8番出口 (映画)

川村元気による2025年の映画 From Wikipedia, the free encyclopedia

8番出口』(はちばんでぐち)は、2025年8月29日に公開された日本映画[3]。監督は川村元気、主演は二宮和也[3]。公開初日からIMAXでの上映も実施された[4][5]ほか、同年9月12日から新たにMX4D4DXScreenX・ULTRA 4DXDolby Cinemaの各種ラージフォーマットでの拡大上映も行われた[6][7]

脚本 平瀬謙太朗
川村元気
原作 KOTAKE CREATE『8番出口
製作 山田兼司
山元哲人
伊藤太一
概要 監督, 脚本 ...
8番出口
Exit 8
映画ロゴ
監督 川村元気
脚本 平瀬謙太朗
川村元気
原作 KOTAKE CREATE『8番出口
製作 山田兼司
山元哲人
伊藤太一
製作総指揮 臼井央
岡村和佳菜
出演者 二宮和也
河内大和
浅沼成
花瀬琴音
小松菜奈
音楽 Yasutaka Nakata (CAPSULE)
網守将平
撮影 今村圭佑
編集 瀬谷さくら
制作会社 STORY inc.
AOI Pro.
製作会社 映画「8番出口」製作委員会
配給 日本の旗 東宝
ロシアの旗 ボルガフィルム
アメリカ合衆国の旗 ネオン
オーストラリアの旗 アンブレラ
イギリスの旗 Vertigo Films
公開 日本の旗 2025年8月29日
ロシアの旗 2025年8月28日
中華民国の旗 2025年9月19日
大韓民国の旗 2025年10月22日
メキシコの旗 2026年1月22日
マレーシアの旗 2026年3月18日
アメリカ合衆国の旗 2026年4月10日
オーストラリアの旗 2026年4月23日
イギリスの旗 2026年4月24日
上映時間 95分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 日本の旗 51.7億円[1]
アメリカ合衆国の旗 326万ドル[2]
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第78回カンヌ国際映画祭に出席したキャストとスタッフ。左から、脚本の平瀬謙太朗、キャストの小松菜奈二宮和也、監督の川村元気
神戸市営地下鉄新長田駅の新長田地下通路で開催された映画「8番出口」コラボイベント(2025年9月)

KOTAKE CREATE(コタケクリエイト)が開発したゲームソフト8番出口』の実写映画化で、原作にはストーリーが存在しないが[8]、映画版では、二宮が演じる「迷う男」が駅構内のような無限ループの地下通路に迷い込み、異変を見つけたら引き返す、見つからなければ引き返さないというルールの下で、出口となる「8番出口」への到達を目指す[9][10]

第78回カンヌ国際映画祭で2025年5月19日に行われたミッドナイト・スクリーニングで本作が上映され[11][12]、ポスターデザインのコンペティション「Prix Luciole」において本作のポスターが最優秀賞を受賞した[13]

あらすじ

プロローグ

満員の地下鉄に乗り込んだ「迷う男」は、泣き叫ぶ赤ん坊とその母親が、怒った男に怒鳴られている様子を目撃する。迷う男は母子を気に掛けつつも、結局は視線を逸らし、何もせずに地下鉄を降りた。

派遣現場に出勤するため駅の出口へ向かう迷う男の元に、別れ話が持ち上がっている恋人の「ある女」から電話がかかってくる。妊娠が発覚したと言う彼女に、何も決められない迷う男は歯切れの悪い返事を続けるが、不自然に電波が圏外になる。

迷う男

迷う男は、前方の曲がり角から歩いてきて通り過ぎていく「おじさん」と何度も遭遇したことで、自分が同じ通路(空間)を歩き続けていることと、通路の曲がり角に見慣れぬ案内板が設置されていることに気付く。

「異変を見逃さないこと」「異変を見つけたら、すぐに引き返すこと」「異変が見つからなかったら、引き返さないこと」「8番出口から外に出ること」

異変がない通路を素通りすると、案内板の横にかかっている出口表示の番号が0から1に増えた。天井から液体が滴ってくる、壁のポスターの表示がおかしい、おじさんが途中で立ち止まるなどの異変を察知して引き返すと、更に番号が増えた。迷う男はこの通路の法則を理解し、怪奇的な異変に怯えつつ8番出口を目指すが、そこにある女から電話がかかってくる。迷う男は「地下鉄の母子を見捨てた自分は人の親になっていい存在なのかわからない」と吐露し、泣きながら通路を通り抜けるが、出口番号は0に戻ってしまっていた。電話も異変の一部と知った迷う男は錯乱し、通路の真ん中で倒れこんでしまう。やがて立ち上がり、再び歩き出した迷う男は、異変らしき「少年」を目撃して通路を引き返す。

歩く男

時間は、迷う男が通路に囚われる少し前に戻る。彼と同じように通路に囚われたおじさんこと「歩く男」は、通路で出会った少年を連れて8番出口を目指していた。そんな時、通路の向こうから歩いてきて通り過ぎていく女子高生風の女性が突然話しかけてくる。歩く男は自然な話し方に一時は気を許しかけるが、結局は彼女も異変の一部に過ぎず、慌てて通路を引き返す。歩く男は言葉を一言も発しない少年を気遣ってはいたが、恐怖と焦燥のあまり何も信じられないようになっていく。

立ち止まった少年を強引に前に進ませた歩く男は、0に戻った出口番号を見て取り乱してしまう。再び通路を進み始めた歩く男と少年の前に、出口らしき上り階段が現れた。歩く男はその場から動こうとしない少年を置いて階段を登っていく。通路を引き返した少年が見たのは、1に増えた出口番号と、女子高生風の女性に代わって通路の向こうから歩いてきて通り過ぎていく、異変の一部と化した歩く男だった。その後、少年は自分を見て引き返していく迷う男を目撃し、その後を追う。

少年

出口番号が0のまま変動していないことで、少年は異変の一部ではないと気づいた迷う男は、少年と共に通路を進む。少年は異変によく気が付いたが、通路に現れたある女を見た途端、彼女を「ママ」と呼んで駆け寄ろうとする。迷う男は少年を引き留め、気絶した彼を抱いて通路を引き返した。出口表示の前で目覚めた少年は「ママに見つけてほしくてワザと迷子になった」と告白し、それを聞いた迷う男は幼い頃の自分を少年に重ね合わせる。迷う男と少年は心を通い合わせ、少年はお守りの貝殻を迷う男に渡す。

通路を進む2人は、前方から流れ込んできた濁流に飲み込まれる。迷う男の脳裏に浮かんだのは、ある女と、ある女の間に生まれた少年と共に、海岸で遊ぶ自らの姿だった。迷う男は少年を天井の吊り下げ案内板に捕まらせた後、流されていく。水が引き、瓦礫に覆われた通路で1人目覚めた少年は、出口番号が7になった通路を進み、曲がり角の向こうに姿を消した。

8番出口へ

少年の後に続く形で通路を進んできた迷う男は、遂に8番出口にたどり着く。そこはいつもの地下鉄の駅通路に繋がる下り階段だった。迷う男はある女に電話をかけ、今からそちらへ向かうと伝える。

満員の地下鉄に乗り込んだ迷う男は、泣き叫ぶ赤ん坊とその母親が、怒った男に怒鳴られている様子を目撃する。迷う男は母子から視線を逸らすが、やがて涙ぐみながらも再びそちらへ顔を向け、身を乗り出すのだった。

キャスト

スタッフ

製作

監督の川村元気は、2022年公開の監督映画『百花』の中で、「記憶」を表現するために本来繋がらない空間や時間をワンカットの中に繋げるという映像手法に挑戦し、これが評価されてサン・セバスティアン国際映画祭で監督賞を受賞している。川村は『百花』の表現を使ってまったく新しいジャンルの映画を撮りたいと考えて題材を探していたところ、2023年11月にゲームの『8番出口』に出会い、極めて日本的に整理整頓された地下通路のデザインや、ループする通路を進むか引き返すかの二択を繰り返すというシンプルながらも強いルールに惹かれた。一方、ゲームには物語が設定されていないが、この空間にインスパイアされた物語が作れたら、誰も観たことがない映画ができるのではないかと考えた[17]

既存の映画では、物語とキャラクターがあって美術が決まるというのが一般的だが、本作では最初に美術(地下通路)があってそこにキャラクターを置き最後に物語を作るという異例の手法で進められた[17]。物語は1周目、2周目と進行していくが、撮影は順撮りではなく、「今回はこの“異変”撮ります」というお題に対してキャストそれぞれが動きを作り、それを監督の川村に観てもらい撮影するという形式がとられた[18]。撮影の中盤あたりからは、リテイクなのか最初から撮っているのか分からずみんなで右往左往していたこともあったという[18]

主演の二宮和也はゲーム好きとして知られ、ゲームの『8番出口』も知っていたため、ゲームを映画化するにあたりどうしていくのかについて、初期段階から川村と二宮の間でディスカッションが行われた。映画版主人公の「迷う男」は喘息持ちの設定だが、これは二宮のアイデアで、初期の脚本ではホラー要素があまり感じられなかったことから、主人公に何か負荷があったほうがいいと考え、映画内容にストレスという圧をかけ続ける要素として設定された[17]

なお、劇中で津波などの自然災害を想起させる場面がある。このことについて公開時点では注意喚起などの告知は行われていなかったが、SNSなどにて批判の声が相次いだことを受けて、公開から4日後となる2025年9月1日に公式Xアカウントにて注意喚起を行った[19][20]

プロモーション

2024年12月27日、配給元の東宝はゲームソフト『8番出口』の映画化作品を2025年に公開すると発表し[21]、直後のXでは「実写映画化」がトレンド1位になった[22]。また、同時に公開された初報トレーラーでは、原作と同様に地下通路の向こう側から歩いてくる中年男性(原作では通称「おじさん」、映画版では河内大和が演じる「歩く男」)の映像が用いられ、SNS上ではその再現度の高さが話題となった[22][8]

映画公開初日の2025年8月29日に配信されたPiKiの楽曲「88888888」(ハチハチ)が映画のコラボレーションソングに決定し、同日22時にコラボレーションムービーが公開された。楽曲は映画の音楽も担当している中田ヤスタカが手掛けた。なお、映画本編内では使用されない[23]

2026年4月10日の北米公開は495館・初週末で興収は140万ドル、7位という成績を出した。北米公開に先立っては4月6日にロサンゼルスにて川村監督が登壇する先行上映会が行われた。4月8日には「歩く男」が指定されたニューヨークの地下鉄駅7つに出現するというプロモーションが配給会社「ネオン」主催で行われ、劇中の看板に登場する言葉「引き返せ(Turn Back)」を語り掛けると、歩く男が持っているブリーフケースから参加者に記念品が渡されるというイベントであった。同日夜には、文化施設ジャパン・ソサエティにて先行上映会が開催、川村監督によるトークセッションも併せて行われた。サプライズゲストとして「歩く男」を演じた河内大和も登場した。4月10日正午にはワシントンスクエアパークにて「歩く男と歩く(WALK WITH THE WALKING MAN)」イベントが開催[24]、イベント参加者はパーク近隣の上映館で使える映画チケットとピザチェーン店の無料ピザが貰えるというものであった[25]。4月14日はロサンゼルスにて川村監督とギレルモ・デル・トロとのQ&Aセッションを含む上映会が開催された。北米公開3週目での累計興収推計は326万米ドルに達したと、BoxOfficeReportは報じた。[26]

受賞・ノミネート

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部門 対象 結果 出典
2025 第78回カンヌ国際映画祭 Prix Luciole ポスター 最優秀賞 [27]
第58回シッチェス・カタロニア国際映画祭 コンペティション部門 最優秀音楽賞 中田ヤスタカ、網守将平 受賞 [28]
SNS流行語大賞 2025 ドラマ・映画部門 映画『8番出口』 5位 [29]
ヒットメーカー・オブ・ザ・イヤー2025 ブレイクスルー賞 坂田悠人 受賞 [30]
TikTokトレンド大賞2025 ヒット作品部門賞 映画『8番出口』 受賞 [31]
2026 第31回 AMD Award '25 年間コンテンツ賞 映画『8番出口』 優秀賞 [32]
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書籍

8番出口(著者:川村元気、出版社:水鈴社、発売日:2025年7月9日)
映画版を原作としたノベライズ作品で、監督による書き下ろしとなっている。映画版でカットされた異変や主人公たちの心の内が綴られている。トーハンが発表した2025年7月15日付の週間ベストセラーの文芸書ジャンルで第1位となった[33]

イベント

8/8(ハチハチ)地下通路フォトスポット
開催日:2025年8月8日、開催場所:OMOTESANDO CROSSING PARK
タイトル『8番出口』の立体オブジェや映画本編の美術を使用した地下通路フォトスポットが展示された。また、河内大和が演じる「歩く男」と一緒に写真撮影ができるグリーティングイベントが3回に分けて行われた[34][35]
映画『8番出口』東京メトロ脱出ゲーム
開催期間:2025年8月29日 - 11月3日、開催場所:東京メトロ駅構内、及び地下直結施設
体験型イベント。参加者は購入した謎解きキットの指示に従って異変探しや謎解きを進めていき、最終的に「8番出口から外に出ること」を目指す。1人での参加を想定した「単独モード」、友達同士での参加を想定した「チームモード」、親子での参加を想定した「ファミリーモード」の3種類の区分がある[36]
神戸市営地下鉄 × 映画『8番出口』地下鉄新長田駅異変探しミッション
開催期間:2025年8月8日 - 10月31日、開催場所:神戸市営地下鉄海岸線新長田駅改札外の地下通路
新長田駅改札外の地下通路に、期間限定で5番出口から8番出口の案内看板が設置され、案内看板に隠された合言葉を見つけると、新長田1番街商店街の協賛店舗で映画『8番出口』コラボクリアファイルがプレゼントされた。また、新長田地下通路には、映画本編に登場したポスターが展示されたほか、8番出口の吊り看板も設置された[37][38]

脚注

外部リンク

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