門 (小説)
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登場人物
- 野中宗助
- 主人公。役所勤め。親友から妻を得たことに後ろめたさを感じ、崖の下にある家にひっそりと暮らしている。
- 御米(およね)
- 宗助の妻。かつては安井の内縁の妻であった。
- 小六
- 宗助の弟。大学に在学中。
- 安井
- 宗助のかつての友人。御米を奪われ、姿を消す。
- 坂井
- 屋主。
- 佐伯
- 宗助の伯父方。
作品解説
『三四郎』『それから』とともにいわゆる前期三部作をなす作品で、その最後にあたる。この作品は『それから』で友人の妻を奪い返し、高等遊民を脱して職を探しに出た主人公・長井代助の「それから」で、社会から逃れるように暮らす夫婦の苦悩や悲哀を描写している。
題名の『門』は漱石自身によってつけられたものではなく、森田草平と小宮豊隆によってつけられたものである。漱石は当時、漱石主宰の文芸欄の下働きをしていた草平に、何でもいいから題名をつけてくれと頼み、困った草平は豊隆のところへ相談に行ったが、豊隆も案が浮かばず、机の上にあった『ツァラトゥストラはこう語った』を取り上げてぱっと開け、「門」という言葉が出てきたので、それを題名をすることとしたという[1]。
宗助は唐突に鎌倉に参拝、本来ならば最も緊張感がある場面となるべきであろう、安井の出現が遠くの出来事となってしまい、結果として『それから』で見られたような大きなクライマックスを持たずに終焉を迎えてしまっているが、これは漱石の病状の悪化が原因であるといえる。この作品の連載終了後、漱石は胃潰瘍のため入院。さらに修善寺の大患を経験し、作風が大幅に変わっていくことになる。
