RNF8

From Wikipedia, the free encyclopedia

RNF8(ring finger protein 8)は、ヒトではRNF8遺伝子にコードされる酵素である[5][6][7]。RNF8は免疫系の機能[8]DNA修復の双方に活性を有する。

PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
記号RNF8, hring finger protein 8
染色体6番染色体 (ヒト)[1]
概要 PDBに登録されている構造, PDB ...
RNF8
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

2CSW, 2PIE, 4AYC, 4ORH, 4WHV

識別子
記号RNF8, hring finger protein 8
外部IDOMIM: 611685 MGI: 1929069 HomoloGene: 2944 GeneCards: RNF8
遺伝子の位置 (ヒト)
6番染色体 (ヒト)
染色体6番染色体 (ヒト)[1]
6番染色体 (ヒト)
RNF8遺伝子の位置
RNF8遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点37,353,979 bp[1]
終点37,394,734 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
17番染色体 (マウス)
染色体17番染色体 (マウス)[2]
17番染色体 (マウス)
RNF8遺伝子の位置
RNF8遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点29,833,764 bp[2]
終点29,863,965 bp[2]
RNA発現パターン


さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 protein homodimerization activity
histone binding
クロマチン結合
金属イオン結合
ubiquitin-protein transferase activity
血漿タンパク結合
ubiquitin protein ligase binding
トランスフェラーゼ活性
identical protein binding
zinc ion binding
ubiquitin binding
ubiquitin protein ligase activity
細胞の構成要素 site of double-strand break
ubiquitin ligase complex
核質
染色体
テロメア
midbody
細胞核
細胞質基質
細胞質
生物学的プロセス response to ionizing radiation
histone H2A ubiquitination
interstrand cross-link repair
ubiquitin-dependent protein catabolic process
protein K63-linked ubiquitination
positive regulation of DNA repair
histone H2A K63-linked ubiquitination
negative regulation of transcription elongation from RNA polymerase II promoter
DNA損傷刺激に対する細胞応答
細胞分裂
protein K48-linked ubiquitination
クラススイッチ
protein ubiquitination
spermatid development
細胞周期
histone H2B ubiquitination
double-strand break repair via nonhomologous end joining
histone exchange
protein autoubiquitination
double-strand break repair
DNA修復
chromatin organization
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_003958
NM_183078

NM_021419

RefSeq
(タンパク質)

NP_003949
NP_898901

NP_067394

場所
(UCSC)
Chr 6: 37.35 – 37.39 MbChr 6: 29.83 – 29.86 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス
閉じる

機能

RNF8タンパク質はRINGフィンガーモチーフとFHAドメイン英語版を持つ。このタンパク質は、UBE2E1英語版/UBCH6、UBE2E2英語版UBE2E3英語版などいくつかのクラスIIユビキチン結合酵素(E2)と相互作用することが示されており、特定の核内タンパク質をユビキチン化するユビキチンリガーゼ(E3)として作用する可能性がある。RNF8遺伝子には、異なるアイソフォームをコードする選択的スプライシングによる転写産物が報告されている[7]

RNF8は、相同組換え修復(HRR)[9]非相同末端結合(NHEJ)[10][11]ヌクレオチド除去修復(NER)[10]の3つのDNA修復経路によるDNA損傷の修復を促進する。DNA損傷はがんの主要因であると考えられており、DNA修復の欠如はがんにつながる変異を引き起こす場合がある[12]。マウスでは、RNF8の欠乏はがんの素因となる[13][14]

クロマチンリモデリング

DNAに二本鎖切断が生じた後、HRRまたはNHEJによるDNA修復を行うためにはクロマチン構造の緩和が必要である。クロマチン構造の緩和には2つの経路があり、1つはPARP1によって、もう1つはγH2AX(H2AXのリン酸化型)によって開始される(クロマチンリモデリングを参照)。γH2AXによって開始されるクロマチンリモデリングはRNF8に依存している。

ヒストンバリアントH2AXはヒトのクロマチン中のH2Aヒストンの約10%を占める[15]。DNA二本鎖切断部位では、γH2AXを持つクロマチンが約200万塩基対にわたって広がる[15]

γH2AXはそれ自身がクロマチンの脱凝縮を引き起こすわけではないが、放射線照射によるDNA損傷後1秒以内にはMDC1タンパク質がγH2AXに特異的に結合する[16][17]。この結合は、MDC1に結合しているRNF8やDNA修復タンパク質NBS1の蓄積も同時に引き起こす[18]。RNF8は、ヌクレオソームのリモデリングと脱アセチル化を担う複合体NuRD英語版の構成要素であるCHD4英語版タンパク質との相互作用によって、広範囲のクロマチンの脱凝縮を媒介する[19]

相同組換え修復

DNA末端の削り込み(DNA end resection)はHRRの重要な過程であり、HRRに関与するタンパク質をリクルートするためのプラットフォームとなる3'オーバーハングが形成される。MRE11RAD50、NBS1からなるMRN複合体は、この過程の初期段階を実行する[20]。RNF8はNBS1をユビキチン化し(この反応はDNA損傷前にも損傷後にも行われる)、このユビキチン化は効率的なHRRに必要である[9]。一方RNF8によるNBS1のユビキチン化は、エラーが起こりやすい他のDNA修復過程であるマイクロホモロジー媒介末端結合英語版過程には必要ではない[9]

RNF8はHRRにおいて他の役割も持つようである。RNF8はユビキチンリガーゼとしてγH2AXをモノユビキチン化し、DNA修復分子をDNA損傷部位に固定する[21]。特に、RNF8の活性はHRRのためのBRCA1のリクルートに必要である[22]

非相同末端結合

Kuタンパク質Ku70Ku80からなるヘテロ二量体型タンパク質複合体であり、リング構造を形成する。NHEJによる二本鎖切断修復の初期段階では、破壊されたDNAの各末端へKuタンパク質のリング構造が滑って移動し、各末端に結合した2つのKuタンパク質は互いに結合してブリッジを形成する[23][24]。これによってDNAの末端は保護され、さらにDNA修復酵素が作用するためのプラットフォームが形成される。末端が再結合された後も2つのKuタンパク質は完全な形となったDNAを取り囲んでおり、末端から滑り落ちることはない。このままKuタンパク質が除去されなければ、細胞の生存は損なわれる[25]。Kuタンパク質の除去は、RNF8によってKu80がユビキチン化されてKuタンパク質のリング構造から解離するか[26]、もしくはNEDD8によるKuタンパク質のユビキチン化によってDNAから解離するか[25]のいずれかの方法で行われる。

ヌクレオチド除去修復

UV照射によるピリミジン二量体の形成は、修復されない場合には細胞死をもたらす。こうした損傷の大部分は、NERによって修復される[27]。UV照射後、RNF8はDNA損傷部位にリクルートされ、クロマチン中のヒストンH2Aをユビキチン化する。こうした応答は、UV照射に対する防御機構の一部となっている[10][28]

精子形成の異常

精子形成過程では、有糸分裂減数分裂によって精原幹細胞英語版から精子が形成される。RNF8はDNA二本鎖切断の存在時のシグナル伝達に必要不可欠な役割を果たす。RNF8をコードする遺伝子をノックアウトしたオスのマウスでは精子形成の異常がみられ、その原因は相同組換え修復の欠陥であるようである[13]

相互作用

RNF8はレチノイドX受容体α英語版と相互作用することが示されている[29]

出典

関連文献

関連項目

外部リンク

Related Articles

Wikiwand AI