Franklin Gothic

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Franklin Gothic(フランクリン・ゴシック)およびその関連書体は、20世紀初頭にアメリカン・タイプ・ファウンダーズ(ATF)によって開発され、同社の主任デザイナーであるモリス・フラー・ベントンが手がけた、インダストリアルまたはグロテスク・スタイルに属するサンセリフ書体の大規模なファミリーである[1]。「ゴシック」とはサンセリフを意味する当時の用語である(日本語では今も「ゴシック体」として一般的に用いられているが、現代英語では当時のデザインを説明する場合を除いてほとんど使われない)。

Franklin Gothicは多くの広告や新聞の見出しで使用されてきた。書籍から看板までさまざまな媒体に登場し、現在でも広く認知されている。1930年代にはKabel英語版Futuraといった欧州書体の登場により一時的に人気が低下したものの、1940年代にアメリカのデザイナーたちによって再評価され、以後も人気を保っている。ベントンによるFranklin Gothicファミリーは、長文の本文よりも見出しなどのディスプレイ用や商業用に特に適した、堅実な設計の書体群である。その後も多くのバージョンや派生書体が制作されている。

ビクター・カルーソが1970年代にデザインしたITC Franklin Gothicが、最も著名なFranklin Gothicの拡張版とされる。これは、ベントンのNews Gothicに類似する本文向けのウェイトを、エックスハイトの高い1970年代のスタイルでシリーズに追加したものである。この書体の一部はMicrosoft Windowsに同梱されている[2][3]

金属活字版の複製

ATFが多数の関連する「ゴシック」書体に使用していた名称を解説したガイド

Franklin Gothic自体はエクストラボールド(極太)のサンセリフ体である。1892年にATFとして統合された23の活字鋳造所が保有していた19世紀の初期モデルから着想を得ている。歴史家アレクサンダー・ローソンは、Franklin Gothicがベルトルト英語版Akzidenz-Grotesk英語版の影響を受けていると推測した。裏付けは示されなかったものの[4]、この見解は後にフィリップ・メッグスとロブ・カーターによって事実として紹介された[5]。名称は、多作な印刷業者でもあったベンジャミン・フランクリンにちなむ。これらの書体は10年間にわたってリリースされ、すべてベントンがデザインし、ATFから発表された[6]

  • Franklin Gothic(1902年)
  • Franklin Gothic Condensed + Extra Condensed(1906年)
  • Franklin Gothic Italic(1910年)
  • Franklin Gothic Condensed Shaded(1912年)

その後しばらくして、同社は再びラインナップを拡張し、さらに2つのバリエーションを追加した。

  • Franklin Gothic Wide(1952年) ジョン・L・“バッド”・レンショーによるデザイン
  • Franklin Gothic Condensed Italic(1967年) ウェドン・デイヴィスによるデザイン

他のサンセリフ書体との識別点として、より伝統的な2階建てのaと特にgセリフ体では一般的だが、ドイツのモデルに倣ったサンセリフ体では珍しく、当時のアメリカやイギリスのデザインではしばしば見られた)、さらにQのテールとgのイヤー(耳状部分)が挙げられる。Qのテールは、文字の中心から下に向かってカールしている。

バーンハート・ブラザーズ&スピンドラー英語版はこの書体を複製して「Gothic #1」とし、ライノタイプインタータイプ英語版は自社の複製版を「Gothic #16」と呼んだ。モノタイプの複製版はFranklin Gothicの名称を維持したが、機械組版の都合上、標準的な配列に適合するよう改変された。ラドロー英語版版は「Square Gothic Heavy」として知られる[7]

コールドタイプ版の複製

戦後のゴシック体人気を受け、コールドタイプ(写真植字機など)のメーカーの大半が独自のFranklin Gothicのバージョンを提供した。以下はその例である[8]

ITC Franklin Gothic
様式 サンセリフ
分類 グロテスク
デザイナー モリス・フラー・ベントン、ビクター・カルーソ
制作会社 インターナショナル・タイプフェイス・コーポレーション
発表年月日 1980年
提供元 ライノタイプアドビシステムズ

デジタル版の複製

アドビインターナショナル・タイプフェイス・コーポレーション(ITC)、モノタイプ・イメージング、およびURW英語版によってデジタル版の複製書体が作成されている。ビクター・カルーソは1979年にITCのためにマルチウェイトのファミリーをデザインし、さらに1991年にはITCの依頼により、ボストンのFont Bureau英語版がITC Franklin Gothicのコンデンス、コンプレスド、エクストラコンプレスドの各バージョンを制作した。ビットストリームによるバージョンは「Gothic 744」と呼ばれる。Microsoft Windowsは、少なくともWindows 95以降のすべてのバージョンにおいて、ITCのバリアントの一つである「Franklin Gothic Medium」を同梱している。

ITC Franklin Gothicは最も普及しているリリースであるが、ファミリー構成を大幅に変更した点に対しては批判もある。カリグラファーでデザイン史家のポール・ショー英語版は、「Franklin Gothicの特長である『g』を台無しにした」として失敗作だと主張し、「ITC Franklin Gothicでは(中略)『g』のイヤーが、質問に答えたくてうずうずしている小学生のように飛び出し続けている」と評した[9]

The American Type Founders Collection(ATF Collection。オリジナルのATFとは無関係)からは「ATF Franklin Gothic」という名称のバージョンがリリースされている[10]。このバージョンの字幅は、それ以前の多くのリリースよりも拡張されている。

Franklin Gothicのオープンソース版の解釈として、Impallari Typeが「Libre Franklin」を制作している。Libre FranklinはGoogle Fontsで利用可能である。

Alternate Gothic

Alternate Gothic Nos. 1, 2, 3
様式 サンセリフ
分類 グロテスク
デザイナー モリス・フラー・ベントン
制作会社 アメリカン・タイプ・ファウンダーズ
発表年月日 1903年
提供元 モノタイプ
別名 Gothic Condensed(ライノタイプインタータイプ英語版ラドロー英語版
ベース書体 Franklin Gothic

Alternate Gothic(オルタネート・ゴシック)は、1903年にベントンがATFのためにデザインした書体である。実質的にはFranklin Gothicをやや太めのコンデンス体(長体)にしたものであり、3種類の字幅が番号付きで制作された。No. 1が最も幅が狭く、No. 3が最も広い。Franklin Gothicとの大きな違いとして、Akzidenz-Grotesk英語版のように数字の「1」の下部にセリフがない点が挙げられる。

金属活字版の複製

この書体はモノタイプからは同名で複製され、ラドロー英語版ライノタイプインタータイプ英語版からは「Alternate Gothic #1」が「Gothic Condensed」という名で複製された。また、ラドローの「Trade Gothic Condensed」もこれに非常に類似している。以下の2種類の派生書体も制作された。

  • Alternate Gothic Modernized(1927年、モノタイプ):ソル・ヘス英語版がデザインした13種類の代替文字を追加したもの。
  • Condensed Gothic Outline(1953年、ラドロー):実質的にはAlternate Gothic #2のアウトライン(袋文字)版[11]

コールドタイプ版の複製

Alternate Gothicは、コンピュグラフィック英語版によって「Alpin Gothic」として複製された[12]

デジタル版の複製

デジタル版の複製は、URW英語版Elsner+Flake英語版から発表されているほか、モノタイプからは「CG Alternate Gothic #3」として提供されている。

また、マイカ・リッチおよびThe League of Moveable Typeの複数の貢献者により、Alternate Gothic #1をベースとしたSIL Open Font Licenseの下で利用可能な人気の高いフォント「League Gothic」が制作された[13]

オープンソース版

League Gothic

League Gothicは、The League of Moveable Typeが公開したコンデンス体のサンセリフ書体である。1903年にベントンがデザインしたAlternate Gothicを基にしており、No. 1とNo. 2の両方が提供され、それぞれにセミボールドのウェイトが1種用意されている[13]

また、League Gothicは、2015年にロベルト・ヤブロンスキが制作したWarsaw Gothicの基盤にもなった。これは一部のグリフを変更し、ファミリーを拡張したものである[14]

Oswald

ヴァーノン・アダムスが制作したOswaldは、Alternate Gothic No. 2を画面表示向けに最適化した書体である。6種類のウェイトがあり、イタリック体は用意されていない。

Libre Franklin

Libre Franklinは、アルゼンチンの書体会社Impallari Typeが制作した、Franklin Gothicのオープンソース版スピンオフである。9種類のウェイトがあり、それぞれにイタリック体が用意されている[15]

Public Sans

Public Sansは、Libre Franklinに多数の変更を加えたもので、米国連邦政府のUnited States Web Design System英語版プロジェクトによって制作された。9種類のウェイトとそれぞれに対応するイタリック体を備え、ウェイト調整が可能なバリアブル軸(可変ウェイト軸)にも対応している[16]

この書体は、オーストラリアで最も人口の多いニューサウスウェールズ州政府の公式フォントとして採用されている[17]

ラフ・レヴィーンのFranklin Gothic

ラフ・レヴィーン英語版は、1941年の見本帳に見られるFranklin Gothicのヘビーウェイト版を、その不規則性も含めて再現する作業を開始した。しかし、小文字が完成したのみで、プロジェクトは未完に終わった。レヴィーンは開発中止時に、将来プロジェクトを完了させることがあれば、よりクリーンな1912年の見本帳を基にする方針へ変更する予定だと述べていた[18]

Oswald、League Gothic、Warsaw Gothic、Libre Franklin、およびPublic Sansは、すべてSIL Open Font Licenseの下で提供されている。

Monotone Gothic

Monotone Gothic
様式 サンセリフ
分類 グロテスク
デザイナー モリス・フラー・ベントン
制作会社 アメリカン・タイプ・ファウンダーズ
発表年月日 1907年
ベース書体 Franklin Gothic

Monotone Gothic(モノトーン・ゴシック)は、1907年にベントンがATF向けにデザインした書体である。実質的には、Franklin Gothicのウェイトを軽くし、字幅を広げたエクステンデッド版に相当する。1ウェイトのみが制作され、他の活字鋳造所から同名で複製された記録は見当たらない。なお、デジタル版のFranklin Gothic Light Extendedは、事実上この書体に基づくものである[19]

News Gothic

News Gothic
様式 サンセリフ
分類 グロテスク
デザイナー モリス・フラー・ベントン
制作会社 アメリカン・タイプ・ファウンダーズ
発表年月日 1908年
別名 Trade Gothic(ライノタイプ)、Record Gothic(ラドロー英語版)、Balto Gothic(ボルチモア・タイプ&コンポジション・カンパニー)
ベース書体 Franklin Gothic

News Gothic(ニュース・ゴシック)は、ATFの前身企業から引き継いだ19世紀のゴシック体を統合・体系化する継続的な取り組みの一環として、1908年にベントンがデザインした書体である。位置づけとしては、Franklin Gothicのミディアムウェイト版に相当する。

  • News Gothic
  • News Gothic Condensed
  • News Gothic Extra Condensed
  • News Gothic Extra Condensed Title

Franklin Gothicと同様に、同社は後にファミリーを拡張し、以下の2つのバリエーションを追加した。

  • News Gothic Bold(1958年、ジョン・L・“バド”・レンショーによるデザイン)
  • News Gothic Condensed Bold(1965年、フランク・バルトゥスカによるデザイン)

同様のスタイルで特に広範なファミリー展開が行われたものとして、ライノタイプTrade Gothic英語版ラドロー英語版のRecord Gothicがある[20][21]。また、現代における特筆すべき極めて包括的な復刻版として、Benton Sans英語版が挙げられる[22][23]

Lightline Gothic

Lightline Gothic
様式 サンセリフ
分類 グロテスク
デザイナー モリス・フラー・ベントン
制作会社 アメリカン・タイプ・ファウンダーズ
発表年月日 1908年

Lightline Gothic(ライトライン・ゴシック)は、News Gothicのライト版として、1908年にベントンがATF向けにデザインした書体である。事実上Franklin Gothicのウルトラライト(極細)版である。1ウェイトのみが制作され、他の活字鋳造所から同名でコピーされることはなかったとされる。デジタル版のFranklin Gothic Ultra-Lightは、事実上この書体に基づくものである。

金属活字のバリエーション

1921年、ベントンはこの書体の大文字を同一のボディ上で異なる大きさで鋳造することにより、新たにライニング・ゴシックを作り出し、Lightline Title Gothicという名称で販売した[24]

使用例

脚注

参考文献

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