JR西日本289系電車

西日本旅客鉄道の直流特急形電車 From Wikipedia, the free encyclopedia

289系電車(289けいでんしゃ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)が683系2000番台から改造して製作した特急形電車である。

改造年 2015年
概要 基本情報, 運用者 ...
JR西日本289系電車
289系「くろしお」用編成
(2016年12月18日 天王寺駅 - 美章園駅間)
基本情報
運用者 西日本旅客鉄道
種車 683系2000番台
改造所 JR西日本吹田総合車両所福知山電車区
改造年 2015年
改造数 86両
運用開始 2015年10月31日
主要諸元
編成 基本編成:6両(2M4T)・4両(2M2T)
付属編成:3両(1M2T)
軌間 1,067 mm狭軌
電気方式 直流1,500 V架空電車線方式
最高運転速度 130 km/h[1]
全長 先頭車:21,160 mm
中間車:20,670 mm
全幅 2,915 mm
車体 アルミニウム合金(日立:A-train 川重:efACE
台車 WDT301・WTR301
主電動機 WMT105
主電動機出力 245 kW/基
駆動方式 WNドライブ
歯車比 1:5.22
制御方式 PWMコンバータ(WPC12)+PWM IGBT素子VVVFインバータ(WPC11)
1C1M制御(静止形インバータ一体型)
制御装置 三菱電機および東芝
制動装置 電力回生併用電気指令式空気ブレーキ
直通予備抑速・耐雪ブレーキ付き)
保安装置 ATS-PATS-Sw
EBTE装置
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概要

くろしお」「こうのとり」「きのさき」「はしだて」に充当されていた381系を置き換えるため、「しらさぎ」に使用されていた683系2000番台を直流専用に改造し、形式名を「289系」に変更した[2][3]2015年平成27年)4月から10月にかけて、吹田総合車両所および福知山電車区で改造された[4]

「しらさぎ」時代の5両(基本編成)×12本を、「くろしお」向け6両×5本と「こうのとり」「きのさき」「はしだて」向け4両×7本にそれぞれ組成変更[注 1]し、3両(付属編成)×9本は「くろしお」向けに3本、「こうのとり」「きのさき」「はしだて」向けに6本を振り分ける[2]。福知山向けの3両×6本は683系のまま金沢から福知山に転属し、289系改造を行った。それ以外の編成は、いったん京都に転属して編成組み換えおよび289系改造を済ませ、福知山向けの4両編成のみ福知山に再転属した。改造に際し余剰となった2両のうちの1両は289系化されてサハ289-2510を名乗ったが、2016年(平成28年)7月に廃車になっている[5]

2015年(平成27年)4月28日に旧S10編成が289系に改造されて出場したが、この時点では交流機器は撤去されておらず、「SHIRASAGI」のエンブレムも存置されたまま回送された[6]。また、同年5月27日には4両編成とされたS06編成の試運転が行われた[7]

構造

外板塗装は4列車に投入されている287系に準じ、窓下の帯色がオレンジ色から、「くろしお」向け編成はオーシャングリーンに、「こうのとり」「きのさき」「はしだて」向け編成はダークレッドにそれぞれ変更されている。番台区分は2000番台・3000番台のまま変更がない。性能面では力行性能を287系と同等とし、さらに定速制御の設定速度を75 km/hから55 km/hに変更する改造が行われている[8]

形式・編成

電動車は奇数形式、付随車については電動車とユニットを組み集電装置と特高圧機器を搭載するTp車が偶数形式、単独付随車であるT車が奇数形式を称する。車両の向きによる形式区分はされていない。

転用にあたって287系と編成を揃えるため基本・付属編成とも方向転換が行われている[9](「しらさぎ」時代で当てはめるとグリーン車が米原寄りに変更)。

  • クモハ289形(Mc)
種車はクモハ683形。車体前位に運転台をもつ普通車で、クハ288形・サハ288形とユニットを組んで使用される。後位に車椅子対応設備を設け、車両制御装置・電動空気圧縮機などが搭載されている。
  • モハ289形(M)
種車はモハ683形。編成の中間に組成される運転台のない普通車で、クロ288形(クロハ288形)とユニットを組んで使用されている。車両制御装置・電動空気圧縮機などが搭載されている。
  • クロ288形クロハ288形(Tpsc')
種車はクロ682形。車体後位に運転台を持つグリーン車で、モハ289形とユニットを組んで使用されている。前位にトイレ・洗面所・フリースペース[注 2]を設け、主変圧器・主整流装置・集電装置などが搭載されている。全車クロハ288形に再改造された(後述)。
  • クハ288形(Tpc')
種車はクハ682形。車体後位に運転台を持つ普通車で、クモハ289形とユニットを組んで使用されている。前位にトイレ・洗面所を設け、主変圧器・主整流装置・集電装置などが搭載されている。
  • サハ289形(T)
種車はサハ683形。編成の中間に組成される、運転台のない普通車である。トイレ・洗面所・車内販売準備室・車椅子対応設備・多目的室・自動販売機・業務用室・車掌室が備えられている。
  • サハ288形(Tp)
種車はサハ682形。編成の中間に組成される、運転台のない普通車で、クモハ289形とユニットを組んで使用されている。前位にトイレ・洗面所・公衆電話を設け、主変圧器・主整流装置・集電装置などが搭載されている。

吹田総合車両所福知山支所所属

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編成記号
新大阪・京都/天橋立
城崎温泉・宮津・網干
FG編成  
クモハ289
-#3500
(Mc)
 

サハ288
-#2200
(Tp)
 
モハ289
-#3400
(M)
 

クロハ288
-#2000
(Tpsc')
FH編成  
クモハ289
-#3500
(Mc)
 
サハ289
-#2400
(T)
 

クハ288
-#2700
(Tpc')
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吹田総合車両所京都支所所属

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編成記号
京都
新宮・網干
J編成  
クモハ289
-#3500
(Mc)
 
サハ289
-#2500
(T)
 

サハ288
-#2200
(Tp)
 
モハ289
-#3400
(M)
 
サハ289
-#2500
(T)
 

クロハ288
-#2000
(Tpsc')
I編成  
クモハ289
-#3500
(Mc)
 
サハ289
-#2400
(T)
 

クハ288
-#2700
(Tpc')
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改造工事など

ここでは289系として運用開始以降に実施された改造について述べる。

交流機器撤去

289系化の際には交流機器は使用停止措置が取られたのみであったが、2016年(平成28年)4月から2018年(平成30年)11月にかけて交流機器は順次撤去された。施工は吹田総合車両所[10][11]。なお、福知山電車区所属の6両(FH301・FH306編成)のみ施工されず、2019年(平成31年・令和元年)4月および6月に交流機器の使用再開により、再度683系に復帰のうえ金沢に転属している[12][13][注 3]

半室グリーン車化

交流機器撤去と同時[10][11]に、クロ288形の客室の前位寄り(連結面側)を普通車化したもの[20]。客室間を仕切る扉が増設され、グリーン車の定員は15名、普通車の定員は18名である。2016年(平成28年)11月から2018年(平成30年)11月にかけて吹田総合車両所で行われた[10][11]

  • クロ288-3501 - 3512→クロハ288-同番号

車両配置と運用線区

吹田総合車両所福知山支所

2025年令和7年)4月1日現在、吹田総合車両所福知山支所(旧:福知山電車区)には、4両編成×7本(FG401・FG403・FG406・FG408 - FG411編成)と3両編成×4本(FH302 - FH305編成)の計40両が配置されている[21][13]

FH編成は上述の通り金沢総合車両所から直接転属し改造された編成である。FG編成は、金沢総合車両所から吹田総合車両所京都支所に転属した5両編成(S01・S03・S06・S08 - S11)からサハ683を外して4両編成の289系とし、当区に再転属した編成である[22][23]。2019年(平成31年・令和元年)4月・6月にFH301・FH306編成は683系に復帰の上[24][25][26]、金沢総合車両所に再転属している[13]

FH編成とFG編成は2015年(平成27年)10月31日から特急「こうのとり」7往復(新大阪駅 - 福知山駅城崎温泉駅間)、「きのさき」3往復(京都駅 - 福知山駅・豊岡駅・城崎温泉駅間)、「はしだて」2往復(京都駅 - 天橋立駅間)で運転されていたが[2]、2016年(平成28年)3月26日のダイヤ改正では「きのさき」「はしだて」運用から離脱し、「こうのとり」12往復のみの運転となり[27]、2019年(平成30年)3月16日ダイヤ改正以降は「こうのとり」8往復(新大阪駅 - 福知山駅・豊岡駅・城崎温泉駅間)、「きのさき」2往復(京都駅 - 福知山駅・城崎温泉駅間)、「はしだて」1往復(京都駅 - 天橋立駅間)の運転となり、2021年(令和3年)3月13日ダイヤ改正時点では「こうのとり」9往復(新大阪駅 - 福知山駅・豊岡駅・城崎温泉駅間)、「きのさき」2往復(京都駅 - 福知山駅・城崎温泉駅間)の運転となっていた[28]。京都駅 - 綾部駅間で「きのさき」「はしだて」と併結運転を行う「まいづる」は287系が専属で充当されるため、本形式は分割併合運用には充当されない。基本はFG編成の4両編成だが、季節・曜日によっては付属のFH編成または京都支所所属のI編成がFG編成と併結されて7両編成で運転される場合がある。

2020年(令和2年)8月8日より、FG401編成に北近畿地区にゆかりがある明智光秀をイメージしたラッピングが実施され、特急「こうのとり」10号(福知山駅9時50分発)から運転を開始した[29][30][31]。当初は2021年(令和3年)10月末頃までの運転を予定していた[29]が、2023年(令和5年)9月頃まで運転された。[要出典]

2024年(令和6年)11月7日より、「かにカニ日帰りエクスプレス[32]」の利用開始に合わせ、FG406編成(1・4号車)に、4ブランドの松葉ガニをデザインしたラッピングが実施された[33][34][35]。運行期間は2025年(令和7年)3月頃まで[33]、また、期間中は福知山駅豊岡駅城崎温泉駅などへの到着前車内チャイムが、PUFFYの『渚にまつわるエトセトラ』のワンフレーズに変更された[33][注 4]

2025年(令和7年)3月18日より、FH編成が通勤特急「らくラクはりま」1・4号の1 - 3号車に使用されており、京都支所所属のI編成と併結して運用されている[36][13][37][38]

2026年(令和8年)3月14日現在の運用
  • 特急「こうのとり」:下り1・3・11・13・15・17・21・27号、上り8・10・12・14・20・24・26・28号[39][40]
  • 特急「きのさき」:下り5・9・13号、上り6・10・16・18号[39][41]
  • 特急「はしだて」:下り3号[39][42]
  • 通勤特急「らくラクはりま」:下り1号、上り4号[37][38]
    • FH編成が1 - 3号車で使用される[13]

吹田総合車両所京都支所

2025年(令和7年)4月1日現在、吹田総合車両所京都支所には、6両編成×5本(J01 - J05編成)と3両編成×3本(I01 - I03編成)の計39両が配置されている[43][36]

J編成は金沢総合車両所から転属した5両編成(S02・S04・S05・S07・S12編成)に、別の5両編成から外したサハ683を組み込んで6両編成とした編成である。I編成は、金沢総合車両所から転属した3両編成(S27 - S29編成)が改造された編成である。なおこの組み換えにおいてサハ683-2509・サハ289-2510が余剰となり、2016年(平成28年)7月11日付で廃車された[5]

J編成とI編成は2015年(平成27年)10月17日和歌山駅 - 白浜駅間にて試乗会を実施、同年10月31日から特急「くろしお」6往復(新大阪駅 - 紀伊田辺駅・白浜駅間)で運転を開始した[44]。2019年(平成31年)3月16日からは2往復が新宮駅まで運用を拡大[36]し、新大阪駅 - 和歌山駅・白浜駅・新宮駅間の運用となっている。基本はJ編成の6両編成とし、付属のI編成は単独の運用はなく、多客期を中心に京都駅 - 白浜駅間でJ編成と併結されて9両編成で運転されている。

2019年(平成31年)3月より、JR神戸線に新設された通勤特急「らくラクはりま」にも使用されているほか[45][46][47]、I編成のみ「こうのとり」などの北近畿方面の特急の増結に使用されることがある[48][49][50][51]

2025年(令和7年)4月19日4月20日5月17日5月18日には、奈良線の臨時特急「いにしへ」にI編成が使用され、前面に国鉄型特急車両に多く取り付けられていたシンボルマークと、485系などのヘッドマークをイメージしたステッカーを掲出して運行された[52][53][54]

2026年(令和8年)3月14日現在の運用
  • 特急「くろしお」:下り7・15・21・23・31号、上り10・12・18・24・34号[55][56]
  • 通勤特急「らくラクはりま」:全列車[37][38]
    • 新大阪駅発着列車(1・4号)はI編成が4 - 6号車で、京都駅発着列車(2・3号)はJ編成が使用される[36]

編成表

2025年(令和7年)4月1日現在[21][13][43][36]

吹田総合車両所福知山支所所属

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新大阪・京都/天橋立
城崎温泉・宮津・網干
編成番号 クモハ
289
サハ
288
モハ
289
クロハ
288
落成日交流機器撤去[注 5]備考
FG401 3501220134012001 2015/06/222016/12/05元金沢S01
FG403 3505220334032003 2015/05/102017/05/22元金沢S03
FG406 3513220634062006 2015/05/292017/09/06元金沢S06
FG408 3516220834082008 2015/08/202017/12/09元金沢S08
FG409 3517220934092009 2015/10/312018/04/12元金沢S09
FG410 3518221034102010 2015/04/292018/08/01元金沢S10
FG411 3519221134112011 2015/06/302018/11/15元金沢S11
編成番号 クモハ
289
サハ
289
クハ
288
落成日交流機器撤去備考
FH302 350424022702 2015/04/252016/04/15元金沢S22
FH303 350624032703 2015/04/142017/05/22元金沢S23
FH304 350824042704 2015/04/142017/07/21元金沢S24
FH305 350924052705 2015/06/182016/10/17元金沢S25
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吹田総合車両所京都支所所属

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京都
新宮・網干
編成番号 クモハ
289
サハ
289
サハ
288
モハ
289
サハ
289
クロハ
288
落成日交流機器撤去[注 5]備考
J01 350325022202340225012002 2015/06/212017/04/14元金沢S02
J02 350725042204340425032004 2015/05/042016/11/25元金沢S04
J03 351125052205340525062005 2015/09/042017/11/07元金沢S05
J04 351425072207340725082007 2015/08/242018/04/24元金沢S07
J05 352125122212341225112012 2015/06/282017/07/07元金沢S12
編成番号 クモハ
289
サハ
289
クハ
288
落成日交流機器撤去備考
I01 351224072707 2015/07/082017/02/02元金沢S27
I02 351524082708 2015/09/042018/06/05元金沢S28
I03 352024092709 2015/06/142017/07/18元金沢S29
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脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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