HR 8799 c
太陽系外惑星
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HR 8799 cとは、地球から見てペガスス座の方向に128.5光年離れた位置にある恒星HR 8799を公転する太陽系外惑星である。惑星を直接撮影して発見された初めての太陽系外惑星の1つである[3][4]。
| HR 8799 c | ||
|---|---|---|
HR 8799 c(右)と木星(左)の直径の比較。 | ||
| 星座 | ペガスス座[1] | |
| J等級 | 14.65 ± 0.17[2] | |
| H等級 | 13.93 ± 0.17[2] | |
| K等級 | 13.13 ± 0.08[2] | |
| 分類 | 木星型惑星 | |
| 発見 | ||
| 発見日 | 2008年11月13日[3] | |
| 発見者 | Christian Marois et al.[4] | |
| 発見方法 | 複数の天文台で撮影 された赤外線画像の分析[4]。 | |
| 軌道要素と性質 | ||
| HR 8799からの平均距離 | 0.964 秒 | |
| 軌道長半径 (a) | ~38 AU[4] (約57億km) 42.9 AU[5] (64.2億km) | |
| 離心率 (e) | 0.0[5] | |
| 公転周期 (P) | ~190 年[4] 231.7 年[5] 224.9 年[5] | |
| 軌道傾斜角 (i) | 28.0 度[5] | |
| 近点引数 (ω) | 不明[5] | |
| 平均近点角 (M) | 35.9 度[5] 35.5 度[5] | |
| 前回近点通過 | 1936.7[5] 1997.5[5] | |
| HR 8799の惑星 | ||
| 位置 元期:J2000.0[1] | ||
| 赤経 (RA, α) | 23h 07m 28.71507s[1] | |
| 赤緯 (Dec, δ) | +21° 08′ 03.3053″[1] | |
| 赤方偏移 | -0.000038 ± 0.000007[1] | |
| 視線速度 (Rv) | -11.5 ± 0.2 km/s[1] | |
| 固有運動 (μ) | 赤経: 107.93 ± 0.60 mas/年 赤緯: -49.63 ± 0.46 mas/年[1] | |
| 年周視差 (π) | 25.38 ± 0.70 mas/年[1] | |
| 距離 | 128.5 ± 3.3 光年 (39.4 ± 1.0 pc)[4] | |
| 物理的性質 | ||
| 直径 | 86000 +7000 −0000 km | |
| 半径 | 1.2 +0.1 −0.0 RJ[4] (14 +1 −0 RE) | |
| 表面積 | 9.3 × 1010 km2 | |
| 体積 | 2.6 × 1015 km3 | |
| 質量 | 10 ± 3 MJ[4] (3178.2 ± 953.46 ME) | |
| 平均密度 | 7.2 +2.1 −3.2 g/cm3 | |
| 表面重力 | 172 +70 −52 m/s2 17 +7 −5 G | |
| 脱出速度 | 172 +24 −34 km/s | |
| 光度 | -4.7 ± 0.1 L☉[4] (7.7 +2.0 −1.6) × 1021 W | |
| 表面温度 | 1090 +10 −90 K[4] (820 +10 −90 ℃) | |
| 年齢 | 3000 +2000 −1000 万年[6] | |
| 大気の性質 | ||
| 大気圧 | 不明 | |
| 水蒸気 | 割合不明[7] | |
| 一酸化炭素 | 割合不明[7] | |
| 他のカタログでの名称 | ||
| HD 218396c[8] HR 8799c[9]. |
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発見

HR 8799 cは、A型主系列星のHR 8799の周辺を公転する4つの惑星の1つである。HR 8799 cは、同じくHR 8799を公転するHR 8799 b、HR 8799 dと共に、2008年11月13日に存在が公表された[4]。HR 8799 bは、2004年7月14日から2008年9月18日までに、W・M・ケック天文台、ジェミニ天文台、ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された赤外線領域における画像から発見され、見かけの位置の移動から、HR 8799の周回軌道に乗っている事が分かった[4][3][10]。これは、惑星そのものを直接撮影して発見された例としては初めてである[4]。なお、2M1207bはHR 8799 c以前に赤外線画像で直接撮影されているが、一般に惑星とは見なされていない[11][12]。
なおこの日は、可視光領域で初めて直接撮影して発見されたフォーマルハウトbも同時に発表されている[13]。ただし、フォーマルハウトbは惑星の像ではないと言う説も出ている[14][15]。HR 8799の惑星は可視光では撮影されていない。また、このときにはHR 8799 eは見つかっていない[6]。
HR 8799に惑星が発見された後、HR 8799を撮影した古い画像の解析が進み、2009年10月6日には、1998年10月30日にハッブル宇宙望遠鏡で撮影した画像中に、HR 8799 bとHR 8799 dと共に写っていた事が分かっている[16]。なおこの画像は、同年4月1日にHR 8799 bが発見された画像である[17]。
| フィルター | 波長 (μm) | 明るさ(等級) |
|---|---|---|
| z | 1.03 | > 16.48 |
| J | 1.248 | 14.65 ± 0.17 |
| H | 1.633 | 13.93 ± 0.17 |
| CH4S | 1.592 | 14.25 ± 0.19 |
| CH4S | 1.681 | 13.90 ± 0.19 |
| Ks | 2.146 | 13.13 ± 0.08 |
| [3.3] | 3.3 | 12.64 ± 0.20 |
| L' | 3.776 | 11.83 ± 0.07 |
| M | 4.8 | > 11.22 |
軌道の性質
HR 8799 cは、HR 8799に属する惑星の中で、2番目に遠い場所を公転する惑星である。軌道長半径は論文によって2つの値があり、約57億km (~38AU) [4]または64億2000万km (42.9AU) [5]と、太陽系に置き換えると冥王星の公転軌道にほぼ等しい。この遠い軌道のため、HR 8799 cの公転周期は231.7年または224.9年に達する[5]。
2013年現在発見されている太陽系外惑星の中で、公転軌道はHR 8799 cより遠いものは多くあるが、公転周期が分からないものが多く、太陽系外惑星の中ではへびつかい座11番星bの2000年[18]、フォーマルハウトbの872年[13]、同じ星系内のHR 8799 b[4][5]に次いで4番目に長い値である。離心率はほとんど0であると推定されている。軌道要素のそれぞれの値は、中心星であるHR 8799の質量の不確かさが影響している[5]。
HR 8799 bとHR 8799 c、HR 8799 dは、3惑星の間で4:2:1の軌道共鳴をしていると考えられている[5]。
物理的性質

HR 8799 cは、先述の通り主星であるHR 8799よりかなり遠くに位置する。しかし、HR 8799が太陽の4.92倍明るい恒星であり、また惑星系の生成年代が2000万年から5000万年[6]と若いため[3]、表面温度は約820℃と高い[4]。この温度により、直接撮影されるきっかけとなった赤外線を放出しており、その光度は太陽の1万分の1程度[4]、約7.7×1021Wに達する。しかし、見かけの等級はHR 8799の10万分の1以下である。見かけには暗い赤色をしていると考えられている[3]。
HR 8799 cは木星と比較して、直径は1.2倍から1.3倍であるが、質量は7倍から13倍もある[4]。特に上限は褐色矮星の下限である13倍に達する。このため平均密度は7.2g/cm3にもなる。
HR 8799 cは、HR 8799系の惑星の中で、最も詳細な観測が行われている[7]。これはHR 8799 cがHR 8799から約1.0秒角と十分離れており、なおかつHR 8799 cの光が十分に強いからである。2010年には、太陽系外惑星で HR 8799 cから放出されている光からスペクトル線が得られた。これは惑星と確定している天体の中で、掩蔽などの間接的な方法ではなく直接観測によってスペクトル線を得た初めての事例である[19]。また、2013年には大気組成が観測された。HR 8799 cの大気中には水蒸気と一酸化炭素が含まれている事がわかっており、酸素と炭素の比率から、HR 8799の惑星系の生成条件がわかる。原始惑星系円盤からガス惑星が生成される場合、固体のコアが形成された後にガスをまとって惑星が形成されるコア成長モデルと、自己の重力で急激に収縮され生成される重力不安定モデルの2つが主に唱えられている[9]。原始惑星系円盤が冷え、氷が形成される時間が十分にあると、水分子の形成により酸素が消費されるため、炭素に対して酸素が少なくなる。HR 8799 cの大気組成は、生成に時間がかかるコア成長モデルを支持する結果となっている[7]。
また、HR 8799系を包む大規模な塵の円盤には一酸化炭素、メタン、およびアンモニアとアセチレンのどちらかまたは両方が含まれており、大気の組成に関連する可能性がある。塵の組成はHR 8799 cの分光観測によって調べられた。ただし、HR 8799の円盤の組成はHR 8799からの距離で大きく変わっている事が分かっている[20][21]。