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赤根智子

日本の検察官、裁判官、国際刑事裁判所所長 (1956-) From Wikipedia, the free encyclopedia

赤根 智子(あかね ともこ、1956年〈昭和31年〉6月28日[2] - )は、日本の検察官、裁判官。国際刑事裁判所裁判官、同所長(日本人として初めて同所長に就任した[3])。

生年月日 (1956-06-28) 1956年6月28日(70歳)
国籍 日本の旗 日本
出身校 東京大学法学部卒業
ジャクソンヴィル州立大学刑事司法コース修了
概要 赤根 智子 あかね ともこ, 生年月日 ...
赤根 智子
あかね ともこ
出典: 法務省 法務総合研究所 国際協力部[1](原出典: 国際刑事裁判所)
生年月日 (1956-06-28) 1956年6月28日(70歳)
出生地 日本の旗 日本・愛知県名古屋市
国籍 日本の旗 日本
出身校 東京大学法学部卒業
ジャクソンヴィル州立大学刑事司法コース修了

任期 2024年3月11日 - 現職[注 1]
前任者 ピュートル・ホフマンスキー(英語版)

任期 2018年3月11日 - 現職[注 1]

任期 2014年7月18日 - 2016年6月16日
前任者 酒井邦彦
後任者 佐久間達哉

任期 2010年10月26日 - 2012年4月9日
前任者 八幡雄治
後任者 稲葉一生
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名古屋大学法科大学院教授兼中京大学大学院法務研究科教授、札幌地方検察庁公判部長、法務省法務総合研究所長、函館地方検察庁検事正、国連アジア極東犯罪防止研修所所長、最高検察庁検事兼国際司法協力担当大使等を歴任した。

経歴

愛知県名古屋市出身[4]。愛知県立旭丘高等学校卒業[5]。1980年(昭和55年)に東京大学法学部を卒業後、1982年(昭和57年)に検事任官[6]。横浜、名古屋、仙台、東京各地方検察庁で勤務。

名古屋大学大学院法学研究科教授や中京大学大学院法務研究科教授として高等教育に関わるほか、法務省法務総合研究所国際協力部長、国際連合アジア極東犯罪防止研修所所長などとして法整備支援にも携わる。

函館地方検察庁検事正、法務総合研究所所長、最高検察庁検事なども歴任した。

国際刑事裁判官としての活動

2017年(平成29年)12月4日の国際刑事裁判所(ICC)裁判官選挙で88票を獲得して選出され、齋賀富美子、尾崎久仁子に次ぐ日本人3人目となる国際刑事裁判所(ICC)判事に就任[7][8]。予審審問部門を担当する[9]。

2024年(令和6年)、神の抵抗軍の少年兵問題を扱うコニー事件の予備審問(1月19日提起)では、裁判官セルジオ・ゴンザレス(英語版)とともに裁判長ロザリオ・アイタラ(英語版)の陪席裁判官を務めている[注 2]。

同年3月11日、国際刑事裁判所所長に就任[注 3]。

国家からの実刑判決・制裁

ロシアによる実刑判決

内務省による指名手配

2023年(令和5年)3月20日、ロシア連邦捜査委員会はICCが戦争犯罪容疑で同国のウラジーミル・プーチン大統領に逮捕状を出したことを受け、ICCのカリム・カーン(英語版)主任検察官や赤根ら3人の裁判官に対する捜査を始めたと発表し[12]、同年7月27日にロシア内務省は刑法違反容疑で赤根を指名手配した[13][14][15]。

これに対して日本政府は、ICCが扱う個別の事態を理由としてICC関係者個人に報復的な措置を取ることは不当であると批判し、ICCおよびオランダ当局に赤根の安全確保に万全を期すよう要請した[16]。

欧州連合(EU)もロシアによるICC検察官・判事への刑事手続と威嚇について、政治的動機に基づき、根拠がなく、正当化できず、容認できないものであり、クレムリンによる国際的な規則および国際法の軽視をさらに示すものだと非難した[17]。

ICC締約国会議議長団も、ロシアの措置をICCの任務を損なおうとする威嚇行為であり、容認できない試みであると批判した[18]。

2023年8月7日には、ローマ規程締約国である日本、イギリス、イタリア、コスタリカが共同声明を発表し、ロシアがICCの任務を損なおうとする試みを続けていることは遺憾であるとし、ICC、その職員・関係者およびICCに協力する者を断固として支持すると表明した。さらに、ICCを「独立かつ公平な裁判所」として全面的に信頼するとし、いかなる脅威にも屈することなく、ローマ規程に定められた原則と価値、ICCの一体性を守るとの決意を示した[19]。

2023年12月、イギリス政府は、ロシアが赤根らICC判事6人と検察官に対して開始した刑事手続について、ICCによる責任追及を恐れる側の反応であると批判し、ICC支持を改めて表明した[20]。ドイツ政府はICCに対するあらゆる攻撃を、最も強い言葉で非難し、特にロシアが逮捕状を発付することによって独立したICC裁判官を威嚇していることを批判した。さらに、締約国が結束してICCをこうした外部からの脅威から守る必要があると表明した[21]。スウェーデンのマリア・マルメル・ステネルガルド外相は、ロシア当局がICC職員たちに逮捕状を発付していることについて「容認できない」と批判し、ICCへの支持とその独立を尊重する立場を表明した[22]。

同月、国際法曹協会(IBA)は、ロシアによるICC高官への逮捕状発付をICCが直面する「懸念すべき脅威」の一つとして挙げ、ICC、その職員および協力者に対する脅威や攻撃は、ICCによる司法の遂行を損なうおそれがあるとして強く非難した。また、締約国に対し、ICCとその活動への支持を公に表明し、こうした脅威や攻撃への予防・対応においてICC関係者への支援を強化するよう求めた[23]。

赤根自身は、同月のインタビューの中でロシアによる自身への逮捕状について「予想はしていた」とした上で「裁判官っていうのは何があっても中立で、かつ、我々の職務を全うすると、それを考えるだけということですし、逮捕状のニュースを聞いたときも、『あ、そうか』という感じでしたね。ただ国内的には、敵に対して逮捕状を出したりとかそういう話は聞きますので、当然そういうことはあり得るだろうなっていうぐらいですね。」と述べている[24]。

2024年5月には、32の人権団体・NPOが日本政府に提出した共同書簡で、ロシアが赤根を含むICC判事6人と検察官に逮捕状を発付したことをICCに対する攻撃として取り上げ、ICC、その職員および協力者への威嚇や妨害を公に非難するよう日本政府に求めた[25]。

2024年6月に欧州評議会議員会議は、ロシアによるICC検察官・判事への刑事訴追を「ICCの司法上の独立と任務に対する露骨な干渉」として強く非難した[26]。

モスクワ裁判所による実刑判決

2025年(令和7年)12月12日、モスクワの裁判所は、プーチン大統領らに違法に逮捕状を出したとして、欠席裁判で赤根智子所長らICCの判事9人に拘禁3年半~15年の判決を言い渡したが、個別の量刑は不明[27][28]。

国連のロシア人権状況特別報告者および裁判官・弁護士の独立に関する特別報告者らは、同判決について、国際法の明白な違反であり、判決は国際法上無効であると非難した。国際裁判所の判事・検察官が公務として行った司法活動を犯罪化しようとする前例のない試みであり、ICC関係者の職務上の免除と司法の独立を侵害すると指摘した。また、こうした刑事訴追はICC関係者への威嚇・報復であり、重大な国際犯罪の責任追及を担う者を国内法によって威圧する危険な前例となると批判した。さらに、実効的な通知、独立した弁護士へのアクセス、防御の機会を欠いた欠席裁判は公正な裁判の最低基準を満たさないとして、ロシア政府に対し有罪判決と逮捕状を撤回し、国際司法関係者に対する刑事法の濫用を停止するよう要求した[29]。

12月15日にイタリア大統領セルジョ・マッタレッラは、戦争犯罪を扱うという職務を理由に国際裁判所の判事を処罰しようとすることは「世界を危険にも最悪の過去へ逆行させる」ものと批判し、ニュルンベルク裁判の創設を主導した国の一つであるロシアが国際裁判所の構成員に禁錮刑を科していることの矛盾を指摘した[30]。

赤根は、2025年12月に、ロシアによるICC関係者への逮捕状や欠席起訴・審理について、ICCの存在と評判、司法手続の完全性、関係者の安全を損なおうとする威圧的措置であると批判し、ICCはいかなる圧力も受け入れないと表明した[31]。

2026年8月に赤根は、ロシアから実刑判決を受けたことにより、ロシアと犯罪人引渡し条約を締結している国には渡航できず、出張時には中継地も含めICCが事前に確認していると説明した[32]。ロシアは中華人民共和国、北朝鮮、シリアなどと犯罪人引渡し条約を締結し、イランとも犯罪人引渡しを含む司法共助の枠組みを有するほか、カザフスタン、キルギス、タジキスタンなどとはキシナウ条約に基づく犯罪人引渡し制度を有している[33]。2023年に日本からオランダへ戻る際には、ICCがベラルーシによる旅客機強制着陸・反体制派拘束事件を念頭に、旧ソ連諸国上空を通過する経路を避けるよう求め、アメリカ経由での帰国も検討されたが、赤根は当初予約していた便を利用し、結果的に旧ソ連諸国を避ける北回りの経路となったという[34]。

最高検察庁による身柄引き渡し要求

2026年(令和8年)10月8日、ロシア最高検察庁は、2025年12月にロシアの裁判所が欠席裁判で有罪判決を言い渡したICC所長の赤根智子、元主任検察官のカリム・カーン(英語版)、元所長のピョートル・ホフマンスキー(英語版)、第1副所長のロザリオ・サルヴァトーレ・アイタラ(英語版)、第2副所長のレーヌ・アラピニ=ガンスー(英語版)ら国際刑事裁判所(ICC)関係者9人について、オランダなど複数の国に身柄拘束とロシアへの身柄引き渡しを要請した[35][36]。

ロシア側は、ICCがロシア国民を違法に訴追し、法的根拠のない逮捕状を発行したと主張した。一方、オランダ政府はICCを支持する立場を示しており、身柄引き渡しに応じる可能性は低いと報じられている[37]。

アメリカのICC制裁について、ロシア外交官などが以前から歓迎を表明しており[38]、今回の身柄引き渡し要求についても、ICCへの圧力を強めるアメリカと歩調を合わせてICCを揺さぶる工作である可能性が指摘されている[39][40]。

翌10月9日、ロシアの身柄引き渡し要求について、日本の内閣官房副長官の尾崎正直は、ICC関係者個人に対する身柄引き渡しなどの措置は不当であり、受け入れられないと批判した。日本政府は以前からロシア政府に対してICC関係者への措置は不当であると申し入れており、さらなる申し入れを含めて対応する方針を示した。また、日本政府がICCを一貫して支持していることを強調した[41]。

アメリカ合衆国による制裁

SDNリストの赤根の個人ページ。

2026年(令和8年)8月18日、アメリカ合衆国財務省外国資産管理局(英語版)(OFAC)は、大統領令14203号に基づき、赤根を米国の制裁対象者リストであるSDNリストに追加した[42]。

ICC関係者に大統領令14203号に基づく制裁が課されるのは赤根が初めてではない。第2次トランプ政権は2025年2月6日に同大統領令を発令し、ICC関係者に対する経済制裁を開始し[注 4]、同月13日には主任検察官カリム・カーンがSDNリストに指定され[45]、同年6月5日にはICC第2副所長レーヌ・ガンスー(英語版)を含む判事4人が指定され[46]、その後も判事や副検察官への指定が拡大していた[47]。

大統領令14203号は、ICC制裁の理由について、「アメリカ合衆国と我が国の緊密な同盟国イスラエルは、いずれもローマ規程の締約国でもICC加盟国でもなく、ICCの管轄権を一度も認めたことがないにもかかわらず、ICCは正当な根拠なくアメリカおよびイスラエルに対して一方的に管轄権を主張し、予備調査を行っている。」「両国はいずれも繁栄する民主国家であり、その軍隊は戦時国際法を厳格に遵守しているにもかかわらず、ICCはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相およびヨアヴ・ガラント前国防相を標的とする根拠のない逮捕状を発付することによって、権力を濫用した。」「現役の米軍人を含む現職・元米国人員に対し、嫌がらせ、虐待および逮捕の可能性にさらすことなどによって危険を及ぼしている。」「こうした悪意ある行為は、アメリカの主権を侵害し、アメリカ政府およびイスラエルなど同盟国による国家安全保障・外交政策上の活動を損なっている。」「ICCおよびローマ規程締約国は、自国の人員をICCの管轄権に服させないと決定したアメリカや非締約国による主権上の決定を尊重しなければならない。ICCのこうした逸脱行為に責任を負う者には、資産凍結やアメリカへの入国禁止を含む具体的かつ重大な結果を科す」と指摘している[48]。

赤根個人への制裁理由について、マルコ・ルビオ国務長官は声明の中で、「赤根とセイエ(赤根と一緒にSDNとなったICC検察局上級法務官)は、ICCの管轄権に同意していないアメリカおよびイスラエルの政府当局者を捜査、逮捕、拘束または訴追しようとする活動に直接関与した」[49]、「ICCは、腐敗し、致命的に政治化された超国家的裁判所であり、悪意をもって権限を濫用している」[50][51]、「赤根とセイエへの制裁は、米国人をこのまがい物の裁判所から守るための揺るぎない取り組みの一環である」[52]と指摘した。

アメリカ合衆国のSDN(制裁対象者)となったことになり、今後アメリカ国内、およびアメリカ人の所有・管理下にある赤根の資産は全て凍結され、また米国人は赤根と取引を行うことを禁止される。赤根のアメリカへの入国も拒否される[53]。

また、OFACの「50%ルール」により、法人であって赤根が直接または間接に50%以上を所有する場合、その法人自体がSDNリストに掲載されていなくても赤根と同様の制裁対象となる[54]。

例外として「General License 12」により、赤根との取引を整理・終了するために通常付随し必要な取引については、2026年9月17日午前0時1分(米国東部夏時間)まで猶予期間が設けられている[55]。

赤根との取引を禁じられる「米国人」(U.S. person)には、(1)米国市民および永住者(居住・滞在が米国内・米国外を問わず)、(2)米国内に合法的に所在する者(非米国人、非米国法人・団体を含む[56])、(3)米国または米国内の法域の法律に基づいて設立された法人・団体に加え、その外国支店、外国子会社[注 5]およびその法人・団体の従業員も含まれる[58]。

したがって、米国人や米国法人が日本で提供している商品・サービスにも制裁の影響は及ぶ。たとえば、Amazon.co.jp[59][注 6]、MicrosoftやAppleなどのソフトウェアやオンラインサービス[60][61]、VisaやMastercardなどのクレジットカード[62][63]、Googleが提供するGmail、Google ドライブ、Geminiなどのオンラインサービス[64][65]、Zoom[66]、ChatGPT[67]などが、SDNによるサービスの利用を拒否している。

米国の銀行はSDNが関与する送金・決済を原則として処理できないため、赤根が関与する資金は、米国の金融機関の管理下に入った場合は凍結となる[68]。したがって、今後赤根は米国金融機関を経由する国際的なドル送金・決済を原則として利用することはできなくなる。国際送金では、外国金融機関による米ドル建て電信送金のほぼすべては、米国内のコルレス銀行口座を通じて処理されているので[69]、日本の銀行から第三国の銀行への送金であっても、米国のコルレス銀行が仲介銀行として介在し、赤根が取引当事者であることが発覚した場合には、その送金は凍結される[70]。

米国に拠点をもたない金融機関には制裁遵守義務はないものの、各国の金融機関は基軸通貨ドルを発行する米国とは何らかの取引をしているため、米国外の金融機関であっても制裁に抵触することを恐れ、SDNとの金融取引は拒否する可能性が高い[71]。日本の主要金融機関もOFAC規制を遵守した対応を行っており、SDN本人だけでなく、SDNが関与する取引についても拒否・停止・制限などの措置を講じている[72][73][74][75][76][77][78][79][80]。

さらに、大統領令14203号は、同大統領令に基づく制裁対象者に対して重大な援助を行った者、または資金、物資、技術的支援、物品もしくはサービスを提供した外国人についても、新たに資産凍結の対象として指定できる旨を定めている[81]。

イスラエルのネタニヤフ首相は、ルビオ国務長官の赤根とセイエへの制裁発表について、Xの投稿で「ICCは、権力の濫用を国際法という言葉で覆い隠しながら、正義そのものの原則を損なうカンガルー法廷と化している。ICCによる不当な権限逸脱に断固として対抗するトランプ政権の取り組みを主導し、ICCを率いる腐敗した当局者が、その行為の報いを受けることを明確にしたマルコ・ルビオ国務長官を称賛する。」と述べ、アメリカ支持を表明した[82]。

一方、ICCはこれらの制裁について、独立した公平な司法機関に対する「明白な攻撃」であるとする声明を発表し、強く反発した[83]。欧州連合(EU)でも、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長とアントニオ・コスタ欧州理事会議長が、ICCおよび赤根らを「断固として支持する」との声明をそれぞれ発表したほか、ドイツ外務省は裁判所の独立性を「極めて重要」と表明し、国際刑事裁判所の所在国であるオランダも同様に不快感を示し、スペインは同裁判所を「国際刑事司法制度の礎石」と評した[84]。さらに欧州各国からも非難が相次ぎ、スペイン外務省は制裁を「ICCの独立性、完全性、公平性に対するあからさまな攻撃」として全面的な連帯を表明し、ベルギーのプレヴォ(英語版)外相は制裁が「不処罰との世界的な闘いを弱める」と批判した。また、所在国オランダのベーレンドセン(英語版)外相が「国際裁判所・法廷は自由に任務を遂行できなければならない」と訴え、ドイツの外務省も「法の支配を根本から否定する理由にはならない」として「ICCと赤根所長を支持する」と明言するなど、独立性を支持する声が拡大している。欧州の一部からは米国の制裁が域内に及ぼす影響を阻却する「ブロッキング規則」の発動を求める声も上がっているが、欧州委員会は制裁の影響を注視すると述べるにとどめている[85]。

日本政府は外務報道官談話で「大変残念だ」との見解を示し[86]、高市早苗首相も同様の認識を示した[87]。

8月21日、赤根は、トランプ政権による制裁について「驚きはない。重要なのは、これを国際的な『法の支配』の終焉の始まりとさせないこと」とするコメントを発表した[88]。

赤根制裁をめぐる高市政権批判と政局利用批判

米国による赤根への制裁をめぐって、日本の政界でも高市政権の対応をめぐって議論が起きた。与野党議員でつくる「人権外交を超党派で考える議員連盟」は、高市政権が米国の措置について「大変残念」と表明するにとどまったことを「諸国と比べて段違いに弱い」として、高市首相を批判し、米国への明確な抗議と制裁の即時撤回要求を求めた[89]。

これについて、ジャーナリストの須田慎一郎は、石破茂や中谷元ら自民党内の反高市勢力と野党勢力が、ICC問題を高市政権への政治的攻撃に利用しているとの見方を示した[90][91]。[信頼性要検証]

中東イスラム研究者の飯山陽も、石破らがICC問題を利用して高市政権を攻撃していると批判し、石破政権下でも米国によるICC関係者への制裁が行われていたにもかかわらず、当時は同様の強い対応を求めなかったとして、石破を批判した[92]。[信頼性要検証]

政治学者岩田温は9月10日の『ABEMA Prime』において「今回の弱腰批判は、支持率の高い高市総理を攻撃するために野党などが政局として利用しているだけだ」との見解を示した。同番組でジャーナリストの佐々木俊尚も「赤根氏を守るか、トランプ氏に屈するかの二軸対立になっているのがおかしい」「ヨーロッパにはNATOの枠組みがあり、仮にアメリカが一時的にいなくなっても互いにみんなで守る心構えがある。しかし、日本は周囲をロシア、中国、北朝鮮に囲まれて孤立無援に近く、アメリカに頼るしかない。ヨーロッパと同じようにアメリカを批判するわけにはいかない」と指摘した[93]。

評論家の藤原かずえは、石破政権下の2025年2月にも米国によるICC制裁が問題となった際、日本が制裁を批判する多国間共同声明に参加しなかったことを指摘し、その際に首相だった石破が2026年には高市政権を「弱腰」と非難する超党派議連に加わったことについて「明らかに間違っている」と批判した[94]。

産経新聞特別記者の有元隆志は、赤根への制裁をめぐる高市政権批判についての論評の中で、野党やリベラルメディアが「米国への働きかけ」を高市首相に求めることについて、日米同盟に亀裂を入れ、高市政権を窮地に立たせることを期待しているかのようだとの見方を示し、日本の安全保障は日米同盟によって支えられていること、ICC自体にはその判断を執行する実力組織がないことを指摘して赤根制裁をめぐる高市政権批判を問題視した[95]。

ただし、赤根本人は高市首相を批判しておらず、8月26日の記者会見で、高市首相と茂木敏充外相が米国の制裁について「日本の立場と相容れない」と表明したことに触れ、両者から自身について「正しい評価を改めて下してもらった」とし、それが自身やICCに「大きな力を与えてくれるものとしてありがたい」と述べており、高市首相に感謝を表明している[96]。

日本政府への署名提出について

2026年10月、赤根が検察官時代に教員をしていた頃の教え子たちを中心とする団体が、アメリカ政府が赤根らICCの関係者を制裁の対象にしたことについて、日本政府に対して、制裁に反対する行動をとるよう求める署名(約17万人分)を提出した[97]。

略歴

主張

赤根は、日本の検察官としてのキャリアを重ねる一方で、法整備支援など法分野における国際交流、司法外交にも継続的に関わり、さらに、日本の法曹としては初の国際刑事裁判所判事に就任したという経歴を有し、そのような法律と国際性というハイブリッドの視点から、日本(の法曹)の強み・弱みの両面を分析しつつ、アジア圏など国際舞台で日本が果たすべき役割の潜在性は大きいものと考えている[1]。

例えば、日本の法曹について、事案把握能力、法的思考力、証拠分析力など、法律家としての基本的な能力が、国際的にも高いレベルにあるとする一方で、国際分野を含め、新たな一歩を踏み出す積極性や発信力の弱さなどの課題を指摘。そして、日本、そして、日本の法曹が、これら課題を克服しながら、アジア圏における法分野のリーダーとしての潜在性を有することを自覚し、法の支配による平和で安定した世界・社会に向けて、より積極的な役割・貢献を果たしていくことへの期待を述べている[1]。

著書

  • 赤根智子『戦争犯罪と闘う:国際刑事裁判所は屈しない』文藝春秋〈文春新書 1496〉、2025年6月20日。ISBN 978-4-16-661496-7。(電子版あり)

脚注

参考文献

外部リンク

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