高田茜
日本のバレエダンサー (1990-)
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来歴
実家は祖父母と両親[4]、兄1人[5]、本人の6人家族。長女にして末っ子だった。東京の実家では犬と猫を飼っていた[5]。
バレエを知ったのは3歳のころ。ロシアのバレエ団が来日公演をするというテレビCMを見て衝撃を受ける。それから2か月ほど、バレエを習いたいとしつこく母に頼んだ。なお、本人は自分がしつこく言ったという記憶が欠落している[6]。3歳のとき、江戸川区で高橋洋美にバレエを習い始める。高田をプロ入りまで指導した高橋によれば、「おっとりやさしい気持」をもつ少女で[4]、もともとバレエの素質があったという[7]。
2年生在籍中の1999年2月、日本バレエ協会主催の 『ドン・キホーテ』 公演で子役のキューピッドの一人として出演した。このときの主役は吉田都とホセ・カレーニョであり、高田は同じ舞台に立つ吉田に憧れを抱いたという[8]。小学6年生当時の練習時間は週に15-20時間だった[9]。小学校在籍中より高田の存在はバレエ関係者の間で話題になっていた[10]。
3年生在学中、高田は海外へ留学したいと決心する。ところが、このころ両親が離婚したこともあり家は裕福とは言えなかった。そんな折、2006年1月にNBA全国バレエコンクールで審査員特別賞を受賞[11]することで道が開けた。チャコットが提供する奨学金を得て同年9月からモスクワ国立舞踊アカデミー(ボリショイ・バレエアカデミー, 英: Moscow State Academy of Choreography, 露: Московская академия хореографии)に留学した[12]。ボリショイへ留学する前の2006年9月にはテレビ番組『学校へ行こう!MAX』へ出演、ポリーナ・セミオノワと対面し、ジゼルのヴァリエーションについて助言を受けていた。高田にとって 『ジゼル』 のタイトルロールを踊るのはかねてよりの念願だったという[13]。
ボリショイでは当初留学生クラスに入れられたが、のちにナタリア・アルヒポワが担任するロシア人クラスに移り、クラシックのほか民族舞踊や宮廷舞踊も学んだ[14]。ロシア人のクラスで高田が指定されたバーの位置は、一番上手なダンサーの隣だった[注釈 1]。ロシア語も恋バナができる程度に上達し、バレエの成績は5段階評価で5+だった[12]。
ボリショイ在学2年目に、ロイヤル・バレエ団へのあこがれが募り迷いが出てきた。このままボリショイを卒業すればロシアのバレエ団に入団できるだろうが、ロイヤル・バレエ団は断念しなければならない。そこで、ローザンヌ国際バレエコンクールに挑戦することにした。ここで賞を取れば、希望するバレエ団に研修生として入団できる。ボリショイ卒業前ではあるが、日本に帰国して出場の手続きをとった[12]。
2008年2月、ローザンヌ国際バレエコンクールでプロ研修賞と観客賞を受賞[15]。同年9月、ロイヤル・バレエ団に研修生として入団。研修生として最初に与えられた役は 『白鳥の湖』 の群舞だった[8]。翌2009年5月にはA・マリオット振付の新作 『センソリウム』 の初演キャストの一人に選ばれる。
最初のシーズン途中の2009年1月に正団員としての契約を提示され[16]、9月にアーティスト(群舞の一人)として正式に入団した[14][注釈 2]。2010年秋にファースト・アーティスト(群舞の中のリーダー格)、2011年秋にソリスト(ソロで踊ることができるダンサー)に昇格[18]。2011年12月には初めての全幕物の主役として 『くるみ割り人形』 の金平糖の精を踊った。2014年3月には 『眠れる森の美女』 の主役オーロラ姫を踊り、シーズン終了後にファースト・ソリスト(準主役級のダンサー)に昇格[19]。
2015年3月には 『白鳥の湖』 の主役オデット/オディールを、12月にはアシュトン版 『二羽の鳩』 の少女役を踊る。翌2016年3月、『ジゼル』 の主役を踊り、シーズン終了後にプリンシパルに昇格した[20][21]。
2016年、VOGUE JAPAN Women of the Year 2016を受賞[22]。
芸風・評価
- 高田の踊りに対する形容として、しばしば「輝き」 (sparkle) という言葉が用いられる[注釈 3]。ソリストに昇格する以前から、『シルヴィア』 の山羊や 『オネーギン』 のオリガといった物語作品の役において、機知[26]や純真さ[27]などの役柄の表現を評価する声があった。2014年に踊った 『眠れる森の美女』 では、オーロラ姫の内面を描き出したことが評価されていた[28]。
- 牧阿佐美バレエ団元プリンシパルの伊藤友季子によると、高田は「無限の可能性を秘めたダンサー」である。『AERA』誌の記事中「確かな基礎、テクニックの上に表現力もある。人によっては『この役に向いている』とイメージを固定されることもあるが、高田はどんな色にも染まることができる。悲劇のヒロインもハッピーな役も、クラシックもコンテンポラリーもなんでも踊りこなして自分のものにできる」という趣旨の発言をしている。また、バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の杉浦優妃は「回転するときも止まっているときも体幹がぶれない。早いステップも正確。床を押す力が強いから片足立ちもきれい。何より役作りが丁寧」と述べる[6]。
主な出演歴
| 年 | 演目 | 役 | 相方 | 振付 | バレエ団 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2008 | 雨の樹 ★ | 堀田 真由美 | ROH[注釈 4] | ||
| 2009 | センソリウム ★ | A・マリオット | ロイヤル・バレエ団 | ||
| リーメン ★ | W・マグレガー | ||||
| 2011 | ライブ・ファイヤー・エクササイズ ★ | ||||
| 2013 | レイヴン・ガール ☆ | レイヴン[注釈 5] | |||
| クローマ | (プリンシパル) | ||||
| 2014 | フーガの技巧 ★ | (プリンシパル) | T・ソアレス[29] | ||
| 2015 | ウルフ・ワークス ★ | (ルクレツィア) | E・ワトソン[30] 〔セプティマス〕 | ||
| 2016 | カーボン・ライフ | ||||
| マルチバース ☆ | |||||
| 2009 | くるみ割り人形 | 葦笛の踊り | P・ライト改訂 | ||
| 2011 | 金平糖の精 | D・トジェンシミエフ | |||
| 2012 | S・マックレー | ||||
| 2014 | A・キャンベル | ||||
| 2016 | V・フリストフ | ||||
| V・ズケッティ | |||||
| 2017 | 平野 亮一 | ||||
| 2011 | ジゼル | パ・ド・シス | |||
| 2016 | ジゼル | T・ソアレス | |||
| N・キッシュ | |||||
| 2018 | B・エラ | ||||
| 2010 | 眠れる森の美女 | フロリナ王女 | A・ウスペンスキー 〔青い鳥〕 | プティパ | |
| 2017 | A・キャンベル 〔〃〕 | ||||
| 2014 | オーロラ姫[31] | V・ムンタギロフ | |||
| 2017 | J・ヘイ | ||||
| A・キャンベル | |||||
| 2015 | 白鳥の湖 | オデット/オディール | F・ボネッリ | ||
| V・ムンタギロフ | |||||
| 2018 | W・ブレイスウェル[32] | L・スカーレット改訂 | |||
| F・ボネッリ | |||||
| 2010 | アスフォデルの花畑 ☆ | L・スカーレット | |||
| 2009 | スケートをする人々 | ブルー・ガール | L・オンディヴィエラ 〔トロワ〕 | アシュトン | |
| 2010 | シンデレラ | 秋の精 | |||
| シルヴィア | 山羊 | J・ヘイ 〔山羊〕 | |||
| 2011 | ラプソディ | ||||
| 2012 | 真夏の夜の夢 | 豌豆の花の精 | |||
| 2017 | タイターニア | S・マックレー 〔オベロン〕[33] | |||
| 2015 | 二羽の鳩 | 少女 | J・ヘイ | ||
| 2010 | トリスト | C・ウィールドン | |||
| 2014 | DGV:超高速ダンス | (プリンシパル) | |||
| 2016 | ゴールデン・アワーの中に | T・ダイヤー | |||
| 2017 | 不思議の国のアリス | アリス | A・キャンベル 〔ジャック〕 | ||
| 2018 | 冬物語 | ペルディータ | 〃 〔フロリツェル〕 | ||
| 2010 | シンフォニー・イン・C | (第三楽章コリフェ)[34] | B・マロニー | バランシン | |
| 2015 | 四つの気質 | 快活 | F・ボネッリ[35] | ||
| 2017 | ジュエルズ | ルビー | A・キャンベル | ||
| 2010 | オネーギン | オリガ | S・マックレー 〔レンスキー〕 | クランコ | |
| 2015 | V・ムンタギロフ 〔〃〕 | ||||
| 2011 | ペンギン・カフェ | 豚鼻スカンクにつく蚤 | ビントレー | ||
| 春の祭典 | 年少 | マクミラン | |||
| 2016 | アナスタシア | M・クシェシンスカ | J・ヘイ | ||
| 2017 | うたかたの恋 | M・ヴェッツェラ | S・マックレー 〔ルドルフ〕 | ||
| エリート・シンコペーション | ストップタイム・ラグ | N・エドモンズ | |||
| 2018 | N・キッシュ | ||||
| マノン | マノン | A・キャンベル | |||
| 2013 | ドン・キホーテ | キトリ ☆ | 〃 | アコスタ改訂 | |
| S・マックレー | |||||
| 2014 | M・ゴールディング | ||||
| V・ムンタギロフ | |||||
| 2017 | 人の四季 | D・ダウスン | |||
| 精密の不安定なスリル | S・マックレー | フォーサイス |
※紫は演目における主役を表す。★は当該演目の初演・初日への出演、☆は初日ではないが一連の初演の中で出演したことを表す[注釈 6]。同じ役・相方での同一演目の出演は最初の年のみ記した。