が出て来るまで続いた[26]

敵をいかにも悪そうな顔にデザインするのは、本来貞本のテイストではない[27]。見た目が良い人であっても実は悪の部分があったり敵側にもその人たちなりの正義があるのだろうという自身の人間観がにじみ出てしまうからである[27]

評価

黄瀬和哉は「リアル(実写)と漫画(アニメ)のどちらにも傾くことができる絶妙なバランスだ」と評している[28]

細田守は「『リアリティ』と『華』を同時に実現できるデザイナー。キャラクターごとにそれぞれの年齢感・生活感・人間性を描き分けることができている。身近にいそうな普通の人間でも、映画に登場する役者としての『華』を描写している。それができるデザイナーは本当に少ない」と絶賛している[29]

青山浩行は「漫画っぽく単純化したとしても、明確にキャラクターの違いが出る造形になっている」と評している[29]

小黒祐一郎は「当時のデザインの流行りだった『超音戦士ボーグマン』『天空戦記シュラト』とは正反対の極めてシンプルで、影もあまりつけないスタイル。なのに『これでもアニメ雑誌の表紙を飾れるんだ!』と新鮮だった」と当時の驚きを振り返っている[30]

鶴巻和哉は「貞本さんのデザインには曖昧さがない。徹底的にデザインされていて、『これ以上は描き込まなくていい』『これを省くと違うキャラクターになってしまう』と超えてはならない一線をハッキリさせている。それがアニメーター達にとっても描くのが楽になるのにつながっている。これは安彦良和さんですらできなかったこと」と評している[30]

窪岡俊之は「『服のしわをどうまとめるか』を自分で研究しながら、一生懸命に描いていました。それを見て感心していたら、『僕はもう覚えたんで、あげますよ』とそのスケッチを一式僕にくれたんです。それがその後の貴重な資料になりました。写真などを見て描くにしても、必要な線を抜き出すには、センスと理屈が必要になります。貞本さんはその取捨選択が物凄く巧くて、僕の仕事はそれを応用したんです」「デザイナーとしては、デフォルメを利かせて1つの最終形に落とし込んでいく過程にロジックがある。手癖で描くのではなく、誰が描いてもそのキャラクターになるように、『この髪型で、この小道具に気を付ければ、誰が描いてもこのキャラクターになる』と数々のパーツとして突き詰めて考えていく様にはショックを受けました」と恩義を交えながら賞賛している[31]

錦織敦史は「脇役のキャラクターを年齢や人種で振り分けつつ、衣裳が変わっても同じキャラクターだと分かる個性を与えながらも主人公たちを喰わない『モブ感』のようなものを残すバランス感覚がすごい」と評する[32]

田中将賀は「貞本さんのデザインは、見た目はシンプルだが目立たせる部分と目立たせない部分のデザインのコントラストで独特のシルエットを構築しており、簡単に見えて実際にやろうとすると真似できない」と語っている[32]

加藤寛崇は貞本のデザインの魅力を「斬新さと親しみやすさが同居していること」だとしている[22]

受賞歴

第16回週刊少年チャンピオン新人まんが賞
  • 新人賞(入選)『FINAL STRETCH 最後の疾走』(1981年)
東京アニメアワード

著作物

漫画

作品名原作掲載誌掲載号発表形式話数
1 FINAL STRETCH 最後の疾走 - 週刊少年チャンピオン 1981年35号 読み切り 1話
2 LONELY LONESOME NIGHT ふりむいた夏 - 1981年41号
3 CRAZY RIDER 大垂水の鷹 - 1981年45号
4 18R(ヘアピン)の鷹 - 1982年11号 - 14号 週刊連載 4話
5 ROUTE20 歯車のある街 - 月刊ニュータイプ 1991年12月号 - 1992年4月号 月刊連載 5話
6 孤島の鬼 たかはまこ 1994年2月号 - 3月号 2話
7 新世紀エヴァンゲリオン GAINAXカラー 月刊少年エース 1994年12月号 - 2007年12月号 96話[注 5]
ヤングエース Vol.1(2009年7月) - 2013年7月号
8 DIRTY WORK たかはまこ COMIC CUE vol.4(1997年12月) 読み切り 1話
9 System of Romance vol.8(2000年4月)
10 アルカイック スマイル コミックチャージ 創刊号(2007年3月)、
2008年11号 - 12号
不定期掲載 3話
ヤングエース 2017年12月号 - 2018年2月号(上記3話の再掲)
2018年3月号 - (新作)
月刊連載 連載中

画集

  • 貞本義行画集 ALPHA(1993年4月1日発行)ISBN 4-04-852385-6
  • 貞本義行 CD-ROM画集(1993年GAINAX販売)
  • 貞本義行画集 DER MOND [限定版](1999年9月30日発行)ISBN 4-04-853048-8
  • 貞本義行画集 DER MOND [普及版](2000年1月31日発行)ISBN 4-04-853031-3
  • 貞本義行画集 CARMINE [限定版](2009年3月26日発行)ISBN 978-4-04-854275-3
  • 貞本義行画集 CARMINE [通常版](2010年8月26日発行)ISBN 978-4-04-854480-1

主な参加作品

テレビアニメ

1982年
1988年
  • F(原画)
1990年
1995年
1998年
2002年
2004年
2006年
2007年
2015年
2020年
2024年

OVA

1987年
1988年
2000年
  • フリクリ(ビジュアルコンセプト・キャラクターデザイン)
2004年

Webアニメ

2020年
  • 砂ノ灯(キャラクターデザイン)[38]
  • 愛姫MEGOHIME(監修、EDアニメーション)
2024年

アニメ映画

1985年
1987年
1991年
1997年
1990年代
  • オリンピア(キャラクターデザイン) - 制作中止。
  • 蒼きウル(キャラクターデザイン・総作画監督) - 制作中止。
2006年
2007年
2009年
2012年
2013年
  • SHORT PEACE「GAMBO」(キャラクターデザイン原案)
2018年
  • フリクリ オルタナ(キャラクター原案)
  • フリクリ プログレ(キャラクター原案)
2021年
2025年

パイロットフィルム

1991年
  • R20 銀河空港(監督[注 6]

実写映画

2004年
2015年

ゲーム

1993年
1994年
2002年
  • .hack(キャラクターデザイン)
2006年
  • .hack//G.U.(デザイン監修・パッケージデザイン)
2018年

ミュージック・ビデオ

1988年
2012年

CM

2012年
2018年
2023年
2024年

ディスクジャケット

1988年
1998年
2012年
2013年
2014年

書籍

小説

  • GURPSルナル・友野詳「悪魔と天使の間で」(アンソロジー小説集『ヘンダーズ・ルインの領主』掲載)(1991年・挿絵)
  • 友野詳「ルナル・サーガ」(1992年・キャラクターデザイン)
  • 蒔田陽平「サマーウォーズ」(2009年・カバーイラスト)

漫画

  • 「時をかける少女 -TOKIKAKE-」(2006年・キャラクター原案)
  • 「サマーウォーズ」(2009年・キャラクター原案)

その他

エピソード

脚注

外部リンク

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