アクロフィセター

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アクロフィセター
生息年代: 中新世 (サーラバリアン - メッシニアン), 13.65–5.33 Ma
A. deinodon のホロタイプの頭蓋骨
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
上科 : マッコウクジラ上科 Physeteroidea
: incertae sedis
: Acrophyseter
学名
Acrophyseter
Lambert, Bianucci & Muizon, 2008
  • Acrophyseter deinodon Lambert, Bianucci & Muizon, 2008 (模式種)
  • A. robustus Lambert, Bianucci & Muizon, 2017

アクロフィセター[1](学名:Acrophyseter)は、マッコウクジラ上科に属する化石クジラ類。後期中新世の、現代のペルーにあたる地域の海岸に生息していた。A. deinodonA. robustus の2種が知られる。「Macroraptorial sperm whale」と呼ばれるグループに含まれ、このグループは長い歯根を持つ太い歯など、大型の獲物を狩るための特徴をいくつか有している。体長はおよそ4-5mと推定され、既知の「macroraptorial sperm whale」の中では最小である。吻は短く尖っており、前歯は強く湾曲していることから、アザラシや他のクジラなど、海洋性の脊椎動物を捕食していたと推定される。

名称

A. robustus のホロタイプの頭蓋骨

既知の2種の全ての化石は、ペルー南部のピスコ累層英語版から発見されている[2]模式種である A. deinodon は、2008年にOlivier Lambert、Giovanni Bianucci、Christian De Muizonによって、Sud-Sacacoから発見された頭蓋骨(MNHN SAS 1626)を基に記載された[3]。この層は中新世のトートニアンからメッシニアンの間(約850万-670万年前)のものである。模式標本は成熟個体の頭蓋骨と顎であり、大半の歯が保存されていた[2]

2017年にはもう1種の A. robustus が、Cerro la Brujaから得られた頭蓋骨(MUSM 1399)を基に同著者らによって記載された。この層はSud-Sacacoよりも古く、サーラバリアンからトートニアンの間(少なくとも920万年以上前)のものである。その後にAguada de Lomasから A. deinodon の2つ目の標本が得られ、これは右側の頭頂骨(MNHM F-PPI 272)であった。この層は先述の2つよりも新しく、メッシニアン(690万-670万年前)のものであった。ただしこの標本が A. deinodon であるかについては疑問視されており、A. robustus に同定される可能性もある[2]。3つ目の頭蓋骨(MUSM 2182)はCerro los Quesosから発見され、年代はAguada de Lomasのものと同じであった。正確な種は不明だが[4]A. robustus のホロタイプの頭蓋骨と似た特徴をいくつか持っている[2]

属名はギリシア語の「akros (鋭い)」と「physeter (マッコウクジラ属)」を組み合わせたもので、尖ったを指している。種小名の「deinodon」は、ギリシア語の「deinos (恐ろしい)」と「odon (歯)」を組み合わせたものである[3]。もう一種の種小名である「robustus」は、ラテン語で「頑強な」を意味し、supracranial basin(頭蓋骨の窪んだ部分)の縁と吻の基部の骨が厚くなっていることに由来する[2]

分類

ブリグモフィセターリヴィアタンジゴフィセターと共に、Macroraptorial sperm whaleというグループを形成する。このグループは大きな歯と、エナメル質で覆われた長い歯根を持ち、大型の獲物を狩ることに適応している[5]。これらの特徴はバシロサウルス科のような祖先から受け継いだか、グループの中で一度か二度独自に進化したと考えられる[2]。マッコウクジラ科の絶滅亜科であるホプロケットゥス亜科 Hoplocetinae は、本属およびスカルディケタスディアフォロケタスIdiorophusHoplocetus を含んでいた。しかしこの亜科は側系統群であり、共通祖先とその子孫すべてを含むわけでは無い[6]。以下にアクロフィセターと近縁種の系統関係を示す。Macroraptorial sperm whaleは太字で示し、マッコウクジラ科とコマッコウ科は省略する[2][7]

マッコウクジラ上科

Eudelphis

ジゴフィセター

ブリグモフィセター

アクロフィセター

リヴィアタン

アウロフィセター?

マッコウクジラ科

コマッコウ科

形態

A. robustus の復元図

アクロフィセターの体長は、4-5mと推定される[4]A. deinodon の体長は、頬骨の距離を近縁のジゴフィセターと比較した結果、4-4.3mと推定された。これはMacroraptorial sperm whaleの中でも最小である[2]。現生のマッコウクジラ上科とは異なり、上下の顎に歯を持つ。歯は頑強で、歯根は長かった。前歯では歯冠が細く、対して歯根が太かった。前歯は奥の歯に比べ、円錐形に近かった。下顎の奥の歯は密に並び、歯の間の距離は前から後ろにかけて広くなっていたことから、これらの歯は切断に利用されていたと考えられる。対して現生のマッコウクジラ上科は、上顎に歯が無いため獲物を吸い込んで食べる。アクロフィセターの前歯は側面が摩耗しており、下顎の歯は中央部が摩耗していた[3]

A. deinodon の復元図

A. deinodon の歯は上顎に12本、下顎に13本あり、他のMacroraptorial sperm whaleと同様に、歯にはエナメル質があった。前上顎骨には3本の、上顎骨には9本の骨があった。他のマッコウクジラ上科とは異なり、前上顎骨の上側の鼻骨に近い部分に深い溝を持たない。下顎の最も後方の歯は、口蓋と接触していた可能性がある[3]シャチと同様に、成長に伴って歯にはセメント質が添加され続けていた。A. robustus の歯の数は不明だが、A. deinodon に近いか、同様であると考えられる[2]。歯槽に沿って「Buccal exostosis」と呼ばれる骨の隆起が見つかっている。これは歯で強く噛み付いた際に形成され、支えとなった可能性がある。奥歯は噛み付く力が大きいため、隆起もより大きかった[4]

他のマッコウクジラ上科と同様に、頭蓋骨の上部には「supracranial basin」と呼ばれる深い窪みがあった。この窪みは後頭部の隆起によって覆われる。窪みは眼窩まで張り出しているが、他のMacroraptorial sperm whaleとは異なり、吻までは届いていない。側頭窩はジゴフィセターやブリグモフィセターと異なり、高さが長さと同程度であった。これにより眉弓が押し出され、約55度下方に傾斜している。頬骨は薄い板状で、外耳道を狭めていた。吻は短く、他のマッコウクジラ上科とは異なり、明確に上側に湾曲していた。咀嚼の為の咬筋は、顎と頭蓋骨を繋ぐ関節突起と歯の間に位置していた[3]。後に出現したマッコウクジラ上科とは異なり、噴気孔を左右に持っていた。左の噴気孔は右の5倍の大きさがあり、直径はそれぞれ30mmと7mmであった[2]

生態

出典

関連項目

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