酪酸
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酪酸(らくさん、英: butyric acid,英語発音: [bjuːˈtɪrɪk ˈæsɪd])、IUPAC名ブタン酸 (英: butanoic acid) もしくはn-ブタン酸 (英: n-butyric acid) は、分子式 C4H8O2、示性式 CH3(CH2)2COOH の直鎖カルボン酸である。構造異性体にイソ酪酸 (CH3)2CHCOOH がある。
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| 物質名 | |||
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別名 Ethylacetic acid | |||
| 識別情報 | |||
3D model (JSmol) |
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| ChEBI |
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| ChEMBL |
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| ChemSpider | |||
| DrugBank |
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| ECHA InfoCard | 100.003.212 | ||
| EC番号 |
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IUPHAR/BPS |
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| KEGG |
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| MeSH | Butyric+acid | ||
PubChem CID |
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| RTECS number |
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| UNII |
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| 国連/北米番号 | 2820 | ||
CompTox Dashboard (EPA) |
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| 性質 | |||
| C3H7COOH | |||
| モル質量 | 88.106 g·mol−1 | ||
| 外観 | 無色の液体 | ||
| 匂い | 不快臭、嘔吐物または体臭のような | ||
| 密度 | 1.135 g/cm3 (−43 °C)[2] 0.9528 g/cm3 (25 °C)[3] | ||
| 融点 | −5.1 °C (22.8 °F; 268.0 K)[3] | ||
| 沸点 | 163.75 °C (326.75 °F; 436.90 K)[3] | ||
| 昇華 −35 °C ΔsublH | |||
| Miscible | |||
| 溶解度 | エタノール、エーテルと混和。四塩化炭素にわずかに溶ける。 | ||
| log POW | 0.79 | ||
| 蒸気圧 | 0.112 kPa (20 °C) 0.74 kPa (50 °C) 9.62 kPa (100 °C)[4] | ||
ヘンリー定数 (kH) |
5.35·10−4 L·atm/mol | ||
| 酸解離定数 pKa | 4.82 | ||
| 磁化率 | −55.10·10−6 cm3/mol | ||
| 熱伝導率 | 1.46·105 W/m·K | ||
| 屈折率 (nD) | 1.398 (20 °C)[3] | ||
| 粘度 | 1.814 cP (15 °C)[5] 1.426 cP (25 °C) | ||
| 構造 | |||
| 単斜晶系 (−43 °C)[2] | |||
| C2/m[2] | |||
α = 90°, β = 111.45°, γ = 90° | |||
| 0.93 D (20 °C)[5] | |||
| 熱化学 | |||
| 標準定圧モル比熱, Cp⦵ | 178.6 J/mol·K[4] | ||
| 標準モルエントロピー S⦵ | 222.2 J/mol·K[5] | ||
標準生成熱 (ΔfH⦵298) |
−533.9 kJ/mol[4] | ||
| 標準燃焼熱 ΔcH |
2183.5 kJ/mol[4] | ||
| 危険性 | |||
| GHS表示: | |||
| Danger | |||
| H314[6] | |||
| P280, P305+P351+P338, P310[6] | |||
| NFPA 704(ファイア・ダイアモンド) | |||
| 引火点 | 71 - 72 °C (160 - 162 °F; 344 - 345 K)[6] | ||
| 440 °C (824 °F; 713 K)[6] | |||
| 爆発限界 | 2.2–13.4% | ||
| 致死量または濃度 (LD, LC) | |||
半数致死量 LD50 |
2000 mg/kg (経口, ラット) | ||
| 安全データシート (SDS) | External MSDS | ||
| 関連する物質 | |||
| 関連するカルボン酸 | プロピオン酸 吉草酸 | ||
| 関連物質 | 1-ブタノール ブチルアルデヒド 酪酸メチル | ||
哺乳類は極微量でも酪酸の臭いを探知することができ、イヌでは 10 ppb、ヒトでも 10 ppm まで感知することができる。特有の不快臭を有する。
性質
酪酸は、常温において pKa 4.82 の弱酸で、類似化合物の酢酸は pKa 4.76 である[7]。酪酸の密度は 0.96 g/cm3 で、分子量は88.11 である。したがって純粋な酪酸は 10.9 mol/L である。常圧において、融点 −7.9 ℃、沸点 164 ℃ であり、常温常圧では、無色の油状の液体として存在する。
カルボキシ基を持つため水とはよく混和するのに対して、食塩水には溶けにくいことから、酪酸水溶液に多量の食塩を加えると分離することができる。
酪酸は特有の不快臭を有し、また揮発性がそれほど高くないため、一旦建物の壁や柱に酪酸が染み付くと、リフォームを施してもなかなか臭いが取れない。
存在
バターから得られたので、ラテン語でバターを意味する「butyrum」から、酪酸「butyric acid」の名で呼ばれるようになった。
天然に広く分布しており、脂肪酸の分解過程で生合成される。また、体外へと分泌される皮脂にも含まれており、蒸れた足などから発せられる悪臭の原因物質の1つでもある。他に、同じく体外へと分泌される乳汁を原料としたバターやチーズなどにも含まれている。植物にも含まれ、例えば、銀杏の異臭の原因でもある。
さらに、微生物によって酪酸が作られる場合もある。例えば、哺乳類の大腸や反芻胃では細菌が食物の中のセルロースやヘミセルロースを嫌気発酵し、酪酸などの短鎖脂肪酸を生成しており、これが草食性動物の体内では重要なエネルギー源となっている。消化管から吸収された酪酸は、β酸化によりアセチルCoAに分解され、クエン酸回路によりエネルギー源として利用される。なお、大腸内で産生された酪酸は、結腸の細胞で優先的にエネルギー源として利用される[8]。酪酸は、腸管増殖因子として作用し、抗炎症作用を有し、傷害腸管の修復にも関与している[9]。



