晶癖
From Wikipedia, the free encyclopedia

晶癖(しょうへき)とは結晶の外観の形状のことである[1]。同じ結晶構造・結晶面数を持つ結晶であっても、それぞれの結晶面の生長速度の違い(異方性)によって、晶癖の異なった結晶が形成される[2][3]。結晶面の数も異なっている場合は「晶相」の用語が使われ、晶癖とは区別される[4]。鉱物学においては、鉱物はその種類によって固有の晶癖を示すものが多いため、簡易的な識別の目安として利用される[5]。似たような概念ではあるが、結晶多形とは区別される。
結晶の生長速度は結晶面の表面エネルギーの影響を受け、表面エネルギーが大きな結晶面ほど生長速度は速くなる[6]。このような結晶面の表面エネルギーの違いは周囲の環境に大きく左右され、また不純物の付着によっても影響を受ける[6][7]。例えば、頁岩の層の間のような上下から圧力を受ける条件下で結晶が生長すると、上下方向への結晶生長が抑制されて2次元方向に広がった板状の晶癖を持つ結晶が形成される[7]。また、ナフタレンはシクロヘキサンから再結晶させると針状結晶を形成し、メタノールから再結晶させると板状結晶を形成するなど、結晶化の条件によっても異なる晶癖の結晶が形成される[8]。不純物の影響による例としては、塩化ナトリウムは水中から結晶化させると立方体の結晶を形成するが、不純物として尿素を添加することで八面体の結晶が形成される[9]。このような、晶癖を制御するために添加される不純物は媒晶剤と呼ばれる[10]。