007/慰めの報酬
2008年のアクション/スパイ映画
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『007/慰めの報酬』(ダブルオーセブン なぐさめのほうしゅう、原題: Quantum of Solace)は、2008年のスパイアクション映画。イーオン・プロダクションズが製作した「ジェームズ・ボンド」シリーズの第22作目にあたる。監督はマーク・フォースター、脚本はポール・ハギス、ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイドで、『007/カジノ・ロワイヤル』(2006年)の直接の続編であり、ダニエル・クレイグが架空のMI6諜報員、ジェームズ・ボンドを演じる2作目の作品である。
| 007/慰めの報酬 | |
|---|---|
| Quantum of Solace | |
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| 監督 | マーク・フォースター |
| 脚本 |
ジョシュア・ゼトゥマー ポール・ハギス ニール・パーヴィス ロバート・ウェイド |
| 原作 | イアン・フレミング |
| 製作 |
マイケル・G・ウィルソン バーバラ・ブロッコリ |
| 製作総指揮 |
カラム・マクドゥーガル アンソニー・ウェイ |
| 出演者 |
ダニエル・クレイグ オルガ・キュリレンコ マチュー・アマルリック ジャンカルロ・ジャンニーニ ジェマ・アータートン アナトール・トーブマン イェスパー・クリステンセン デヴィッド・ハーバー ロリー・キニア ティム・ピゴット=スミス ホアキン・コシオ ジェフリー・ライト ジュディ・デンチ |
| 音楽 | デヴィッド・アーノルド |
| 主題歌 |
「アナザー・ウェイ・トゥ・ダイ」 アリシア・キーズ ジャック・ホワイト |
| 撮影 | ロベルト・シェイファー |
| 編集 |
マット・チェシー リック・ピアソン |
| 製作会社 |
イーオン・プロダクションズ ダンジャック メトロ・ゴールドウィン・メイヤー ユナイテッド・アーティスツ コロンビア ピクチャーズ |
| 配給 |
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| 公開 |
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| 上映時間 | 106分 |
| 製作国 |
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| 言語 | 英語 |
| 製作費 | $200,000,000[1] |
| 興行収入 |
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| 前作 | 007/カジノ・ロワイヤル |
| 次作 | 007 スカイフォール |
タイトルは、1959年に出版されたイアン・フレミングの『007号の冒険』(新版は『007/薔薇と拳銃』)に掲載された短編小説から取られたものだが、本作にはその物語の要素は一切含まれていない。
2008年10月29日にオデオン・レスター・スクエアで初公開され、クレイグの演技や、より暗く厳しい現実的なトーン、映画のアクションシークエンスなどを主に評価しながらも、前作『007/カジノ・ロワイヤル』に比べて印象が薄いと感じられるなど、総じて賛否両論の評価を受けた。2016年9月現在、全世界で5億8900万ドルを稼ぎ出し、インフレーション調整なしの「ジェームズ・ボンド」映画としては4番目に高い興行収入を記録し、2008年の7番目に高い興行収入を記録した作品となっている。本作に続いて『007 スカイフォール』(2012年)が公開された。
ストーリー
前作『007/カジノ・ロワイヤル』からの続編となる。前作のラストシーンの直後からストーリーが始まる設定とされている。
イギリスの諜報機関MI6(秘密情報部)のエージェント、ジェームズ・ボンド(演:ダニエル・クレイグ)は将来を誓い合いながらもイタリアのヴェネツィアで息絶えたヴェスパー・リンドを操っていたミスター・ホワイト(演:イェスパー・クリステンセン)を拘束、MI6長官M(演:ジュディ・デンチ)の元へ連行するためガルダ湖から彼女の待つシエーナへアストンマーティン・DBSに乗り向かっていたところであった。
その山道のこと。ミスター・ホワイトを奪還するために差し向けられた組織のアルファロメオ・159と熾烈なカーチェイスを繰り広げる。H&K G36CやFNミニミ 空挺モデルで武装された連中に対しボンドはH&K UMP‐9で応戦、なんとかこれを退けMI6の隠れ家に到着した。そこでMからボンドは、ヴェスパーの恋人ユセフ・カビラ(演:サイモン・カシアニデス)とされる遺体が発見されたものの、DNA鑑定の結果別人であることが判明したと告げられた。そしてミスター・ホワイトの尋問が始まる。
ミスター・ホワイトは、自らの所属する組織「クォンタム」はありとあらゆる場所まで根を張り、それはMI6やアメリカの対外情報機関CIA(中央情報局)などにも及んでいると告げた。その瞬間、Mの身辺警護を5年も務めたクレイグ・ミッチェル(演:グレン・フォスター)がMI6職員を射殺、M目掛けて発砲するも当たりはしなかった。ボンドはミッチェルの追跡を開始する。イタリア版競馬「パリオ」の行われているカンポ広場やプッブリコ宮殿(イタリア語版)など歴史的建造物の中を駆け巡った後、ボンドは愛銃のワルサーPPKでミッチェルを撃ち殺した。
場面変わりイギリスの首都、ロンドンのミッチェルの自宅。直接裏切りの証拠となるものは出なかったが、彼の所持金から前作の悪役ル・シッフルがマネーロンダリングしたものと同じ連番の紙幣が見つかり、それは殺し屋エドムンド・スレイト(演:ニール・ジャクソン)が仲介役を担っていたものだった。ボンドはスレイトを追いカリブ海に浮かぶハイチの首都、ポルトープランスへ向かい、滞在するホテルを突き止め突入したものの本人の待ち伏せに合いそのまま殺害してしまう。手がかりを無くしたボンドだったが運よくスレイト宛のブリーフケースを回収、そしてホテルを出ると謎の女性カミーユ・モンテス(演:オルガ・キュリレンコ)の車に乗ることになり、スレイトに成りすまして商談を進めることにした。
ブリーフケースを開けたボンドだったが、なんとそこには回転式拳銃のS&W M360とカミーユの写真が入っていた。スレイトは彼女を殺害しようとしていたのである。カミーユはローバウR9s ステルス(英語版)でボンドを追い出し逃走する。その後ボンドは自分たちを尾けていた男のモンテッサ COTA 4RTを奪い後を追う。
着いた先は埠頭であった。そこで環境保護団体「グリーン・プラネット」のCEO、ドミニク・グリーン(演:マチュー・アマルリック)とその情婦であったカミーユが会話しているところを目撃する。その直後、南米のボリビアで独裁政治を敷いていたルイス・メドラーノ(演:ホアキン・コシオ)将軍が到着する。グリーンはメドラーノの復権を支援するかわりボリビアの石油など目ぼしい天然資源のない砂漠地帯を要求し、その交渉の第一段階としてカミーユは引き渡されてしまう。ボンドは彼女を助けるべくメドラードとカミーユの乗った船を強襲、助け出すことに成功した。
その後、グリーンは飛行場からチャーター機に搭乗する。そこで面会したのは、CIA南米支局長のグレッグ・ビーム(演:デヴィッド・ハーバー)と部下のフェリックス・ライター(演:ジェフリー・ライト)であった。そこでメドラーノによるクーデターにCIAは関与せず、交換条件として天然資源の利権が約束された。またその議場では「ジェームズ・ボンド」の名前も挙がる。もちろんボンドもチャーター機の後を追うべく一路西ヨーロッパにあるオーストリアのブレゲンツ、オペラ『トスカ』の上映会場へ向かった。
トスカの上映中、クォンタムの高級幹部らがイヤホンを使い秘密裏に会議を行う通信を傍受していたボンドは「ティエラ計画」なるものを知る。その後通信に割り込みお開きにさせ、彼らが会場を去る様子を高性能カメラで撮影した。そこにはグリーンやミスター・ホワイトはもちろん、イギリス首相付き特別補佐官であるガイ・ヘインズ(演:ポール・リッター)の姿もあったのだ。そして会場を後にする時、グリーンと鉢合わせ。そこからグロック17 Gen.3を使用する彼のボディーガードと熾烈な銃撃戦を繰り広げる。その結果ボンドはヘインズの特別警護部員をビルから転落させ、とどめはグリーンの運転手がトーラス PT92により刺したがMI6は全ての責任はボンドにあると見て、Mはパスポートとクレジットカードを凍結、即刻帰国を命じる。
Mの指令を拒否したボンドはイタリアのタラモーネ、前作でル・シッフルの味方と目されたものの嘘であることが判明した元同僚ルネ・マティス(演:ジャンカルロ・ジャンニーニ)にお詫びとしてプレゼントした別荘へ向かう。ボンドは何とかマティスを説得し、ボリビアの都市ラパスへ旅立つ。だがその空港で出会ったのは現地領事館の女性職員ストロベリー・フィールズ(演:ジェマ・アータートン)であった。彼女はボンドを本国へ連れ帰る任務を負っていたが誘惑に負け共に行動する。
マティスからグリーンプラネットのイベント招待状を受け取ったボンドらは早速出向く。そこでグリーンの演説を聞き、ティエラ計画とは地球を救うための運動であることを知る。その後マティスにより現地警察のお偉方カルロス(演:フェルナンド・ギーエン・クエルボ)大佐と面会、全警察を好きに使っていいと告げられる。そしてグリーンと接触しようとするも先着はカミーユであった。彼女はハニートラップを仕掛けるも逆に殺されそうになったところをボンドが助け出し、ここを後にする。
その直後、現地警察に呼び止められた二人は車のトランクを開けるとなんと暴行により衰弱したマティスが横たわっていた。警察とグリーンは繋がっていたのだ。警官はこれを理由にボンドを射殺しようとするも反撃に合う。だが制圧した頃にはマティスの生気はなく、ボンドに「ヴェスパーを許してやれ。そして自分自身も」と遺しこの世を去った。ボンドは遺体をゴミ箱に捨て財布から現金だけを取って去っていった。
次の日。ティエラ計画の中心地で「不毛の地」と呼ばれる場所に旅立つためボンドとカミーユは双発プロペラ輸送機のダグラス DC-3に搭乗するが、彼らに貸し出した人間がグリーンに報告、軽プロペラ飛行機アエルマッキ SF-260TPと汎用ヘリコプターUH-1Hが後を追う。そして戦闘機やヘリガンナーのM60E3機関銃による激しい機銃掃射の結果左右エンジンが被弾し左からは黒煙が吹き上げてしまう。その黒煙を使い戦闘機を撃墜するも操縦は難しく、パラシュートを使い輸送機が爆散するすんでの所で脱出、巨大な陥没穴の中に落下した。
その穴の中でボンドは、カミーユの正体と狙いを知る。彼女はボリビア秘密情報部の人間で、自分以外の家族全員をなぶり殺しにしたメドラーノに復讐するためグリーンに近づいていたという。ボンドも無二の存在であったヴェスパーを殺された復讐をしたいという心があり、それが共鳴することになった。そして穴から脱出するため歩き出すと、大量の水がダムで貯められている場所を発見する。グリーンはこの地で石油を掘り当てようとしているのでなく、生活の基盤である水資源を不法にせき止め独占しようとしていたのである。
ラパスの宿泊地であるアンデス・グランドホテルに戻り、カミーユをロビーに待機させボンドは部屋に戻る。そこで待っていたのはMだった。Mはボンドをなりふり構わず誰でも殺す男だとし、停職処分を下す。その証拠はベットに横たわる――肺の中まで石油に満たされた――フィールズの無残な死体だった。ボンドはこれはグリーンがやったとするも馬の耳に念仏。CIAにより拘束されるが一瞬でこれを無力化、逃亡する。Mも本当は彼が信頼できる人間だと思っていると彼女の首席補佐官であるビル・タナー(演:ロリー・キニア)に告げ、彼の後を追うよう命じる。
ボンドは同市内のバーにおいて、ライターと密会した。ライターはビーンとグリーンたちとの繋がりを警告した上でチリのアタカマ砂漠の中央、ペルラ・デ・ラス・ドゥナスホテルでグリーンがクーデターの元手資金をメドラーノに手渡し、最終契約を締結することを教える。その瞬間、ボンドを逮捕するためH&K MP5A3やコルト M933カービン(英語版)などで武装したCIAの特殊活動センターの隊員たちが乗り込んでくる。そこからすぐに姿を消したボンドは、教わった地へカミーユと共に向かう。
そのホテル。カルロスに金を渡したグリーンは続けて、メドラーノにボリビア全体の水60%をグリーン・プラネット傘下の団体が保有し管理する旨が記載された契約書を突き出す。メドラーノはこの内容を知らなかったが、グリーンに脅迫されサインをする。互いに仕事を終え帰路についた瞬間、先ほどCIAを無力化した時入手したSIG SAUER P226片手にホテルへ突撃を開始した。ホテルから出てきた車に乗っていたカルロスを射殺すると動揺した車は壁にぶつかり爆発。それが近くのガス管と連鎖反応を起こしホテルはじわじわと爆炎に包まれ始める。その裏でカミーユも潜入を開始。彼女の母や姉と同じくレイプされるはめになっている女性を助け出し、メドラーノと決着をつける運命の戦いを始める。ボンドも迫る炎から逃げるグリーンを追い詰める。だがとどめは刺さずカミーユを助けに向かう。
カミーユはメドラーノの一進一退の攻防を繰り広げた後、彼を刺殺していた。だが周りは炎に囲まれ、幼少期この独裁者により家を焼かれたトラウマにより動けなくなってしまった。ボンドはカミーユの慰めのためP226を静かに構えるが、機転により何とかホテルから脱出、逃げるグリーンを拘束した。尋問によりクォンタムの情報を入手したボンドは、彼にエンジンオイル一缶を残しカミーユと共に駅へ向かう。その駅で彼らはささやかなキスと抱擁を交わし別れる。ボンドも決着をつけるため進み出す。
ロシア、同国の第3の首都と呼ばれる、雪積もる大都市カザン。あのカビラは、カナダ安全情報局(CSIS)の工作員コリーヌ・ヴェノー(演:スタナ・カティック)にヴェスパーにプレゼントしたネックレスと同じ「アルジェリアン・ラブ・ノット」をまたプレゼントし、極秘情報を引き出していた。彼らの家へ侵入したボンドはコリーヌにCSIS本部へ機密漏洩の有無を問い合わせるよう言い、部屋から出させる。ボンドはカビラを撃ち殺すことなく、復讐心を抑えてその身柄をMI6に引き渡した。
外で待機していたMは、胃にはエンジンオイル、後頭部には2発の弾痕が残ったグリーンの遺体が発見され、またビーンは降格処分、反対にライターは昇格されたと伝える。ボンドはMに「あなたが必要なの」と言われると、「いつ離職しました?」と返す。その時、ヴェスパーのネックレスを雪の中に落とし、去っていった。
キャスト

- ソフト版:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンより発売のDVD・BDに収録。
- キングレコード版:『007 TV放送吹替初収録特別版DVDシリーズ』に収録。『TV放送吹替キャスト新録版』と題して、『日曜洋画劇場』にて『カジノ・ロワイヤル』が放送された際の声優とジェームズ・ボンドの吹替を担当したことのある江原正士(『トゥモロー・ネバー・ダイ』フジテレビ版〈ピアース・ブロスナン〉)、内海賢二(『007/ダイヤモンドは永遠に』TBS版〈ショーン・コネリー〉)、大塚芳忠(ティモシー・ダルトン主演作品全て〈DVD版〉)と、過去の007のTV放送吹替版に出演したことのある声優を多数起用し製作された。また2016年6月11日からのザ・シネマでの放送は、BSジャパン版の日本語吹替ではなく、キングレコード版の日本語吹替だった。
- BSジャパン(現:BSテレビ東京)版:ノーカット放送。シリーズ連続放送の最終回で、ソフト版の流用ではなく、新訳の台本を用いキャストも一新された。既にソフト化されていたシリーズ次作『007 スカイフォール』も踏まえ、M役の声優には谷育子が配役されている。
※2019年12月18日発売の「007/ダニエル・クレイグ 4K ULTRA HD BOX <8枚組> Blu-ray」の4K ULTRA HDディスクには3種類の吹き替え版を全て収録。
スタッフ
- 監督 - マーク・フォースター
- 製作 - マイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリ
- 製作総指揮 - カラム・マクドゥガル、アンソニー・ウェイ
- 原作 - イアン・フレミング
- 脚本 - ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、ポール・ハギス
- 撮影 - ロベルト・シェイファー
- プロダクションデザイン - デニス・ガスナー
- 衣装デザイン - ルイーズ・フログリー
- 編集 - マット・チェシー、リチャード・ピアソン
- 音楽 - デヴィッド・アーノルド
- テーマ曲 - モンティ・ノーマン(ジェームズ・ボンドのテーマ)
- 主題歌 - アリシア・キーズ、ジャック・ホワイト
映画評
解説
上映時間はシリーズ最短の約106分で、ボンドの決めゼリフ「Bond. James Bond」は登場しない。ストーリー中で英米の情報機関、政府内の暗部を取り上げている。また以前のようなアイディア満載の奇想天外な「ボンド・グッズ」はほとんど見られず、その代わりに多機能携帯電話が情報収集や諜報活動に活躍するなど時代の変化も顕著に描かれている。映画の中に出てくるボリビアの水資源をめぐる策略も、水の危機という世界的問題のほか、ボリビアで起こった「水道民営化」とコチャバンバ水紛争という「実際の事件に基づいている」[6]。
各枢軸国に陰謀を通じた投資を斡旋する組織(後にスペクターの下部組織と判明)の名前としてタイトルの"Quantum"が使われ、ミスター・ホワイトやドミニク・グリーンが属しMI6中枢にも要員が送り込まれている。
タイトル・デザインはダニエル・クラインマンに代わりフォースター監督作品『主人公は僕だった』に参加したMK12が担当。新しい試み(タイポグラフィを新たに作成)と原点回帰(第1作『ドクター・ノオ』など)の両方が盛り込まれている。MK12は「MI6本部」のテーブルや大型モニターに映る多数のモーショングラフィックも手掛けた。シエナ、ポルトープランス、ブレゲンツといった地名のレタリング制作は『ジャッカル』(1997年)のメイン・タイトルも手掛けたトマト・フィルム(ロンドン)である。
撮影・トラブル
シリーズ最多の6か国で撮影された[7]。
本作の撮影中はトラブル続きであった。後述の車両事故の他、チリでのロケでは撮影に反対する現地の町長が車でセットに乱入し、逮捕される騒ぎが起こった[8][9]。また、ボリビアの副教育文化相は、作中にボリビア人とされる麻薬密輸業者が登場することについて、プロデューサーに抗議文を送った[10][11][12]。さらに、ダニエル・クレイグは撮影中に指に負傷し[13][14]、顔にも8針縫う傷を負って、撮影終了後に美容整形を受けた[15][16]。
ボンドカーは、オープニングで激しいカーチェイスを繰り広げた。なお、2008年4月19日午前6時(現地時間)、イタリアのガルダ湖でのロケのため、スタントマンがDBSを撮影場所まで移動させていたところ、コントロール不能になって車ごと湖に沈んでしまうというアクシデントが起きた。車の引き上げの模様は、衛星テレビのスカイ・イタリアで放送された。スタントマンは救助隊に救助され軽症ですんだが、このとき撮影に使えるDBSは、湖に沈んだ1台だけだった[17][18][19][20][21]。事故はそれだけでは終わらず、アルファロメオが大破した3度目の事故では、スタントマンの1人が重体に陥った[12][22][23][24][25][26]。
公開日
2008年10月29日にロンドンで開催されたザ・タイムズ・BFI・ロンドン・フィルム・フェスティバルでプレミア公開され、2008年10月31日にはイギリスとフランス、スウェーデンで一般公開された。欧州では007にちなんで11月7日に公開した国が多い。
日本では他国から2か月ほど遅れて2009年1月24日と世界で最も遅く公開された(一部劇場では1月17日・1月18日に先行公開)。007シリーズの邦題が、英語のカタカナ表記ではなく、日本語となるのは、1989年公開の『007/消されたライセンス』以来。
配給
前作同様、配給はソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが担当したが、Blu-ray DiscとDVDの発売元はソニー・ピクチャーズ エンタテインメントではなく、20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンが担当しており、以後のソニー配給のMGM作品でこの体制となっている。これは、ソニーがMGM作品におけるDVDなどの販売権を失ったからである[27]。Blu-rayは6月19日、DVDは6月26日とBlu-rayが1週間先行して発売された。
主題歌
映画タイトルとは異なった"Another Way To Die"を担当したのは、アリシア・キーズとザ・ホワイト・ストライプスなどで活躍するジャック・ホワイトとの共演、007シリーズ史上初のデュエットだったことなども含め、話題性は十分だった。イギリスのチャートでは、最高位9位と健闘したが、アメリカの『ビルボード』誌では、最高位81位だった。また、同サウンドトラック・アルバムはチャート入りしていない。
その他
- ボンドが着用する腕時計は、スイスの腕時計メーカーの「シーマスター プラネット・オーシャン 600M コーアクシャル クロノメーター」[28][29]であった。
- ボンドが着用するスーツは本作からトム・フォードになった[30]。
- ボランジェのシャンパンが登場した[31]。
- 007シリーズでは、過去の作品のシチュエーションを形を変え登場させることがよくある。今回、ジェマ・アータートン演じるフィールズがホテルのベッドで丸裸で全身オイルまみれにされ殺されるシーンは[注 1]、『ゴールドフィンガー』でシャーリー・イートン演じるジル・マスターソンが、同じくホテルのベッドで、裸で全身に金粉を塗られて殺されるシーンが元になっている[32][33]。
- BSジャパンの二度の放送は吹替版の新規製作、本編ノーカットに加え、オープニング・タイトルのモーショングラフィック日本語化、オープン・マット(Open Matte: 撮影~編集フォーマットの画面がよりワイドな画郭を得る目的で上下を隠される前段階)画面といったソフト化されていない要素も含む。
- 本作はボンドが自己紹介する際の台詞「The name is Bond, James Bond.」が登場しない作品である。この台詞が登場しない同シリーズの作品は、『007は二度死ぬ』以来である。
Blu-ray/DVD
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンよりBlu-ray DiscとDVDが発売。
- Blu-ray
- DVD
キングレコードよりTV放送吹替キャスト・新録版DVDが発売。
- DVD
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメントよりBlu-ray DiscとDVDが発売。NBCユニバーサルが販売。